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***アリア視点***
「アリア様っ? どうされましたか?」
部屋を出ると、待っていたミアが駆け寄ってきた。お父様が無事だったと分かっても身体の震えはなかなか止まってくれず、また、陛下のあまりに軽薄な態度にも打撃を受けて、私はノアに支えられながら、どうにか部屋を出てきたのだった。
「ああミア、何でもないのよ。ただ少し驚いて、、」
「で、でもお顔の色悪いですよ。 ノアさん、一体なにが、、?」
「すみません。俺から言える事は何もありません。ですが部屋まではお送りしましょうか?」
「いいのよノア、ありがとう。仕事に戻って頂戴。」
「、、、 では、失礼します。」
自分の情けない姿を見られたくなくて追い払った。
「すぐ部屋へ戻りましょう。支えますね。お話は落ち着いてから伺います。」
ミアにはついさっき、弱音を吐いて下さい、と言われたばかりだ。誤魔化さないでと言わんばかりに見つめられると、言葉に詰まる。
「、、、ええ 、、そうね、ありがとう。」
部屋ではメリッサが待ってくれていた。
「アリア様っ、お帰りなさいませ。私、報告したいことが沢山っっ、、て、あら、、? どうなさいました? ミア?」
「ただいまメリッサ、アリア様は少しお休みになるわ。」
あっという間にベッドに詰め込まれた。馬車でずっと眠っていたから眠くはないのだけど、心を落ち着かせ、頭を整理するには丁度良かった。そして落ち着きを取り戻して陛下の言葉を思い返して、はた、と気が付いた。お父様はご存命だけど病に伏せっている、と言っていた、、? お兄様が何か企んでいる、と言っていた、、、? お兄様が、お父様に危害を加える、なんてことは 無いと信じたい。だけど、、、 胸がざわざわした。
しばらく考え込んだ後、ベッドから起きてミアとメリッサに陛下に言われた事を伝えると、2人は私の為に、一緒になって怒ってくれた。こんな風に親身になってくれる存在というのはありがたい。と思ったのもつかの間、メリッサが暴走を始めた。
「陛下はあんまりです。これもあのジェミューの女のせいなのでしょう?あの女がいなければ、、」
「え? メリッサ? 今の話聞いていたわよね? 陛下は私がお兄様と内通しているんじゃないととお疑いになったのよ。」
「ええ、ええ。聞いていましたとも。どうしてアリア様を疑うのかですよね。あの女が陛下を唆しているに違いありません。私があの女をっ、、」
ミアが勢いに驚いてメリッサの袖を引っ張った。私も慌てて説明した。
「メリッサ、陛下はもともと私を信用して下さってはいらっしゃらなかったのよ、つい私が期待してしまっていて、悲しかっただけよ。」
「どうして庇うのです? 最初からあの女さえいなければエミリだって今頃っっ、、」
はっとした。メリッサはずっとエミリの事を引きずっていたのだ。
「 、、、メリッサ、話がずれているわ。これはお兄様の問題よ。お兄様が陛下に信頼されてないから、、」
「いいえアリア様、そのディラン殿下の件だって、あの女の友人が騒動を起こしたせいなのでしょう? きっとあの女が悪いんです。ハンナ様が怪我したのはいい気味でしたけど。」
「ああ! ハンナで思い出したわ。エレノアもどうにかしないと、、、。 メリッサは少し落ち着いて頂戴ね。」
咄嗟に話題を変えつもりだったけど、失敗した。エレノアもハンナと一緒にエミリを罠に嵌めたのだった。
「エレノア様をどうにかって、何をどうするのです!?」
メリッサが前のめりになって聞いてきた。
「メリッサ、アリア様はお父様の事もあって、そんな気分には、、」
ミア私を気遣ってくれたけれど、どうせ動かなくていけない事なのだ、ふぅ、と溜め息ついて自分にも言い聞かせる様に言った。
「ミアありがとう。でも陛下にも頼まれているから仕方がないわ。」
そして、あまり気乗りはしないけれど、とりあえず後日覗きに行ってみる事にした。
「あ、それからアリア様、ご不在の間の報告がいくつかあります。」
メリッサは誇らしげに、私のいない間の出来事を教えてくれた。レイラの世話をしているジュリと仲良くなったらしい。それと、ジェミューの剥製を見つけた、とも。
***ジュリ視点***
最近毎日がとても楽しい。充実っていうのはこういう事なのだと、初めて実感した。それはお仕事の事でもあるけど、特に私生活においての事だ。生まれて初めて出来た友人は、いつも私の話を聞いてくれた。的確なアドバイスだってしてくれる。メリッサが話す事全てがきらきらと輝いて見えたし、言う通りにすると必ず上手くいった。
だけど1つだけ、メリッサには悪いけど私はお嬢様についてはまだ判断を迷っている。本当にお嬢様は陛下を唆しているのだろうか、と。だって私が見る限りでは優しい人なのだ。
たぶん、、、
避妊薬の件はメリッサに、もう口に出さない方がいいと言われた。絶対飲んだ方がいいという私の意見に賛成してくれていただけに、どうして? と驚いたけど、彼女はスープに混ぜる方法を教えてくれたのだ。錠剤の薬は2つのスプーンで強く挟むと潰れて粉になる。教えてもらった時、こんな方法があったのかと感動した。最初から知っていればあんなことにはならなかったのに。そして私は毎朝のスープに避妊薬を混ぜている。
食事の準備をする私にお嬢様は優しく微笑んで、ありがとう、と言ってくる。その顔をみると少しだけ罪悪感を感じるけれど、正しいのは私なのだから仕方がない。間違いなく陛下とお嬢様の為なのだ。
**
いつもの通りにお嬢様の世話を済ませてメリッサとおしゃべりを楽しんでいた。メリッサが何だか嬉しそうにしていたので聞いてみると、アリア様が戻って来たのだと教えてくれた。アリア様はどんな人なのかなとか、私の事をどう報告したのかな、などと気になって聞こうとしたけれど、逆にメリッサはお嬢様の事を聞いてきた。
「ええと、今日もお嬢様は朝のスープを残さず飲んでいたわ。 それから、、あ、髪はこの間教えてもらったリボンにしてみたの、すごく喜んでいたわ。あとは、、本を読んでいたくらいかしら。お昼は陛下がいらっしゃって一緒に召し上がっていたわね。」
「ふぅん、一緒にお昼だなんて陛下と仲がいいのね。会話なんかもしながら食べているのかしら?」
「うーん、どうかしら、、。私は準備したら部屋を出るのよ。陛下に下がりなさいって言われるから、、、。」
「他には何かないの?」
「うーん、、、いつも言うけどお嬢様は部屋の外へは出られないのよ、だから本を読むか食事をするかくらいしかないわ。」
「ねぇ、お嬢様って本当に陛下のことを慕っていると思う?」
「またそれ? 私には慕っているように見えるのだけど。」
「だって、部屋に閉じ込められているんでしょう? 私だったら、いくら相手が素敵な人でもごめんだわ。」
「お嬢様はそう思わない人なんじゃない? 嫌がっていないから。」
「それがおかしいわよ。もしかしたら慕っているふりなのかもね。」
「そんなこと、、、」
「言い切れる?」
「、、、分からないわ。」
「でしょ? 他人の考えていることなんて分からないのよ。ところでジュリはお嬢様と陛下どっちの味方?」
「え? 味方?」
「もしもの話よ、もしどっちかを選べって言われたらどうする?」
「それは決まっているわ、陛下よ。」
「あら、即答ね。じゃあ、もしもお嬢様が陛下を裏切ったらジュリはどうする?」
「、、、本当に、裏切ったのだとしたら、、、殺せるわ。」
「ふふ。じゃあそんなことが起きない様に、お嬢様の陛下への気持ちを確かめておかないと。本気で慕っていると分かった方が安心でしょ?」
「、、、でも、、どうやって、、?」
「アリア様っ? どうされましたか?」
部屋を出ると、待っていたミアが駆け寄ってきた。お父様が無事だったと分かっても身体の震えはなかなか止まってくれず、また、陛下のあまりに軽薄な態度にも打撃を受けて、私はノアに支えられながら、どうにか部屋を出てきたのだった。
「ああミア、何でもないのよ。ただ少し驚いて、、」
「で、でもお顔の色悪いですよ。 ノアさん、一体なにが、、?」
「すみません。俺から言える事は何もありません。ですが部屋まではお送りしましょうか?」
「いいのよノア、ありがとう。仕事に戻って頂戴。」
「、、、 では、失礼します。」
自分の情けない姿を見られたくなくて追い払った。
「すぐ部屋へ戻りましょう。支えますね。お話は落ち着いてから伺います。」
ミアにはついさっき、弱音を吐いて下さい、と言われたばかりだ。誤魔化さないでと言わんばかりに見つめられると、言葉に詰まる。
「、、、ええ 、、そうね、ありがとう。」
部屋ではメリッサが待ってくれていた。
「アリア様っ、お帰りなさいませ。私、報告したいことが沢山っっ、、て、あら、、? どうなさいました? ミア?」
「ただいまメリッサ、アリア様は少しお休みになるわ。」
あっという間にベッドに詰め込まれた。馬車でずっと眠っていたから眠くはないのだけど、心を落ち着かせ、頭を整理するには丁度良かった。そして落ち着きを取り戻して陛下の言葉を思い返して、はた、と気が付いた。お父様はご存命だけど病に伏せっている、と言っていた、、? お兄様が何か企んでいる、と言っていた、、、? お兄様が、お父様に危害を加える、なんてことは 無いと信じたい。だけど、、、 胸がざわざわした。
しばらく考え込んだ後、ベッドから起きてミアとメリッサに陛下に言われた事を伝えると、2人は私の為に、一緒になって怒ってくれた。こんな風に親身になってくれる存在というのはありがたい。と思ったのもつかの間、メリッサが暴走を始めた。
「陛下はあんまりです。これもあのジェミューの女のせいなのでしょう?あの女がいなければ、、」
「え? メリッサ? 今の話聞いていたわよね? 陛下は私がお兄様と内通しているんじゃないととお疑いになったのよ。」
「ええ、ええ。聞いていましたとも。どうしてアリア様を疑うのかですよね。あの女が陛下を唆しているに違いありません。私があの女をっ、、」
ミアが勢いに驚いてメリッサの袖を引っ張った。私も慌てて説明した。
「メリッサ、陛下はもともと私を信用して下さってはいらっしゃらなかったのよ、つい私が期待してしまっていて、悲しかっただけよ。」
「どうして庇うのです? 最初からあの女さえいなければエミリだって今頃っっ、、」
はっとした。メリッサはずっとエミリの事を引きずっていたのだ。
「 、、、メリッサ、話がずれているわ。これはお兄様の問題よ。お兄様が陛下に信頼されてないから、、」
「いいえアリア様、そのディラン殿下の件だって、あの女の友人が騒動を起こしたせいなのでしょう? きっとあの女が悪いんです。ハンナ様が怪我したのはいい気味でしたけど。」
「ああ! ハンナで思い出したわ。エレノアもどうにかしないと、、、。 メリッサは少し落ち着いて頂戴ね。」
咄嗟に話題を変えつもりだったけど、失敗した。エレノアもハンナと一緒にエミリを罠に嵌めたのだった。
「エレノア様をどうにかって、何をどうするのです!?」
メリッサが前のめりになって聞いてきた。
「メリッサ、アリア様はお父様の事もあって、そんな気分には、、」
ミア私を気遣ってくれたけれど、どうせ動かなくていけない事なのだ、ふぅ、と溜め息ついて自分にも言い聞かせる様に言った。
「ミアありがとう。でも陛下にも頼まれているから仕方がないわ。」
そして、あまり気乗りはしないけれど、とりあえず後日覗きに行ってみる事にした。
「あ、それからアリア様、ご不在の間の報告がいくつかあります。」
メリッサは誇らしげに、私のいない間の出来事を教えてくれた。レイラの世話をしているジュリと仲良くなったらしい。それと、ジェミューの剥製を見つけた、とも。
***ジュリ視点***
最近毎日がとても楽しい。充実っていうのはこういう事なのだと、初めて実感した。それはお仕事の事でもあるけど、特に私生活においての事だ。生まれて初めて出来た友人は、いつも私の話を聞いてくれた。的確なアドバイスだってしてくれる。メリッサが話す事全てがきらきらと輝いて見えたし、言う通りにすると必ず上手くいった。
だけど1つだけ、メリッサには悪いけど私はお嬢様についてはまだ判断を迷っている。本当にお嬢様は陛下を唆しているのだろうか、と。だって私が見る限りでは優しい人なのだ。
たぶん、、、
避妊薬の件はメリッサに、もう口に出さない方がいいと言われた。絶対飲んだ方がいいという私の意見に賛成してくれていただけに、どうして? と驚いたけど、彼女はスープに混ぜる方法を教えてくれたのだ。錠剤の薬は2つのスプーンで強く挟むと潰れて粉になる。教えてもらった時、こんな方法があったのかと感動した。最初から知っていればあんなことにはならなかったのに。そして私は毎朝のスープに避妊薬を混ぜている。
食事の準備をする私にお嬢様は優しく微笑んで、ありがとう、と言ってくる。その顔をみると少しだけ罪悪感を感じるけれど、正しいのは私なのだから仕方がない。間違いなく陛下とお嬢様の為なのだ。
**
いつもの通りにお嬢様の世話を済ませてメリッサとおしゃべりを楽しんでいた。メリッサが何だか嬉しそうにしていたので聞いてみると、アリア様が戻って来たのだと教えてくれた。アリア様はどんな人なのかなとか、私の事をどう報告したのかな、などと気になって聞こうとしたけれど、逆にメリッサはお嬢様の事を聞いてきた。
「ええと、今日もお嬢様は朝のスープを残さず飲んでいたわ。 それから、、あ、髪はこの間教えてもらったリボンにしてみたの、すごく喜んでいたわ。あとは、、本を読んでいたくらいかしら。お昼は陛下がいらっしゃって一緒に召し上がっていたわね。」
「ふぅん、一緒にお昼だなんて陛下と仲がいいのね。会話なんかもしながら食べているのかしら?」
「うーん、どうかしら、、。私は準備したら部屋を出るのよ。陛下に下がりなさいって言われるから、、、。」
「他には何かないの?」
「うーん、、、いつも言うけどお嬢様は部屋の外へは出られないのよ、だから本を読むか食事をするかくらいしかないわ。」
「ねぇ、お嬢様って本当に陛下のことを慕っていると思う?」
「またそれ? 私には慕っているように見えるのだけど。」
「だって、部屋に閉じ込められているんでしょう? 私だったら、いくら相手が素敵な人でもごめんだわ。」
「お嬢様はそう思わない人なんじゃない? 嫌がっていないから。」
「それがおかしいわよ。もしかしたら慕っているふりなのかもね。」
「そんなこと、、、」
「言い切れる?」
「、、、分からないわ。」
「でしょ? 他人の考えていることなんて分からないのよ。ところでジュリはお嬢様と陛下どっちの味方?」
「え? 味方?」
「もしもの話よ、もしどっちかを選べって言われたらどうする?」
「それは決まっているわ、陛下よ。」
「あら、即答ね。じゃあ、もしもお嬢様が陛下を裏切ったらジュリはどうする?」
「、、、本当に、裏切ったのだとしたら、、、殺せるわ。」
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