スライムは仲間を呼んだ!~デバフで支援してたのに追放された俺はスライム狩りでレベル爆増!魔王を倒したら惚れられ、気付けばハーレム状態に!

藤村

文字の大きさ
17 / 65
第二章 古代の魔法編①

第17話 メアリと極悪コンボ

しおりを挟む
『久しきの客人が誰かと思えば、こんな小娘だとはな』
「人を見た目で判断してはいけません……などという教養がモンスターにあるわけないですか」

 それにしても随分と大きいですね。
 これでも従来の姿の三分の一、ですか。
 さすがSSSランクモンスターなだけはありますね。

「火の精よ、我に力を与え給え。ファイアーボール!!」

 メアリの放ったファイアーボールの強さは控えめなものだった。
 
 受付嬢としての性とでも言うべきか。
 なるべくダンジョンを損壊させずに戦うという思考が彼女には刷り込まれているのだ。

『舐めているのか、小娘』

 ブワァッ!!

 メアリの放ったファイアーボール。
 ケルべズスはそれを鼻息でかき消して見せた。

 お前の攻撃など回避にすら値しない。
 そういう意思表示だ。

「へぇ、やりますね。手加減したとはいえ私のファイアーボールは上級魔法にも劣らぬ威力。それを鼻息一つでかき消してしまうとは」

 ファイアーボール。
 それは初級魔法である。

 魔術師を目指す人間が一番最初に会得する魔法、それがファイアーボール。
 
 そのため、ファイアーボールは全魔法に通ずるという格言もある。
 メアリの手にかかれば、
 そんなファイアーボールでさえも上級魔法と同等の威力と化す。

『なんだ小娘。まさか、俺の力量を推し量っているつもりでいるのか?』
「まさか! 推し量るまでもありません。貴方の力量は長らく続く人類史によって既に明らかになっていますから」

 ケルべズスは釈然としない、
 といった様子である。

『ならばなぜそんな無駄なことをする。最初から全力を出せば良かろう』
「は?」

 メアリは眉を八の字に曲げて首を傾げた。
 それから唇の端を釣り上げて「どうしてですか?」と問いを発した。

「もしかして勘違いしてます?」
『なに?』
「笑わせないで下さいよ。この私が有象無象に本気を出すだなんて、そんな無駄なことするはずがないじゃありませんか。面白いモンスターですねぇ、あなたは」
『……なるほど。貴様のことはよく分かった。もういい、死ね』

 ケルべズスは巨大な腕を振り上げ、渾身の力で三本の爪を振り下ろした。

 その攻撃は容赦なくメアリに直撃。
 メアリは数メートル後方の壁面に叩きつけられた。

 ズドォオンッ!!

『ふん、口程にもない。身の丈を弁えていればまだ長生きが出来たものを……』

 あまりにも呆気ない決着。
 そう思われたが――。

 ガラガラ……。

『――ッ!?』
「あーーーーー……なにを勘違いしてるんですかァ? もしかして今ので殺せたとでも思いましたあ? あははっ! 笑わせないで下さいよ、犬畜生風情がよォ」
『どういうことだ。貴様のレベルはせいぜい20かそこら。俺の攻撃を受けて生きていられる道理がない。なんだ、なにをした』
「あはははっ! 可愛いワンちゃんですねェ。怖いですかあ? 自分に理解できないことが目の前で起きるのは? ふふ、怖いでしょう? あはははは」
『黙れ! 俺の質問に答えろ!! 一体どんなインチキを使ったのだッ!!』
「別にインチキじゃありませんよォ? 冒険者らしくアイテムを効果的に活用しただけです」
『アイテム、だと?』
「ふふっ。こう見えて私、現代最強の大魔術師と呼ばれているんですぅ」
『現代最強の大魔術師……だと?』

 メアリ・ルー。
 彼女のレベルは18。
 つまりは20にも満たない程の低さである。
 
 原則として、冒険者は高レベルの方が強いとされている。
 当たり前だが、高レベルのほうがステータスが高いからだ。

 だが、メアリはその常識を逆手・・に取ることで最強の魔術師へと成り上がった人物だ。

「私が装備しているこの杖、これは世界に一つしか無い超レア装備なんですよ」

 その名も、
 大賢者の杖ファーミン・ケイン

大賢者の杖ファーミン・ケイン、だと……』
「この杖は大気中の魔力を四六時中吸収し、そのエネルギーを持ち主へと還元する。つまり、この杖を装備している限り私の魔力は無限なんですよ」

 さらに、
 とメアリは続ける。

「私が学生時代に開発した固有オリジナル魔法により、私へのダメージは全てこの杖へと蓄積されるのです」
『……フハッ! そんなバカな話があるか。なれば先の一振りでその杖は粉々に砕け散っていたはず! いくら大賢者の杖ファーミン・ケインとはいえ、俺の攻撃に耐えられる程の頑強さを持ち合わせている訳がないのだからな!!』

 メアリは「その通りです」と肯定した。

『なにっ!?』
「あなたのいう事は全て正しい。いくら世界に一つしか無いとされる大賢者の杖ファーミン・ケインでも、あなたの攻撃を受ければ原型を留めることは不可能でしょうね」
『ははは! やはりそうではないか。簡単にバレる嘘をつくとは、器が知れるぞ小娘』
「いいえ、嘘はついていませんよ?」
『は?』
「はー。頭の悪い生物への教育は簡単ではないのですね。うう、あの子らの理解の早さが今は恋しいです」
『何を言っている』
「分かり易く教えてあげましょう。私の魔力は無限、それは理解していますね?」
『小娘の魔力は無限。ウム、それは分かるぞ!』

 突如として始まったメアリによる授業。
 教師時代の癖が出てしまったらしいが。
 今この空間において、この異常事態を止められる人物はどこにもいなかった。

「そして、私への攻撃は全て大賢者の杖ファーミン・ケインが引き受けてくれる。それも分かりますね?」
『それは説明してもらったからな。だがそこから先が分からんのだ。小娘は自分で認めたではないか。俺の攻撃を受ければ大賢者の杖ファーミン・ケインは砕けてしまうと』
「はい。なので、私はそうならないために工夫しているんです」
『そうならないための工夫?』
「十秒だけ時間をあげます。分かったら手を上げるように」
『う、ウム』

 そうならないための工夫だと?
 そんなことが可能なのか?

 ケルべズスは思考を回転させた。
 だが、答えを導き出す前に時間が経過してしまった。

「そこまで!」

 ぱんっ!
 とメアリが手を叩く。

『ウウ……』
「バカなあなたに答えを教えてあげましょう」

 メアリは満面の笑みで答えを告げた。

「つまり、私は常に大賢者の杖ファーミン・ケインを対象とした回復魔法を発動しているのです。一秒たりとも休むことなく、まさに四六時中・二十四時間中です」
『なん、だと……。そんなバカな事、出来るはずがなかろうがッ!!』
「それが出来ちゃうんですよ。無限の魔力があれば、の話ですけれどね」
『――ッ!! そういうことか!!』
「はい。そういうことです」
『ぐう……小賢しい真似を! だがその程度で勝ち誇るとはやはり所詮は小娘よ!! 常時回復魔法を発動しようが、ダメージを肩代わりしようが、無限の魔力があろうが、弱点である頭部を叩き潰してしまえば全部関係なかろうッ!!! そうだろうがッ!!!』
「そう思うなら試してみては?」
『グギギギィ! 小賢しいぞ小娘ぇッ!!』

 ケルべズスは二発、三発、四発と攻撃を加えていく。
 
 その度にメアリは吹き飛ばされる。
 そして、衝突した壁面には蜘蛛の巣状の亀裂が生じていった。
 が、しかし――。

「満足しましたか?」
『ハァ、ハァ、ハァ。ば、バカな! お前はまさか……まさか、不死身なのか!?』
「な訳ねェだろバカが」

 嘲笑を浮かべながら、メアリが地面に拳を突き立てる。すると。

 ドゴァアアアンッ!!

 地面はバラバラに砕け散り、
 メアリとケルべズスは一つ下のフロアへと落下していったのだった。

『グォッ!? 貴様、どこにこんな力を!?』
「私のスキル【貯痛ペイン・セーブ】の効果ですよ。受けたダメージを蓄積し好きなタイミングで解放できるスキルです」

 刹那、ケルべズスは驚きに絶句した。
 あまり賢くない頭でも理解したのである。
 彼女のコンボの極悪性を。

『だから貴様はッ! あえてレベルを……』
「はい。低レベルの方が受けるダメージは大きくなりますからね。その為にこんなものまで装備しているんですよ?」

 メアリが胸元から取り出したネックレス。
 それは、レベルアップを封じる魔石であった。

『き、貴様は……! 貴様は悪魔だッ!!』
「何とでも言って下さい」

 全ては仇討のため。
 あの子を弔うため。
 目的のためなら、私はなんと呼ばれても構わなかったんですから。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

《レベル∞》の万物創造スキルで追放された俺、辺境を開拓してたら気づけば神々の箱庭になっていた

夏見ナイ
ファンタジー
勇者パーティーの雑用係だったカイは、魔王討伐後「無能」の烙印を押され追放される。全てを失い、死を覚悟して流れ着いた「忘れられた辺境」。そこで彼のハズレスキルは真の姿《万物創造》へと覚醒した。 無から有を生み、世界の理すら書き換える神の如き力。カイはまず、生きるために快適な家を、豊かな畑を、そして清らかな川を創造する。荒れ果てた土地は、みるみるうちに楽園へと姿を変えていった。 やがて、彼の元には行き場を失った獣人の少女やエルフの賢者、ドワーフの鍛冶師など、心優しき仲間たちが集い始める。これは、追放された一人の青年が、大切な仲間たちと共に理想郷を築き、やがてその地が「神々の箱庭」と呼ばれるまでの物語。

スキル間違いの『双剣士』~一族の恥だと追放されたが、追放先でスキルが覚醒。気が付いたら最強双剣士に~

きょろ
ファンタジー
この世界では5歳になる全ての者に『スキル』が与えられる――。 洗礼の儀によってスキル『片手剣』を手にしたグリム・レオハートは、王国で最も有名な名家の長男。 レオハート家は代々、女神様より剣の才能を与えられる事が多い剣聖一族であり、グリムの父は王国最強と謳われる程の剣聖であった。 しかし、そんなレオハート家の長男にも関わらずグリムは全く剣の才能が伸びなかった。 スキルを手にしてから早5年――。 「貴様は一族の恥だ。最早息子でも何でもない」 突如そう父に告げられたグリムは、家族からも王国からも追放され、人が寄り付かない辺境の森へと飛ばされてしまった。 森のモンスターに襲われ絶対絶命の危機に陥ったグリム。ふと辺りを見ると、そこには過去に辺境の森に飛ばされたであろう者達の骨が沢山散らばっていた。 それを見つけたグリムは全てを諦め、最後に潔く己の墓を建てたのだった。 「どうせならこの森で1番派手にしようか――」 そこから更に8年――。 18歳になったグリムは何故か辺境の森で最強の『双剣士』となっていた。 「やべ、また力込め過ぎた……。双剣じゃやっぱ強すぎるな。こりゃ1本は飾りで十分だ」 最強となったグリムの所へ、ある日1体の珍しいモンスターが現れた。 そして、このモンスターとの出会いがグレイの運命を大きく動かす事となる――。

外れスキル【アイテム錬成】でSランクパーティを追放された俺、実は神の素材で最強装備を創り放題だったので、辺境で気ままな工房を開きます

夏見ナイ
ファンタジー
Sランクパーティで「外れスキル」と蔑まれ、雑用係としてこき使われていた錬金術師のアルト。ある日、リーダーの身勝手な失敗の責任を全て押し付けられ、無一文でパーティから追放されてしまう。 絶望の中、流れ着いた辺境の町で、彼は偶然にも伝説の素材【神の涙】を発見。これまで役立たずと言われたスキル【アイテム錬成】が、実は神の素材を扱える唯一無二のチート能力だと知る。 辺境で小さな工房を開いたアルトの元には、彼の作る規格外のアイテムを求めて、なぜか聖女や竜王(美少女の姿)まで訪れるようになり、賑やかで幸せな日々が始まる。 一方、アルトを失った元パーティは没落の一途を辿り、今更になって彼に復帰を懇願してくるが――。「もう、遅いんです」 これは、不遇だった青年が本当の居場所を見つける、ほのぼの工房ライフ&ときどき追放ざまぁファンタジー!

異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします

Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。 相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。 現在、第四章フェレスト王国ドワーフ編

地味スキル「ためて・放つ」が最強すぎた!~出来損ないはいらん!と追い出したくせに英雄に駆け上がってから戻れと言われても手遅れです~

かくろう
ファンタジー
【ためて・放つ】という地味スキルを一生に一度の儀式で授かってしまった主人公セージ。  そのせいで家から追放され、挙げ句に異母弟から殺されかけてしまう。  しかしあらゆるものを【ためる】でパワフルにできるこのスキルは、最高ランクの冒険者すらかすんでしまうほどのぶっ壊れ能力だった!  命からがら魔物の強襲から脱したセージは、この力を駆使して成り上がっていく事を決意する。  そして命の危機に瀕していた少女リンカニアと出会い、絆を深めていくうちに自分のスキルを共有できる事に気が付いた。 ――これは、世界で類を見ない最強に成り上がっていく主人公と、彼の元へ集まってくる仲間達との物語である。

生贄にされた少年。故郷を離れてゆるりと暮らす。

水定ゆう
ファンタジー
 村の仕来りで生贄にされた少年、天月・オボロナ。魔物が蠢く危険な森で死を覚悟した天月は、三人の異形の者たちに命を救われる。  異形の者たちの弟子となった天月は、数年後故郷を離れ、魔物による被害と魔法の溢れる町でバイトをしながら冒険者活動を続けていた。  そこで待ち受けるのは数々の陰謀や危険な魔物たち。  生贄として魔物に捧げられた少年は、冒険者活動を続けながらゆるりと日常を満喫する!  ※とりあえず、一時完結いたしました。  今後は、短編や別タイトルで続けていくと思いますが、今回はここまで。  その際は、ぜひ読んでいただけると幸いです。

異世界に転生した俺は英雄の身体強化魔法を使って無双する。~無詠唱の身体強化魔法と無詠唱のマジックドレインは異世界最強~

北条氏成
ファンタジー
宮本 英二(みやもと えいじ)高校生3年生。 実家は江戸時代から続く剣道の道場をしている。そこの次男に生まれ、優秀な兄に道場の跡取りを任せて英二は剣術、槍術、柔道、空手など様々な武道をやってきた。 そんなある日、トラックに轢かれて死んだ英二は異世界へと転生させられる。 グランベルン王国のエイデル公爵の長男として生まれた英二はリオン・エイデルとして生きる事に・・・ しかし、リオンは貴族でありながらまさかの魔力が200しかなかった。貴族であれば魔力が1000はあるのが普通の世界でリオンは初期魔法すら使えないレベル。だが、リオンには神話で邪悪なドラゴンを倒した魔剣士リュウジと同じ身体強化魔法を持っていたのだ。 これは魔法が殆ど使えない代わりに、最強の英雄の魔法である身体強化魔法を使いながら無双する物語りである。

『スローライフどこ行った?!』追放された最強凡人は望まぬハーレムに困惑する?!

たらふくごん
ファンタジー
最強の凡人――追放され、転生した蘇我頼人。 新たな世界で、彼は『ライト・ガルデス』として再び生を受ける。 ※※※※※ 1億年の試練。 そして、神をもしのぐ力。 それでも俺の望みは――ただのスローライフだった。 すべての試練を終え、創世神にすら認められた俺。 だが、もはや生きることに飽きていた。 『違う選択肢もあるぞ?』 創世神の言葉に乗り気でなかった俺は、 その“策略”にまんまと引っかかる。 ――『神しか飲めぬ最高級のお茶』。 確かに神は嘘をついていない。 けれど、あの流れは勘違いするだろうがっ!! そして俺は、あまりにも非道な仕打ちの末、 神の娘ティアリーナが治める世界へと“追放転生”させられた。 記憶を失い、『ライト・ガルデス』として迎えた新しい日々。 それは、久しく感じたことのない“安心”と“愛”に満ちていた。 だが――5歳の洗礼の儀式を境に、運命は動き出す。 くどいようだが、俺の望みはスローライフ。 ……のはずだったのに。 呪いのような“女難の相”が炸裂し、 気づけば婚約者たちに囲まれる毎日。 どうしてこうなった!?

処理中です...