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リア充のフリをしていた者ですがほんとの友は本だけです
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どういうことかと首をかしげる小田桐先輩に、日比木先輩は先ほどの私との会話内容を詳しく説明し始めた。
「同じ部員として情報共有しておかないとな」
とか言いながら。意味がわからない。
私のバカバカ! こんな悪魔のような人だと知ってたら、あんなにペラペラとプライベートな事情を話したりなんかしなかったのに!
はー、どこかのエクソシスト様。どうかこの目の前の悪魔を粛正してください。
日比木先輩って私の話も聞いてくれるし、励ましたりしてくれて結構いい人かも……なんてちらっと思ったけど勘違いだったみたいだ。私のぼっち事情に関するデリケートな話題を速攻で小田桐先輩にバラしてしまうだなんて。もしかして、さっきはぼっちに対する野次馬根性で相手してくれてただけなのかな……
でも、私にいじめられてるのかと尋ねてきた時のあの顔は真剣に見えたんだけどな。
話し込む二人の声が耳に入ってこないように、私はもくもくとお弁当を消費する事に専念していた。
話を聞き終えた小田桐先輩は腕組みする。
「だいたいの事情はわかった。でも、今の話を聞いて不思議に思った事があるんだけど……今までお昼に食べられなかったお弁当はどうしてたの? 手付かずで持ち帰ったら家族に怪しまれるでしょ? まさかどこかで処分してたとか?」
「さすがにそれは毎日作ってくれる母に申し訳ないので……帰宅してから自室でこっそり完食してました」
「え? でも、時間的にその後すぐに夕食だよね……?」
「それも頑張って完食してます。おかげで胃もたれ率が非常に高いです」
「うわ、そこまでするかよ」
日比木先輩が呆れたように呟く。ちょっと引いているようにも見えるのは気のせいだろうか。
「だって、家族に心配かけたくないし……」
私は家族の前では充実した学校生活を送る女子高生を演じてるのだ。いわゆるリア充だ。でも本当の私はリア充なんかじゃない。エアリア充だ。
俯く私の頭上から、小田桐先輩の声が降ってきた。
「そういう事ならさ、明日からここでお弁当食べない? 僕らと一緒に。お昼抜きじゃ午後の授業は辛いだろ?」
「ほ、ほんとに!? いいんですか!?」
あなたが神か!
「ちょっと待て。それって俺も一緒にって事か?」
不審気な声を上げる日比木先輩を、小田桐先輩は制する。
「もしかすると森夜さんはランチメイト症候群なのかもしれない」
「ランチメイト症候群……?」
聞きなれない単語をオウムみたいに繰り返す私に、小田桐先輩は説明してくれる。
「うーん、簡単に言えば、ひとりで食事をする事に対して不安を感じるっていう現象かな。一緒に食事をする友人がいないという事は、自分に魅力が無いからじゃないか。更にはひとりで食事をする自分の姿をみんなに見られたりなんかすれば、みんなは自分の事を、一緒に食事する友人もいないような魅力の無い人間だと思うんじゃないか……っていう心理が働いたりする事」
あ、当たってる……
ぼっちだと知られたくないから、教室でひとりでお弁当を食べられないし、ぼっちだと悟られないために誰にも見られないよう図書館に逃げたりする。まさに先輩の言うとおりだ。
「それに僕は思うんだ。君のあの独特な短歌は、色々な経験を積んで、それを取り入れる事で更に上の段階に進めるかもしれないって。友達とお弁当を食べるのが憧れだったんでしょ? だったらそれを叶える為にここで僕たちと一緒に食べようよ。あ、それとも、僕たちじゃ友達には不十分かな……? 友達と呼ぶにはまだ日が浅いとか」
「そ、そんな事ないです! ぜひお願いします! ていうか、友達になってくれるんですか!? 地味ぼっちで、なんの取り柄もない私なんかと!?」
信じられない! 入学して以来ずっとぼっちだった私に、ついに友達と呼べる存在ができたのだ! 奇跡だ。奇跡みたいなミラクルだ!
「あんまり自分を卑下したらだめだよ。君は何の魅力もない人間なんかじゃない。面白い短歌も作れるし。それを発展させないのは惜しい……なんて言い方すると、短歌目当てに聞こえちゃうかもしれないけど……でも、同じものに興味を持つ人間と仲良くなりたいって思うのは普通だろ? なあ、日比木?」
小田桐先輩ってすごく良い人だな……イケメンというのは、きっとこういう人の事なんだろう。
話を振られた日比木先輩は何故だか居心地悪そうに頭をかく。
「うーん……俺はどっちかっていうと逆の考えなんだよな」
「逆って?」
小田桐先輩の問いを受けて、日比木先輩は私を指差す。
「今現在のこいつの状況があの短歌を成立させてるんじゃないかって。例えば、人気の推理小説家だって、実際は殺人みたいな犯罪を犯した経験なんて無いはずだろ? それでも魅力的な作品が書ける。こいつもそれと似たようなもんで、おしゃれやら友達だとか未知のものに対する想像や憧れみたいなのがこいつの中で溢れかえって、あの短歌の威力を増幅させてるって思うわけ」
「威力」とはどういう意味だろう。そこは「魅力」じゃないのか……
「ええと、それって、わたしはこれからも地味ぼっちでいるべきって事ですか? 短歌のために?」
「そこまで言ってねえよ。あくまで俺の持論であり、行動とは別。小田桐の説が正しい可能性だってあるしな。だからお前がそうしたいってんなら昼メシは一緒に食ってやる。感謝しろ。その代わりに面白い短歌作れよ。あと、その弁当の唐揚げ一つ食わせろ」
日比木先輩に唐揚げを分けている間に、小田桐先輩がおずおずと切り出してきた。
「とそろでさ、さっきの話に出てきたシュシュって何?」
その言葉に私と日比木先輩の視線が集中する。
「え、小田桐、まさかお前、シュシュ知らねえの? ちょっと昔に流行っただろ。クラスの女子も髪とか手首につけてた、あのひらひらしたやつ」
「ああ、あれがシュシュっていうのか! 僕はてっきりちりめんのアクセサリーでも流行ってるのかなと……」
ちりめんって……小田桐先輩って、おしゃれ情勢にあんまり詳しくないみたいだ。きっちりした制服の着こなしや、校則に違反しない髪型も、それに関係あるのかな。
でも、まあ、先輩には、そんな欠点は些細な事だろう。なんといっても精神的イケメンという超絶アドバンテージがあるのだから。
「同じ部員として情報共有しておかないとな」
とか言いながら。意味がわからない。
私のバカバカ! こんな悪魔のような人だと知ってたら、あんなにペラペラとプライベートな事情を話したりなんかしなかったのに!
はー、どこかのエクソシスト様。どうかこの目の前の悪魔を粛正してください。
日比木先輩って私の話も聞いてくれるし、励ましたりしてくれて結構いい人かも……なんてちらっと思ったけど勘違いだったみたいだ。私のぼっち事情に関するデリケートな話題を速攻で小田桐先輩にバラしてしまうだなんて。もしかして、さっきはぼっちに対する野次馬根性で相手してくれてただけなのかな……
でも、私にいじめられてるのかと尋ねてきた時のあの顔は真剣に見えたんだけどな。
話し込む二人の声が耳に入ってこないように、私はもくもくとお弁当を消費する事に専念していた。
話を聞き終えた小田桐先輩は腕組みする。
「だいたいの事情はわかった。でも、今の話を聞いて不思議に思った事があるんだけど……今までお昼に食べられなかったお弁当はどうしてたの? 手付かずで持ち帰ったら家族に怪しまれるでしょ? まさかどこかで処分してたとか?」
「さすがにそれは毎日作ってくれる母に申し訳ないので……帰宅してから自室でこっそり完食してました」
「え? でも、時間的にその後すぐに夕食だよね……?」
「それも頑張って完食してます。おかげで胃もたれ率が非常に高いです」
「うわ、そこまでするかよ」
日比木先輩が呆れたように呟く。ちょっと引いているようにも見えるのは気のせいだろうか。
「だって、家族に心配かけたくないし……」
私は家族の前では充実した学校生活を送る女子高生を演じてるのだ。いわゆるリア充だ。でも本当の私はリア充なんかじゃない。エアリア充だ。
俯く私の頭上から、小田桐先輩の声が降ってきた。
「そういう事ならさ、明日からここでお弁当食べない? 僕らと一緒に。お昼抜きじゃ午後の授業は辛いだろ?」
「ほ、ほんとに!? いいんですか!?」
あなたが神か!
「ちょっと待て。それって俺も一緒にって事か?」
不審気な声を上げる日比木先輩を、小田桐先輩は制する。
「もしかすると森夜さんはランチメイト症候群なのかもしれない」
「ランチメイト症候群……?」
聞きなれない単語をオウムみたいに繰り返す私に、小田桐先輩は説明してくれる。
「うーん、簡単に言えば、ひとりで食事をする事に対して不安を感じるっていう現象かな。一緒に食事をする友人がいないという事は、自分に魅力が無いからじゃないか。更にはひとりで食事をする自分の姿をみんなに見られたりなんかすれば、みんなは自分の事を、一緒に食事する友人もいないような魅力の無い人間だと思うんじゃないか……っていう心理が働いたりする事」
あ、当たってる……
ぼっちだと知られたくないから、教室でひとりでお弁当を食べられないし、ぼっちだと悟られないために誰にも見られないよう図書館に逃げたりする。まさに先輩の言うとおりだ。
「それに僕は思うんだ。君のあの独特な短歌は、色々な経験を積んで、それを取り入れる事で更に上の段階に進めるかもしれないって。友達とお弁当を食べるのが憧れだったんでしょ? だったらそれを叶える為にここで僕たちと一緒に食べようよ。あ、それとも、僕たちじゃ友達には不十分かな……? 友達と呼ぶにはまだ日が浅いとか」
「そ、そんな事ないです! ぜひお願いします! ていうか、友達になってくれるんですか!? 地味ぼっちで、なんの取り柄もない私なんかと!?」
信じられない! 入学して以来ずっとぼっちだった私に、ついに友達と呼べる存在ができたのだ! 奇跡だ。奇跡みたいなミラクルだ!
「あんまり自分を卑下したらだめだよ。君は何の魅力もない人間なんかじゃない。面白い短歌も作れるし。それを発展させないのは惜しい……なんて言い方すると、短歌目当てに聞こえちゃうかもしれないけど……でも、同じものに興味を持つ人間と仲良くなりたいって思うのは普通だろ? なあ、日比木?」
小田桐先輩ってすごく良い人だな……イケメンというのは、きっとこういう人の事なんだろう。
話を振られた日比木先輩は何故だか居心地悪そうに頭をかく。
「うーん……俺はどっちかっていうと逆の考えなんだよな」
「逆って?」
小田桐先輩の問いを受けて、日比木先輩は私を指差す。
「今現在のこいつの状況があの短歌を成立させてるんじゃないかって。例えば、人気の推理小説家だって、実際は殺人みたいな犯罪を犯した経験なんて無いはずだろ? それでも魅力的な作品が書ける。こいつもそれと似たようなもんで、おしゃれやら友達だとか未知のものに対する想像や憧れみたいなのがこいつの中で溢れかえって、あの短歌の威力を増幅させてるって思うわけ」
「威力」とはどういう意味だろう。そこは「魅力」じゃないのか……
「ええと、それって、わたしはこれからも地味ぼっちでいるべきって事ですか? 短歌のために?」
「そこまで言ってねえよ。あくまで俺の持論であり、行動とは別。小田桐の説が正しい可能性だってあるしな。だからお前がそうしたいってんなら昼メシは一緒に食ってやる。感謝しろ。その代わりに面白い短歌作れよ。あと、その弁当の唐揚げ一つ食わせろ」
日比木先輩に唐揚げを分けている間に、小田桐先輩がおずおずと切り出してきた。
「とそろでさ、さっきの話に出てきたシュシュって何?」
その言葉に私と日比木先輩の視線が集中する。
「え、小田桐、まさかお前、シュシュ知らねえの? ちょっと昔に流行っただろ。クラスの女子も髪とか手首につけてた、あのひらひらしたやつ」
「ああ、あれがシュシュっていうのか! 僕はてっきりちりめんのアクセサリーでも流行ってるのかなと……」
ちりめんって……小田桐先輩って、おしゃれ情勢にあんまり詳しくないみたいだ。きっちりした制服の着こなしや、校則に違反しない髪型も、それに関係あるのかな。
でも、まあ、先輩には、そんな欠点は些細な事だろう。なんといっても精神的イケメンという超絶アドバンテージがあるのだから。
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