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【side超越者ショウ・ライトストークス】
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ショウは黄昏時に、居室のテラスから庭園を眺めていた。
魔神討伐を終えて、しばしの休息をとるために帝都にある自宅にショウは戻っていた。
昼間にエルフ族のメイドが植えていた、名も知らない青い花が夕日に当てられて紫色になっているさまを見ている。
ショウ・ライトストークスは元は人間だった。
もっと言えば、日本人だった。
しかし今の彼の姿は、標準的な日本人の姿とは言えない。
180センチ近くの身長と、白い肌。プラチナの髪に紫の瞳を持ち。この姿になってから、外見で人から羨まれたことはあっても卑下されたことなど皆無だ。
日本人だったころは隆一郎という普通の名前で、クラスメイトからは『昭和の名前だよね』とか言われていた普通の少年だった。
隆一郎ではなく、ちょっとカッコイイ名前が良かったと思っていたので。
よくゲームで遊ぶときに使う名前のショウ・ライトストークスをそのままこの世界で使っている。
ショウの住む、エングラノスト帝国は人間たちの国だ。
自我のある生命の、願いや夢が大きく干渉して形成されるこの世界、フランシアには神も英雄も魔王も実在する。人間と力を合わせて生きるエルフやドワーフなどや、それらと敵対する魔族や妖魔、魔獣も多く生息している。
そんな混沌の大地で、エングラノスト帝国は人類とその同盟者たちが力を合わせて築いた帝国とされている。
ショウはこの帝国に住み始めて半年程度だが。
日本でぼんやりと生きていたころより充実した日々だった。
神から転移の誘いを受けて、隆一郎はエングラノストに英雄として召喚された。
神から与えられた能力で、英雄である超越者は不滅の肉体を持ち、死して倒れても復活可能。
驚異的な身体能力や膨大な魔力を持つ超越者は、この世界フランシアの旧支配者である魔族の脅威に怯える人間たちの希望。
人間の力を超越した存在だった。
そして魔神やその配下の悪魔たち。
とくに強大な魔神は魔王や邪神と呼ばれ、多くの魔神や妖魔・魔獣を従えている。
その力は神々にも匹敵し、場合によっては凌駕する。
そんな存在に対抗しうるのは、ショウのような不滅の英雄なのだ。
(嫌な魔神だった……)
ショウは仲間たちと力を合わせて打ち倒した魔神将の言葉を思い出す。
『超越者たちよ……。あるべき場所に戻り、その命を燃やせ……』
(もどれるかよ……いまさら)
ショウにとっては、エングラノストの日常がいまの現実で幸せであり、生き甲斐だった。
(俺は世界を守るために戦う。俺はこの世界の人類に必要とされている。そのためのチート能力だ)
この世界に召喚される前の、神の言葉も思い出す。
『今の生活を捨て、夢の領域で人生やり直してみませんか? 貴方を必要としている世界があるのです……助けて欲ください!』
腰の低い、神々しくも可憐な天使のような女神から泣きつかれては仕方名が無い。
糞みたいな隆一郎の現実を捨てて、新しい現実にシフトしたのだ。
ショウの仲間である他の英雄たちも、だいたいそんな感じの誘いを神から受け。
そしてこの世界、フランシアに旅立ってきたのだ。
(俺たちは、戦い続ける)
ショウは魔神の言葉を打ち払い、つぎの戦いへ思いをめぐらした。
魔神討伐を終えて、しばしの休息をとるために帝都にある自宅にショウは戻っていた。
昼間にエルフ族のメイドが植えていた、名も知らない青い花が夕日に当てられて紫色になっているさまを見ている。
ショウ・ライトストークスは元は人間だった。
もっと言えば、日本人だった。
しかし今の彼の姿は、標準的な日本人の姿とは言えない。
180センチ近くの身長と、白い肌。プラチナの髪に紫の瞳を持ち。この姿になってから、外見で人から羨まれたことはあっても卑下されたことなど皆無だ。
日本人だったころは隆一郎という普通の名前で、クラスメイトからは『昭和の名前だよね』とか言われていた普通の少年だった。
隆一郎ではなく、ちょっとカッコイイ名前が良かったと思っていたので。
よくゲームで遊ぶときに使う名前のショウ・ライトストークスをそのままこの世界で使っている。
ショウの住む、エングラノスト帝国は人間たちの国だ。
自我のある生命の、願いや夢が大きく干渉して形成されるこの世界、フランシアには神も英雄も魔王も実在する。人間と力を合わせて生きるエルフやドワーフなどや、それらと敵対する魔族や妖魔、魔獣も多く生息している。
そんな混沌の大地で、エングラノスト帝国は人類とその同盟者たちが力を合わせて築いた帝国とされている。
ショウはこの帝国に住み始めて半年程度だが。
日本でぼんやりと生きていたころより充実した日々だった。
神から転移の誘いを受けて、隆一郎はエングラノストに英雄として召喚された。
神から与えられた能力で、英雄である超越者は不滅の肉体を持ち、死して倒れても復活可能。
驚異的な身体能力や膨大な魔力を持つ超越者は、この世界フランシアの旧支配者である魔族の脅威に怯える人間たちの希望。
人間の力を超越した存在だった。
そして魔神やその配下の悪魔たち。
とくに強大な魔神は魔王や邪神と呼ばれ、多くの魔神や妖魔・魔獣を従えている。
その力は神々にも匹敵し、場合によっては凌駕する。
そんな存在に対抗しうるのは、ショウのような不滅の英雄なのだ。
(嫌な魔神だった……)
ショウは仲間たちと力を合わせて打ち倒した魔神将の言葉を思い出す。
『超越者たちよ……。あるべき場所に戻り、その命を燃やせ……』
(もどれるかよ……いまさら)
ショウにとっては、エングラノストの日常がいまの現実で幸せであり、生き甲斐だった。
(俺は世界を守るために戦う。俺はこの世界の人類に必要とされている。そのためのチート能力だ)
この世界に召喚される前の、神の言葉も思い出す。
『今の生活を捨て、夢の領域で人生やり直してみませんか? 貴方を必要としている世界があるのです……助けて欲ください!』
腰の低い、神々しくも可憐な天使のような女神から泣きつかれては仕方名が無い。
糞みたいな隆一郎の現実を捨てて、新しい現実にシフトしたのだ。
ショウの仲間である他の英雄たちも、だいたいそんな感じの誘いを神から受け。
そしてこの世界、フランシアに旅立ってきたのだ。
(俺たちは、戦い続ける)
ショウは魔神の言葉を打ち払い、つぎの戦いへ思いをめぐらした。
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