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「へえぇー!相撲のポスター剥がすまでに!蓮太、やるなあ」

お兄ちゃんが驚愕と感嘆の混じった声を上げた。

「えへへ!ハリセンを奪われたお陰で、兄も僕も、ようやく気づかされました」

「愛だねー」

「愛ですなー」

恭一さんと大貴さんが腕組みして唸る。

「お二人はもうセックスはなさったんですか?」

「セッ....!?」

「いや、俺らはまだ。別に焦る必要もないし。まあ、Ω同士だしなー」

「なるほど...」

「慶太さんがヒート起こしたら、チャンスなんじゃないですか?」

「あー、嫌でも、ちんぽくれー、てなるもんな」

「えっ、恭一、ヒート来たの!?」

「中2で来たよ」

大貴さんの目が真ん丸だ。

「まさか、お前、まだ来てない?」

「う、うん...」

「ああ、だから、恭一にLINEで相談したら、指入れて慰めたら収まる、て言ったのか」

「そ。経験者は語る、てやつ」

「なるほど、ヒートが起きた隙に...」

顎に指を置き、神妙な面持ちの蓮太くん。

「そんなにしたいの?お兄さんと」

「はい。とても」

「素直だなあ。ま、自宅でヒート起こしたらラッキーだな。学校で起こしたら、残念だけど」

「...学校で。どうしよう...僕、学校、違うから...」

「力士さんとの時は勢いでああ言ったけど、やっぱり怖いなー、挿れられるの」

ああ、明日は旅行最終日。

早かったなあ...。

その日は初めて、兄と僕は二人きりで眠ることが出来た。

ツインの1つのベッドに二人で横たわり。

至近距離で顔を見合わせた。

「...お兄ちゃん、大好き..」

「奏斗、俺も大好きよ...」

互いに唇を近づけた、と、その時。

「助けてー!」

ガラ!

慶太さんが駆け込んで来た。

「ど、どうしたんですか?慶太さん」

兄と僕の間に隠れた慶太さんは微かに震えてる。

「べ、別々に寝てたのに、目を開けたら、蓮太が...馬乗りに...」

「お兄ちゃん、逃げないで...」

「まだ、心の準備出来てないー!」

あ、慶太さん、泣きそう。

「慶太さん、ハリセンは何処に...?」

「ぼ、僕の背中側の帯...」

「お兄ちゃん...早く戻ろう...?1つになろう...?」

「ごめんね、蓮太くん...!」

パーーン!

僕は性欲のゾンビと化した蓮太くんをやっつけると、兄と僕とで挟み、カタカタと震える慶太さんを守るように眠った。

ツインのもう1つのベッドでは蓮太くんが僕の初めてのハリセン捌きで気を失い、眠ってます。
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