可哀想は可愛いー不憫な浅井君

浅草A太朗

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兄編

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我が家、浅井家には宝がある。
それは弟の悠介だ。

そう俺は自覚を持ったブラコンである。
歳の離れた弟が可愛くて可愛くて仕方がない。
3年前、俺は大学卒業後就職に失敗し酷い荒れ様だった。
半ば引きこもりと化し、心配する両親の声にも怒鳴り返すだけ。
多感な時期の弟に取っては非常にストレスフルな環境だったろう。

にも関わらずだ。
遅い成長期で悩んでいた弟は自分の悩みを放り
学校から帰ってきては俺に寄り添ってくれたのだ。
家系なのかその頃180cm近くあった俺にまだ160cmにも満たない弟が
今日は学校でこんな事があった。
友人がどうだ。そんな話をしてくるのだ。

最初は布団に篭って寝たふりをしていた。
邪険にあしらい怒鳴って部屋から追い出したりもした。

それでも悠介は毎日、にーちゃん。にーちゃん。
と必ず俺のところにくるのだ。
1日の報告であったり、勉強を教えて欲しいだったり手を変え品を変え
何とか俺を日常に引き止めようとしてくれていた。
両親は共働きであり、2人とも忙しい事も相まって
それなりに気にはかけてくれていたが
弟ほど必死ではなかったと、そう、思う。


変化が起き始めたのはその年の夏だった。
ちょうど今頃だろうか。
体の痛みをよく訴えるようになり、声は掠れて咳き込むことも多くなった。
ようやく成長期が来たのだ。
嬉しそうに笑顔を向けてくれた時、胸の奥の何かが弾けた。

そしてその何かがわかってしまう時が来た。
朝早くにトイレで起きた時、泣きそうになりながら
赤い顔で下半身を丸出しにしてパンツを洗っている悠介の姿があった。

力なくぶら下がった性器はぬるりと朝の光でテラテラと光り
もじもじと落ち着かなさそうに太腿を擦り合わせる。
恥ずかしさからか艶っぽいため息を吐きながら
涙目で下着を濯ぐ姿。

未だに目に焼き付いて離れない。
何故ならその時、俺の股間はしっかりと勃ち上がり
反応してしまったいたのだ。
実の弟にである。
あの胸の高鳴りは、決して叶うことはない、
あってはならない禁忌の恋に落ちる音だったのだ。

気づかれぬようにそっと目的通りにトイレへ向かい
そこで手早く抜いたが、浮かぶのは今まで当たり前に見ていた筈の弟の姿。
それら全てが淫靡な物へと変化してしまったのだ。

7歳も離れていれば必然と世話をすることも多かった。
小学生中学年まで毎日なるべく一緒に風呂に入った事。
それすらもおかずになって、記憶を汚していく背徳感にさらに興奮してしまった。


それから必死で就職活動をし始めた。
これ以上この想いを募らせてはいけないから。
そんな俺の姿に両親は大喜びし、良かったと涙ながらに抱きつかれた。
仕事で構ってあげられなくてごめんねと母が何度も謝り、未だに身長を越すことの出来ない父に
思い切り抱きしめられ頭を撫でられた。

そこで嬉しさと申し訳なさに号泣してしまった。

これだけ愛してくれている事への感謝。
迷惑をかけてしまった事への悔恨。
そして、就職活動を決めた不純な動機の後ろめたさ。

少し身長の伸びた悠介は、少し幼さの抜けた顔で
それでも子供のように嬉しそうにはにかんでいた。
そこはかとなく大人の色香の滲む微笑みにドギマギしてしまった。

求職活動を始めてもやはりなかなか仕事は見つからなかったが、ふと悠介と生活の被らない仕事を探せば
体力仕事ではあったがいくつか募集があり、無事警備会社に就職する事ができた。

それからは若いやつが夜勤という伝統的な流れで
日中に顔を合わすこともなく生活して
段々と気持ちも薄れた、そう思っていた。
そう思っていたのに。


何故こんな姿を俺に見せるんだ?
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