スライムは仲間を呼んだ!~デバフで支援してたのに追放された俺はスライム狩りでレベル爆増!魔王を倒したら惚れられ、気付けばハーレム状態に!

藤村

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第二章 古代の魔法編①

第16話 魔獣・ケルべズス

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 ダンジョンに入るなり。
 俺たちは、いきなり光に包まれた。

「む? これは……」
「まさかトラップですか!?」
「チッ!」

 どうやら転移トラップに引っかかってしまったらしい。
 
 もう少し注意深く歩くべきだったと後悔しても、もう遅かった。



「まんまと分断されてしまったというわけか。まぁいい。とりあえずは」

 スキル【超威圧フルプレッシャー】レベル5!

 さらには、範囲超過オーバーレンジ! 

 俺はスキルの範囲を【古代神殿】全域に指定し、対象をモンスターのみに絞った。
 
 万が一他の冒険者が来ていた場合に備えての配慮だ。

「これでモンスターと遭遇することはなくなるだろう」

 サタナは俺の【超威圧フルプレッシャー】に曝されてしまうが。
 あいつなら、けろっとした顔をしているに違いない。

「道は分からないが、とにかく進んでみるか」

 薄暗い道がまっすぐに伸びていたが、
 左右等間隔に設置された松明の灯りが視界を確保してくれていた。
 
 壁面にはよく分からない文字とイラストが描かれていた。

「宗教画かなにかか?」

 大勢の生物らしきイラストが、黒く塗りつぶされた球体にひれ伏している。
 それがどこまでも続いていて、異様な雰囲気を醸し出していた。
 しばらく進むと、分かれ道が姿を現した。

「ふむ……」

 どちらに進むかは悩まなかった。
 悩んだところでどうせ何も分からないのだ。
 
 というわけで。
 俺は直感で、左の道を選んだ。
 壁面に描かれているイラストに変化はなく、同じ絵柄だけがひたすらに続いていた。

「ここか」

 松明の灯りを頼りに歩を進めながら、
 俺はダンジョンを踏破していった。
 
 時には階段を下り。
 時には同じ場所をぐるぐると歩き回った。
 そうこうしている間に、ようやくたどり着いたのだ。

 豪華な装飾の施された両開き式の大扉。
 間違いない。この先がボスフロアだ。

「二人ともボスフロアに着いているだろうか?」

 ケルべズスは三位一体のモンスター・ケルベロスの魂が分断されたことによって生まれたモンスターらしい。

 その特異性故か。
 三匹同時に撃破しなければ、倒せない。
 つまり、俺一人がボスフロアに辿り着いたところで意味は無いのだ。

「まさか、あれはトラップではなかったのか?」

 俺は考え直してみた。
 このダンジョンに入るなりいきなり分断されたが、それは先人による手助けの一環だったのではないか、と。

 ケルべズスの生息フロアが統一されていない以上、パーティでの行動は逆効果。
 
 このダンジョンでは単独行動こそが最適解なのかもしれない。

「なにはともあれ行くしかない、か」

 俺はカラドボルグを引き抜いた。
 そして、いつでも戦闘態勢を取れるようにしてから、門扉を押した。

 重厚な雰囲気を受ける見た目だが。
 扉は、思ったよりもすんなりと開かれた。 

#

 ――目線:メアリ――

「なるほど、そういうことですか」

 転移トラップによる分断かと思いましたが、どうやらそうでもないらしいですね。

 先程の転移魔法陣からは邪悪な魔力を感じなかった。
 
 つまりあれは、以前ここに訪れた冒険者が仕掛けたものだということ。

「感謝しなくてはなりませんね。思えば確かにこれが最適解。ケルべズスの生態を考えれば、単独行動こそが理に適ってますからね」

 これはあくまでも私の予想ですが、
 私たちはそれぞれ別のフロアに飛ばされたのでしょう。
 
 同時に倒さなければならないというケルべズスの性質を思えば、そう考えるのが自然です。

 それにしても……。

「なんですか、この壁画は」

 黒い球……これは、太陽?

 そしてそれにひれ伏しているのは……。
 まるで見たこともない生き物ですね。
 人間でもなければモンスターでもない。
 古代魔法に関係性があるのでしょうか?

 私は奇妙な雰囲気を感じながらも歩き続けました。
 
 闇の濃い空間でしたが、左右に設置された松明の灯りが辺りを照らしてくれていたので、難なく進むことが出来たのです。

「それにしても、やけにモンスターが出ませんね」

 ダンジョンは難易度が高ければ高い程モンスターの数も増え、会敵率も上昇する。

 ですが、未だに一度もエンカウントしていないということは。

「ふふ」

 レインさんのお陰、ですね。
 きっとこのダンジョン全域に効果を発揮させているのでしょう。
 
 まさに大賢者・ファーミンが如くの神業!
 感服するしかありません。

 このダンジョンを攻略したら。
 そしたら、そろそろ明かしてもいいかもしれませんね。
 
 内に秘めた、私の気持ちを――。

 レインさんのことを考えているうちに、気付いたらボスエリアまで辿り着いていたようです。

 あの重厚な雰囲気の門扉。
 間違いありません。
 あの先にいるのでしょう。

 魔獣・ケルべズスが。

#

 ――目線・サタナ――

「ほほう、転移トラップか。中々に粋な計らいをするではないか。まあ良い。どのような小細工も妾の前では無意味なのだという事を知らしめてやろうではないか」

 初級魔法・ブラックアイス!

 サタナの発動した初級魔法・ブラックアイスは壁面に薄い氷を張り巡らせていった。

「ふむ、あそこか」

 サタナは薄氷を張り巡らせた。
 そしてフロアの形状を即座に認識し、
 ボスフロアの場所を瞬時に特定した。

 直後。
 レインのスキルが、サタナの全身を覆い尽くした。

「ふふっ。そんなに激しくしたら……」

 感じてしまうではないか――。

 サタナは恍惚とした表情で歩を進め。
 あっという間にボスフロアへと到達した。

「感動の再会、というやつかのう?」

 薄氷により門扉は固く膠着していた。
 なので、サタナは無遠慮に門扉を破壊し押し入った。

「ふむ、久しいではないか! ケルベロスよ」

 サタナの姿を認めると。
 ケルべズスは、ギリギリと牙を鳴らした。

『貴様……この俺に殺されたいのか?』
「いや、死ぬのはお主じゃ。感動の再会を果たしたというのに第一声がそれとはのう。妾の寵愛を踏みにじった無礼に対する謝罪があれば生かしてやっても良かったのだが」
『クク、相も変らぬ態度だな。だがあまり図に乗るなよ? 俺はもうあの時とは違う。ここで貴様を殺し俺が魔王となる! 今から泣き喚く準備をしておくんだなッ!!』
「……ふっ、そいつは楽しみだ」
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