42 / 92
42
しおりを挟む
***レイラ
「旅行に、行ってみるか?」
朝食の時、ウィレム陛下に唐突に言われた。
最近は朝、昼、夕と3食の食事を一緒に取っていて、先に食べ終えた陛下が私を見つめながら思い付いた様に口にしたのだ。
見つめられるのに慣れなくて食べるのが早くなった私だけども、やはり陛下よりは時間がかかってしまう。咀嚼していたハムを水で喉に流し込んだ。
「旅行、ですか?」
慌ててグラスを傾けたので、口の端から水が溢れてしまった。瞬時に私の指より先に陛下の指先が唇を拭った。恥ずかしくて顔が火照る。小さく、ありがとうございます、と言った。
「ああ、レイラは誕生日がもうすぐだと言っただろう。丁度休暇が取れるから2人で別邸に滞在しよう。」
先日、ピアスはシンから誕生日に貰ったという話をしたら、陛下に誕生日を聞かれていたのだった。
私は何だかわくわくしてきた。今まで村の仲間と頻繁に移動していたけれど、楽しむ為の旅行というのは初めてで、しかも部屋の外どころか屋外に出られるなんて。
「ふふ、嬉しいです。」
「ふむ。」
陛下も嬉しそうにしている。自然に私の手からフォークを抜き取り、残りの食事を私の口へ運び始めた。距離がぐっと近くなる。最後の一口を飲み込んだ途端に唇が重なった
。
「んむ、、ウィ、ウィレム陛下、た、食べたばかりです、、、」
陛下を胸をぐいぐい押し返すと悲しい顔をする。
「レイラは嫌なのか?」
「嫌とかじゃなくて、、ええと、そうだ、いつ出発ですか? 準備はジュリに手伝ってもらったらいいでしょうか?」
いくら陛下が好きでも、こう頻繁に吸い付かれていると私の唇はひりひりと腫れてしまう。最近、唇が赤くて痛いなと思っていたところで、今朝顔を洗いながらやっと原因にたどり着いたのだ。もう少し控えたい。それに心臓だって壊れてしまいそう。
「、、、いや、そのままでいい。」
上手く話をそらせて、陛下は私に覆い被せていた上半身を起き上がらせた。
「そのまま、ですか?」
「ふむ、では行こうか。」
「え? え? 今からですか?」
急すぎる。旅行って、もっと時間を掛けて準備するのだと思っていた。
「ああ。早い方がいいだろう。」
「、、、」
呆気に取られれいる間に、私は着の身着のまま陛下に抱き抱えられ、気付けば馬車の中にいた。中に座ると馬車がぐらりと揺れて動き出し、咄嗟に陛下の腕を掴んだ。
「おっと、もっと近くに来なさい。」
私が掴んだ陛下の腕は、そのまま私の腰を抱いて引き寄せた。密着して胸が高鳴る。
「どうした?」
「あ、、いえ、何でもないです。」
覗き込まれると益々鼓動が早くなった。空間が狭い分、いつもより陛下を感じる。
膝に置いていた手が、陛下の大きい手に上から包み込まれて握られた。私はもぞもぞと手をひっくり返して、手の平同士を合わせた。自然と指が絡められる。
陛下の手はひんやりと冷たくて、その冷たさが感触を鮮明にさせる。私の体温が陛下に移っていくにつれ、繋いだ手が1つになっていく様で心地良かった。陛下にもたれ掛かって肩に顔を埋めた。陛下の匂いがする、、、。
馬車の揺れが眠気を誘う。
**
「レイラ、レイラ、、」
「、、っはい!」
「着いたぞ。起きれるか?」
「え、着いた? どこにですか?」
身体を起こそうと手をついたら、そこは何だか温かい。
「わ、わ、ごめんなさいっ」
いつの間にか私は眠っていて、陛下の膝に頭を預けていた。
「構わない。可愛いらしかった。」
陛下がぎゅっ、と私の肩を抱き寄せて額に口付けをした。か、可愛らしい? そんな言葉が陛下の口から出てくるとは思わなかった。
「、、、あ、ありがとうございます。」
火照った頬を手で冷やしながらちらりと陛下を見ると、陛下も頬を染めていた。
別邸は森の中にあって、空気が気持ちいい。
馬車を降りて深呼吸をすると肺が少しひんやりした。回りを見渡して、そこで初めて、今日は陛下の護衛が1人もいないことに気が付いた。
「行こう。」
陛下が私の腰を引き寄せて歩きだした。門は私達を待っていたかの様に開かれ、中に踏み入れると閉じられた。同じ屋外なのに、門の中の方が暖かい。
「お腹が空いただろう。昼食にしよう。」
陛下に連れられ建物に入り、そのまま食堂へと直行する。
「ここには誰もいないのですか?」
食事は出来立ての様だけど、人を見かけない。
「いや、ここにも使用人はいる。いるのだが、邪魔をしないように言っているのだ。2人で過ごしたい。」
「、、、そう、ですか、、。あ、では、護衛の方もどこかに潜んでいるのですか?」
「護衛? 護衛がいないと心配か?」
「えっ、いえ、そういう訳ではなくて、、、ウィレム陛下って、護衛を付けずに出歩いても大丈夫なのですか?」
「ああ、対外的には良くないが今回は特別だ。2人でいたい。」
先程から2人でと繰り返してくる。陛下の熱のこもった目に見つめられると身体が熱くなり、戸惑って目をそらした。
「何だ?」
「何だか恥ずかしくて、、」
「レイラは可愛いな。」
陛下はいつにも増して甘い気がする。
**
食事を終えた私達は、滞在する部屋を確認しに向かった。
「わぁ! 可愛いお部屋ですね。」
ドアを開けて目に飛び込んできたのは、柔らかな白色に小さな花が散りばめられた壁紙で、部屋全体が可愛いらしく統一されてあった。ソファーにはフリルも付いている。何というか、陛下らしくない部屋だ。
「レイラは可愛いのが好きなのだろう。」
陛下が少し照れた顔をしている。
「ふふ。ありがとうございます。」
私の為なのも嬉しいし、陛下がこんなにふりふりとした可愛いらい部屋にいるのも新鮮で嬉しい。
さっそくふりふりのソファーに座ってみると、陛下も横に座ってきた。
「この後は何をして過ごすのですか?」
陛下の顔を覗き込んで聞くのと同時に、陛下の頭が私の膝に落ちてきた。
「レイラ、少し眠らせてくれ。」
ぽつりと一言だけ言って黙ってしまった。
「ウィ、ウィレム陛下?」
既に目蓋は閉じられていて、すーすーと呼吸が聞こえる。起こすのも忍びなく、馬車の中では私が膝を借りていた事もあり、仕方なく諦めた。覗き込むと、眠っているのに陛下の眉間には皺がよっている。
ここ数日、部屋に戻ってくるのが遅かったのは今日の為に頑張っていたからかもしれない。
銀色の、さらさらした髪をそっと撫でてみた。ほんの少し、顔が穏やかになった気がして、しばらくの間撫でる事にした。
顔に落ちてきた前髪をそっと後ろに流したら、こめかみに、3つ並んだ黒子を見つけた。
可愛いくて愛おしくて、もっとよく見ようと顔を近付けて指でなぞってみた。
「ひっ、」
がしっと手を捕まれて心臓が飛び出るかと思った。
「誘っているのか?」
陛下が私を見上げるけれど、とても目を合わせられなくてそらした。
「、、、ごめんなさい。」
「ふん。」
私の手を握ったまま、陛下はもう一度目を閉じた。心臓がばくばくする。
「旅行に、行ってみるか?」
朝食の時、ウィレム陛下に唐突に言われた。
最近は朝、昼、夕と3食の食事を一緒に取っていて、先に食べ終えた陛下が私を見つめながら思い付いた様に口にしたのだ。
見つめられるのに慣れなくて食べるのが早くなった私だけども、やはり陛下よりは時間がかかってしまう。咀嚼していたハムを水で喉に流し込んだ。
「旅行、ですか?」
慌ててグラスを傾けたので、口の端から水が溢れてしまった。瞬時に私の指より先に陛下の指先が唇を拭った。恥ずかしくて顔が火照る。小さく、ありがとうございます、と言った。
「ああ、レイラは誕生日がもうすぐだと言っただろう。丁度休暇が取れるから2人で別邸に滞在しよう。」
先日、ピアスはシンから誕生日に貰ったという話をしたら、陛下に誕生日を聞かれていたのだった。
私は何だかわくわくしてきた。今まで村の仲間と頻繁に移動していたけれど、楽しむ為の旅行というのは初めてで、しかも部屋の外どころか屋外に出られるなんて。
「ふふ、嬉しいです。」
「ふむ。」
陛下も嬉しそうにしている。自然に私の手からフォークを抜き取り、残りの食事を私の口へ運び始めた。距離がぐっと近くなる。最後の一口を飲み込んだ途端に唇が重なった
。
「んむ、、ウィ、ウィレム陛下、た、食べたばかりです、、、」
陛下を胸をぐいぐい押し返すと悲しい顔をする。
「レイラは嫌なのか?」
「嫌とかじゃなくて、、ええと、そうだ、いつ出発ですか? 準備はジュリに手伝ってもらったらいいでしょうか?」
いくら陛下が好きでも、こう頻繁に吸い付かれていると私の唇はひりひりと腫れてしまう。最近、唇が赤くて痛いなと思っていたところで、今朝顔を洗いながらやっと原因にたどり着いたのだ。もう少し控えたい。それに心臓だって壊れてしまいそう。
「、、、いや、そのままでいい。」
上手く話をそらせて、陛下は私に覆い被せていた上半身を起き上がらせた。
「そのまま、ですか?」
「ふむ、では行こうか。」
「え? え? 今からですか?」
急すぎる。旅行って、もっと時間を掛けて準備するのだと思っていた。
「ああ。早い方がいいだろう。」
「、、、」
呆気に取られれいる間に、私は着の身着のまま陛下に抱き抱えられ、気付けば馬車の中にいた。中に座ると馬車がぐらりと揺れて動き出し、咄嗟に陛下の腕を掴んだ。
「おっと、もっと近くに来なさい。」
私が掴んだ陛下の腕は、そのまま私の腰を抱いて引き寄せた。密着して胸が高鳴る。
「どうした?」
「あ、、いえ、何でもないです。」
覗き込まれると益々鼓動が早くなった。空間が狭い分、いつもより陛下を感じる。
膝に置いていた手が、陛下の大きい手に上から包み込まれて握られた。私はもぞもぞと手をひっくり返して、手の平同士を合わせた。自然と指が絡められる。
陛下の手はひんやりと冷たくて、その冷たさが感触を鮮明にさせる。私の体温が陛下に移っていくにつれ、繋いだ手が1つになっていく様で心地良かった。陛下にもたれ掛かって肩に顔を埋めた。陛下の匂いがする、、、。
馬車の揺れが眠気を誘う。
**
「レイラ、レイラ、、」
「、、っはい!」
「着いたぞ。起きれるか?」
「え、着いた? どこにですか?」
身体を起こそうと手をついたら、そこは何だか温かい。
「わ、わ、ごめんなさいっ」
いつの間にか私は眠っていて、陛下の膝に頭を預けていた。
「構わない。可愛いらしかった。」
陛下がぎゅっ、と私の肩を抱き寄せて額に口付けをした。か、可愛らしい? そんな言葉が陛下の口から出てくるとは思わなかった。
「、、、あ、ありがとうございます。」
火照った頬を手で冷やしながらちらりと陛下を見ると、陛下も頬を染めていた。
別邸は森の中にあって、空気が気持ちいい。
馬車を降りて深呼吸をすると肺が少しひんやりした。回りを見渡して、そこで初めて、今日は陛下の護衛が1人もいないことに気が付いた。
「行こう。」
陛下が私の腰を引き寄せて歩きだした。門は私達を待っていたかの様に開かれ、中に踏み入れると閉じられた。同じ屋外なのに、門の中の方が暖かい。
「お腹が空いただろう。昼食にしよう。」
陛下に連れられ建物に入り、そのまま食堂へと直行する。
「ここには誰もいないのですか?」
食事は出来立ての様だけど、人を見かけない。
「いや、ここにも使用人はいる。いるのだが、邪魔をしないように言っているのだ。2人で過ごしたい。」
「、、、そう、ですか、、。あ、では、護衛の方もどこかに潜んでいるのですか?」
「護衛? 護衛がいないと心配か?」
「えっ、いえ、そういう訳ではなくて、、、ウィレム陛下って、護衛を付けずに出歩いても大丈夫なのですか?」
「ああ、対外的には良くないが今回は特別だ。2人でいたい。」
先程から2人でと繰り返してくる。陛下の熱のこもった目に見つめられると身体が熱くなり、戸惑って目をそらした。
「何だ?」
「何だか恥ずかしくて、、」
「レイラは可愛いな。」
陛下はいつにも増して甘い気がする。
**
食事を終えた私達は、滞在する部屋を確認しに向かった。
「わぁ! 可愛いお部屋ですね。」
ドアを開けて目に飛び込んできたのは、柔らかな白色に小さな花が散りばめられた壁紙で、部屋全体が可愛いらしく統一されてあった。ソファーにはフリルも付いている。何というか、陛下らしくない部屋だ。
「レイラは可愛いのが好きなのだろう。」
陛下が少し照れた顔をしている。
「ふふ。ありがとうございます。」
私の為なのも嬉しいし、陛下がこんなにふりふりとした可愛いらい部屋にいるのも新鮮で嬉しい。
さっそくふりふりのソファーに座ってみると、陛下も横に座ってきた。
「この後は何をして過ごすのですか?」
陛下の顔を覗き込んで聞くのと同時に、陛下の頭が私の膝に落ちてきた。
「レイラ、少し眠らせてくれ。」
ぽつりと一言だけ言って黙ってしまった。
「ウィ、ウィレム陛下?」
既に目蓋は閉じられていて、すーすーと呼吸が聞こえる。起こすのも忍びなく、馬車の中では私が膝を借りていた事もあり、仕方なく諦めた。覗き込むと、眠っているのに陛下の眉間には皺がよっている。
ここ数日、部屋に戻ってくるのが遅かったのは今日の為に頑張っていたからかもしれない。
銀色の、さらさらした髪をそっと撫でてみた。ほんの少し、顔が穏やかになった気がして、しばらくの間撫でる事にした。
顔に落ちてきた前髪をそっと後ろに流したら、こめかみに、3つ並んだ黒子を見つけた。
可愛いくて愛おしくて、もっとよく見ようと顔を近付けて指でなぞってみた。
「ひっ、」
がしっと手を捕まれて心臓が飛び出るかと思った。
「誘っているのか?」
陛下が私を見上げるけれど、とても目を合わせられなくてそらした。
「、、、ごめんなさい。」
「ふん。」
私の手を握ったまま、陛下はもう一度目を閉じた。心臓がばくばくする。
0
あなたにおすすめの小説
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します
白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。
あなたは【真実の愛】を信じますか?
そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。
だって・・・そうでしょ?
ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!?
それだけではない。
何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!!
私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。
それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。
しかも!
ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!!
マジかーーーっ!!!
前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!!
思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。
世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
五年後、元夫の後悔が遅すぎる。~娘が「パパ」と呼びそうで困ってます~
放浪人
恋愛
「君との婚姻は無効だ。実家へ帰るがいい」
大聖堂の冷たい石畳の上で、辺境伯ロルフから突然「婚姻は最初から無かった」と宣告された子爵家次女のエリシア。実家にも見放され、身重の体で王都の旧市街へ追放された彼女は、絶望のどん底で愛娘クララを出産する。
生き抜くために針と糸を握ったエリシアは、持ち前の技術で不思議な力を持つ「祝布(しゅくふ)」を織り上げる職人として立ち上がる。施しではなく「仕事」として正当な対価を払い、決して土足で踏み込んでこない救恤院の監督官リュシアンの温かい優しさに触れエリシアは少しずつ人間らしい心と笑顔を取り戻していった。
しかし五年後。辺境を襲った疫病を救うための緊急要請を通じ、エリシアは冷酷だった元夫ロルフと再会してしまう。しかも隣にいる娘の青い瞳は彼と瓜二つだった。
「すまない。私は父としての責任を果たす」
かつての合理主義の塊だった元夫は、自らの過ちを深く悔い、家の権益を捨ててでも母子を守る「強固な盾」になろうとする。娘のクララもまた、危機から救ってくれた彼を「パパ」と呼び始めてしまい……。
だが、どんなに後悔されても、どんなに身を挺して守られても、一度完全に壊された関係が元に戻ることは絶対にない。エリシアが真の伴侶として選ぶのは、凍えた心を溶かし、温かい日常を共に歩んでくれたリュシアンただ一人だった。
これは、全てを奪われた一人の女性が母として力強く成長し誰にも脅かされることのない「本物の家族」と「静かで確かな幸福」を自分の手で選び取るまでの物語。
わたくしがお父様に疎まれている?いいえ、目に入れても痛くない程溺愛されております。
織り子
ファンタジー
王国貴族院の卒業記念パーティーの場で、大公家の令嬢ルクレツィア・アーヴェントは王太子エドワードから突然の婚約破棄を告げられる。
父であるアーヴェント大公に疎まれている――
噂を知った王太子は、彼女を公衆の面前で侮辱する。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる