21 / 30
ブルーパレス・犯罪組織編
銀髪の美女
しおりを挟む
城塞都市ブルーパレス、裏通り。
本通りとは違ってここは静かな街路。
そこを1人で歩いている者がいた。
「…西の魔術通りにあいつらの拠点は無しか。
くっ…!」
彼女は左手に持った紙を握りつぶす。
彼女の名前はリエル・シルバー。
かつては鉄華というチームのリーダーで冒険者をしていた女性だ。今はフリーである。
彼女がここを歩いていたのはとある組織が絡んでいた。
その組織の名はデス・フォール。
この都市を裏で牛耳る犯罪集団の名だ。
組織の構成人数は不明。
現在では1000人にも2000人にもその数は膨れ上がっているという。
やっている事は麻薬の流通、奴隷売買、暗殺、貿易品の横領など犯罪ばかりだ。
これほどの悪事をやっているが、未だかつてこの組織を捕らえようと街は動かない。
理由は簡単。この街の管理人や町長、その他上級役人に賄賂を贈っているからである。
それどころか組織に盾突いた者は無実の罪を着せられ、この街に罰せられる。街ぐるみで奴隷売買を行っているという噂もある。
本当にこの街は腐敗している。
リエルはそう思う。
そしてあろうことかこの巨大組織にリエルは一匹狼であるにも関わらず牙を剥いている。
当然これには理由があった。
とある依頼で商人の馬車を護衛していたところ、デスフォールの襲撃に遭ってしまい、四人メンバーのうち自分一人を残して全滅してしまった。それ以降、彼女は復讐としてこの組織と戦い続けているのだ。
たとえ1人だとしても組織を壊滅に追いやるまで諦めない。
ただ冷静に考えればこの組織に勝てないことくらいリエルも分かっている。
なぜなら相手の数は2000人、この街の管理者やそれの傀儡になっている兵士達を含めば下手したら万に達するからだ。
しかし諦めない。例えこの都市と敵対しようとも、捕まって奴隷に成り下がろうとも、殺されようとも死ぬまで戦い続けるだろう。
彼女たちの無念を晴らさずに自分だけ逃げるなど、出来る訳が無いからだ。
そして何より新たな被害者を生み出さないため。
彼女は腰に携えたレイピアを握りしめる。
今日はあいつらに復讐できなかったが、明日は必ず一矢報いると心にそう誓って。
「今日はこれでおしまいだな。
作戦を練って出直すしかないか…」
彼女は落胆した面持ちで歩いていた。
……その時。
「………」
背後に3人の怪しげなフードを被った者が近づいて来た。
しかし自分も馬鹿じゃない。
すぐに気づいたリエルはレイピアを抜くと同時に牽制する。
後ろの連中は慌てて後ろへ下がった。
「何者だっ!」
「……」
フードの者達は何も言わない。
その代わりにマントに隠したナイフや杖を取り出した。
リエルには敵の正体が大方見当が付いている。
おそらく連中はデス・フォールの刺客。
それかこの街の役人の暗殺傭兵。生き残った自分を殺すために尾行していたのだろう。
彼女と連中は一定の距離で向かい合う。
いつまでもそれが続くと思われたが、先に彼女が動いた。
「ハァッ!!」
神速の一撃を持って正面のナイフの男に刺突を繰り出す。
あまりにも速い一撃。
彼女が冒険者時代に鍛えてきたレイピアの腕は至高の領域までに達する。おそらくレイピアの腕だけでなら彼女と並ぶ事ができる者はこの街にいない。
しかし。
「……ふん」
男はその刺突を掻い潜って彼女の下へ接近する。
そしてナイフで切り付けようとするが、彼女も慌てて後ろに回避する。しかし相手は3人。
いつの間にか杖を持った男の接近を許してしまった。
そしてその男は風魔法を発動させる。
烈風がすぐさまこちらの元へやって来るが、リエルはそれに合わせるようにレイピアで虚空に円を描く。すると円形の鉄が出現し風魔法からリエルを守ってくれた。
しかし男たちの攻撃は終わりではない。
いつの間にかもう一人が小剣をリエルに投げつけていた。
「うっ!?」
それが太ももに刺さってしまう。
彼女はそのまま街路に倒れてしまった。
う…動けない。こ、これは毒…!?
男の小剣には毒がべっとりと塗られてあった。
それは神経毒。彼女の自由を奪う恐ろしい毒だ。
「わ、私はこんなところで…!」
右足を動かそうとするが全く言う事を聞いてくれない。徐々に男達は近づいてくる。
「ふっふ、残念だったな女。
貴様はもうすでにこの街で裏の指名手配になっている。我が組織に歯向かうという事はこの街にも歯向かうということだ」
や、やはりそうだったか!!
街ぐるみで私を狙っていたのか!!
リエルは男たちを睨みつける。
悔しさのあまり泣き出したくなるが、それ以上に仲間達を殺した復讐心の方が高かった。
男は倒れているリエルにナイフを突き出す。
もはや誰も助けに来てくれない。
それどころか、初めからリエルに味方はほとんどいなかった。
孤立無援なのだ。
このまま誰の恨みも晴らせられずに、自分は死んでいくだろう。
……その時。
「すいませーん。
ちょっと迷子になったみたいで、道を尋ねたいんですけど~」
細い街路から男が出てきた。
本通りとは違ってここは静かな街路。
そこを1人で歩いている者がいた。
「…西の魔術通りにあいつらの拠点は無しか。
くっ…!」
彼女は左手に持った紙を握りつぶす。
彼女の名前はリエル・シルバー。
かつては鉄華というチームのリーダーで冒険者をしていた女性だ。今はフリーである。
彼女がここを歩いていたのはとある組織が絡んでいた。
その組織の名はデス・フォール。
この都市を裏で牛耳る犯罪集団の名だ。
組織の構成人数は不明。
現在では1000人にも2000人にもその数は膨れ上がっているという。
やっている事は麻薬の流通、奴隷売買、暗殺、貿易品の横領など犯罪ばかりだ。
これほどの悪事をやっているが、未だかつてこの組織を捕らえようと街は動かない。
理由は簡単。この街の管理人や町長、その他上級役人に賄賂を贈っているからである。
それどころか組織に盾突いた者は無実の罪を着せられ、この街に罰せられる。街ぐるみで奴隷売買を行っているという噂もある。
本当にこの街は腐敗している。
リエルはそう思う。
そしてあろうことかこの巨大組織にリエルは一匹狼であるにも関わらず牙を剥いている。
当然これには理由があった。
とある依頼で商人の馬車を護衛していたところ、デスフォールの襲撃に遭ってしまい、四人メンバーのうち自分一人を残して全滅してしまった。それ以降、彼女は復讐としてこの組織と戦い続けているのだ。
たとえ1人だとしても組織を壊滅に追いやるまで諦めない。
ただ冷静に考えればこの組織に勝てないことくらいリエルも分かっている。
なぜなら相手の数は2000人、この街の管理者やそれの傀儡になっている兵士達を含めば下手したら万に達するからだ。
しかし諦めない。例えこの都市と敵対しようとも、捕まって奴隷に成り下がろうとも、殺されようとも死ぬまで戦い続けるだろう。
彼女たちの無念を晴らさずに自分だけ逃げるなど、出来る訳が無いからだ。
そして何より新たな被害者を生み出さないため。
彼女は腰に携えたレイピアを握りしめる。
今日はあいつらに復讐できなかったが、明日は必ず一矢報いると心にそう誓って。
「今日はこれでおしまいだな。
作戦を練って出直すしかないか…」
彼女は落胆した面持ちで歩いていた。
……その時。
「………」
背後に3人の怪しげなフードを被った者が近づいて来た。
しかし自分も馬鹿じゃない。
すぐに気づいたリエルはレイピアを抜くと同時に牽制する。
後ろの連中は慌てて後ろへ下がった。
「何者だっ!」
「……」
フードの者達は何も言わない。
その代わりにマントに隠したナイフや杖を取り出した。
リエルには敵の正体が大方見当が付いている。
おそらく連中はデス・フォールの刺客。
それかこの街の役人の暗殺傭兵。生き残った自分を殺すために尾行していたのだろう。
彼女と連中は一定の距離で向かい合う。
いつまでもそれが続くと思われたが、先に彼女が動いた。
「ハァッ!!」
神速の一撃を持って正面のナイフの男に刺突を繰り出す。
あまりにも速い一撃。
彼女が冒険者時代に鍛えてきたレイピアの腕は至高の領域までに達する。おそらくレイピアの腕だけでなら彼女と並ぶ事ができる者はこの街にいない。
しかし。
「……ふん」
男はその刺突を掻い潜って彼女の下へ接近する。
そしてナイフで切り付けようとするが、彼女も慌てて後ろに回避する。しかし相手は3人。
いつの間にか杖を持った男の接近を許してしまった。
そしてその男は風魔法を発動させる。
烈風がすぐさまこちらの元へやって来るが、リエルはそれに合わせるようにレイピアで虚空に円を描く。すると円形の鉄が出現し風魔法からリエルを守ってくれた。
しかし男たちの攻撃は終わりではない。
いつの間にかもう一人が小剣をリエルに投げつけていた。
「うっ!?」
それが太ももに刺さってしまう。
彼女はそのまま街路に倒れてしまった。
う…動けない。こ、これは毒…!?
男の小剣には毒がべっとりと塗られてあった。
それは神経毒。彼女の自由を奪う恐ろしい毒だ。
「わ、私はこんなところで…!」
右足を動かそうとするが全く言う事を聞いてくれない。徐々に男達は近づいてくる。
「ふっふ、残念だったな女。
貴様はもうすでにこの街で裏の指名手配になっている。我が組織に歯向かうという事はこの街にも歯向かうということだ」
や、やはりそうだったか!!
街ぐるみで私を狙っていたのか!!
リエルは男たちを睨みつける。
悔しさのあまり泣き出したくなるが、それ以上に仲間達を殺した復讐心の方が高かった。
男は倒れているリエルにナイフを突き出す。
もはや誰も助けに来てくれない。
それどころか、初めからリエルに味方はほとんどいなかった。
孤立無援なのだ。
このまま誰の恨みも晴らせられずに、自分は死んでいくだろう。
……その時。
「すいませーん。
ちょっと迷子になったみたいで、道を尋ねたいんですけど~」
細い街路から男が出てきた。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
異世界転移から始まるハーレム生活〜チートスキルを貰った俺は、妹と共に無双する〜
昼寝部
ファンタジー
2XXX年、X月。
俺、水瀬アキトは戦争の絶えない地球で『戦場の悪魔』と呼ばれ、数多の戦で活躍していた。
そんな日々を過ごしていた俺は、ひょんなことから妹と一緒に異世界へ転移することになった。
その世界にはダンジョンが存在しており、ライトノベルなどで登場する世界観と類似していた。
俺たちはその世界で過ごすため女神様からチートスキルを貰い、冒険者となって異世界での生活を満喫することにした。
これは主人公の水瀬アキトと妹のカナデが異世界へ転移し、美少女たちに囲まれながら異世界で無双するお話し。
『異世界ガチャでユニークスキル全部乗せ!? ポンコツ神と俺の無自覚最強スローライフ』
チャチャ
ファンタジー
> 仕事帰りにファンタジー小説を買った帰り道、不運にも事故死した38歳の男。
気がつくと、目の前には“ポンコツ”と噂される神様がいた——。
「君、うっかり死んじゃったから、異世界に転生させてあげるよ♪」
「スキル? ステータス? もちろんガチャで決めるから!」
最初はブチギレ寸前だったが、引いたスキルはなんと全部ユニーク!
本人は気づいていないが、【超幸運】の持ち主だった!
「冒険? 魔王? いや、俺は村でのんびり暮らしたいんだけど……」
そんな願いとは裏腹に、次々とトラブルに巻き込まれ、無自覚に“最強伝説”を打ち立てていく!
神様のミスで始まった異世界生活。目指すはスローライフ、されど周囲は大騒ぎ!
◆ガチャ転生×最強×スローライフ!
無自覚チートな元おっさんが、今日も異世界でのんびり無双中!
バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します
namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。
マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。
その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。
「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。
しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。
「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」
公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。
前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。
これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。
貞操逆転世界に転生したのに…男女比一対一って…
美鈴
ファンタジー
俺は隼 豊和(はやぶさ とよかず)。年齢は15歳。今年から高校生になるんだけど、何を隠そう俺には前世の記憶があるんだ。前世の記憶があるということは亡くなって生まれ変わったという事なんだろうけど、生まれ変わった世界はなんと貞操逆転世界だった。これはモテると喜んだのも束の間…その世界の男女比の差は全く無く、男性が優遇される世界ではなかった…寧ろ…。とにかく他にも色々とおかしい、そんな世界で俺にどうしろと!?また誰とも付き合えないのかっ!?そんなお話です…。
※カクヨム様にも投稿しております。内容は異なります。
※イラストはAI生成です
テンプレ最強勇者に転生したら魔女が妻になった
紡識かなめ
ファンタジー
七つの大陸、それぞれを支配する“七大魔女”──
魔力あふれる世界《アルセ=セフィリア》は、魔女たちによる統治と恐怖に覆われていた。
だが、その支配に終止符を打つべく、一人の男が立ち上がる。
名はルーク・アルヴェイン。伝説の勇者の血を引く名家の出身でありながら、前世はただの社畜。
高い魔力と最強の肉体、そして“魔女の核を斬ることのできる唯一の剣”を手に、彼は世界を平和にするという使命にすべてを捧げていた。
──しかし、最初に討伐した《闇の魔女・ミレイア》はこう言った。
「あなたの妻になります。魔女の掟ですから」
倒された魔女は魔力を失い、ただの美少女に。
しかもそのまま押しかけ同居!? 正妻宣言!? 風呂場に侵入!?
さらには王女や別の魔女まで現れて、なぜか勇者をめぐる恋のバトルロイヤルが始まってしまう!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる