3つ子が恋したら。

ミヒロ

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カイは片手の手のひらに乗せた小銭を弄びながらコンビニに向かいました。

そこには夕方、サッカー部の練習試合で見かけた大輝の姿があり、カイを見るなり、笑顔を見せました。

「カイ、話し聞いてくれるかな」

「...なんの話し」

「俺の好きな相手について聞いて欲しいんだ」

さっきの彼氏との相談かノロケか。

カイは意を決して、大輝の後を追い、着いた先は公園で、ベンチに並んで座りました。

「俺の好きなやつなんだけどさ...」

カイは俯き、ぼんやり大輝の話しに耳を傾けました。

「海で神様が出逢わせてくれた天使なんだ」

カイの表情が固まりました。

「いきなりぶつかって来た子がいてさ。太陽みたいに眩しくて、思わず、その子が砂浜に落としたかき氷とイカ焼きを買いに走ったんだ。チャンスだと思って」

「そ、それって...」

「いいから最後まで聞いて」

カイは無意識に押し黙ります。

「一目惚れしたんだ。一緒に海の家で食べながら話しをした。楽しかったけど、その子はひたすら無邪気でさ、俺自身には全く興味は無さそうだった。せめて肌に触れて終わらせたくて、妹から軟膏をパクって、真っ赤なその子の肌を触れられて、それで充分なつもりだった。でも、忘れる事が出来なくて。そうしたら、コンビニでその子に出くわした。運命かと思ったよ」

大輝は続けた。

「コンビニで妹はその子に一目惚れして。嫌だったけど、兄貴だし、手伝った。でも妹の為にLINEを続けてる筈がその子とのLINEがめちゃくちゃ楽しくて、気がつけば、夢中でその子とLINEしてた」

そこまで話すと、大輝の横顔に釘付けになっているカイに、大輝は微笑んだ。

「兄貴、失格かもしれないけど。わたしたくあない」

そこまで聞いて、カイは戸惑った。

「...今日、グランドで笑顔で話してた、あいつが好きなんじゃないのかよ」

つっけんどんなカイに大輝は苦笑した。
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