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アレク、魔女に会いに行く(1)
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**アレク
窓の隙間から迷い込んできた紙飛行機が、やたらと追いかけて来ると思っていたら魔女からの手紙だった。
だがしかし、この手紙は、間違いではないのかと思う。もしくは、書いている途中で誤って飛ばしてしまったか?それとも失敗作のつもりで飛行機を作って遊んでいて、飛んでいってしまったとか?
はっ、もしや、ダニエルの名前を出したのがいけなかったのか?喜ぶと思ったが、逆効果だったのかもしれない。魔女は、ああ見えて繊細なところがあるからな。
・・・考えても分からない。
だからといって、もう1度送るか?手間と費用をかけて? うむむ・・。うむむ・・・。
「陛下、どうかなさいましたか?」
「んあ、ああ、何でもない。何でもないのだが・・。」
「お返事が、届いたのですね。では私がダニエルに、お伝えしましょうか?」
「んん・・・、いや、それはいい。あいつに聞かれたら、返事はまだだと伝えてくれ。」
ダニエルと・・無理に会わせる必要も・・・ないか?
・・・ないよな?
「陛下、お返事はその手紙なのでは?」
「いや、ち、違う。いや、そうだが、違う。」
「失礼します。」
「ああっ、」
俺の手から手紙が抜き取られた。
「陛下、『はい。』と書いてありますね。」
「う、うむ。その通りだが。」
「ではダニエルに、了承して頂けたと伝えて参ります。」
「ままま待てっっっ!早まるな。これは、そういう意味ではないかもしれないのだ。」
「と、言いますと?」
「・・・魔女は、ダニエルと会いたくないのかもしれない。おそらく、その『はい。』は、俺からの手紙への返事だろう。」
「・・・両方含めての「はい。」かもしれませんよ。」
「いや、だがしかし、真意を確かめもせずにダニエルに伝える訳にはいかない。」
「また、手紙を送るのですか?」
「いやいや、そんな手間をかける程の案件ではない。」
「ああでは、放置、でよろしいですか?」
「んむむ、だがそうすると、魔女は心配するかもしれないな。」
「あの方が手紙のことくらいで心配などするでしょうか?」
「お前は知らんのだ。」
(····魔女の事を、何一つ)
「では私が、訪ねて参ります。」
「・・・・・・・・・・・・・・・、いや、俺が行こう、お前では辿り着けない。」
「陛下、それは・・」
「お前が駄目だと言うから、今まで行けなかったのだっ。」
「陛下、私が行くなと言ったのではなく、仕事が詰まっているから無理だと申し上げたのです。それもここ半年の事で、それそも以前から陛下自らが、行かないと仰っていたのではないですか。」
「くぅ・・、気が、変わったのだ。ダニエルより先に、会わねばならん。」
「陛下、陛下は以前私に、『その時は止めろ』とも仰っておられましたが。」
「分かっておる!それは重々承知だ。血迷う事などないっ!ただ、顔をみて、安心したいだけなのだ。」
そうだ。分かっている。あれには無理だということも。
***ダニエル
陛下は、あの手紙が「間違いなく届くだろう」と、言ってはいなかっただろうか?・・・おかしいな。ちゃんと会いたがっている事を伝えてくれたのだろうか?
あれから1ヶ月が経とうとしていた。
エルシーは、どう過ごしているのだろう。
最後に言ったあの言葉をエルシーが聞き取っているならば、待っていてるはずだと信じたい。
届いていなかったとしても、俺の名を見て、嬉しく思ってくれるのだと信じている。
信じているのだが・・・返事は、いつだろう。
さらに一週間待ったが連絡はなく、痺れを切らした俺は、失礼を承知で陛下を訪ねた。
···ところが驚くべき事実に、驚愕した。
「陛下が、いない!?」
窓の隙間から迷い込んできた紙飛行機が、やたらと追いかけて来ると思っていたら魔女からの手紙だった。
だがしかし、この手紙は、間違いではないのかと思う。もしくは、書いている途中で誤って飛ばしてしまったか?それとも失敗作のつもりで飛行機を作って遊んでいて、飛んでいってしまったとか?
はっ、もしや、ダニエルの名前を出したのがいけなかったのか?喜ぶと思ったが、逆効果だったのかもしれない。魔女は、ああ見えて繊細なところがあるからな。
・・・考えても分からない。
だからといって、もう1度送るか?手間と費用をかけて? うむむ・・。うむむ・・・。
「陛下、どうかなさいましたか?」
「んあ、ああ、何でもない。何でもないのだが・・。」
「お返事が、届いたのですね。では私がダニエルに、お伝えしましょうか?」
「んん・・・、いや、それはいい。あいつに聞かれたら、返事はまだだと伝えてくれ。」
ダニエルと・・無理に会わせる必要も・・・ないか?
・・・ないよな?
「陛下、お返事はその手紙なのでは?」
「いや、ち、違う。いや、そうだが、違う。」
「失礼します。」
「ああっ、」
俺の手から手紙が抜き取られた。
「陛下、『はい。』と書いてありますね。」
「う、うむ。その通りだが。」
「ではダニエルに、了承して頂けたと伝えて参ります。」
「ままま待てっっっ!早まるな。これは、そういう意味ではないかもしれないのだ。」
「と、言いますと?」
「・・・魔女は、ダニエルと会いたくないのかもしれない。おそらく、その『はい。』は、俺からの手紙への返事だろう。」
「・・・両方含めての「はい。」かもしれませんよ。」
「いや、だがしかし、真意を確かめもせずにダニエルに伝える訳にはいかない。」
「また、手紙を送るのですか?」
「いやいや、そんな手間をかける程の案件ではない。」
「ああでは、放置、でよろしいですか?」
「んむむ、だがそうすると、魔女は心配するかもしれないな。」
「あの方が手紙のことくらいで心配などするでしょうか?」
「お前は知らんのだ。」
(····魔女の事を、何一つ)
「では私が、訪ねて参ります。」
「・・・・・・・・・・・・・・・、いや、俺が行こう、お前では辿り着けない。」
「陛下、それは・・」
「お前が駄目だと言うから、今まで行けなかったのだっ。」
「陛下、私が行くなと言ったのではなく、仕事が詰まっているから無理だと申し上げたのです。それもここ半年の事で、それそも以前から陛下自らが、行かないと仰っていたのではないですか。」
「くぅ・・、気が、変わったのだ。ダニエルより先に、会わねばならん。」
「陛下、陛下は以前私に、『その時は止めろ』とも仰っておられましたが。」
「分かっておる!それは重々承知だ。血迷う事などないっ!ただ、顔をみて、安心したいだけなのだ。」
そうだ。分かっている。あれには無理だということも。
***ダニエル
陛下は、あの手紙が「間違いなく届くだろう」と、言ってはいなかっただろうか?・・・おかしいな。ちゃんと会いたがっている事を伝えてくれたのだろうか?
あれから1ヶ月が経とうとしていた。
エルシーは、どう過ごしているのだろう。
最後に言ったあの言葉をエルシーが聞き取っているならば、待っていてるはずだと信じたい。
届いていなかったとしても、俺の名を見て、嬉しく思ってくれるのだと信じている。
信じているのだが・・・返事は、いつだろう。
さらに一週間待ったが連絡はなく、痺れを切らした俺は、失礼を承知で陛下を訪ねた。
···ところが驚くべき事実に、驚愕した。
「陛下が、いない!?」
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