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ノアの独り言
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***ちょこっと人物紹介***
〖アリー(アリア)〗
元アリドゥラムの王妃。父はリュムレアムの王。
〖ノア〗
アリアを王宮から連れ出した人物。元アリアの、護衛兼監視役だった人。
〖クロヴィス〗
リュムレアムの王で、アリアの父。
〖アルロ〗
今は亡きアリアの兄ディランの元側近。
〖シン〗
アリアの初恋の人。
〖ウィレム〗
アリドゥラムの王。アリアの元夫。
〖レイラ〗
現アリドゥラムの王妃。
*・*゜°*・*・゜°⋅・**・*゜⋅°**・º⋅*
「駆け落ちだとっっっ!? そんな馬鹿な話はないっっ!!」
リュムレアムの王城の一室で怒号が響いた。
騒ぎに気付いたアルロが急いで駆け付けると、部屋の前では使用人達がオロオロとしている。
「どうした?」
「それが、お手紙を読まれていると突然・・・」
「手紙? ・・分かった、とにかく気を静める茶を持ってこい。」
部屋の中では声の主、国王陛下クロヴィスが、その手に開いた手紙を握ったまま怒りで震えていた。アルロは今にも怒りで倒れてしまいそうなクロヴィスを落ち着かせつつ、その破れそうな手紙にそっと目をやった。
アリドゥラムから届いたばかりの手紙だ。
「まさか・・・」
思わず出た呟きをクロヴィスは聞き逃さなかった。
「・・・お前もそう思うか?」
「も、勿論ですっ。姫様が駆け落ちなど、とても信じられません。」
アルロの脳裏には無邪気に笑うアリアの顔が甦った。微かに膨らみつつあった恋心は自覚するよりも先に殿下に気付かれてしまい、顔を見ることも出来なくなった・・・。
「アルロ、アリアの事を知っているお前が適任だろう、真相を調べてこい。だが誰にも知られるな。手紙には口外しない代わりに口を出すなと書いてある。掘り返して噂でも流れれば恥だけでは済まされない。」
「まさか殺されたなんて事は」
「その可能性もあるだろうな。とにかく真実が知りたい。アリアが儂を裏切るなど・・」
言いかけたクロヴィスの身体が、ぐらりと傾いた。
「 っっ陛下っ! おい誰か、寝室へお連れしろ。」
***その数日前、ノアの独り言***
真っ直ぐに伸びた背筋、しっかりと意思を持った眼差し、凹凸の曲線美が見事な体つき。
初めて見たその立ち姿は指の先まで美しく、小柄ながらも、いかにも王妃殿下だ と思った。
俺はこの人の、護衛 という名の監視役を勤めることになった。初めの内は機嫌を損ねないように、と緊張していたのだが・・・。
王妃殿下は第一印象とは随分とかけはなれた人だった。勝手に荷物を開けて気絶し、手掴みでお菓子を食べ、恥ずかしげ気もなく素足を晒す。
そんな王妃殿下から少しずつ目が離せなくなり、ふとあることに気がついた。それは彼女の目線の先にいつもシンさんがいる、ということだ。それと同時に、自分自身にも驚いた。
監視役として命じられた内容は、外部と連絡を取るかどうかを見張ること。つまり見張るのは行動のみで、目線の先まで追う必要は無いのだ。それなのに俺は、目線の先が気になって仕方がなかった。
あの時、まずいな と思ったんだった。
馬に揺られながら、そんな事を思い返していた。今まで見守るだけしか出来なかったその存在は手の届くところまで降りてきた。別にこの人とどうにかなりたいなんて思っちゃいない。そこまでは望んでいないが傍にいるくらいは・・触れるくらいは許されるだろうか。
今この瞬間、彼女にとって頼れる人間は俺1人だ。支配欲とでも言うのだろうか、気分は高揚し身体中はうずうずしている。
多くは望まないと思いつつも、ふと、腕の中にすっぽりと収まるこの人を、このままきつく抱き締めたらと想像してしまった。服越しに伝わる体温や、漂ってくる甘い香りでだけで理性が崩れてしまいそうだ。
気持ちを沈めようと深く深呼吸をすると、より深いところまで甘い香りで満たされてしまった。くそ、逆効果だ。もっと違う事を考えよう・・・。うん、とにかく無事に連れ出せて良かった。そうだ、よしよし、気が逸れてきた。それにしても、一か八かで陛下に頼み込んで正解だったな。自分の度胸に今更ながら感服する。
アリーは陛下にとって まさに目の上のたんこぶで、存在する以上は無視する事も出来ず、理由もなく排除する事も出来ずで手をこまねいていた。メリッサだとかいう侍女の、信憑性の薄い証言に便乗しようとしていた程だ。
「王妃の駆け落ち」という発想は実際のところは俺の願望だったのだが、陛下からしても、とても利に叶っていた。お陰で隣国を黙らせる事が出来るし、堂々と再婚だって出来るというわけだ。機密事項として取り扱われるから間違ってもアリーの耳に入る事もないだろう。そう、この取引で1つだけ俺が恐れているのは陛下とのこのやり取りがアリーに知られることだ。色々と便宜を図ってもらっている分、まるで俺が陛下の手先の様に思われるだろうから。
油断するとまたアリーの温もりを意識してしまい、せめて会話でもして気をそらさないと、と焦った。
〖アリー(アリア)〗
元アリドゥラムの王妃。父はリュムレアムの王。
〖ノア〗
アリアを王宮から連れ出した人物。元アリアの、護衛兼監視役だった人。
〖クロヴィス〗
リュムレアムの王で、アリアの父。
〖アルロ〗
今は亡きアリアの兄ディランの元側近。
〖シン〗
アリアの初恋の人。
〖ウィレム〗
アリドゥラムの王。アリアの元夫。
〖レイラ〗
現アリドゥラムの王妃。
*・*゜°*・*・゜°⋅・**・*゜⋅°**・º⋅*
「駆け落ちだとっっっ!? そんな馬鹿な話はないっっ!!」
リュムレアムの王城の一室で怒号が響いた。
騒ぎに気付いたアルロが急いで駆け付けると、部屋の前では使用人達がオロオロとしている。
「どうした?」
「それが、お手紙を読まれていると突然・・・」
「手紙? ・・分かった、とにかく気を静める茶を持ってこい。」
部屋の中では声の主、国王陛下クロヴィスが、その手に開いた手紙を握ったまま怒りで震えていた。アルロは今にも怒りで倒れてしまいそうなクロヴィスを落ち着かせつつ、その破れそうな手紙にそっと目をやった。
アリドゥラムから届いたばかりの手紙だ。
「まさか・・・」
思わず出た呟きをクロヴィスは聞き逃さなかった。
「・・・お前もそう思うか?」
「も、勿論ですっ。姫様が駆け落ちなど、とても信じられません。」
アルロの脳裏には無邪気に笑うアリアの顔が甦った。微かに膨らみつつあった恋心は自覚するよりも先に殿下に気付かれてしまい、顔を見ることも出来なくなった・・・。
「アルロ、アリアの事を知っているお前が適任だろう、真相を調べてこい。だが誰にも知られるな。手紙には口外しない代わりに口を出すなと書いてある。掘り返して噂でも流れれば恥だけでは済まされない。」
「まさか殺されたなんて事は」
「その可能性もあるだろうな。とにかく真実が知りたい。アリアが儂を裏切るなど・・」
言いかけたクロヴィスの身体が、ぐらりと傾いた。
「 っっ陛下っ! おい誰か、寝室へお連れしろ。」
***その数日前、ノアの独り言***
真っ直ぐに伸びた背筋、しっかりと意思を持った眼差し、凹凸の曲線美が見事な体つき。
初めて見たその立ち姿は指の先まで美しく、小柄ながらも、いかにも王妃殿下だ と思った。
俺はこの人の、護衛 という名の監視役を勤めることになった。初めの内は機嫌を損ねないように、と緊張していたのだが・・・。
王妃殿下は第一印象とは随分とかけはなれた人だった。勝手に荷物を開けて気絶し、手掴みでお菓子を食べ、恥ずかしげ気もなく素足を晒す。
そんな王妃殿下から少しずつ目が離せなくなり、ふとあることに気がついた。それは彼女の目線の先にいつもシンさんがいる、ということだ。それと同時に、自分自身にも驚いた。
監視役として命じられた内容は、外部と連絡を取るかどうかを見張ること。つまり見張るのは行動のみで、目線の先まで追う必要は無いのだ。それなのに俺は、目線の先が気になって仕方がなかった。
あの時、まずいな と思ったんだった。
馬に揺られながら、そんな事を思い返していた。今まで見守るだけしか出来なかったその存在は手の届くところまで降りてきた。別にこの人とどうにかなりたいなんて思っちゃいない。そこまでは望んでいないが傍にいるくらいは・・触れるくらいは許されるだろうか。
今この瞬間、彼女にとって頼れる人間は俺1人だ。支配欲とでも言うのだろうか、気分は高揚し身体中はうずうずしている。
多くは望まないと思いつつも、ふと、腕の中にすっぽりと収まるこの人を、このままきつく抱き締めたらと想像してしまった。服越しに伝わる体温や、漂ってくる甘い香りでだけで理性が崩れてしまいそうだ。
気持ちを沈めようと深く深呼吸をすると、より深いところまで甘い香りで満たされてしまった。くそ、逆効果だ。もっと違う事を考えよう・・・。うん、とにかく無事に連れ出せて良かった。そうだ、よしよし、気が逸れてきた。それにしても、一か八かで陛下に頼み込んで正解だったな。自分の度胸に今更ながら感服する。
アリーは陛下にとって まさに目の上のたんこぶで、存在する以上は無視する事も出来ず、理由もなく排除する事も出来ずで手をこまねいていた。メリッサだとかいう侍女の、信憑性の薄い証言に便乗しようとしていた程だ。
「王妃の駆け落ち」という発想は実際のところは俺の願望だったのだが、陛下からしても、とても利に叶っていた。お陰で隣国を黙らせる事が出来るし、堂々と再婚だって出来るというわけだ。機密事項として取り扱われるから間違ってもアリーの耳に入る事もないだろう。そう、この取引で1つだけ俺が恐れているのは陛下とのこのやり取りがアリーに知られることだ。色々と便宜を図ってもらっている分、まるで俺が陛下の手先の様に思われるだろうから。
油断するとまたアリーの温もりを意識してしまい、せめて会話でもして気をそらさないと、と焦った。
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