捕獲されました。酷い目にあう前に死にたいのですが、友人が自分の命を無理やり預けて行ったので、そうもいきません。早く返してしまいたい。

ともっぴー

文字の大きさ
58 / 92

58

しおりを挟む
**レイラ

ウィレムが泣いている。

「え?」

落ちて来たのは紛れもなくウィレムの涙で、私は驚いて固まり、異変に気付いて唇を離したウィレムが私を見下ろした。

「何だ?」

「、、ウィレム、、泣いているの?」

ぽた、ぽた、と、ウィレムの目から涙が落ちてくる。

「、、、は?」

ウィレムは私の腕を押さえていた手を片方外し、その指で自分の目をなぞった。濡れた指先を不思議そうに見つめ、確かめる様に指を擦り合わせた。そうする間にも私の顔には涙が降ってくる。

「ウィレム、」

ウィレムは自分の涙に気付いていなかったのだ。それ程に内側にある感情は固く閉ざされているのかと思うと、胸が苦しい。柔らかな内面に触れたい、包み込んであげたいと思った。
そっと手のひらでウィレムの頬に触れると、びくっ、と震えた。

「ウィレム、私はあなたが好きなの。大好きなの。」

愛しい、と思った。
溢れる気持ちを伝えたいのに、ウィレムは不安に揺れる瞳で私を見た。

「何故だ? 酷い事をした。本当は恐いのだろう?」

「恐くないわ、好きなんだもの。」

「本当は嫌になったのだろう?」

「どうして? 嫌いになれないくらい好きなのに。」

「  、、、俺を、哀れんでいるのか?」

「哀れむとかそんなのじゃ全然足りない。愛しくて堪らなくて、もっともっとウィレムを満たしたいし満たされたい。私を見て欲しいし、見ていたい。自分ではどうにもならないくらい大好きで、おかしくなりそうなの。」

「 レイラ、、、」

「だから、もう悲しまないで、、。」

「、、あ、、、いや、、。 悲しい訳じゃない。」

「でも、、泣いているわ。」

「ああ、、違うんだ、、 これは、なんというか、もっと温かかった。」

頬に触れている手を、ウィレムの手が包み込んだ。手のひらに口付けされて、胸がきゅぅ、と締め付けられる。

「、、、温かい?」

そうっと、聞いてみた。ウィレムは暫く考えてから、ぽつり、ぽつり、と話し出した。

「ああ。 さっきは、無理やりでもいいと思ったんだ、、、。 お前を、、めちゃくちゃにしてやりたかった。  だが、お前は俺を拒むどころか応えてくれただろう。  その時、 胸が温かく、感じた。 」

「 、、、ふっ。」

「何故笑う?」

「来て、抱きしめてあげます。手を離して下さい。」

愛おしくて、可愛くて、守ってあげたくて、抱き締めたくて堪らなくなった。ウィレムがおずおずと上半身を重ねてきた。私は両腕を背中に回し、ぎゅうぎゅうと抱き締めた。ついでに頭も撫でてあげた。

「温かいな。」

「ふふ、ウィレムも温かい。」

「レイラ」

「はい。」

「いいか? もう我慢が出来ない。」

すっかり満たされた気持ちになってしまっていたけれど、ウィレムの言葉ではっとした。耳まで熱くなる。私は小さく、はい、と返事をした。

「全部、俺のにする。」

「、、、はい。 、、んぁっ、、」

待ってましたとばかりに、ウィレムが耳を弄び始めた。熱い吐息が耳にかかり、ぬるぬるとした物が耳の中に侵入してきた。ぞわぞわと気持ちが良くて、身体が跳ねた。
ぴったりとくっついた上半身からは、ウィレムの温もりと鼓動が直接伝わってきた。
身体のあちこちを這う手は優しくて、温かかった。耳を舐め終わった舌はねっとりと張り付く様にゆっくりと時間をかけて首筋、、肩、、それからもっと下へと、移動していく。気持ちよくて、くすぐったくて、身体をくねらせた。ふいに出てしまう声が恥ずかしかった。

「綺麗だ。」

乱れた息づかいの中で、ウィレムが耳元で囁いてきて、私は身体の芯が痺れた。何度も何度も優しい口付けを降らせながら、ウィレムは私を自分の物にしていった。

幸せな気持ちで一杯になったところで、突然私のお腹の虫が鳴いた。

「ひゃ、わ、ええと、、お腹、、空きませんか?」

「ぷっ、レイラは可愛いな。」

自分の肘を枕にした格好で私を見ていたウィレムは吹き出して笑いだした。

「笑わないで下さいっ。お昼、食べようとしていたところだったのです。」

「くくっ、、。 では一緒に食べよう。」

「ウィレムも?」

「ああ。俺もまだ食べてないからな。」

「じゃあウィレムもお腹空いているのですね? ふふっ、お昼食べてからにすれば良かった。」

2人ともお腹を空かしながら、と思うと何だかおかしい。笑いが込み上げてきた。

「そんな余裕はなかったからな。早く抱きたかった。それに、まだ足りていない。」

「へっ? 」

急に真面目な顔になって、熱い眼差しで見つめてくる。思わずシーツを抱き寄せた。意味がよく分からないけど、危険な気がする。

「ふっ、心配するな。まずは食べよう。」

「まずは、、ですか?」

「ああ。まずは、だ。腹が減っているのだろう? しっかり食べなさい。」

にっこり微笑むウィレムが恐ろしい。

ジュリが準備した昼食はすっかり冷えてしまっていて、新しい2人分の昼食と取り替えられた。ジュリはあの後どこに行ったのだろう。ちゃんと戻って来るだろうか、、、。
気になったけれど、ウィレムは私に考える暇を与えない。あっという間に膝の上に乗せられて、食事が口に運ばれてきたのだ。

「ウィレム、、あの、食べにくいですけど、、」

「ああ。いいから食べなさい。」

一口食べれば唇を重ねられ、咀嚼する間も頬や額に口付けされる。

「、、、ウィレムも食べて下さい。」

「ん? ああ、そうだな。それをもらおうか。」

「 んむっ、、!」

口に入れたばかりのお肉がウィレムの口に奪われていった。

「なっ、なっ、、」

愕然とした。こんな食事はあり得ない。

「どうした? 食べなさい。」

ウィレムは何事もなかった用に別のお肉を口へ運んできた。ウィレムのことは好きだけど、何だか不安になった。
何とか食事を終えたのだけど上手く胃に到達していない気がして、仕上げに水を喉に流し込んだ。飲んでいると、ウィレムが立ち上がり、食器をワゴンに乗せ始めた。

「どうしたのですか?」

「邪魔はされたくないからな。」

ささっとワゴンは廊下に出された。

「さあレイラ、、食べたな。」

ウィレムは今までにないくらいご機嫌で、鼻歌まで聞こえてきそうだった。そしてご機嫌なウィレムは、軽々と私を抱き上げて再び寝室へと向かった。

私は疲れ果てて気を失いそのまま熟睡し、気が付けば朝だった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します

白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。 あなたは【真実の愛】を信じますか? そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。 だって・・・そうでしょ? ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!? それだけではない。 何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!! 私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。 それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。 しかも! ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!! マジかーーーっ!!! 前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!! 思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。 世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

五年後、元夫の後悔が遅すぎる。~娘が「パパ」と呼びそうで困ってます~

放浪人
恋愛
「君との婚姻は無効だ。実家へ帰るがいい」 大聖堂の冷たい石畳の上で、辺境伯ロルフから突然「婚姻は最初から無かった」と宣告された子爵家次女のエリシア。実家にも見放され、身重の体で王都の旧市街へ追放された彼女は、絶望のどん底で愛娘クララを出産する。 生き抜くために針と糸を握ったエリシアは、持ち前の技術で不思議な力を持つ「祝布(しゅくふ)」を織り上げる職人として立ち上がる。施しではなく「仕事」として正当な対価を払い、決して土足で踏み込んでこない救恤院の監督官リュシアンの温かい優しさに触れエリシアは少しずつ人間らしい心と笑顔を取り戻していった。 しかし五年後。辺境を襲った疫病を救うための緊急要請を通じ、エリシアは冷酷だった元夫ロルフと再会してしまう。しかも隣にいる娘の青い瞳は彼と瓜二つだった。 「すまない。私は父としての責任を果たす」 かつての合理主義の塊だった元夫は、自らの過ちを深く悔い、家の権益を捨ててでも母子を守る「強固な盾」になろうとする。娘のクララもまた、危機から救ってくれた彼を「パパ」と呼び始めてしまい……。 だが、どんなに後悔されても、どんなに身を挺して守られても、一度完全に壊された関係が元に戻ることは絶対にない。エリシアが真の伴侶として選ぶのは、凍えた心を溶かし、温かい日常を共に歩んでくれたリュシアンただ一人だった。 これは、全てを奪われた一人の女性が母として力強く成長し誰にも脅かされることのない「本物の家族」と「静かで確かな幸福」を自分の手で選び取るまでの物語。

「がっかりです」——その一言で終わる夫婦が、王宮にはある

柴田はつみ
恋愛
妃の席を踏みにじったのは令嬢——けれど妃の心を折ったのは、夫のたった一言だった 王太子妃リディアの唯一の安らぎは、王太子アーヴィンと交わす午後の茶会。だが新しく王宮に出入りする伯爵令嬢ミレーユは、妃の席に先に座り、殿下を私的に呼び、距離感のない振る舞いを重ねる。 リディアは王宮の礼節としてその場で正す——正しいはずだった。けれど夫は「リディア、そこまで言わなくても……」と、妃を止めた。 「わかりました。あなたには、がっかりです」 微笑んで去ったその日から、夫婦の茶会は終わる。沈黙の王宮で、言葉を失った王太子は、初めて“追う”ことを選ぶが——遅すぎた。

完結 辺境伯様に嫁いで半年、完全に忘れられているようです   

ヴァンドール
恋愛
実家でも忘れられた存在で 嫁いだ辺境伯様にも離れに追いやられ、それすら 忘れ去られて早、半年が過ぎました。

わたくしがお父様に疎まれている?いいえ、目に入れても痛くない程溺愛されております。

織り子
ファンタジー
王国貴族院の卒業記念パーティーの場で、大公家の令嬢ルクレツィア・アーヴェントは王太子エドワードから突然の婚約破棄を告げられる。 父であるアーヴェント大公に疎まれている―― 噂を知った王太子は、彼女を公衆の面前で侮辱する。

処理中です...