スライムは仲間を呼んだ!~デバフで支援してたのに追放された俺はスライム狩りでレベル爆増!魔王を倒したら惚れられ、気付けばハーレム状態に!

藤村

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第五章 女神解放編

第53話 ノエルとロイス

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 俺は振るった。
 聖剣・エクスカリバーを、
 軽くな。
 
 その衝撃波はすさまじく、
 天井にめり込んでいたロイスは

「うぐっ! ぐわぁああああああッッ!!」

 お気の毒としか言いようのない有り様になってしまった。

 死んではいないが、
 まさか衝撃波だけで決着が付くとはな。

 スキル付与剤とか増強剤とはなんだったんだよ、と言いたくなってしまうが。

 まあ、それはこの女神ヴィーナの力だ。
 
 かなりスタイル抜群で、
 胸は爆弾のように大きい。
 
 ので、
 それを押し付けられると、
 結構、苦しい、のだが……。

「解放者様ァ~~~! 我のことを二度も解放してくれるだなんて! やはりレイン様は存在している次元が違うってコトよね~~!」

 う~ん。
 二度目の解放者様とやらはノエルじゃないのか? 

 なんか超級より難易度の高い魔法を詠唱していたみたいだし。

「ノエル、とりあえず、お前の手で決着をつけてやれ」
「え?」

 首を傾げるノエルに、
 俺はスマホウ・フォンを指差した。

「先生に連絡すればすぐに憲兵を呼んでくれるだろ。場所も分かりきっているし。こんな奴でも家族なんだろ? だったら、お前の手で終わらせてやるべきだ」

 ノエルは目元を赤くして頷いた。

「辛いだろうが、それこそがロイスのためだと思うぞ。きっといつの日か、自分の過ちに気付く時がくるはずだ」
「……レイン君、優しすぎだよ」

 そう言うや否や。
 
 今度はノエルが俺に抱きついてきたではないか。
 
 おいおい。
 随分とフレンドリーだな。

「ありがと、レイン君」

 さらには、頬に口づけまで。

「きゃーーーっ! 我の解放者様になんてことを!」
「そ、そうですよっ! まだ学生じゃありませんか!」

 二人とも何をそんなに騒ぎ立てている。
 
 サタナみたいに無理やり唇にキスしてきたわけでもあるまいし。

 これくらいのスキンシップでギャーギャー喚くんじゃない。

 しばらくはそんなふうに騒いでいたが。
 
 やがて意を決したように、
 ノエルがスマホウ・フォンにて連絡。

 たったの数分で魔法局直属の憲兵がやってきたのだった。

 意識を失っていたロイスは、
 水をぶっ掛けられて目を覚ました。

「あ、うう……。ここ、は?」
「ロイス・レイウスだな? お前を誘拐及び教唆の罪で逮捕する! 二年前のあの事件のことも詳しく聞かせて貰うぞ!」
「……待て。僕は、上流、貴族だぞ」

 などと宣っているが。
 目は虚ろで声もボソボソ。
 全く覇気が感じられない有り様である。

「黙れ。お前には今日一日で三枚の上位警告書が発行されている! 地下牢行きは免れんぞ!!」
「そ、そんな……」

 かくして。
 ロイス・レイウスは憲兵に引っ張られていった。
 
 だが、その間際に。

「待って!」

 ノエルが叫んだ。

「ん? なんだ、小娘」
「えっと、その人の……妹です。少しだけ、時間もらえませんか?」

 憲兵はしばし逡巡していたが、

「一分だけだぞ」

 それくらいならいいだろうと、
 そう判断を下したようだった。

「お兄ちゃん……」
「……」
「私の目を見て」
「……今さら、なんだ」

 パシンッ!

 ノエルによる一発のビンタ。
 これくらいは当然だ。

「お兄ちゃんのバカ」
「ああ」
「バカで……あほ!」
「そうだね」
「で、でも」

 ノエルの声が湿り気を帯びていく。
 
 耐えかねて、
 瞳からは大粒の涙がポロポロポロポロと零れ落ちていた。

「それでもっ! そんなバカなお兄ちゃんでも」

 大好きッ!!

 そう言って、
 ノエルはロイスに抱きついた。

「バカ! バカ! バカ! だけど好きなの! ずっとずっと大好きだったの!」
「……そう、か」
「しっかり反省して!! もうずっと地下牢から出られなくたって、もうずっと会えなくたって! 自分がしたことなんだから自分で責任取って! 償って!」
「……」
「大丈夫、私たちは家族だもん。離れていても、遠くにいても、会えなくても、ずっとずっと家族だから!」
「……憲兵さん」

 ロイスが力無く呟いた。

「あ?」
「少しでいい。この縄を解いてくれないか? 見ての通り今の僕にはなんの能力もない。あったとしても、レイン君には敵わない」
「ああ、クソが。面倒くせえな」

 憲兵は苛立ちつつも、
 ロイスの要望を呑んだ。

 とはいえ、それはノエルの姿に感化されての行動だろうけど。

「ノエル。僕が君を愛していたことに、嘘偽りはない」
「うん」
「ずっと好きだったことも本当さ」
「うん、知ってる」

 また、ノエルの瞳から大粒の涙が溢れてくる。

「ごめんね、ノエル。バカなお兄ちゃんで」

 そう言って、ロイスはゆっくりとノエルを抱きしめた。

 対するノエルは、

「うわああああああああ! お兄ちゃん。ずっとずっと大好きだよお!」

 取り乱したように、
 泣き喚いていた。

「そこまでだ。そろそろ行くぞ」

 ロイスは再び縄をかけられ、ぐったりとした様子で引かれていった。
 
 これにて一件落着だ。

#

 その後、俺たちはサタナと合流した。
 
 なんでもサタナの相手、
 クオンという人物はコピー能力を有していたらしく。

「いやあ、限界突破オーバーリミットをパクられてしまってな。ヤツのレベル65だったからのー。久しぶりに良い勝負が出来たわ」

 リリルの元では、
 レベル700VSレベル650の超次元バトルが繰り広げられていたらしい。

「で、どっちが勝ったワケ?」

 人の姿を取り戻したヴィーナが問うと、サタナはバツが悪そうな顔をした。

 まさか負けたのか?
 と思ったが、
 どうやらそうではないらしい。

「決着は付かなかった。そうこうしているうちにヤツが撤退すると言い出しての。なんでも「ヴェッジ」とかいう人間の指示らしいが」

 ヴェッジという言葉にノエルが反応した。

「それ、私のお父さん」
「なるほど。息子がやられたことを知って、今回の作戦を断念したというわけか」
「でも、とりあえずは良かったです」

 メアリさんが満面の笑顔を見せた。

「本来の目的であるカラドボルグ……ヴィーナさんを復活させられたのですから」

 うんうん、メアリさんの言う通りだ。ヴィーナを解放できて本当に良かった。これで俺の願いも叶うだろう。
 
 というわけで。
 俺は早速ヴィーナに願い事を申し出た。

 以前にも述べたが、
 俺はただの善意でヴィーナの解放を手伝ったわけじゃない。

 もちろん仲間だからという気持ちもあったが、一番の目的は母を助けることなのだ。
 

「何でも言って下さい! 解放者様のお願いとあらば、この我、力の限りを尽くしますってカンジなので!」
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