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第六章 魔王 エルゼム編
第61話 放課後の特訓①
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結局、十分という短い時間では、
魔法を発動できるはずもなく。
【極限闇色】に対する意外な対抗手段的なのものも降ってくることは無かった。
ま、当然と言えば当然だな。
「さて、そろそろ時間だ」
「なんと、もうそんな時間か! ちょっと待ってくれ」
ゴク、ゴク、ゴク……。
と物凄い勢いで砂糖お湯がサタナに吸い込まれていく。
うぅ、なんだか頭がクラクラしてきたな。
ほんと、サタナの味覚はどうなってるんだよ。
「プハーーーッ! あー、誠に美味じゃったぞ! のぅのぅ、レインよ。時々はこうして二人だけでお忍びデートを――」
「バカ言ってないで早く行くぞ」
というわけで、
改めて、マナクルス魔法学園である。
「あら、レイン君。そっちから顔を見せてくれるだなんて珍しいね。何か用?」
「まぁな。ちょっと顔を見たくなって」
「それなら放課後に来れば良かったのに」
「俺もそうしたかったけど、ちょっと急ぎの用があってね」
俺は人類の危機という部分を伏せ、
魔法に興味が出てきたんだ、という体を装った。
いざとなればノエルの力も借りるだろうが、
可能なら、要らぬ心労は掛けたくない。
ノエルは学生の身分。
出来る限りのびのびと勉学に励んでほしい。というのが俺の考えだ。
「へぇ、魔法に興味が出てきた、ね。それで? 何を聞きたいの?」
「魔法を発動……というか俺はその前段階なんだけど、どうやったら魔力を意図的に放出できるのか、コツみたいのがあれば教えてほしいんだ」
人間、誰しも微弱な魔力を宿している。
そして、その魔力は無意識の内に漏出しているらしいのだが。
その程度の魔力量では、
いくら魔王といえど、
正確な属性を知ることはできないという。
「魔力放出かぁ。私の場合は三歳の頃から魔法教育受けてたから、物心ついた時には自然に出来てたんだよね。でも、時間さえあればいつでも教えてあげられるよ」
「いやいや、その必要はないぞ?」
今まで押し黙っていたサタナが割って入った。
「お主は勉学に忙しい身なのだろう? であればそっちに専念するが良い。レインの教育は妾一人で事足りる」
直後、ノエルの目が据わる。
「レイン君がそう思っているなら、わざわざこんな所まで来ないと思うけど? 結局、あなたの教え方が下手ってことなんじゃないの?」
「なっ、なんじゃと! お主、人間の分際で妾を愚弄するかっ!」
「良いのかなぁ、「人間の分際で」なんて言っちゃって。あなたの大好きなレイン君も人間なのだけれど?」
「ぐっ……! レ、レインは別枠じゃ! ほら、あれ……よく言うではないか。おやつは別腹的な?」
「ふぅん? あなたにとってレイン君は”おやつ程度”のモノなのね」
「キィイイ――――!! レイン、こやつに何か言ってやってくれ! 妾のことをイジメてほくそ笑んでるこの悪魔にッ!!」
「二人とも落ち着くんだ。そもそも俺はサタナの教え方が下手だなんて思っちゃいないよ。多分、単純に俺にセンスが無いんだろうな。才能がないくせに、それでも魔法を使いたいとなったら、そりゃより多くの人に教わるしかなくなる。そうだろ? ノエル」
「それはそうだけど……。でも、才能がないだなんて悲観する必要はないよ。そもそも人間と魔法は相性が悪いんだから。それに、レイン君は子供の頃から魔法に触れてきたってわけでもないんでしょ?」
そう言われると確かにそうだが。
何はともあれ、
俺は手っ取り早く魔法を使えるようになりたいのだ。
だから、
二人にいがみ合ってもらっては、
色々と都合が悪い。
「もうそろそろ時間か。とりあえず、放課後になったらまた顔出すよ。それから、これは【光輝なる未来】のために言うんだが……」
俺はサタナとノエルを交互に見やりながら、諭すような声色で言った。
「今すぐにとは言わない。少しずつで良いから、お互いに歩み寄って仲良くなれるように努めてほしい」
「ふむ……。ま、他でないレインの願いとあらば、聞き入れぬ理由もないが?」
「そうね。パーティ活動に支障が出るのも困りものだし、何よりレイン君がそう言うなら仲良くしてあげるわ」
うーん。
言葉とは裏腹に両者の間には火花が散ってるように見えるな。
ま、難しく考えなくても何とかなるだろう。
よっぽどのことがなければ、一緒に冒険してれば勝手に仲良くなる。それが冒険者ってもんだ。
よっぽどのことがなければな。
例えば、使い勝手の良いスキルだから利用してただけとか……。
#
その日の放課後。
裏庭にて。
「ごめんね、待たせちゃった?」
待ち合わせ時刻よりやや遅れて、
ノエルの登場である。
「いや、丁度良いタイミングだ」
少し早く到着した俺と、
少し遅れてきたノエル。
お陰で、ノエルに教わる前に、魔力放出の予習が出来た。
それに何となくだが、
以前よりもあの浮遊感が長引いている気がする。
ひょっとしたら、
ノエルと俺の相性次第では、
今日中に魔力放出を会得できるかもしれないぞ。
「あっ、ちょっとだけ魔力の残渣が見える。レイン君、練習してたでしょ」
「残渣? そんなの見えるのか」
サタナからはそんな単語聞かされたことがないが。
もしかしたら、
俺たち人間とモンスターとでは、
見えている景色が違うのかもしれないな。
俺はふとそんなことを思った。
結局、十分という短い時間では、
魔法を発動できるはずもなく。
【極限闇色】に対する意外な対抗手段的なのものも降ってくることは無かった。
ま、当然と言えば当然だな。
「さて、そろそろ時間だ」
「なんと、もうそんな時間か! ちょっと待ってくれ」
ゴク、ゴク、ゴク……。
と物凄い勢いで砂糖お湯がサタナに吸い込まれていく。
うぅ、なんだか頭がクラクラしてきたな。
ほんと、サタナの味覚はどうなってるんだよ。
「プハーーーッ! あー、誠に美味じゃったぞ! のぅのぅ、レインよ。時々はこうして二人だけでお忍びデートを――」
「バカ言ってないで早く行くぞ」
というわけで、
改めて、マナクルス魔法学園である。
「あら、レイン君。そっちから顔を見せてくれるだなんて珍しいね。何か用?」
「まぁな。ちょっと顔を見たくなって」
「それなら放課後に来れば良かったのに」
「俺もそうしたかったけど、ちょっと急ぎの用があってね」
俺は人類の危機という部分を伏せ、
魔法に興味が出てきたんだ、という体を装った。
いざとなればノエルの力も借りるだろうが、
可能なら、要らぬ心労は掛けたくない。
ノエルは学生の身分。
出来る限りのびのびと勉学に励んでほしい。というのが俺の考えだ。
「へぇ、魔法に興味が出てきた、ね。それで? 何を聞きたいの?」
「魔法を発動……というか俺はその前段階なんだけど、どうやったら魔力を意図的に放出できるのか、コツみたいのがあれば教えてほしいんだ」
人間、誰しも微弱な魔力を宿している。
そして、その魔力は無意識の内に漏出しているらしいのだが。
その程度の魔力量では、
いくら魔王といえど、
正確な属性を知ることはできないという。
「魔力放出かぁ。私の場合は三歳の頃から魔法教育受けてたから、物心ついた時には自然に出来てたんだよね。でも、時間さえあればいつでも教えてあげられるよ」
「いやいや、その必要はないぞ?」
今まで押し黙っていたサタナが割って入った。
「お主は勉学に忙しい身なのだろう? であればそっちに専念するが良い。レインの教育は妾一人で事足りる」
直後、ノエルの目が据わる。
「レイン君がそう思っているなら、わざわざこんな所まで来ないと思うけど? 結局、あなたの教え方が下手ってことなんじゃないの?」
「なっ、なんじゃと! お主、人間の分際で妾を愚弄するかっ!」
「良いのかなぁ、「人間の分際で」なんて言っちゃって。あなたの大好きなレイン君も人間なのだけれど?」
「ぐっ……! レ、レインは別枠じゃ! ほら、あれ……よく言うではないか。おやつは別腹的な?」
「ふぅん? あなたにとってレイン君は”おやつ程度”のモノなのね」
「キィイイ――――!! レイン、こやつに何か言ってやってくれ! 妾のことをイジメてほくそ笑んでるこの悪魔にッ!!」
「二人とも落ち着くんだ。そもそも俺はサタナの教え方が下手だなんて思っちゃいないよ。多分、単純に俺にセンスが無いんだろうな。才能がないくせに、それでも魔法を使いたいとなったら、そりゃより多くの人に教わるしかなくなる。そうだろ? ノエル」
「それはそうだけど……。でも、才能がないだなんて悲観する必要はないよ。そもそも人間と魔法は相性が悪いんだから。それに、レイン君は子供の頃から魔法に触れてきたってわけでもないんでしょ?」
そう言われると確かにそうだが。
何はともあれ、
俺は手っ取り早く魔法を使えるようになりたいのだ。
だから、
二人にいがみ合ってもらっては、
色々と都合が悪い。
「もうそろそろ時間か。とりあえず、放課後になったらまた顔出すよ。それから、これは【光輝なる未来】のために言うんだが……」
俺はサタナとノエルを交互に見やりながら、諭すような声色で言った。
「今すぐにとは言わない。少しずつで良いから、お互いに歩み寄って仲良くなれるように努めてほしい」
「ふむ……。ま、他でないレインの願いとあらば、聞き入れぬ理由もないが?」
「そうね。パーティ活動に支障が出るのも困りものだし、何よりレイン君がそう言うなら仲良くしてあげるわ」
うーん。
言葉とは裏腹に両者の間には火花が散ってるように見えるな。
ま、難しく考えなくても何とかなるだろう。
よっぽどのことがなければ、一緒に冒険してれば勝手に仲良くなる。それが冒険者ってもんだ。
よっぽどのことがなければな。
例えば、使い勝手の良いスキルだから利用してただけとか……。
#
その日の放課後。
裏庭にて。
「ごめんね、待たせちゃった?」
待ち合わせ時刻よりやや遅れて、
ノエルの登場である。
「いや、丁度良いタイミングだ」
少し早く到着した俺と、
少し遅れてきたノエル。
お陰で、ノエルに教わる前に、魔力放出の予習が出来た。
それに何となくだが、
以前よりもあの浮遊感が長引いている気がする。
ひょっとしたら、
ノエルと俺の相性次第では、
今日中に魔力放出を会得できるかもしれないぞ。
「あっ、ちょっとだけ魔力の残渣が見える。レイン君、練習してたでしょ」
「残渣? そんなの見えるのか」
サタナからはそんな単語聞かされたことがないが。
もしかしたら、
俺たち人間とモンスターとでは、
見えている景色が違うのかもしれないな。
俺はふとそんなことを思った。
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