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第3話【勇者のたまご・魔王のたまご】
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「リベールシルフィード(ボソッ)」
開店の掛け声と同時にドロシーがラウルに杖を掲げた。
即座にラウルを翡翠色の光が包む。
体が浮かぶように軽くなったのを感じたラウルはドロシーを両手に抱え、入り口のドアを睨んだ。
「いくぞ。」
ドロシーは大事に己の杖を抱き、ラウルに身を委ねる。
ほぼ全ての客がたまごの特売コーナーを目指して走り、また小走りしている。
刹那、西口から入った客は一陣の風を感じよろめく。
まさに風のごときの速さでラウルが人波を縫いながらたまご売り場に迫ったのだ。
魔王アーノはというと、店員にわからないように入り口付近に高圧の重力場を発生させ、他の客の歩みを限りなく遅延させていた。
もともと最前列に近かったのもあって、余裕の表情で売り場に向かっていく。
「いらっしゃいませ!広告の品、特売卵コーナーでございます!」
アーノ一行とラウル達はほぼ同時に売り場についた。
「ふっ、さすがは勇者ということか、このアーノに追い付くとは。」
後ろの側近たちもフフフと笑っている。仲良しか。
「こっちだって装備のメンテナンスとかあるし、食費も切り詰めないとやっていけないんだ。この戦いも負けるわけにはいかない。」
ドロシーは既に自分の分の1個を確保した。アーノの側近たちもたまごを取り始める。
悪の集団とは言えど、1人1個の制約はちゃんと守るらしい。
言い忘れていたがゴーゴンマートは規約違反した者は石にされる決まりがあるからだ。
ラウルとアーノの前口上が終わり、それぞれの取り分を取ろうとした瞬間。
巨大な影が奥の東口から伸びた。
瞬間 特売たまごが恐ろしい速さで消える…いや、食われているのだ。
「な…なんだこいつ!?」
アーノとラウルは顔を上げる。
そこにいたのは千の頭を持つ巨大な狼、魔獣サウザンドケルベロスであった。
アーノも真っ青になっている
「なぜこんなところにサウザンドケルベロスが???」
「ありえない…攻撃力のケタが違う…」
ラウルもそのステータスを目視して頭にGAME OVERの文字が浮かぶ。
サウザンドケルベロスの横からヨボヨボおじいさんが現れ、狼の脇腹をさすりながらヨボヨボと話しかけている。
「よかったのう~ポチや~偶然散歩で通りかかったら好物のたまごが安売りしとって~お前1匹で1000人分じゃあ~存分に食え~」
頭1000個あるけどどこまでがポチなのか全部ポチなのか…いやそんなことよりもこのままではサウザンドケルベロスによって全てのたまごが食べられてしまう!
「お客様!犬は1人に数えられませ」まで話した店員がサウザンドケルベロスに頭から食べられたのを見て戦慄しながらもラウルとアーノは自分のたまごを確保するために手を伸ばすが…伸ばすところどんどんケルベロスに食べられて無の空間になっていく。
残ったたまごはあと2パック。
ラウルは勇気を振り絞って身を乗り出した!
そこをたまごと一緒にケルベロスにグシャアと噛みつぶされた。
ダメージ数を示す数字が999999を表示する。表示限界によるカウントストップを意味する数字だ。
「ラウルーーーーー!」
ドロシーが呼ぶが、返事はない。
ゆうしゃは しんでしまった。(続きます)
開店の掛け声と同時にドロシーがラウルに杖を掲げた。
即座にラウルを翡翠色の光が包む。
体が浮かぶように軽くなったのを感じたラウルはドロシーを両手に抱え、入り口のドアを睨んだ。
「いくぞ。」
ドロシーは大事に己の杖を抱き、ラウルに身を委ねる。
ほぼ全ての客がたまごの特売コーナーを目指して走り、また小走りしている。
刹那、西口から入った客は一陣の風を感じよろめく。
まさに風のごときの速さでラウルが人波を縫いながらたまご売り場に迫ったのだ。
魔王アーノはというと、店員にわからないように入り口付近に高圧の重力場を発生させ、他の客の歩みを限りなく遅延させていた。
もともと最前列に近かったのもあって、余裕の表情で売り場に向かっていく。
「いらっしゃいませ!広告の品、特売卵コーナーでございます!」
アーノ一行とラウル達はほぼ同時に売り場についた。
「ふっ、さすがは勇者ということか、このアーノに追い付くとは。」
後ろの側近たちもフフフと笑っている。仲良しか。
「こっちだって装備のメンテナンスとかあるし、食費も切り詰めないとやっていけないんだ。この戦いも負けるわけにはいかない。」
ドロシーは既に自分の分の1個を確保した。アーノの側近たちもたまごを取り始める。
悪の集団とは言えど、1人1個の制約はちゃんと守るらしい。
言い忘れていたがゴーゴンマートは規約違反した者は石にされる決まりがあるからだ。
ラウルとアーノの前口上が終わり、それぞれの取り分を取ろうとした瞬間。
巨大な影が奥の東口から伸びた。
瞬間 特売たまごが恐ろしい速さで消える…いや、食われているのだ。
「な…なんだこいつ!?」
アーノとラウルは顔を上げる。
そこにいたのは千の頭を持つ巨大な狼、魔獣サウザンドケルベロスであった。
アーノも真っ青になっている
「なぜこんなところにサウザンドケルベロスが???」
「ありえない…攻撃力のケタが違う…」
ラウルもそのステータスを目視して頭にGAME OVERの文字が浮かぶ。
サウザンドケルベロスの横からヨボヨボおじいさんが現れ、狼の脇腹をさすりながらヨボヨボと話しかけている。
「よかったのう~ポチや~偶然散歩で通りかかったら好物のたまごが安売りしとって~お前1匹で1000人分じゃあ~存分に食え~」
頭1000個あるけどどこまでがポチなのか全部ポチなのか…いやそんなことよりもこのままではサウザンドケルベロスによって全てのたまごが食べられてしまう!
「お客様!犬は1人に数えられませ」まで話した店員がサウザンドケルベロスに頭から食べられたのを見て戦慄しながらもラウルとアーノは自分のたまごを確保するために手を伸ばすが…伸ばすところどんどんケルベロスに食べられて無の空間になっていく。
残ったたまごはあと2パック。
ラウルは勇気を振り絞って身を乗り出した!
そこをたまごと一緒にケルベロスにグシャアと噛みつぶされた。
ダメージ数を示す数字が999999を表示する。表示限界によるカウントストップを意味する数字だ。
「ラウルーーーーー!」
ドロシーが呼ぶが、返事はない。
ゆうしゃは しんでしまった。(続きます)
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