21 / 34
第21話 再びエルフ国へ
しおりを挟む
ベッドに入った俺は、ライカとの一件のせいで寝付くのに時間がかかると思ったが、余程疲れていたのかすぐに意識を失う。
次の朝、目が覚めてボーっとしているとロイスが部屋に訪ねてくる。
俺は室内に通すとロイスは申し訳なさそうな表情で話す。
「悪いな。朝早くに」
「別に構わない。どうせ起きた所だったからな……それで?」
「姫さんと連絡取れるか?」
「姫さん? エリザの事か?」
「ああ。少しエルフ国と連絡を取りたい事があるらしくてな……それなりの地位の人に直接書簡を届けたいんだ。割と急ぎらしくてな」
「確かにその条件ならエリザは適任か……連絡は取れるぞ?」
まあ連絡というか転移で直接会いに行く事になるが。
「本当か? 頼めるか?」
「わかった。引き受けるよ」
俺は少し考えて了承する。エリザも会いに行ってあげた方が喜ぶだろう。一瞬ライカの事も頭に浮かんだがとりあえず考えない事にした。
「だけど、とりあえず飯からな」
「そう言うと思ったよ」
俺とロイスは昨日と同じように兵舎の方へ移動して食事を取る。
「そういえばカイト」
「なんだ?」
「……昨日のライカとの件は本当の事なのか?」
一瞬俺の部屋での事を言われてるのかと思いドキッとしたが、冷静に考えると、謁見の間でのことを言っているのだろう。
「……まあな」
ロイスは口笛を吹き、ニヤけた顔を寄せてくる。
「おまえ……いつか刺されるぞ?」
「……ほっとけ」
俺はなぜかロイスの言葉を聞いた時、二股をすると女性に刺されて死ぬというゲームを思い出していた。
そのゲームで如何に早く女性に刺されるかというRTAをやったことがあるが、俺はなぜあんな無駄な時間を過ごしたのか、今となっては思い出せない。
俺の考えが脱線しかけると、ロイスに現実に戻される。
「カイト、話は変わるが昨日言いかけた事って何なんだ?」
「昨日? 何の話だ?」
「ほら、土産話がどうとか……」
「ああ。あのことか」
昨日あまりに色々な事が有りすぎて一瞬思い出せなかった。
どうせならもったいぶって話してやるか。
「まあ……たいした話じゃないんだ。昨日ダンジョンを一つ攻略しただけさ」
「おいおい。昨日タールの爺さんに中級ダンジョンの事聞いてたが、まさかそんなはずはないよな?」
「そのまさかさ」
「本当かよ!? 誰と行ったんだよ? 俺も誘ってくれれば……」
「ん? 勿論一人だ。足手まといがいたらクリアできるものでも失敗するさ」
「俺でも足でまといか?」
「ロイスは……イイ線いってるが、まだまだ厳しいだろうな」
俺は正直に答える。
さすがに俺に影響されてすぐダンジョン攻略に乗り出されても困るからな。
実際にドラゴンやルカが相手ではロイスでは勝負にならないだろう。
「そうか……まあカイトがいうなら信じるさ、まだ強くなる余地はあるだろうからな」
「その意気だ精々精進しろよ」
「年下のお前にそう言われると流石に少し落ち込むな……」
「まあ、あのダンジョンを攻略しようとするなら、魔法戦には慣れておいた方がいいぞ?」
「おいおい。魔法かよ……なんか自信なくなってきた」
俺はロイスとの食事を終え、早速ロイスに頼まれた用事をすませに行く事にする。
まあ急いでいるみたいだったしな。
エリザから貰ったネックレスを使い、エルフ国へ行く。
どこに飛ばされるか、多少の不安があったがどうやらエリザは普通に部屋にいたみたいだ。
音も無く現れた俺にエリザは背を向けていた為、気がつかない。
俺は咳払いをひとつする。
エリザがびっくりした様子で振り返る。
俺の姿を確認したエリザが笑顔で迎えてくれる。
「カイト様。よくいらしてくれました」
「数日振りだな。変わりはないか?」
「はい。カイト様がいなくて退屈でしたけど……」
エリザの俺への思いはどうやら一過性のものでは無さそうだ。
俺の来訪を心より喜んでくれている様に感じる。
俺はロイスに頼まれてた事を思い出す。
「そういえば少し用事があるんだ」
「用事ですか?」
俺はロイスに言付けられた事を伝え、エリザに書簡を渡す。
「分かりました。お父様に渡しておきますね」
さて、用事は済んだがさすがにすぐ帰るのもな。
「……そうだ。カイト様?」
「ん? なんだ?」
「そのネックレスですけど、もう一度魔力を込めるので、預かってよろしいでしょうか?」
どうやら何度でも使用可能みたいだ。
かなり便利だな。
俺は礼を言い、エリザにネックレスを渡し再び魔力を入れてもらう。
時間がかかるのかとも思ったが、予想に反して一瞬で終わる。
俺は再度ネックレスを受け取りながら、エリザに話しかける。
「なあ、エリザ。今は時間があるのか?」
「はい! 退屈していたところですから」
聞かれるのを待っているかの様な即答だった。
余程退屈していた様子だな。
それにしても、誘ってはみたものの、どうするかな。
俺は少し考え、ある場所に案内してもらう事を思いつく。
「エルフ国の中級ダンジョンに案内してくれないか?」
「ダンジョンですか? ……まさか攻略でしょうか?」
「いやいや、今回はただの様子見のつもりだ。もしかして次に狙うダンジョンになるかもしれないからな」
「カイト様ならもしかして攻略できるかもしれませんが、ミルの中級ダンジョンに比べると大分難易度が高いそうです。私は奥まで行った事は無いのですが……」
そういえばエリザにはまだ俺が帝都のダンジョンをクリアした事を話してなかったな。
「聞いてくれ、エリザ。実は昨日帝都の中級ダンジョンをクリアしたんだ」
俺は嬉しさを隠さず笑みを浮かべながらエリザに話す。
「えっ!? まさか帝都の中級ダンジョンをですか?」
「そのまさかだ」
「す、すごいです! いったいどうやって……」
ロイスやライカ達と過去に挑戦した事のあるエリザは心底驚いてくれる。
話した甲斐が有ったな。
俺は微妙な部分は隠したままエリザにダンジョンでの事を話してやる。
エリザが挑戦した時は40層までも到達できなかった様で、俺の話に興味深げに耳を傾けている。
さすがにドラゴンの話をしたときはびっくりしていたが。
「そういう事なら我が国の中級ダンジョンへご案内します」
そう言ってエリザは出かける準備を始める。
着替えもあるので外で待っていると見知った顔が通る。
なんと王妃だ。
俺は不意の出来事にビックリするが、向こうはまだ俺に気がついていないみたいだ。
だが、さすがに直に対面して挨拶をしない訳にもいかない。
「もし、そこの若くて美しいお嬢様」
元の世界で身に付けた処世術を使うのはもはや恒例だ。
王妃はまさか自分の事だとは思わなかった様で、辺りを見回している。
「えっ? 私の事……?」
俺は王妃に近づき、さも今気がついた様なリアクションを取る。
「ああ!? 申し訳ありません間違えました! 遠目から見てもあまりにも瑞々しい肌と若々しい容姿に思わず……」
「瑞々しい……ですか?」
王妃は自分の腕を見つめニコニコしている。
「ええ。常人とは比べ物にならないくらい生気に満ち溢れています」
「まあまあそんな……」
謙遜はしつつもかなりの笑顔だ。
どうやら掴みはバッチリの様だ。
果たして掴む必要があったのかという疑問は残るが。
「挨拶が遅れました王妃様。エリザに会いに少々お邪魔してました」
「カイトさん。ようこそいらっしゃいました。自分の家の様にくつろいで下さい」
「ありがとうございます」
「今は何をしていらっしゃるのかしら?」
「エリザが部屋で着替えをしているので、ここで待っています」
王妃は少し考える素振りを見せて口を開く。
「カイトさん……よろしかったらこの後、一緒にお茶でもどうです?」
「え? い……いやそれは……」
「お母様!! カイト様は私とこれから出かける予定があります!!」
俺が答えに窮しているとそこにエリザの力強い声が響く。
どうやら準備が終わって部屋から出てきたみたいだ。
「い……いやですよエリザ。ほんの冗談じゃない」
娘の剣幕に母は少し驚いた様子だ。
「お母様のは、冗談に聞こえません!」
このまま言い合いになるのは避けたい。
「まあまあエリザ。準備ができたなら早速行こう」
エリザの肩を押し王妃様から離す。
王妃様に視線を送ると、軽く目礼をしてきた。どうやら正解だった様だ。
少し王妃と離れても、エリザの機嫌は直らない様だ。
「カイト様。お母様の言う事は気にしなくていいですから」
「ああ……だけど冗談だって言ってたし、エリザもあまり気にする事も無いと思うぞ」
わかってますと頷くエリザ、まあしばらく経てば忘れてしまうだろう。うん。
気を取り直しダンジョンへ向かう事にする。
エリザは城を出るときに護衛を付ける事を進言されていたが、俺がいるからという理由で却下していた。
まあ何かあってもエリザの転移で逃げればいいだろう。
「転移で行けますがどうしますか?」
「ここからは遠いのか?」
「いえ。実は中級ダンジョンはお城からあまり離れていません」
「なら歩いて行くか? 余り急ぐ必要もないし、なによりゆっくり話もできるからな」
「はい。私もその方が良いと思っていました」
少し機嫌も直ったようだな。
俺とエリザは歩いてダンジョンへ向かう。
移動中の会話はもちろんここ数日間の話だ。
まあ正直エリザの話はとりたててすごい事ではなかったが、普段のエリザがどんな生活をしているのかを知れたので非常に興味深いものだった。
一方俺の方はというと、ここ数日間も講習やダンジョン等、盛りだくさんの内容であったため、エリザは目を輝かせて聞いていた。
そろそろダンジョンへ到着しようかという時、それは起こった。
「カイト……あなた狙われているわよ」
不意に頭の中にルカの声が響く。
俺がエリザに気取られない様にルカに問いただそうとする。
だがそんな暇はなく、何か高速な物体が自分の元へ向かって来る事を目の端でとらえる。
瞬時にエリザを抱え、後ろへ飛ぶ。
「カ、カイト様!?」
俺の行動にエリザは混乱している。
だが間一髪で間に合ったらしく、飛んできた物体は俺とエリザが先程までいた場所を通過していく。
ルカの言葉がなければまずかった。
彼女にお礼を言おうとしたが、周囲に人の気配を感じてそれどころではないと思いとどまる。
気配は一人、また一人と増えていく。
「どう考えても、友好的な奴らじゃないな……」
俺は頭の中で必死に彼らの動機を探ろうとする。
だが、冷静じゃない今の状態ではそれすらもままならなかった――
次の朝、目が覚めてボーっとしているとロイスが部屋に訪ねてくる。
俺は室内に通すとロイスは申し訳なさそうな表情で話す。
「悪いな。朝早くに」
「別に構わない。どうせ起きた所だったからな……それで?」
「姫さんと連絡取れるか?」
「姫さん? エリザの事か?」
「ああ。少しエルフ国と連絡を取りたい事があるらしくてな……それなりの地位の人に直接書簡を届けたいんだ。割と急ぎらしくてな」
「確かにその条件ならエリザは適任か……連絡は取れるぞ?」
まあ連絡というか転移で直接会いに行く事になるが。
「本当か? 頼めるか?」
「わかった。引き受けるよ」
俺は少し考えて了承する。エリザも会いに行ってあげた方が喜ぶだろう。一瞬ライカの事も頭に浮かんだがとりあえず考えない事にした。
「だけど、とりあえず飯からな」
「そう言うと思ったよ」
俺とロイスは昨日と同じように兵舎の方へ移動して食事を取る。
「そういえばカイト」
「なんだ?」
「……昨日のライカとの件は本当の事なのか?」
一瞬俺の部屋での事を言われてるのかと思いドキッとしたが、冷静に考えると、謁見の間でのことを言っているのだろう。
「……まあな」
ロイスは口笛を吹き、ニヤけた顔を寄せてくる。
「おまえ……いつか刺されるぞ?」
「……ほっとけ」
俺はなぜかロイスの言葉を聞いた時、二股をすると女性に刺されて死ぬというゲームを思い出していた。
そのゲームで如何に早く女性に刺されるかというRTAをやったことがあるが、俺はなぜあんな無駄な時間を過ごしたのか、今となっては思い出せない。
俺の考えが脱線しかけると、ロイスに現実に戻される。
「カイト、話は変わるが昨日言いかけた事って何なんだ?」
「昨日? 何の話だ?」
「ほら、土産話がどうとか……」
「ああ。あのことか」
昨日あまりに色々な事が有りすぎて一瞬思い出せなかった。
どうせならもったいぶって話してやるか。
「まあ……たいした話じゃないんだ。昨日ダンジョンを一つ攻略しただけさ」
「おいおい。昨日タールの爺さんに中級ダンジョンの事聞いてたが、まさかそんなはずはないよな?」
「そのまさかさ」
「本当かよ!? 誰と行ったんだよ? 俺も誘ってくれれば……」
「ん? 勿論一人だ。足手まといがいたらクリアできるものでも失敗するさ」
「俺でも足でまといか?」
「ロイスは……イイ線いってるが、まだまだ厳しいだろうな」
俺は正直に答える。
さすがに俺に影響されてすぐダンジョン攻略に乗り出されても困るからな。
実際にドラゴンやルカが相手ではロイスでは勝負にならないだろう。
「そうか……まあカイトがいうなら信じるさ、まだ強くなる余地はあるだろうからな」
「その意気だ精々精進しろよ」
「年下のお前にそう言われると流石に少し落ち込むな……」
「まあ、あのダンジョンを攻略しようとするなら、魔法戦には慣れておいた方がいいぞ?」
「おいおい。魔法かよ……なんか自信なくなってきた」
俺はロイスとの食事を終え、早速ロイスに頼まれた用事をすませに行く事にする。
まあ急いでいるみたいだったしな。
エリザから貰ったネックレスを使い、エルフ国へ行く。
どこに飛ばされるか、多少の不安があったがどうやらエリザは普通に部屋にいたみたいだ。
音も無く現れた俺にエリザは背を向けていた為、気がつかない。
俺は咳払いをひとつする。
エリザがびっくりした様子で振り返る。
俺の姿を確認したエリザが笑顔で迎えてくれる。
「カイト様。よくいらしてくれました」
「数日振りだな。変わりはないか?」
「はい。カイト様がいなくて退屈でしたけど……」
エリザの俺への思いはどうやら一過性のものでは無さそうだ。
俺の来訪を心より喜んでくれている様に感じる。
俺はロイスに頼まれてた事を思い出す。
「そういえば少し用事があるんだ」
「用事ですか?」
俺はロイスに言付けられた事を伝え、エリザに書簡を渡す。
「分かりました。お父様に渡しておきますね」
さて、用事は済んだがさすがにすぐ帰るのもな。
「……そうだ。カイト様?」
「ん? なんだ?」
「そのネックレスですけど、もう一度魔力を込めるので、預かってよろしいでしょうか?」
どうやら何度でも使用可能みたいだ。
かなり便利だな。
俺は礼を言い、エリザにネックレスを渡し再び魔力を入れてもらう。
時間がかかるのかとも思ったが、予想に反して一瞬で終わる。
俺は再度ネックレスを受け取りながら、エリザに話しかける。
「なあ、エリザ。今は時間があるのか?」
「はい! 退屈していたところですから」
聞かれるのを待っているかの様な即答だった。
余程退屈していた様子だな。
それにしても、誘ってはみたものの、どうするかな。
俺は少し考え、ある場所に案内してもらう事を思いつく。
「エルフ国の中級ダンジョンに案内してくれないか?」
「ダンジョンですか? ……まさか攻略でしょうか?」
「いやいや、今回はただの様子見のつもりだ。もしかして次に狙うダンジョンになるかもしれないからな」
「カイト様ならもしかして攻略できるかもしれませんが、ミルの中級ダンジョンに比べると大分難易度が高いそうです。私は奥まで行った事は無いのですが……」
そういえばエリザにはまだ俺が帝都のダンジョンをクリアした事を話してなかったな。
「聞いてくれ、エリザ。実は昨日帝都の中級ダンジョンをクリアしたんだ」
俺は嬉しさを隠さず笑みを浮かべながらエリザに話す。
「えっ!? まさか帝都の中級ダンジョンをですか?」
「そのまさかだ」
「す、すごいです! いったいどうやって……」
ロイスやライカ達と過去に挑戦した事のあるエリザは心底驚いてくれる。
話した甲斐が有ったな。
俺は微妙な部分は隠したままエリザにダンジョンでの事を話してやる。
エリザが挑戦した時は40層までも到達できなかった様で、俺の話に興味深げに耳を傾けている。
さすがにドラゴンの話をしたときはびっくりしていたが。
「そういう事なら我が国の中級ダンジョンへご案内します」
そう言ってエリザは出かける準備を始める。
着替えもあるので外で待っていると見知った顔が通る。
なんと王妃だ。
俺は不意の出来事にビックリするが、向こうはまだ俺に気がついていないみたいだ。
だが、さすがに直に対面して挨拶をしない訳にもいかない。
「もし、そこの若くて美しいお嬢様」
元の世界で身に付けた処世術を使うのはもはや恒例だ。
王妃はまさか自分の事だとは思わなかった様で、辺りを見回している。
「えっ? 私の事……?」
俺は王妃に近づき、さも今気がついた様なリアクションを取る。
「ああ!? 申し訳ありません間違えました! 遠目から見てもあまりにも瑞々しい肌と若々しい容姿に思わず……」
「瑞々しい……ですか?」
王妃は自分の腕を見つめニコニコしている。
「ええ。常人とは比べ物にならないくらい生気に満ち溢れています」
「まあまあそんな……」
謙遜はしつつもかなりの笑顔だ。
どうやら掴みはバッチリの様だ。
果たして掴む必要があったのかという疑問は残るが。
「挨拶が遅れました王妃様。エリザに会いに少々お邪魔してました」
「カイトさん。ようこそいらっしゃいました。自分の家の様にくつろいで下さい」
「ありがとうございます」
「今は何をしていらっしゃるのかしら?」
「エリザが部屋で着替えをしているので、ここで待っています」
王妃は少し考える素振りを見せて口を開く。
「カイトさん……よろしかったらこの後、一緒にお茶でもどうです?」
「え? い……いやそれは……」
「お母様!! カイト様は私とこれから出かける予定があります!!」
俺が答えに窮しているとそこにエリザの力強い声が響く。
どうやら準備が終わって部屋から出てきたみたいだ。
「い……いやですよエリザ。ほんの冗談じゃない」
娘の剣幕に母は少し驚いた様子だ。
「お母様のは、冗談に聞こえません!」
このまま言い合いになるのは避けたい。
「まあまあエリザ。準備ができたなら早速行こう」
エリザの肩を押し王妃様から離す。
王妃様に視線を送ると、軽く目礼をしてきた。どうやら正解だった様だ。
少し王妃と離れても、エリザの機嫌は直らない様だ。
「カイト様。お母様の言う事は気にしなくていいですから」
「ああ……だけど冗談だって言ってたし、エリザもあまり気にする事も無いと思うぞ」
わかってますと頷くエリザ、まあしばらく経てば忘れてしまうだろう。うん。
気を取り直しダンジョンへ向かう事にする。
エリザは城を出るときに護衛を付ける事を進言されていたが、俺がいるからという理由で却下していた。
まあ何かあってもエリザの転移で逃げればいいだろう。
「転移で行けますがどうしますか?」
「ここからは遠いのか?」
「いえ。実は中級ダンジョンはお城からあまり離れていません」
「なら歩いて行くか? 余り急ぐ必要もないし、なによりゆっくり話もできるからな」
「はい。私もその方が良いと思っていました」
少し機嫌も直ったようだな。
俺とエリザは歩いてダンジョンへ向かう。
移動中の会話はもちろんここ数日間の話だ。
まあ正直エリザの話はとりたててすごい事ではなかったが、普段のエリザがどんな生活をしているのかを知れたので非常に興味深いものだった。
一方俺の方はというと、ここ数日間も講習やダンジョン等、盛りだくさんの内容であったため、エリザは目を輝かせて聞いていた。
そろそろダンジョンへ到着しようかという時、それは起こった。
「カイト……あなた狙われているわよ」
不意に頭の中にルカの声が響く。
俺がエリザに気取られない様にルカに問いただそうとする。
だがそんな暇はなく、何か高速な物体が自分の元へ向かって来る事を目の端でとらえる。
瞬時にエリザを抱え、後ろへ飛ぶ。
「カ、カイト様!?」
俺の行動にエリザは混乱している。
だが間一髪で間に合ったらしく、飛んできた物体は俺とエリザが先程までいた場所を通過していく。
ルカの言葉がなければまずかった。
彼女にお礼を言おうとしたが、周囲に人の気配を感じてそれどころではないと思いとどまる。
気配は一人、また一人と増えていく。
「どう考えても、友好的な奴らじゃないな……」
俺は頭の中で必死に彼らの動機を探ろうとする。
だが、冷静じゃない今の状態ではそれすらもままならなかった――
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
転生したら世界一の御曹司だった〜巨乳エルフメイド10人と美少女騎士に溺愛されています〜
まさき
青春
異世界転生した最強の金持ち嫡男、
専属エルフメイドと美少女騎士に囲まれて至福のハーレム生活
現代日本で「地味だが実は超大富豪」という特殊な人生を送っていた青年は、ある日事故で命を落とす。
しかし目を覚ますと、そこは魔法と様々な種族が存在する異世界だった。
彼は大陸一の富を誇る名門貴族――
ヴァン・バレンティン家の嫡男カイルとして転生していたのだ。
カイルに与えられたのは
・世界一とも言える圧倒的な財力
・財力に比例して増大する規格外の魔力
そして何より彼を驚かせたのは――
彼に仕える十人の専属メイド全員が、巨乳美少女だったことである。
献身的なエルフのメイド長リリア。
護衛騎士でありながら隙あらば誘惑してくる女騎士シルヴィア。
さらに個性豊かな巨乳メイドたち。
カイルは持ち前の財力で彼女たちの願いを叶え、最高級の装備や生活を与えていく。
すると彼女たちの忠誠心と愛情はどんどん加速していき――
「カイル様……今日は私が、お世話をさせてください」
領地を狙う貴族を金と魔力で圧倒し、
時にはメイドたちの愛が暴走して甘すぎる時間に巻き込まれながらも、
最強の御曹司カイルは
世界一幸せなハーレムを築いていく。
最後までお読みいただきありがとうございました。よろしければ応援をお願いいたします。
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
MP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~
シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。
木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。
しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。
そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。
【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】
最弱スライムに転生した俺、捕食スキルで無限進化していたら魔王軍すら支配してました
チー牛Y
ファンタジー
残業中に倒れた俺が次に目を覚ました時、なぜか異世界で最弱モンスターのスライムになっていた。
完全に詰んだ、戦う力もない。そう思っていた時、俺には一つだけ、とんでもないスキルがあった。
【捕食】
それは、倒した相手を取り込み、能力・スキル・力のすべてを奪うチート能力だった。
ゴブリンを食べれば腕力を獲得。
魔物を食べれば新スキルを習得。
レベルは爆速で上がり、進化は止まらない。
森の魔物を支配し、ダンジョンを制圧し、気づけば俺は魔物たちの王になっていた。
やがてその力は魔王軍すら飲み込み、世界の勢力図を塗り替えていく。
これは――
最弱スライムから始まる、無限進化の成り上がり無双譚。
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
ブラック企業でポイントを極めた俺、異世界で最強の農民になります
はぶさん
ファンタジー
ブラック企業で心をすり減らし過労死した俺が、異世界で手にしたのは『ポイント』を貯めてあらゆるものと交換できるスキルだった。
「今度こそ、誰にも搾取されないスローライフを送る!」
そう誓い、辺境の村で農業を始めたはずが、飢饉に苦しむ人々を見過ごせない。前世の知識とポイントで交換した現代の調味料で「奇跡のプリン」を生み出し、村を救った功績は、やがて王都の知るところとなる。
これは、ポイント稼ぎに執着する元社畜が、温かい食卓を夢見るうちに、うっかり世界の謎と巨大な悪意に立ち向かってしまう物語。最強農民の異世界改革、ここに開幕!
毎日二話更新できるよう頑張ります!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる