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第五夜 甘いモノ
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第五夜 甘いモノ
「め、娶る?!」
娶るとか何言ってんの、この魔王! あと精吸う系やめい!
「すまぬな、姫よ。我が征かんとする道はまだ其方を携え行くには狭く険しき道。だが王道と相成った暁には其方を我が腕に抱こう。精も其方の魔力を染め抜くまで注ぎこもうぞ。」
…中二語で口説かれてる気配を察知したが一般人語翻訳難しい。急募、文字ウィンドウ。わがかいなって何だ…? あといい加減精ネタから離れて、色ボケ魔王。
「…私には勿体ないお言葉。ところで魔王様、その先には強固な結界があり魔族は進めないようです。一旦お引きなされた方がよいと思います。」
木の影から完全に姿を見せ、配下の魔族っぽく俯きながら片膝をついた。
色ボケはイラッとするがツッコミは置いといて、今日は夜這いを諦めて帰るよう進言だ。もうこれ以上策を考えるの面倒だし…。
「…結界とな?」
「ええ、とても強固な。魔王様には紙みたいな物かもしれませんが、アレはお体にあまり良い物ではありません。勇者はまだ旅の途中。襲う機会はまだあります。」
まだまだ機会はありますぜ、魔王様。焼き討ち虐殺無しなら、たまの夜這いは目を瞑ってやんよ!
「そうか。…ふふふ、まさか其方が足止めか。」
魔王はそう言って一歩間合いを詰めてきた。
…うっ、さすがに気づかれたか。我ながら言い訳下手くそすぎたモンな。
あー、近接すぎて魔法キツいな。エル呼ぼうかなぁ。エルに撹乱してもらって青月…、
「勇者に嫉妬しておるのだな。その独占欲とても愛いぞ。」
「は?」
「据え膳口惜しいが、今は我の力に染め抜く為勇者へ精を注がねばならぬ時期なのだ。だが其方を蔑ろにはせん。いずれ婚姻を結んだら其方と勇者、毎夜二人共平等に精を注ぎ、今宵のように空閨で枕を濡らすなどさせぬ。」
…中二語が難し過ぎて翻訳追いつかないが、コイツ俺が勇者側って気づいてない上に、俺と勇者を嫁にしてハーレム3Pしようとしてね…?
「………。」
うん、全く返しが浮かばない。助けて、エル。
心の中の同僚に助けを求めたが、心の同僚は曖昧な笑顔でサムズアップしただけである。見た目賢いオーラでてるけど脳筋、知ってた。
俺が脳内で会議している間に、さらに間合い詰めた魔王はとうとう俺の目の前に立った。
「そんな泣きそう顔を…、其方には敵わぬな。今宵は其方の可愛らしい願い聞き届けよう。」
魔王は跪く俺の髪を一筋掬いそれに口付けると、バサリとマントを翻し元きた道を引き返していく。遠ざかる背中から蝙蝠羽がニュッと突き出し、そのまま羽ばたいて夜の空に消えていった。
鎧も羽部分謎機構で気になるが、…マント、飛ぶ時邪魔じゃねえのかなぁ? 無駄に気になる。
しかし今回も何とかなった…。
ここの世界の魔王、アホの子で助かる。
「エルー、終わったー。そっちは?」
『こっちはまだ。無事?』
「まだ出て来ないのかよ…。無事。報告はそっちに戻ってからすんわ。あ、すぐ戻るから冷蔵庫からプリン出しといてー。」
『わかった。』
甘いモン食べて忘れよう。
「はー、無駄に疲れたー。」
「お疲れ様。じゃ、報告ヨロ。」
ダイニングでプリンをモグモグしながら報告会を始めた。
「えー、本日の敵はまた魔王でした。」
「は? また魔王来たの? ここの魔王ヒマすぎない?」
「…夜這いするくらいはヒマなんだろうよ。んで、戦闘にはならかったけど隠密スルーでタゲ(ターゲット※標的と言う意味)とらてちゃってさぁ…。あの魔王、神の目スキルとかの看破系持ちかも。」
「ちょ、サイ、魔王にタゲられるとか…! なんでそんな緊急時に個チャ投げないの?!」
エル は どうよう した !
…お手に力入りすぎて、スプーンひしゃげましたが? それ、ムラムラマッサさん(※鍛治で有名なナイミリプレイヤー)のエンジェルシルバーシリーズでお高いのですが?
「エルさんエルさん、落ち着いて。戦闘になってないし、見つかってすぐ話しかけられたからチャ飛ばすヒマなかったんだって。」
「…は、話しかけられて。サイ、マジで危機感持とう? いくらサイが青月の賢者って言っても魔王ソロは厳しいでしょ? しかもここはエロBLの世界なんだから、うっかり負けでもしたら…、」
ひっ、ちょ、ソレまさかのエッチな同人誌展開?!
か、考えもしなかった…。
「サイは美人エルフアバなんだからマジ気をつけて。」
「…はい。でもアバ解除すれば俺なんてその辺の村人だから、魔王も萎えると思、」
ザッとエルが椅子から立ち上がって、俺の方へ回ってきた。
「…サイ、マジ危機感ない。ちょっと立って。」
「え、あ、ハイ。」
隣りに立ったエルの目が怖すぎて、言われるがままに椅子から降りた。
「…っ?! え、エル?!」
エルが突然正面から抱きついてきた!
「サイ、こんなすぐ許すなんて無防備。あのクソエロ魔王にアバ関係なくすぐ食われちゃうんだから。」
あっ、これ実技テストか…。ヤベ、めっちゃ油断した。
「…エル、ごめんて。」
「ダメ、わかってない。お仕置き。」
抱かれたまま顎クイされる。エルの顔が間近にある。目が笑ってない。
「ちょっ、お仕置きって! エルっ、ンッ…!」
噛み付くようにキスをされる。
え、え、エルさん?! あなた何してんの?!
「ンッ、ふ、…ンンッ!!」
ドンドンとエルの胸を叩きキスに抵抗するが、物理紙の魔法職が近接ランカーの拘束力に全く歯が立つ訳もなく…。顎を押さえていた手はぐるりと後頭部へまわり完全に頭を固定される。
息を継ぐタイミングを狙われて、エルの大きい舌が閉じた唇を割り開き口内を蹂躙する。歯列をなぞり、中をこじ開ける。それは獣のように激しくて思わず浮いてしまった舌がエルの舌と触れ合う。
見つけたと言わんばかりにジュと吸われた。その刺激に体がヒクリと跳ねてしまう。
はっと目を見開くと、エルの碧い目と視線があった。エルの目がすうっと細まる。
そこから荒々しいキスは一転し、舌が緩々と絡まる甘い、まるで恋人同士みたいなキス。
「ぅン…、っ、ふ、」
キスの合間に吐息が漏れる度、抱きしめる手がキュッと強くなる。
深く浅く繰り返し舌を絡められ、頭がぼうっとして、訳もわからずエルの胸元に縋りついた。
「んっ………は、」
チュッと軽く吸われやっと唇が解放される。
長いキスの余韻(酸欠?)のせいで何も反応できず、ただ呆けるままエルの顔をぼんやり眺めた。
「…あー、そんな顔して。お仕置きって言ってんのに。…魔王より先に俺に食われちゃうよ?」
ぐいっと押されてダイニングテーブルに体が乗り上げる。
「…え、あの、食われるって、」
やっと言葉が口から出てきた。
「性的な意味で。」
エルが首筋にカプリと喰らいつく。
「ヒッ…、」
性的に。
「ぁンンンッ!」
微かに当たる歯はこれ以上首筋に食い込む事はなく、あの大きな舌がベロリと下から上へ舐め上げる。瞬間、ザワザワッと体におかしな感覚が走り、背が勝手に反りかえる。
「…ねえサイ、もっと本気で抵抗して? 俺、止まんなくなるよ?」
さらに体を押され、両手を縫い付けるようにダイニングテーブルに押し倒された。
見上げたエルは何故か少し怒った表情をしていた。
「…え、エル、ま、待って…、お、俺、なんかエルの地雷踏んだ…?」
「………。」
エルの眉間にギュッと皺がよる。
…やっぱ地雷踏んだっぽい。
「エル、…エル、ごめん。いくら魔王が格下だからって油断して姿バレとか…、最悪エルまで巻き込むとこだったんだよな? 大事な仕事中なのにゲーム感覚で危機感なくてごめん。」
多分、俺が危機感なさすぎた。ナイミリ感覚でイベント攻略気分だった。ゲームのように、〇〇失敗とかテキストが流れて終わりの世界じゃない。
…もし俺が魔王を怒らせて神殿に攻め込まれたらエルに迷惑だけじゃくて、勇者が死んだかもしれない。勇者は俺達みたいに死んだ人間じゃなくて、…まだ生きてる子なんだ。
まだ精一杯命が続く限り生きる予定の、地球の子…。
そう思った瞬間、…涙腺が決壊した。
「ごめ…、エルぅ…、ひっく、ごめ…、」
「えっ、ちょ、サイ? ええっ、マ、ウソ、ごめん! 俺、そんな泣かすつもりじゃ、」
エルは慌てて掴んでいた両手を離し俺を抱き起こした。
「…う、ううっ…、ちが、…お、俺が、わるっ…、っく、」
涙と嗚咽が止まらない。いい年こいて大号泣なんて恥ずかしいのに、拭っても拭ってもダラダラと涙が溢れる。
「ああああ、もうっ! サイ、サイ、そんなに目を擦っちゃダメ! …俺が、俺が悪いから。サイが他のヤツに取られると思って、取られる前に…。サイに酷い事しようとした。ごめん。ほんとごめん。だから泣かないで…。」
ギュッとエルが俺を抱きしめる。顔に当たったエルの肩は少し震えていた。
<次回予告>
咄嗟の機転により古の神殿は危機を免れた。しかし悪手に怒れる狼が目覚めてしまった。
次回、祭りが始まる。『第六夜 夏祭りの夜』
お楽しみに。
「この次も残業、残業!」
※次回予告はあんまり本編に関係ありません。
「め、娶る?!」
娶るとか何言ってんの、この魔王! あと精吸う系やめい!
「すまぬな、姫よ。我が征かんとする道はまだ其方を携え行くには狭く険しき道。だが王道と相成った暁には其方を我が腕に抱こう。精も其方の魔力を染め抜くまで注ぎこもうぞ。」
…中二語で口説かれてる気配を察知したが一般人語翻訳難しい。急募、文字ウィンドウ。わがかいなって何だ…? あといい加減精ネタから離れて、色ボケ魔王。
「…私には勿体ないお言葉。ところで魔王様、その先には強固な結界があり魔族は進めないようです。一旦お引きなされた方がよいと思います。」
木の影から完全に姿を見せ、配下の魔族っぽく俯きながら片膝をついた。
色ボケはイラッとするがツッコミは置いといて、今日は夜這いを諦めて帰るよう進言だ。もうこれ以上策を考えるの面倒だし…。
「…結界とな?」
「ええ、とても強固な。魔王様には紙みたいな物かもしれませんが、アレはお体にあまり良い物ではありません。勇者はまだ旅の途中。襲う機会はまだあります。」
まだまだ機会はありますぜ、魔王様。焼き討ち虐殺無しなら、たまの夜這いは目を瞑ってやんよ!
「そうか。…ふふふ、まさか其方が足止めか。」
魔王はそう言って一歩間合いを詰めてきた。
…うっ、さすがに気づかれたか。我ながら言い訳下手くそすぎたモンな。
あー、近接すぎて魔法キツいな。エル呼ぼうかなぁ。エルに撹乱してもらって青月…、
「勇者に嫉妬しておるのだな。その独占欲とても愛いぞ。」
「は?」
「据え膳口惜しいが、今は我の力に染め抜く為勇者へ精を注がねばならぬ時期なのだ。だが其方を蔑ろにはせん。いずれ婚姻を結んだら其方と勇者、毎夜二人共平等に精を注ぎ、今宵のように空閨で枕を濡らすなどさせぬ。」
…中二語が難し過ぎて翻訳追いつかないが、コイツ俺が勇者側って気づいてない上に、俺と勇者を嫁にしてハーレム3Pしようとしてね…?
「………。」
うん、全く返しが浮かばない。助けて、エル。
心の中の同僚に助けを求めたが、心の同僚は曖昧な笑顔でサムズアップしただけである。見た目賢いオーラでてるけど脳筋、知ってた。
俺が脳内で会議している間に、さらに間合い詰めた魔王はとうとう俺の目の前に立った。
「そんな泣きそう顔を…、其方には敵わぬな。今宵は其方の可愛らしい願い聞き届けよう。」
魔王は跪く俺の髪を一筋掬いそれに口付けると、バサリとマントを翻し元きた道を引き返していく。遠ざかる背中から蝙蝠羽がニュッと突き出し、そのまま羽ばたいて夜の空に消えていった。
鎧も羽部分謎機構で気になるが、…マント、飛ぶ時邪魔じゃねえのかなぁ? 無駄に気になる。
しかし今回も何とかなった…。
ここの世界の魔王、アホの子で助かる。
「エルー、終わったー。そっちは?」
『こっちはまだ。無事?』
「まだ出て来ないのかよ…。無事。報告はそっちに戻ってからすんわ。あ、すぐ戻るから冷蔵庫からプリン出しといてー。」
『わかった。』
甘いモン食べて忘れよう。
「はー、無駄に疲れたー。」
「お疲れ様。じゃ、報告ヨロ。」
ダイニングでプリンをモグモグしながら報告会を始めた。
「えー、本日の敵はまた魔王でした。」
「は? また魔王来たの? ここの魔王ヒマすぎない?」
「…夜這いするくらいはヒマなんだろうよ。んで、戦闘にはならかったけど隠密スルーでタゲ(ターゲット※標的と言う意味)とらてちゃってさぁ…。あの魔王、神の目スキルとかの看破系持ちかも。」
「ちょ、サイ、魔王にタゲられるとか…! なんでそんな緊急時に個チャ投げないの?!」
エル は どうよう した !
…お手に力入りすぎて、スプーンひしゃげましたが? それ、ムラムラマッサさん(※鍛治で有名なナイミリプレイヤー)のエンジェルシルバーシリーズでお高いのですが?
「エルさんエルさん、落ち着いて。戦闘になってないし、見つかってすぐ話しかけられたからチャ飛ばすヒマなかったんだって。」
「…は、話しかけられて。サイ、マジで危機感持とう? いくらサイが青月の賢者って言っても魔王ソロは厳しいでしょ? しかもここはエロBLの世界なんだから、うっかり負けでもしたら…、」
ひっ、ちょ、ソレまさかのエッチな同人誌展開?!
か、考えもしなかった…。
「サイは美人エルフアバなんだからマジ気をつけて。」
「…はい。でもアバ解除すれば俺なんてその辺の村人だから、魔王も萎えると思、」
ザッとエルが椅子から立ち上がって、俺の方へ回ってきた。
「…サイ、マジ危機感ない。ちょっと立って。」
「え、あ、ハイ。」
隣りに立ったエルの目が怖すぎて、言われるがままに椅子から降りた。
「…っ?! え、エル?!」
エルが突然正面から抱きついてきた!
「サイ、こんなすぐ許すなんて無防備。あのクソエロ魔王にアバ関係なくすぐ食われちゃうんだから。」
あっ、これ実技テストか…。ヤベ、めっちゃ油断した。
「…エル、ごめんて。」
「ダメ、わかってない。お仕置き。」
抱かれたまま顎クイされる。エルの顔が間近にある。目が笑ってない。
「ちょっ、お仕置きって! エルっ、ンッ…!」
噛み付くようにキスをされる。
え、え、エルさん?! あなた何してんの?!
「ンッ、ふ、…ンンッ!!」
ドンドンとエルの胸を叩きキスに抵抗するが、物理紙の魔法職が近接ランカーの拘束力に全く歯が立つ訳もなく…。顎を押さえていた手はぐるりと後頭部へまわり完全に頭を固定される。
息を継ぐタイミングを狙われて、エルの大きい舌が閉じた唇を割り開き口内を蹂躙する。歯列をなぞり、中をこじ開ける。それは獣のように激しくて思わず浮いてしまった舌がエルの舌と触れ合う。
見つけたと言わんばかりにジュと吸われた。その刺激に体がヒクリと跳ねてしまう。
はっと目を見開くと、エルの碧い目と視線があった。エルの目がすうっと細まる。
そこから荒々しいキスは一転し、舌が緩々と絡まる甘い、まるで恋人同士みたいなキス。
「ぅン…、っ、ふ、」
キスの合間に吐息が漏れる度、抱きしめる手がキュッと強くなる。
深く浅く繰り返し舌を絡められ、頭がぼうっとして、訳もわからずエルの胸元に縋りついた。
「んっ………は、」
チュッと軽く吸われやっと唇が解放される。
長いキスの余韻(酸欠?)のせいで何も反応できず、ただ呆けるままエルの顔をぼんやり眺めた。
「…あー、そんな顔して。お仕置きって言ってんのに。…魔王より先に俺に食われちゃうよ?」
ぐいっと押されてダイニングテーブルに体が乗り上げる。
「…え、あの、食われるって、」
やっと言葉が口から出てきた。
「性的な意味で。」
エルが首筋にカプリと喰らいつく。
「ヒッ…、」
性的に。
「ぁンンンッ!」
微かに当たる歯はこれ以上首筋に食い込む事はなく、あの大きな舌がベロリと下から上へ舐め上げる。瞬間、ザワザワッと体におかしな感覚が走り、背が勝手に反りかえる。
「…ねえサイ、もっと本気で抵抗して? 俺、止まんなくなるよ?」
さらに体を押され、両手を縫い付けるようにダイニングテーブルに押し倒された。
見上げたエルは何故か少し怒った表情をしていた。
「…え、エル、ま、待って…、お、俺、なんかエルの地雷踏んだ…?」
「………。」
エルの眉間にギュッと皺がよる。
…やっぱ地雷踏んだっぽい。
「エル、…エル、ごめん。いくら魔王が格下だからって油断して姿バレとか…、最悪エルまで巻き込むとこだったんだよな? 大事な仕事中なのにゲーム感覚で危機感なくてごめん。」
多分、俺が危機感なさすぎた。ナイミリ感覚でイベント攻略気分だった。ゲームのように、〇〇失敗とかテキストが流れて終わりの世界じゃない。
…もし俺が魔王を怒らせて神殿に攻め込まれたらエルに迷惑だけじゃくて、勇者が死んだかもしれない。勇者は俺達みたいに死んだ人間じゃなくて、…まだ生きてる子なんだ。
まだ精一杯命が続く限り生きる予定の、地球の子…。
そう思った瞬間、…涙腺が決壊した。
「ごめ…、エルぅ…、ひっく、ごめ…、」
「えっ、ちょ、サイ? ええっ、マ、ウソ、ごめん! 俺、そんな泣かすつもりじゃ、」
エルは慌てて掴んでいた両手を離し俺を抱き起こした。
「…う、ううっ…、ちが、…お、俺が、わるっ…、っく、」
涙と嗚咽が止まらない。いい年こいて大号泣なんて恥ずかしいのに、拭っても拭ってもダラダラと涙が溢れる。
「ああああ、もうっ! サイ、サイ、そんなに目を擦っちゃダメ! …俺が、俺が悪いから。サイが他のヤツに取られると思って、取られる前に…。サイに酷い事しようとした。ごめん。ほんとごめん。だから泣かないで…。」
ギュッとエルが俺を抱きしめる。顔に当たったエルの肩は少し震えていた。
<次回予告>
咄嗟の機転により古の神殿は危機を免れた。しかし悪手に怒れる狼が目覚めてしまった。
次回、祭りが始まる。『第六夜 夏祭りの夜』
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