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***ディラン視点***
アリアの結婚式の後アリドゥラムを追い出される様にして戻って来た俺は、弁解もさせてもらえずに謹慎処分となった。父上はまたもウィレム陛下の言いなりになったのだ。
腹立たしくて歯痒くて堪らない。謹慎の間中ずっと、どうしたらウィレム陛下の顔を歪ませてやれるかと考えていた。そして思い至ったのだ。奴の全てを奪ってやろう、と。あの美しい娘だってあんな男より俺の方が相応しい。
心を決めてしまえば一刻も早く動き始めたい。俺はまずこの謹慎状態から解放されるために手を尽くした。具体的にはまぁ、父上には少し休んで頂いた、という事だ。年寄りには休息も必要だろう。アリアには何度も手紙を出したが届かなかった。忌々しい。
それから包囲網を固めるべく、周辺国に接触を図った。しかし相手が大国なだけに彼らを味方に付けるにはそれなりの正当な理由が必要となる。そこで俺が目を付けたのは、アリドゥラムで行われているジェミューへの迫害だ。残虐な国王が治めるあの国からジェミューを救い出すのだ。奴が犯罪者として拘束される姿を想像すると笑いが止まらない。レイラを助け出すのは勿論俺の役目だ。だが万が一、奴に懐いていたら困る。救い出す日までに対策は打っておこうと思う。
「殿下、ディクフに向かったグフロート商会の者から手紙が届いております。」
油断するとつい上がってしまう口角を抑えていると側近のアルロが届いたばかりの手紙を持ってやって来た。
「分かった、すぐに読もう。」
手紙に目を通し満足した。いろいろと順調だ。周辺国は日頃からウィレム陛下の態度に思うところがあったらしく、予想していた以上に上手く進んでいっている。奴の人を見下した態度には、誰もが不快を感じていたのだろう。様を見ろ、と言ってやりたい。
「アルロ、俺も向かう。もっとアリドゥラムの内情を詳しく聞き出さないとな。それに奴の悪行にはもっと色を付けてやらないと説得力に欠けるだろう、途中で抜けられると厄介だ。」
「しかし殿下、本当にこのまま進めますか?」
「何を今更。進めるに決まっているだろう。」
アルロは度々同じ事を聞いてくる。だが俺の返事も変わらない。今更引き返せるものか。
「、、、分かりました。ではせめて、陛下の扱いを改善させてもらえませんか?」
「どうした? 何かあったか?」
「かなり弱ってきています。そろそろ薬を減らしてもいいかと、、、」
「そうか、、、。死なれては困るしな、、 それはお前に任せよう。俺が功績を上げる時には目を覚まさせておいて欲しい。見せ付けてやりたいんだ。」
「、、畏まりました。」
***アリア視点***
王宮へと出発して数日が経った。反対を押しきって意見を通したものの、私の身体は薄情で気持ちに応えてくれなかった。つまり、熱が引かない。ミアは呆れ果て、私を見ては溜め息をついた。何度も宿に留まって休息を、と説得してくるけれど、情けないけど これは私の意地なのだ。立ち止まったら駄目になる気がする。幸い吐き気等はなかったので、ひたすら大人しく馬車に揺られた。
**
「アリア様、まもなく王宮に到着しますよ。」
「ふが、、 ん、、、 着いたの?」
少し前に熱は下がっていたのだけど、身体にすっかり眠りぐせがついた私は馬車の中でだらしなく寝ていて、ミアに肩を揺すられて目を覚ました。
「まもなく、ですよ。起き上がって身なりを整えて下さい。」
「ん、、分かったわ。」
むくっと起き上がって、目を擦れば目ヤニがぽろりと落ちた。
「お顔を拭きますね。」
ミアはてきぱきと荷物から清潔な布を引っ張り出し水で湿らせてからゴシゴシと私の顔を拭った。
「ありがとう。」
ぼんやりと言うと、ミアは少し微笑んで、まっすぐに私を見つめた。
「アリア様、自由な旅は終わり、もうすぐ王宮です。アリア様は強いお人ですから、きっと王妃殿下としての責務を果たそうとなさるでしょう。けれど、私の前では旅で見せた様な姿を見せて頂きたいのです。弱音だって吐いて頂きたいのです。
私は陛下ではなくアリア様にお仕えしていると思っています。ですからどうか、私を頼って下さい。精一杯応えさせて頂きますから。」
胸がじんわり暖かくなった。私の侍女は何て事を言ってくれるのだろう。ぎゅっ、と目を瞑って パンッ、と自分の頬を叩いた。
「ア、アリア様っ!?」
「ありがとう、ミア。」
馬車を降りたその足で、私はミアとノアを従えて執務室へと向かった。ノアはオーウェンさんから預かった報告書、それから村で出来上がった契約書を持っている。長い廊下を歩きながら何気なく周りを見たのだけど、暫く離れていたせいかどこもかしこも懐かしく感じる。特に思い入れあるわけでもないのに、帰って来た、と思った。
「陛下に、ご報告に参りました。」
ノアと私の2人が部屋へと通された。ミアにはその場で待機していてもらう。
陛下の前ではいつも緊張するけれど、今日は久しぶりでいつも以上に緊張した。ギクシャクと部屋に入り頭を下げた。それから挨拶を述べて顔を上げたのだけど、、、。お顔を見た途端、 あれ?と思った。陛下は出発前にお会いした時よりずっとお顔の色が良くなっていらっしゃる。お顔の色どころか、全体が艶々と輝いていらっしゃった。
「ああ、ご苦労だった。疲れただろう。」
労いのお言葉まで掛けて下さるなんて、、思わずノアと顔を見合わせた。
「お、お気遣いありがとう存じます。」
私達が持ち帰った報告に陛下は大変満足していらっしゃった。時折 ふわり、と笑顔もお見せになられる程で、今回の計画にとてもお心を注いでいらっしゃる事が良く分かる。ぼぅっ、と見惚れてハッとした。ついこの間まではシンにどきどきしていたというのに、陛下の笑顔を前に頬が色付く自分がいる。知らなかった、、、私は、だらしのない女なのかもしれない。
でも立場的には陛下をお慕いする方がいいのだからこのままシンの事を忘れられたら、とも願った。
「そうだアリア、お義父君はいつ亡くなったのだ?」
「え、、!?」
頭が真っ白になった。お父様が、、何?
「え、、え、、? お、お父様が、お亡くなりになったのですか? 」
「聞いていないか?」
「え、、だって、私、、何も知りませんもの、、へ、陛下?、、教えて下さい」
身体中から力が抜けていく。視界は涙でぼやけてきた。前のめりになりながら陛下に詰め寄ろうとして、横にいたノアに支えられた。足も手もガクガクする。崩れ落ちそうになった時、陛下が、ふっ、と息を吐いた。
「すまない、何でもない。まだご存命だ。」
「、、何でも、ない、? ですか?」
「ああ。ただ病に伏せっているとは聞いている。今のところお前が内通していないと分かって安心した。戻っていいぞ。」
「、つ、、つまり、陛下は私をお試しに?」
「すまんな、最近お前の兄が何か企んでいるようで気になったのだ。」
「、、、」
「どうした? 戻っていいぞ。ああ、それからエレノアの件は何かあったら報告を頼む。」
信じられない、信じられない、信じられない、、、。 それでも、、陛下の前では唇を噛むのがやっとだった。
「、、、畏まりました。それでは失礼いたします。」
やるせない。
アリアの結婚式の後アリドゥラムを追い出される様にして戻って来た俺は、弁解もさせてもらえずに謹慎処分となった。父上はまたもウィレム陛下の言いなりになったのだ。
腹立たしくて歯痒くて堪らない。謹慎の間中ずっと、どうしたらウィレム陛下の顔を歪ませてやれるかと考えていた。そして思い至ったのだ。奴の全てを奪ってやろう、と。あの美しい娘だってあんな男より俺の方が相応しい。
心を決めてしまえば一刻も早く動き始めたい。俺はまずこの謹慎状態から解放されるために手を尽くした。具体的にはまぁ、父上には少し休んで頂いた、という事だ。年寄りには休息も必要だろう。アリアには何度も手紙を出したが届かなかった。忌々しい。
それから包囲網を固めるべく、周辺国に接触を図った。しかし相手が大国なだけに彼らを味方に付けるにはそれなりの正当な理由が必要となる。そこで俺が目を付けたのは、アリドゥラムで行われているジェミューへの迫害だ。残虐な国王が治めるあの国からジェミューを救い出すのだ。奴が犯罪者として拘束される姿を想像すると笑いが止まらない。レイラを助け出すのは勿論俺の役目だ。だが万が一、奴に懐いていたら困る。救い出す日までに対策は打っておこうと思う。
「殿下、ディクフに向かったグフロート商会の者から手紙が届いております。」
油断するとつい上がってしまう口角を抑えていると側近のアルロが届いたばかりの手紙を持ってやって来た。
「分かった、すぐに読もう。」
手紙に目を通し満足した。いろいろと順調だ。周辺国は日頃からウィレム陛下の態度に思うところがあったらしく、予想していた以上に上手く進んでいっている。奴の人を見下した態度には、誰もが不快を感じていたのだろう。様を見ろ、と言ってやりたい。
「アルロ、俺も向かう。もっとアリドゥラムの内情を詳しく聞き出さないとな。それに奴の悪行にはもっと色を付けてやらないと説得力に欠けるだろう、途中で抜けられると厄介だ。」
「しかし殿下、本当にこのまま進めますか?」
「何を今更。進めるに決まっているだろう。」
アルロは度々同じ事を聞いてくる。だが俺の返事も変わらない。今更引き返せるものか。
「、、、分かりました。ではせめて、陛下の扱いを改善させてもらえませんか?」
「どうした? 何かあったか?」
「かなり弱ってきています。そろそろ薬を減らしてもいいかと、、、」
「そうか、、、。死なれては困るしな、、 それはお前に任せよう。俺が功績を上げる時には目を覚まさせておいて欲しい。見せ付けてやりたいんだ。」
「、、畏まりました。」
***アリア視点***
王宮へと出発して数日が経った。反対を押しきって意見を通したものの、私の身体は薄情で気持ちに応えてくれなかった。つまり、熱が引かない。ミアは呆れ果て、私を見ては溜め息をついた。何度も宿に留まって休息を、と説得してくるけれど、情けないけど これは私の意地なのだ。立ち止まったら駄目になる気がする。幸い吐き気等はなかったので、ひたすら大人しく馬車に揺られた。
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「アリア様、まもなく王宮に到着しますよ。」
「ふが、、 ん、、、 着いたの?」
少し前に熱は下がっていたのだけど、身体にすっかり眠りぐせがついた私は馬車の中でだらしなく寝ていて、ミアに肩を揺すられて目を覚ました。
「まもなく、ですよ。起き上がって身なりを整えて下さい。」
「ん、、分かったわ。」
むくっと起き上がって、目を擦れば目ヤニがぽろりと落ちた。
「お顔を拭きますね。」
ミアはてきぱきと荷物から清潔な布を引っ張り出し水で湿らせてからゴシゴシと私の顔を拭った。
「ありがとう。」
ぼんやりと言うと、ミアは少し微笑んで、まっすぐに私を見つめた。
「アリア様、自由な旅は終わり、もうすぐ王宮です。アリア様は強いお人ですから、きっと王妃殿下としての責務を果たそうとなさるでしょう。けれど、私の前では旅で見せた様な姿を見せて頂きたいのです。弱音だって吐いて頂きたいのです。
私は陛下ではなくアリア様にお仕えしていると思っています。ですからどうか、私を頼って下さい。精一杯応えさせて頂きますから。」
胸がじんわり暖かくなった。私の侍女は何て事を言ってくれるのだろう。ぎゅっ、と目を瞑って パンッ、と自分の頬を叩いた。
「ア、アリア様っ!?」
「ありがとう、ミア。」
馬車を降りたその足で、私はミアとノアを従えて執務室へと向かった。ノアはオーウェンさんから預かった報告書、それから村で出来上がった契約書を持っている。長い廊下を歩きながら何気なく周りを見たのだけど、暫く離れていたせいかどこもかしこも懐かしく感じる。特に思い入れあるわけでもないのに、帰って来た、と思った。
「陛下に、ご報告に参りました。」
ノアと私の2人が部屋へと通された。ミアにはその場で待機していてもらう。
陛下の前ではいつも緊張するけれど、今日は久しぶりでいつも以上に緊張した。ギクシャクと部屋に入り頭を下げた。それから挨拶を述べて顔を上げたのだけど、、、。お顔を見た途端、 あれ?と思った。陛下は出発前にお会いした時よりずっとお顔の色が良くなっていらっしゃる。お顔の色どころか、全体が艶々と輝いていらっしゃった。
「ああ、ご苦労だった。疲れただろう。」
労いのお言葉まで掛けて下さるなんて、、思わずノアと顔を見合わせた。
「お、お気遣いありがとう存じます。」
私達が持ち帰った報告に陛下は大変満足していらっしゃった。時折 ふわり、と笑顔もお見せになられる程で、今回の計画にとてもお心を注いでいらっしゃる事が良く分かる。ぼぅっ、と見惚れてハッとした。ついこの間まではシンにどきどきしていたというのに、陛下の笑顔を前に頬が色付く自分がいる。知らなかった、、、私は、だらしのない女なのかもしれない。
でも立場的には陛下をお慕いする方がいいのだからこのままシンの事を忘れられたら、とも願った。
「そうだアリア、お義父君はいつ亡くなったのだ?」
「え、、!?」
頭が真っ白になった。お父様が、、何?
「え、、え、、? お、お父様が、お亡くなりになったのですか? 」
「聞いていないか?」
「え、、だって、私、、何も知りませんもの、、へ、陛下?、、教えて下さい」
身体中から力が抜けていく。視界は涙でぼやけてきた。前のめりになりながら陛下に詰め寄ろうとして、横にいたノアに支えられた。足も手もガクガクする。崩れ落ちそうになった時、陛下が、ふっ、と息を吐いた。
「すまない、何でもない。まだご存命だ。」
「、、何でも、ない、? ですか?」
「ああ。ただ病に伏せっているとは聞いている。今のところお前が内通していないと分かって安心した。戻っていいぞ。」
「、つ、、つまり、陛下は私をお試しに?」
「すまんな、最近お前の兄が何か企んでいるようで気になったのだ。」
「、、、」
「どうした? 戻っていいぞ。ああ、それからエレノアの件は何かあったら報告を頼む。」
信じられない、信じられない、信じられない、、、。 それでも、、陛下の前では唇を噛むのがやっとだった。
「、、、畏まりました。それでは失礼いたします。」
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