救う毒

むみあじ

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8月 樒

第89話*

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ついているチェーンが外れていて、ペダルをいくら踏もうと前進することの無い自転車に乗っている気分。いや、痒いところに手が届かないと言った方がわかりやすいか。



「う゛ーッ、うあ゛ぁっ♡あ、ハァっ、ひぅッ♡あ゛う゛~~ッ♡」



愚息を撫でられ続けて数時間、と言う感覚だが、実際はほんの数分しか経っていないのだろう。与えられ続ける快楽という情報の量があまりにも多くて、正常な時間感覚は既に失われている。もしもこれが、絶頂へと達する事が出来ていたのなら、逆に数時間が数分に感じていたのかもしれない。

布ごしに擦られている手がまた少し逸れる。しっかりと弱点を捉えていた筈なのに、頂へと至る一歩手前で確実に逸れていく。思わずつま先が丸まりシーツを掴む。逸れる手へと追い縋るように腰を浮かせて、恥ずかしげもなく秀にぃさんの手へと愚息を擦り付けた。



「残り1分。ほら、我慢だ、我慢」



俺の痴態を観察していたニィさんが、浮いた腰を押し戻すように軽く下腹を押す。それだけでビリビリと引き攣るような快感が駆け巡るが、あと一歩が僅かに足りない。


「にゃ、っはぁ♡…なん、で…?手、とめる、の…?」
「少し疲れてしまったから、休憩でもしようと思ったんだが…依夜も、楽な方がいいだろう?」



上下運動を続けていた手が突然止まり、愚息から少し離される。とろとろに溶けた脳みそはやだ、いかないで?なんて媚びるように腰をへこへこと動かし追い縋ろうとする。しかし無情にも、武骨な手はそこから離れ俺の膝へと置かれてしまった。
どうしてそんな事するのかと、思わずムッとして秀にぃさんの方へと体を捻り顔を覗いて見れば、穏やかな笑みを浮かべながら困ったように眉をさげていた。休憩を提案され、視線を愚息へと戻す。未だにピクピクと反応しているそれは、押し上げていた布の先端を色濃く染めていて、どうしようもない羞恥心に襲われる。思わずシャツを握り締めると、背後と前方、どちらからも笑う気配を感じた。

笑わないでよ!なんて抗議しようと視線を上げると、スルリと太ももが撫でられる。膝の上に置かれていた秀にぃさんの手は、いつのまにか太ももへと到達し、柔らかな内ももの皮膚を撫でていた。壊れ物に触れるかのように、優しく繊細にくすぐるように何度も撫でられる。その度、むず痒い何かが込み上げてきて、なんだかたまらない気持ちになった。
2度、3度と撫でられ続け、次第に掌がそこへと近づく。内腿を撫で上げた掌は、ゆっくりと鼠蹊部をなぞる様な動きに変わった。



「な、んか……これ……」



触れるか触れないか、際どい場所を何度も撫でられ、勃ち上がっているそれはピクピクと過敏に反応する。

するする、すりすり、さすさす。
何度も繰り返されるその動きに、肌が粟立ち始める。はっ、はっ、と短い息が漏れ、これはダメだと本能が警鐘をガンガンと鳴らした。



「だめ…だめ、だめっ!、やだ、これ、これだめ!」



手持ち無沙汰に撫で始めたわけでも、休憩なんてものでもない。秀にぃさんもニィさんも、これを狙っていたのだと気がつく。太ももも性器の周辺も、どちらも性感帯だ。それを優しく労わるように撫で擦られれば、自然と体は快感を拾い、熱を持ち昂っていくのは当たり前なのだから。

肝心の愚息には一切触れられていないのに、体はしっかりと快感を得て昂っていて、そのチグハグさが気持ち悪くて気持ち良い。自然と腰が浮き始め、下品にも脚を開けっ広げにして、はしたなく腰を振った。先端からとぷとぷと溢れ出た粘り気のある液体によって、滑りが良くなった布が先端に擦れてひどく気持ちが良い。布が擦れる度にビリつく快感が体を貫いていて、力を入れる事も、口を閉じる事もできない。口の端から唾液が垂れるのも無視して、無我夢中で布に愚息を擦り付けた。


「こらこら、擦り付けるのもダメだ。皮が伸びたり病気の原因になってしまう」
「な゛んれっ!や、やらぁッ、っんぅぅ…きもちぃの、ほしぃっ…」


腹部を軽く押され、浮つく腰を押し戻される。秀にぃさんの手が離れ弄ぶような愛撫が無くなるのは一瞬で、今度は目の前にいるニィさんが鼠蹊部をなぞり始める。秀にぃさんとはまた違った力加減と緩急で責め立てられ、俺はたまらず愚息へと手を伸ばす。しかし、これはもう何度も失敗していて、今回もまた秀にぃさんの大きな手によって防がれてしまった。


「我慢のテストなんだから、自分でしてはダメだろう?」
「だって、だってぇ…」
「…仕方がない子だ。ほら、気持ち良いか?」


かすかな笑い声と共に囁かれる言葉を飲み込んで、目を伏せながら与えられるであろう快感に集中する。鼠蹊部を往復していた掌が、そこへ触れた。先ほどの緩やかさとは程遠く、性急に、絶頂へと無理矢理押し上げるような上下運動が繰り返され、目の前で何かがバチバチと弾けた。


「あ゛あ゛ぁっ♡だめッ、ッだめっ、らめ、らえぇッ♡はやい゛ッ、はやすぎうッ♡からぁっ♡」


先端とくびれの部分を的確に責め立てられる。指がそこを刺激する度に、耐え難い快感が脳みそを白く染め上げていく。どうにかそれを振り払いたくて、意味もなく首を横に振った。

乱れる髪の毛の隙間から、責め立てられている性器が見える。自分の掌よりも、ずっと大きくて骨張っている硬い手が、布ごしのそれを包み込んでいた。その様子は酷く淫らで、視覚すら快楽を拾う性感帯へと変わってしまいそうだった。


「八剣、そろそろだ」
「…そうか。……30分にしないか?」
「…長すぎると言ったのは貴様だろう。そういうところがねちっこいと言われるんだ」
「……すまない。身悶えている依夜が可愛くてだな…」


頭上で会話が繰り広げられているが、耳には一切言葉は入ってこない。ただ会話をしているという情報しか処理できない程、与えられる快感は凄まじく、目の前で弾ける光と共にビクビクと体を震わせることしか出来ない。



「依夜、そろそろ終わりだ。我慢できるな?」
「あう゛っ♡う~~~ッ、ふ、ぅっ、ん゛う~~ッ♡」
「可愛いな、依夜。ほら、先っぽももっと撫でてやろうな」
「ひあ゛ぁッ♡らえ、らえッ、そこやらッ♡むり、むりぃっ!♡」
「はぁ、本当に可愛いな…さ、もう少し頑張れ」
「むぃ、むり゛ぃッ!ぁっ、ひぃッ♡やだ、それや゛らよぉッ♡」



ぐちゃぐちゃだ。もう何もかもぐちゃぐちゃ。下着は俺の愚息から溢れた粘液によってべたべたのぬちゃぬちゃで、秀にぃさんはわざとそれをなぶり、聞かせるようにぬちぬちと音を立ててくる。視覚だけでなく、聴覚でさえ快楽に蹂躙されているようだ。



「ヒッ、あ゛うぅ~~~っ♡、ん゛ぅっ!あんッ♡はっ、はぁっ♡」



ニィさんの声が聞こえる。いつもの平坦な声だが、どこか愉しげだ。何を言っているのかを飲み込もうと、ドロドロになって、液体になっていしまった脳味噌をかき集める。



「あぁッ、ひぃんッ♡はう、ッんぅ~~~っ♡」



ぬちぬち、ぐちゅぐちゅ。暴力的な快感は絶えない。



「はっ、はぁ゛っ、ひぅッ♡、はぁっ、」



3。ようやく飲み込めた言葉を反芻する。パチパチ弾けながら鈍く動き始めた脳で考えてみるも、意味がわからなかった。けれど、けれども。



「はーっ、ふ、ひぃ…っ♡い、クぅ…ッ♡いく、い゛ぐッ…♡はっ、はぁっ…ふーっ♡う゛ーっ♡」



2。体と本能に叩きつけられた光景がフラッシュバックする。そう、そうだ。あの日も、こうやって、数を数えられて、それで、





1。




「イケ」


2人の声が重なる。それは合図であり、命令だ。


「ッあ゛、」


バチンッ、というけたたましい音と共に、一際大きな泡沫が弾けた。



「っ~~~~~~~~ッッ♡♡♡」




瞬間体を駆け抜けていく快楽。暴れ、のたうち回っていた熱が一気に放出され、苦痛すら感じてしまうのに、しまうのに、恐ろしいほどに気持ちが良い。
びゅるる、というはしたない音が鼓膜を揺さぶって、どぷりと溢れ出た白が眼球を染め、ぶちまけられた性の香りが鼻腔をくすぐる。もちろんそんな擬音は聞こえていないし、白も滲む程度、性の香りもうっすらとしかしないのだが、蹂躙され尽くした脳内は勝手にそうであると思い込んでいる。

許容範囲を超えた快感は受け止める事など出来ず、シーツを巻き込んでつま先を握り込み体を丸め、腹部に回された逞しい腕に必死に縋って、快楽の波が引いていくのを堪えるほかない。



「ほう、ギリギリ絶えたか。偉いな、依夜」
「ッあ゛ぁっ!?ヒッ、う゛~~っ!?♡」



目の前で俺のあられもない姿を見つめていたニィさんが、不意に頭を撫でる。しかしタイミングが悪かった。未だ快楽の波に晒されている俺にとって、頭撫でるなんて甘やかす行動は、快感にしかならなかったのだから。

音をつけるのならぴゅる、という擬音がふさわしいだろう。尿道に残っていた精子を吐き出すように、少量の白が溢れ出た。先程のスパークに比べて比較的に浅く小さいものではあったが、それでも快感に違いはない。
俺は口を閉じる事も出来ず、唾液をしとど垂らしながら、はぁ、はぁ、と熱い息を吐いた。


「…すまない、大丈夫か?」
「ッ、うん゛っ、らい、じょおぶ…っ♡」


気遣わしげな声が聞こえ、ぼんやりと返答する。激しく荒れていた波は徐々に引いていき、今は全身を満たす暖かさと多幸感に包まれていた。つま先がじんわりと暖かく、体の力が一気に抜けていく。


「消耗させてしまったな…どうする?ご褒美は明日にするか?」
「ん~ぅ…ぅん、今日は…ふぁう…もう眠くなってきちゃった…」
「そうか…それならこのまま寝てしまいなさい」
「でも、汗かいたから…シャワー…」
「俺がやっておくから大丈夫だ。俺に世話をさせてくれるだろう?主よ」
「うん、じゃあ…やつるぎ、おねがい…ね…」


体力を消耗し切った体に、次は睡魔が襲い掛かる。最近はあまりよく眠れていなかったのもあってか、肌に触れている人肌の熱や感触に、すぐに意識が攫われていく。
結局抗うことはできずに、2人の言葉に甘えてしまった。折角久しぶりに会えたのだから、もっとたくさん話したり遊んだり、気持ちいい事も教えてもらいたかったのに。残念に思う気持ちとは裏腹に、瞼はゆっくりと落ちていった。


「ふぁ…おやすみなさい、ニィさん、秀にぃさん…」
「あぁ、おやすみ」
「おやすみ、依夜」


暗い闇へと堕ちる瞬間に聞こえた、2人の甘く優しく柔らかな声を胸に抱いて、俺は意識を手放した。








「ニルス、横にズレろ。依夜を寝かせられない」
「あぁ、戻ったか。依夜はぐっすりだな」
「疲れていんだろう。最近はあまり眠れていなかったようだしな…」
「まぁ、それも夏季休暇明けには改善されるだろう。そのための手は打った」
「そうだったな。全く、彼も執念深いものだ…」

「それにしても…余韻イキか…いずれ調教しようと思っていたのだが…依夜には才能があるらしい」
「……いや、ニルス。まだ浅いんじゃないか?俺は余韻で深いオーガズムに襲われ訳もわからず喘ぎ悶える依夜が見たいのだが…」
「………貴様はサディストなのかマゾヒストなのか、はっきりしろ」
「は、?俺は別に、サディストでもマゾヒストでもないが…」
「依夜に犬だと言われて尻尾を振っている癖によくそんな事が言えるな…首輪をつけられて喜んで、依夜の全身を隈無く舐めたがり、待てと焦らされるのが好きじゃないか、貴様は」
「それは…ただ犬になりたいだけだ。犬が飼い主の言う事を聞くのは当然だろう」
「…貴様は性癖が拗れすぎだ。性的倒錯もここまでくればいっそ清々しいな…この舐め犬が…」
「そうだニルス、依夜のアンダーヘアはない方が可愛いと思うんだが、俺が剃ってもいいか?」
「だから拗れすぎだと…はぁ……言っても無駄か。…録画を回しておくなら貴様がやれ。とはいえ夏季休暇中は時間もないだろう。やるなら冬季休暇だ」
「冬までお預けか……今から冬が待ち遠しいな…」
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