2 / 5
順風満帆な日々
しおりを挟む珍しく素直になれない僕の異変にさりげなく気づいた僕の旦那マフィの提案。
僕の元彼のアイドル、奏と僕の心や体をシェアする。
「日本は違うけど。パートナーが1人じゃなきゃいけないルールがない国だってあるんだよ」
まったくもって7年連れ添ったマフィなだけに全てお見通しだったらしい。
これはそんな僕の若気の至りを含んだお話。
◇◇◇
大学で英語は専攻はしていたけれど、大学卒業後、ワーホリでイタリアに行ったはいいが殆ど意味はなかった。
なんとかキャリーケースにボストンバッグとでシェアハウスを探し、イタリアンレストランのお店の面接を受ける日々。
数軒目の面接で日本語はさっぱりだったが英語は堪能だったマフィの面接でようやくマフィが店長を務めるイタリアンレストランのバイトにこぎ着けた。
当時はイタリア語を学ぶ為にバイトのない時間は現地のドラマやニュースで懸命にイタリア語を学んだ。
なにより周りから飛び交うのはイタリア語ばかり。
リスニングで次第にイタリア語を理解することも出来た。
バイト先のレストランに足繁く通ってくれた若干、年上のイタリア人の彼氏の影響も大きい。
当時、マフィには同じイタリア人のボーイフレンドがいた。
面倒ごとは御免だ。
マフィをイケメンだと認識してはいても僕はマフィへの恋愛感情は皆無だったし、デートに誘われた際も、手を出されかけた際も、
「マフィにはボーイフレンドがいるでしょう?」
さりげなく笑顔で断った。
ワーホリ中にイタリア人の彼氏とは喧嘩別れし、毎日、バイトに明け暮れた。
大学時代からイタリアンが好きで。
本場のイタリアンを卒業旅行のイタリアで食べ、感動を覚え、いつか日本で本場のイタリアンレストランを開きたい、それが当時の僕の夢だったし目標だった。
ワーホリが終わる直前、マフィから、
「またビザを取って戻って来るんだろう?」
笑顔で尋ねられたけど、僕はもう戻らないと言った。
すぐにでも日本に帰り、イタリアンレストランを日本で開きたかった。
従業員を交えた飲み会などはあったし、マフィと二人きりで映画を観に行くにせよ、上司と部下、どことなく体の関係は一切ない、友人のような存在。
マフィはボーイフレンドと別れ、僕にプロポーズをした。
当時、僕は24歳、マフィは26歳だった。
「類のいない人生は考えられない。これは僕の身勝手だ。類を幸せにしたいし、一緒に幸せになりたい」
受け取って欲しい、とリングケースを差し出された。
マフィは僕の夢を知っていた。
イタリアンが好きで日本で本場のイタリアンレストランを開きたい僕の本当に藪から棒で突拍子もない夢。
「類の夢は僕の夢だ」
純粋にマフィのその真っ直ぐな瞳、真っ直ぐな言葉が嬉しかった。
そうして、数年かかったけれど、マフィと僕とで、念願のイタリアンレストランをマフィと日本で共同経営するまでになった。
以前、勤めていたダイニングバーの従業員だった光と晶も代表の承認を得て、こちらに呼んだ。
僕とマフィは同性婚しているとはいえ、光と晶もゲイカップル。
元は光はダイニングバー時代の常連客だった。
初めて光が店を訪れた際を忘れもしない。
「お酒ください」
カウンターに座るなり光は唐突に張りのない声でそう告げ、思わず苦笑した。
見た目も小柄で細身、可愛らしくあどけない顔立ちは差し置き、明らかに未成年だろうな、と思いながら笑顔で接客をした。
当時、光はまだ18だった。
「お酒?なんのお酒?」
「...お酒ならなんでもいいです」
「酔えるならなんでも、て感じ?」
「はい...」
敢えてノンアルのショートカクテルを振る舞うと、浴びるように光が喉を鳴らし煽る。
「....酔ってきたみたいです」
....アルコールは一滴も入れてはいないのだけど、と再び苦笑を堪えた。
次第に泣き上戸なのか光は泣き出した。
幸い、客が少なくはあったし、光の話しを聞くと、光は自身がゲイだとカミングアウトし、いつも付き合う相手には本命がいて浮気相手専門、という、なかなか不憫な話しだった。
僕もこっそり光にカミングアウトし、それから光はすっかり僕に懐き、しばしば店を訪れるようになった。
バイトが足りないことを零した矢先、
「俺、バイトしたいです!」
それから光とは店員と客、という関係から一変し、上司と部下、の仲になった。
光とさほど変わらない、小柄で細く可愛らしい顔立ちの晶を光が連れてきたのはそれからしばらく経った後。
ウケ同士の恋愛について光から相談を受けた。
僕はリバだけれど、二人の恋愛を後押しした。
たまに喧嘩はしつつも仲睦まじい二人を見ていると若いっていいなあ、とつくづく思う。
若く見られはするが僕はもう32だから。
そして、
「男女でも風俗があるくらいだから。浮気はOK。恋愛とセックスは別物。好きでなくてもセックスは出来る。スポーツのようなもの」
このマフィの考えはやっぱり日本人にはない気質だろうな。
まあ、結婚した後も長い間、たまにマフィが日本に来たり僕がイタリアに出向くことはあっても、日本とイタリアでの遠距離が長かったからこそだけど。
0
あなたにおすすめの小説
【完結】退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました〜逃げられると思ったのが間違いでした〜
来栖れいな
恋愛
逃げたかったのは、
疲れきった日々と、叶うはずのない憧れ――のはずだった。
無愛想で冷静な上司・東條崇雅。
その背中に、ただ静かに憧れを抱きながら、
仕事の重圧と、自分の想いの行き場に限界を感じて、私は退職を申し出た。
けれど――
そこから、彼の態度は変わり始めた。
苦手な仕事から外され、
負担を減らされ、
静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。
「辞めるのは認めない」
そんな言葉すらないのに、
無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。
これは愛?
それともただの執着?
じれじれと、甘く、不器用に。
二人の距離は、静かに、でも確かに近づいていく――。
無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
従僕に溺愛されて逃げられない
大の字だい
BL
〈従僕攻め×強気受け〉のラブコメ主従BL!
俺様気質で傲慢、まるで王様のような大学生・煌。
その傍らには、当然のようにリンがいる。
荷物を持ち、帰り道を誘導し、誰より自然に世話を焼く姿は、周囲から「犬みたい」と呼ばれるほど。
高校卒業間近に受けた突然の告白を、煌は「犬として立派になれば考える」とはぐらかした。
けれど大学に進学しても、リンは変わらず隣にいる。
当たり前の存在だったはずなのに、最近どうも心臓がおかしい。
居なくなると落ち着かない自分が、どうしても許せない。
さらに現れた上級生の熱烈なアプローチに、リンの嫉妬は抑えきれず――。
主従なのか、恋人なのか。
境界を越えたその先で、煌は思い知らされる。
従僕の溺愛からは、絶対に逃げられない。
今度こそ、どんな診療が俺を 待っているのか
相馬昴
BL
強靭な肉体を持つ男・相馬昴は、診療台の上で運命に翻弄されていく。
相手は、年下の執着攻め——そして、彼一人では終わらない。
ガチムチ受け×年下×複数攻めという禁断の関係が、徐々に相馬の本能を暴いていく。
雄の香りと快楽に塗れながら、男たちの欲望の的となる彼の身体。
その結末は、甘美な支配か、それとも——
背徳的な医師×患者、欲と心理が交錯する濃密BL長編!
https://ci-en.dlsite.com/creator/30033/article/1422322
またのご利用をお待ちしています。
あらき奏多
BL
職場の同僚にすすめられた、とあるマッサージ店。
緊張しつつもゴッドハンドで全身とろとろに癒され、初めての感覚に下半身が誤作動してしまい……?!
・マッサージ師×客
・年下敬語攻め
・男前土木作業員受け
・ノリ軽め
※年齢順イメージ
九重≒達也>坂田(店長)≫四ノ宮
【登場人物】
▼坂田 祐介(さかた ゆうすけ) 攻
・マッサージ店の店長
・爽やかイケメン
・優しくて低めのセクシーボイス
・良識はある人
▼杉村 達也(すぎむら たつや) 受
・土木作業員
・敏感体質
・快楽に流されやすい。すぐ喘ぐ
・性格も見た目も男前
【登場人物(第二弾の人たち)】
▼四ノ宮 葵(しのみや あおい) 攻
・マッサージ店の施術者のひとり。
・店では年齢は下から二番目。経歴は店長の次に長い。敏腕。
・顔と名前だけ中性的。愛想は人並み。
・自覚済隠れS。仕事とプライベートは区別してる。はずだった。
▼九重 柚葉(ここのえ ゆずは) 受
・愛称『ココ』『ココさん』『ココちゃん』
・名前だけ可愛い。性格は可愛くない。見た目も別に可愛くない。
・理性が強め。隠れコミュ障。
・無自覚ドM。乱れるときは乱れる
作品はすべて個人サイト(http://lyze.jp/nyanko03/)からの転載です。
徐々に移動していきたいと思いますが、作品数は個人サイトが一番多いです。
よろしくお願いいたします。
陥落 ー おじさま達に病愛されて ー
ななな
BL
眉目秀麗、才ある青年が二人のおじさま達から変態的かつ病的に愛されるお話。全九話。
国一番の璃伴士(将棋士)であるリンユゥは、義父に温かい愛情を注がれ、平凡ながらも幸せな日々を過ごしていた。
そんなある日、一人の紳士とリンユゥは対局することになり…。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる