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第1章 乗っ取られた分身を取り戻せ!
7.ライカの話
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マリクはライカを探して、単身、山に入った。
リードの話によると、温泉宿から逃げ出したライカは近隣の山に逃げ込んだようだ。
山道を進むうちに、その話は裏付けられた。
ところどころに、魔力の痕跡が残されていた。
幻術だ。
本来2つの分かれ道が3つになっていたり、フェイクが出来ていた。
空間を歪めてつくられていて、行き止まり、もしくわ、遠回りさせる道になっていた。
ライカがリードを撒くために施していったものだと推測された。
だが、悪質な罠は施されていなかった。
リード以外の旅人が通った時のことも考えられて作られている。
それに、敵視しているリードに危害を加えるつもりもないことも読み取れる。
『悪い子ではなさそうだ』
マリクは魔力の痕跡を辿ってライカを追跡した。
ある分かれ道に差し掛かる。
どちらの道も細工されていない。
どちらも山を下り、町へ続く道だ。
しかし、道を外れると獣道があった。
マリクがその道を登っていくと、小川に行きついた。
そして、その小川を遡ると、滝にたどり着いた。
「誰!!」
鈴のような声が響いた。
ピンクのワンピースを着た金髪美少女が杖を構えて、木の陰から出てきた。
尋ね人のライカだ。
見惚れてしまう美少女だが、今回はしっかりと魔術師として見る。
『リードさんの言うことは本当だった‥‥』
生霊に分身を乗っ取られたと、リードは言っていた。
嘘をつているとは思っていなかったが、半信半疑だった。
しかし、実際にライカをよく見てみると、人として不自然だった。
体の輪郭に若干の歪みが見える。
恐らくリードが分身を乗っ取られまいと術を解いたのだろう。
霧散する分身の体を、ライカは自らの魔力で拘束して保っているのだ。
『全く、僕もまだまだ修行が足りないな…』
マリクは反省した。
魔術師なのに見抜けなかった。
「あなた!温泉宿での‥‥!!」
ライカがマリクに気付いた。
見てしまった裸体を思い出し、マリクは思わず頭を振る。
「先日はその、失礼しました…」
「‥‥・着物…ありがとう…助かったわ‥‥」
「いえ、どういたしまして‥‥」
ライカはオズオズと礼を言い、マリクもそれにこたえる。
「なぜ、ここにいるの?」
打って変わって、ライカは警戒心剥きだしで聞いてきた。
マリクが魔力の痕跡を辿って、追ってきたことに気付いたのだ。
「そんなに警戒しないでください。リードさんから話を聞きました」
「あなた、あの女の仲間なの!」
「いえ、違います。僕はあなたとリードさんの仲を取り持つために来ました」
「仲を取り持つ?」
「ええ、あなたの話も聞かせてもらえませんか?」
「私の話?」
「あなたにも止むにやまれぬ事情があるのでしょう?僕はあなたが悪い人間には思えない、話してもらえませんか?」
ライカはマリクを睨んだまましばらく黙ったていた。
マリクは根気よく待った。
「‥‥・あの子には、悪いことをしていると思っているわ…」
リードに対する謝罪の言葉がポロリと出た。
マリクは安堵の表情を浮かべた。
「あの子が許してくれるのなら、このままこの体を借りてしたいことがあるの」
「したいこととは?」
「それは‥‥はっきりとは言えないけど、急ぎなの」
「そのために、リードさんの分身の体を無断で借りた、ということなんですね?」
「ええ、そうよ…」
話した後、ライカはマリクの表情を伺っている。
半信半疑のようだ。
マリクが魔術師であることも警戒されている一因のようだ。
リードに雇われて、自分を退治させにきたのではと思っているのかもしれない。
「安心してください。僕がリードさんに今聞いたことを話してきますから」
マリクは笑顔を作って言った。
「…本当に?」
「ええ、僕がリードさんを説得してきます。根はいい人ですから、きっとわかってくれますよ。だから、ここで、待っててください」
ライカは一考してから答える。
「わかったわ。明日の昼まで待つわ…それ以上は待てない」
「わかりました。では、行ってきます」
マリクが立ち去ろうとしたとき、声が響いた。
『その必要はない!』
リードの声だ。
マリクは慌ててライカを振り返ると、表情を強張らせていた。
せっかく解いた警戒心が復活してしまった。
高い木の上に人影が現れた。
リードは木を伝って、マリクの後をつけてきたようだ。
「今ここで話そう」
飛び降りてきたリードはマリクとライカの前に立って言った。
リードの話によると、温泉宿から逃げ出したライカは近隣の山に逃げ込んだようだ。
山道を進むうちに、その話は裏付けられた。
ところどころに、魔力の痕跡が残されていた。
幻術だ。
本来2つの分かれ道が3つになっていたり、フェイクが出来ていた。
空間を歪めてつくられていて、行き止まり、もしくわ、遠回りさせる道になっていた。
ライカがリードを撒くために施していったものだと推測された。
だが、悪質な罠は施されていなかった。
リード以外の旅人が通った時のことも考えられて作られている。
それに、敵視しているリードに危害を加えるつもりもないことも読み取れる。
『悪い子ではなさそうだ』
マリクは魔力の痕跡を辿ってライカを追跡した。
ある分かれ道に差し掛かる。
どちらの道も細工されていない。
どちらも山を下り、町へ続く道だ。
しかし、道を外れると獣道があった。
マリクがその道を登っていくと、小川に行きついた。
そして、その小川を遡ると、滝にたどり着いた。
「誰!!」
鈴のような声が響いた。
ピンクのワンピースを着た金髪美少女が杖を構えて、木の陰から出てきた。
尋ね人のライカだ。
見惚れてしまう美少女だが、今回はしっかりと魔術師として見る。
『リードさんの言うことは本当だった‥‥』
生霊に分身を乗っ取られたと、リードは言っていた。
嘘をつているとは思っていなかったが、半信半疑だった。
しかし、実際にライカをよく見てみると、人として不自然だった。
体の輪郭に若干の歪みが見える。
恐らくリードが分身を乗っ取られまいと術を解いたのだろう。
霧散する分身の体を、ライカは自らの魔力で拘束して保っているのだ。
『全く、僕もまだまだ修行が足りないな…』
マリクは反省した。
魔術師なのに見抜けなかった。
「あなた!温泉宿での‥‥!!」
ライカがマリクに気付いた。
見てしまった裸体を思い出し、マリクは思わず頭を振る。
「先日はその、失礼しました…」
「‥‥・着物…ありがとう…助かったわ‥‥」
「いえ、どういたしまして‥‥」
ライカはオズオズと礼を言い、マリクもそれにこたえる。
「なぜ、ここにいるの?」
打って変わって、ライカは警戒心剥きだしで聞いてきた。
マリクが魔力の痕跡を辿って、追ってきたことに気付いたのだ。
「そんなに警戒しないでください。リードさんから話を聞きました」
「あなた、あの女の仲間なの!」
「いえ、違います。僕はあなたとリードさんの仲を取り持つために来ました」
「仲を取り持つ?」
「ええ、あなたの話も聞かせてもらえませんか?」
「私の話?」
「あなたにも止むにやまれぬ事情があるのでしょう?僕はあなたが悪い人間には思えない、話してもらえませんか?」
ライカはマリクを睨んだまましばらく黙ったていた。
マリクは根気よく待った。
「‥‥・あの子には、悪いことをしていると思っているわ…」
リードに対する謝罪の言葉がポロリと出た。
マリクは安堵の表情を浮かべた。
「あの子が許してくれるのなら、このままこの体を借りてしたいことがあるの」
「したいこととは?」
「それは‥‥はっきりとは言えないけど、急ぎなの」
「そのために、リードさんの分身の体を無断で借りた、ということなんですね?」
「ええ、そうよ…」
話した後、ライカはマリクの表情を伺っている。
半信半疑のようだ。
マリクが魔術師であることも警戒されている一因のようだ。
リードに雇われて、自分を退治させにきたのではと思っているのかもしれない。
「安心してください。僕がリードさんに今聞いたことを話してきますから」
マリクは笑顔を作って言った。
「…本当に?」
「ええ、僕がリードさんを説得してきます。根はいい人ですから、きっとわかってくれますよ。だから、ここで、待っててください」
ライカは一考してから答える。
「わかったわ。明日の昼まで待つわ…それ以上は待てない」
「わかりました。では、行ってきます」
マリクが立ち去ろうとしたとき、声が響いた。
『その必要はない!』
リードの声だ。
マリクは慌ててライカを振り返ると、表情を強張らせていた。
せっかく解いた警戒心が復活してしまった。
高い木の上に人影が現れた。
リードは木を伝って、マリクの後をつけてきたようだ。
「今ここで話そう」
飛び降りてきたリードはマリクとライカの前に立って言った。
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