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**レイラ
ウィレムが泣いている。
「え?」
落ちて来たのは紛れもなくウィレムの涙で、私は驚いて固まり、異変に気付いて唇を離したウィレムが私を見下ろした。
「何だ?」
「、、ウィレム、、泣いているの?」
ぽた、ぽた、と、ウィレムの目から涙が落ちてくる。
「、、、は?」
ウィレムは私の腕を押さえていた手を片方外し、その指で自分の目をなぞった。濡れた指先を不思議そうに見つめ、確かめる様に指を擦り合わせた。そうする間にも私の顔には涙が降ってくる。
「ウィレム、」
ウィレムは自分の涙に気付いていなかったのだ。それ程に内側にある感情は固く閉ざされているのかと思うと、胸が苦しい。柔らかな内面に触れたい、包み込んであげたいと思った。
そっと手のひらでウィレムの頬に触れると、びくっ、と震えた。
「ウィレム、私はあなたが好きなの。大好きなの。」
愛しい、と思った。
溢れる気持ちを伝えたいのに、ウィレムは不安に揺れる瞳で私を見た。
「何故だ? 酷い事をした。本当は恐いのだろう?」
「恐くないわ、好きなんだもの。」
「本当は嫌になったのだろう?」
「どうして? 嫌いになれないくらい好きなのに。」
「 、、、俺を、哀れんでいるのか?」
「哀れむとかそんなのじゃ全然足りない。愛しくて堪らなくて、もっともっとウィレムを満たしたいし満たされたい。私を見て欲しいし、見ていたい。自分ではどうにもならないくらい大好きで、おかしくなりそうなの。」
「 レイラ、、、」
「だから、もう悲しまないで、、。」
「、、あ、、、いや、、。 悲しい訳じゃない。」
「でも、、泣いているわ。」
「ああ、、違うんだ、、 これは、なんというか、もっと温かかった。」
頬に触れている手を、ウィレムの手が包み込んだ。手のひらに口付けされて、胸がきゅぅ、と締め付けられる。
「、、、温かい?」
そうっと、聞いてみた。ウィレムは暫く考えてから、ぽつり、ぽつり、と話し出した。
「ああ。 さっきは、無理やりでもいいと思ったんだ、、、。 お前を、、めちゃくちゃにしてやりたかった。 だが、お前は俺を拒むどころか応えてくれただろう。 その時、 胸が温かく、感じた。 」
「 、、、ふっ。」
「何故笑う?」
「来て、抱きしめてあげます。手を離して下さい。」
愛おしくて、可愛くて、守ってあげたくて、抱き締めたくて堪らなくなった。ウィレムがおずおずと上半身を重ねてきた。私は両腕を背中に回し、ぎゅうぎゅうと抱き締めた。ついでに頭も撫でてあげた。
「温かいな。」
「ふふ、ウィレムも温かい。」
「レイラ」
「はい。」
「いいか? もう我慢が出来ない。」
すっかり満たされた気持ちになってしまっていたけれど、ウィレムの言葉ではっとした。耳まで熱くなる。私は小さく、はい、と返事をした。
「全部、俺のにする。」
「、、、はい。 、、んぁっ、、」
待ってましたとばかりに、ウィレムが耳を弄び始めた。熱い吐息が耳にかかり、ぬるぬるとした物が耳の中に侵入してきた。ぞわぞわと気持ちが良くて、身体が跳ねた。
ぴったりとくっついた上半身からは、ウィレムの温もりと鼓動が直接伝わってきた。
身体のあちこちを這う手は優しくて、温かかった。耳を舐め終わった舌はねっとりと張り付く様にゆっくりと時間をかけて首筋、、肩、、それからもっと下へと、移動していく。気持ちよくて、くすぐったくて、身体をくねらせた。ふいに出てしまう声が恥ずかしかった。
「綺麗だ。」
乱れた息づかいの中で、ウィレムが耳元で囁いてきて、私は身体の芯が痺れた。何度も何度も優しい口付けを降らせながら、ウィレムは私を自分の物にしていった。
幸せな気持ちで一杯になったところで、突然私のお腹の虫が鳴いた。
「ひゃ、わ、ええと、、お腹、、空きませんか?」
「ぷっ、レイラは可愛いな。」
自分の肘を枕にした格好で私を見ていたウィレムは吹き出して笑いだした。
「笑わないで下さいっ。お昼、食べようとしていたところだったのです。」
「くくっ、、。 では一緒に食べよう。」
「ウィレムも?」
「ああ。俺もまだ食べてないからな。」
「じゃあウィレムもお腹空いているのですね? ふふっ、お昼食べてからにすれば良かった。」
2人ともお腹を空かしながら、と思うと何だかおかしい。笑いが込み上げてきた。
「そんな余裕はなかったからな。早く抱きたかった。それに、まだ足りていない。」
「へっ? 」
急に真面目な顔になって、熱い眼差しで見つめてくる。思わずシーツを抱き寄せた。意味がよく分からないけど、危険な気がする。
「ふっ、心配するな。まずは食べよう。」
「まずは、、ですか?」
「ああ。まずは、だ。腹が減っているのだろう? しっかり食べなさい。」
にっこり微笑むウィレムが恐ろしい。
ジュリが準備した昼食はすっかり冷えてしまっていて、新しい2人分の昼食と取り替えられた。ジュリはあの後どこに行ったのだろう。ちゃんと戻って来るだろうか、、、。
気になったけれど、ウィレムは私に考える暇を与えない。あっという間に膝の上に乗せられて、食事が口に運ばれてきたのだ。
「ウィレム、、あの、食べにくいですけど、、」
「ああ。いいから食べなさい。」
一口食べれば唇を重ねられ、咀嚼する間も頬や額に口付けされる。
「、、、ウィレムも食べて下さい。」
「ん? ああ、そうだな。それをもらおうか。」
「 んむっ、、!」
口に入れたばかりのお肉がウィレムの口に奪われていった。
「なっ、なっ、、」
愕然とした。こんな食事はあり得ない。
「どうした? 食べなさい。」
ウィレムは何事もなかった用に別のお肉を口へ運んできた。ウィレムのことは好きだけど、何だか不安になった。
何とか食事を終えたのだけど上手く胃に到達していない気がして、仕上げに水を喉に流し込んだ。飲んでいると、ウィレムが立ち上がり、食器をワゴンに乗せ始めた。
「どうしたのですか?」
「邪魔はされたくないからな。」
ささっとワゴンは廊下に出された。
「さあレイラ、まずは、食べたな。」
ウィレムは今までにないくらいご機嫌で、鼻歌まで聞こえてきそうだった。そしてご機嫌なウィレムは、軽々と私を抱き上げて再び寝室へと向かった。
私は疲れ果てて気を失いそのまま熟睡し、気が付けば朝だった。
ウィレムが泣いている。
「え?」
落ちて来たのは紛れもなくウィレムの涙で、私は驚いて固まり、異変に気付いて唇を離したウィレムが私を見下ろした。
「何だ?」
「、、ウィレム、、泣いているの?」
ぽた、ぽた、と、ウィレムの目から涙が落ちてくる。
「、、、は?」
ウィレムは私の腕を押さえていた手を片方外し、その指で自分の目をなぞった。濡れた指先を不思議そうに見つめ、確かめる様に指を擦り合わせた。そうする間にも私の顔には涙が降ってくる。
「ウィレム、」
ウィレムは自分の涙に気付いていなかったのだ。それ程に内側にある感情は固く閉ざされているのかと思うと、胸が苦しい。柔らかな内面に触れたい、包み込んであげたいと思った。
そっと手のひらでウィレムの頬に触れると、びくっ、と震えた。
「ウィレム、私はあなたが好きなの。大好きなの。」
愛しい、と思った。
溢れる気持ちを伝えたいのに、ウィレムは不安に揺れる瞳で私を見た。
「何故だ? 酷い事をした。本当は恐いのだろう?」
「恐くないわ、好きなんだもの。」
「本当は嫌になったのだろう?」
「どうして? 嫌いになれないくらい好きなのに。」
「 、、、俺を、哀れんでいるのか?」
「哀れむとかそんなのじゃ全然足りない。愛しくて堪らなくて、もっともっとウィレムを満たしたいし満たされたい。私を見て欲しいし、見ていたい。自分ではどうにもならないくらい大好きで、おかしくなりそうなの。」
「 レイラ、、、」
「だから、もう悲しまないで、、。」
「、、あ、、、いや、、。 悲しい訳じゃない。」
「でも、、泣いているわ。」
「ああ、、違うんだ、、 これは、なんというか、もっと温かかった。」
頬に触れている手を、ウィレムの手が包み込んだ。手のひらに口付けされて、胸がきゅぅ、と締め付けられる。
「、、、温かい?」
そうっと、聞いてみた。ウィレムは暫く考えてから、ぽつり、ぽつり、と話し出した。
「ああ。 さっきは、無理やりでもいいと思ったんだ、、、。 お前を、、めちゃくちゃにしてやりたかった。 だが、お前は俺を拒むどころか応えてくれただろう。 その時、 胸が温かく、感じた。 」
「 、、、ふっ。」
「何故笑う?」
「来て、抱きしめてあげます。手を離して下さい。」
愛おしくて、可愛くて、守ってあげたくて、抱き締めたくて堪らなくなった。ウィレムがおずおずと上半身を重ねてきた。私は両腕を背中に回し、ぎゅうぎゅうと抱き締めた。ついでに頭も撫でてあげた。
「温かいな。」
「ふふ、ウィレムも温かい。」
「レイラ」
「はい。」
「いいか? もう我慢が出来ない。」
すっかり満たされた気持ちになってしまっていたけれど、ウィレムの言葉ではっとした。耳まで熱くなる。私は小さく、はい、と返事をした。
「全部、俺のにする。」
「、、、はい。 、、んぁっ、、」
待ってましたとばかりに、ウィレムが耳を弄び始めた。熱い吐息が耳にかかり、ぬるぬるとした物が耳の中に侵入してきた。ぞわぞわと気持ちが良くて、身体が跳ねた。
ぴったりとくっついた上半身からは、ウィレムの温もりと鼓動が直接伝わってきた。
身体のあちこちを這う手は優しくて、温かかった。耳を舐め終わった舌はねっとりと張り付く様にゆっくりと時間をかけて首筋、、肩、、それからもっと下へと、移動していく。気持ちよくて、くすぐったくて、身体をくねらせた。ふいに出てしまう声が恥ずかしかった。
「綺麗だ。」
乱れた息づかいの中で、ウィレムが耳元で囁いてきて、私は身体の芯が痺れた。何度も何度も優しい口付けを降らせながら、ウィレムは私を自分の物にしていった。
幸せな気持ちで一杯になったところで、突然私のお腹の虫が鳴いた。
「ひゃ、わ、ええと、、お腹、、空きませんか?」
「ぷっ、レイラは可愛いな。」
自分の肘を枕にした格好で私を見ていたウィレムは吹き出して笑いだした。
「笑わないで下さいっ。お昼、食べようとしていたところだったのです。」
「くくっ、、。 では一緒に食べよう。」
「ウィレムも?」
「ああ。俺もまだ食べてないからな。」
「じゃあウィレムもお腹空いているのですね? ふふっ、お昼食べてからにすれば良かった。」
2人ともお腹を空かしながら、と思うと何だかおかしい。笑いが込み上げてきた。
「そんな余裕はなかったからな。早く抱きたかった。それに、まだ足りていない。」
「へっ? 」
急に真面目な顔になって、熱い眼差しで見つめてくる。思わずシーツを抱き寄せた。意味がよく分からないけど、危険な気がする。
「ふっ、心配するな。まずは食べよう。」
「まずは、、ですか?」
「ああ。まずは、だ。腹が減っているのだろう? しっかり食べなさい。」
にっこり微笑むウィレムが恐ろしい。
ジュリが準備した昼食はすっかり冷えてしまっていて、新しい2人分の昼食と取り替えられた。ジュリはあの後どこに行ったのだろう。ちゃんと戻って来るだろうか、、、。
気になったけれど、ウィレムは私に考える暇を与えない。あっという間に膝の上に乗せられて、食事が口に運ばれてきたのだ。
「ウィレム、、あの、食べにくいですけど、、」
「ああ。いいから食べなさい。」
一口食べれば唇を重ねられ、咀嚼する間も頬や額に口付けされる。
「、、、ウィレムも食べて下さい。」
「ん? ああ、そうだな。それをもらおうか。」
「 んむっ、、!」
口に入れたばかりのお肉がウィレムの口に奪われていった。
「なっ、なっ、、」
愕然とした。こんな食事はあり得ない。
「どうした? 食べなさい。」
ウィレムは何事もなかった用に別のお肉を口へ運んできた。ウィレムのことは好きだけど、何だか不安になった。
何とか食事を終えたのだけど上手く胃に到達していない気がして、仕上げに水を喉に流し込んだ。飲んでいると、ウィレムが立ち上がり、食器をワゴンに乗せ始めた。
「どうしたのですか?」
「邪魔はされたくないからな。」
ささっとワゴンは廊下に出された。
「さあレイラ、まずは、食べたな。」
ウィレムは今までにないくらいご機嫌で、鼻歌まで聞こえてきそうだった。そしてご機嫌なウィレムは、軽々と私を抱き上げて再び寝室へと向かった。
私は疲れ果てて気を失いそのまま熟睡し、気が付けば朝だった。
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