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1章 冒険の幕開け

2話 ギルド加入

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ギルドを探してどれくらいの時間がたっただろう
最初は希望に満ち溢れていた正義だったが今ではげっそりとした顔で一人で街を彷徨っていた

「入れてくれるギルドがない……どうすればいいんだよー!確かに俺の格好は変だけどさ……」

そんなことを言いながらトボトボと途方に暮れて歩く正義
日も落ち始め街の所々に明かりが見え始めた
夕方の知らせだ
夜になればこの辺りも騒がしくなるだろう
冒険者の街となれば酒場が繁盛すると同時に人どうりも多くなる

「このまま野宿かよー!てかここ野宿する場所あるのか……」

「あのー君今ギルド加入で困ってませんか?」

突然後ろからかけられた女性の声に変な声が出てしまった

「わひゃい!あ、はい!困ってる!困ってる!チョー困ってる!」

その女性は黒髪ロングでクレアと同じくらい綺麗な顔立ちをしていた

(ヤバっ!可愛いな!やっぱり異世界の顔面偏差値たけぇー!)

「さっきからギルド加入をお願いしてるところを見て……」

「うげっ!恥ずかしいところを見られたな……」

「実は私達のギルドの人手が足りてなくて…良かったら入ってくれませんか?」

「本当ですか!入らせてください!いや!入ります!」

ようやく出来たチャンスを逃すわけにはいかないと必死にお願いする正義

「あ、私はミスティア・レイズです」

「俺はクロサキ・セイギだ!よろしく!」

セイギの名前を聞くと

「珍しい名前なんですね」

クレアにもそう言われたが
やはりこの世界ではこの名前は珍しいということがわかった
正義は早速ギルドホームに行こうとミスティアに言う

「では早速行きましょう!」

ミスティアに付いていきギルドホームまで案内される正義
どんなギルドだろうとワクワクしながら歩いていくうちに正義の顔は希望から絶望の顔に変わっていった

「あのーもしかしてここがギルドホームですか?」

「そうなんです……ちょっと金銭面が厳しくてギリギリの生活をしています」

正義が見た目の前にあるギルドホームはなんともいえない出来たばかりの小さな建物だった

(今まで見てきたギルドホームの中で一番ちっせぇ!)

「やっぱりダメですよね?こんなホームじゃ
みんな最初は勧誘を受けてくれるんですがこのホームと団長を見ると拒否されるんです」

「団長?ここの団長そんなに怖いの?」

正義は団長のことが気になり
ミスティアに問うた

「顔と体格が少し…でも本当は優しい人なんですけど」

ミスティアは悲しそうな顔をすると
正義に無理ですよね?とまた言ってくる
しかし正義はそんなことはどうでも良かった
今はギルドに加入することだけを考えていたからだ

「いいよ!加入する!ここのギルドに!」

正義がそう言うと
ミスティアは今日一番の笑顔で

「本当ですか!ありがとうございます!」

(この笑顔守りたい!)

かなり暗くなった街の中でこの笑顔は眩しすぎた

「団長ー!ギルドに加入してくれる人を連れてきましたー!」

そう言ってミスティアはギルドホームに入っていく
その後に続き正義もギルドホームに足を踏み入れた
ギルドホームの中は正義が予想していたとうりの内装で机があり壁に掲示板が貼られていてそこにメンバー表らしき紙が貼られていた
その紙を見ると

「えっ!このギルド二人しかいないの!?」

ギルドにメンバーが二人しかいないことに驚き
ミスティアの方を向く
ミスティアもバツが悪そうな顔をして

「そうなんです…」

(………可愛いから許す!)

「お?なんだ新しいギルド加入の奴か?」

声がする方向に顔を向けると奥から
そこにはいかにも団長!と言う格好をした
身長はおおよそ190くらい
体格はかなり大きい人物が出てきた
その人物が放つオーラは今でのギルドの団長よりも強力なものであった
その時正義は確信したであろう

(この人は強い!)

「ちっせぇやつだな…名はなんて言うんだ?」

「ちっ!ちっせぇってこれでも男子高校生の最近身長はあるんだけど……俺はクロサキ・セイギだ!よろしく!」

「珍しい名前だな…それに高校生っていうのはよくわからんが…俺の名はグラン・リュークだ」

鍛え上げられた強靭な肉体
それはまさに王者
なぜこんなちっぽけなギルドにいるのか不思議になるほどの威圧がある

(もしかしたらこの人見た目によらず弱いのかも…)

そんな考えが頭によぎるが
しかしその考えは瞬時に消えた

「それで…お前はこのギルドに加入したいんだったな…戦えないやつは必要ねぇんだけどな…覚悟はあるのか?」


その言葉で正義は背筋が凍った
鋭い目付きで正義の目を捉える
正義は改めて思った
やっぱりこの人は強いと

「覚悟はある!だからここのギルドに加入させてください!」

正義は深々と頭を下げる
その姿勢を見たグランは

「そうか…ミスティアこいつの冒険者カードを作ってやれ」

「わかりました!」

グランはミスティアに正義の冒険者カードを作るよう指示する
この時正義は初めて自分が認められたことを理解出来た

「明日からダンジョンに潜るがその格好じゃまともに戦えんだろう…それより攻撃を受けたら確実に死ぬな」

ハッハッハッと笑いサラッと怖いことを言うグラン

(笑い事じゃねぇよ!)

「あ!セイギさん!専用武器は何にしますか?」

ミスティアはそう言うと
武器の書かれた紙を渡された

「武器か……へぇ、専用武器を決めるのか」

「はい!その武器の熟練度を上げるとランクが上がり称号が付きます!」

ミスティア曰く
冒険者にはランクがありGからSというランクがあるという
ミスティアは今Eらしい
そのランクごとで強さが分かれギルドの総力も上がるという仕組みだ

「セイギさんは駆け出し冒険者という形でGランクからになりますね!」

一番低いランクだ
ここからSにたどり着くには
人一倍頑張らないといけないだろう

「セイギさんのステータスが出ました!力と俊敏が高めですね!それ以外は平均くらいです!」

ラグビーやっていたおかげか元々力が強いのかわからないが力が強いということはいいことだ
足も元々速めだったおかげか
正義は下の方に書いてある魔力という言葉を見た

「魔力って魔法とか使えんのか!?」

正義はキラキラした目でミスティアに迫る

「は、はい!習得すれば使えます!」

ミスティアも後ずさりながら答えた

「マジか……異世界サイコー!!あ、それと
武器は片手剣にするよ一番無難だし」

「わかりました!それでは更新します!団長!手をお願いします!」

「ん?あぁ、面倒クセェな」

団長はそう言いながら手の甲にある龍の紋章を近づけた
するとその紙から紅い龍の紋章が浮かび上がり

「これで完了です!セイギさん!私達のギルド紅龍の誓約こうりゅうのせいやくへようこそ!」

「せいぜい足を引っ張らないようにな」

「これからよろしくお願いします!」

こうして正義は無事ギルドへ加入することができた
部屋の掲示板にあるメンバー表から
クロサキ・セイギという名が一つ増えた
このとき正義にはSPスキルが出ていることをこの場にいる誰もが気づかなかった





クロサキ・セイギ

冒険者ランク  G
使用武器   片手剣
力               250  F
耐久           100  G
俊敏           200  F
体力           100  F
技術           100  F
魔力           100  F

総合力       850  G




SPスキル
神の加護(ゴッドブレス)
ピンチになればなるほど一時的に全能力が増す
瀕死状態に陥ると覚醒する

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