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第六章 魔王 エルゼム編
第60話 【極限闇色】
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「それで? 肝心のエルゼムはどうなんだ?」
「ヤツは【極限闇色】というスキルを扱う魔王じゃ。闇と同化し闇そのものとなり、闇を自由自在に操るスキル。戦場を暗所に限定すれば、エルゼムに勝てる奴はおらん。逆に、光さえあればヤツを倒すのも楽になるがな」
「闇そのもの、か」
条件ありきとはいえ、
あのサタナに「勝てる奴はおらん」と言わしめるとは。
こうなってくると、
俺の魔法属性はかなり大事になって来る。
炎、雷、光。
この三つであれば光源を確保することは容易い。
とはいえ、時間は限られている。
熟練度を考慮するなら、ランプか何かを持っていくべきだが。
俺がエルゼムだったら、
そういった類のアイテムは最も警戒する。
何を差し置いても真っ先に破壊するだろうな。
「なぁサタナ。お前とエルゼムはどっちが強い?」
「う~ん、どっちじゃろうなぁ。過去に何度も戦ってきたが、なんだかんだで決着がついたことはないような気がするぞ」
なるほど。
つまりは互角ってことか。
「エルゼムのスキルはどうやって対策してたんだ? 氷魔法じゃ太刀打ちできないと思うんだが?」
「なに、簡単なことよ」
そう言って、
サタナは人差し指を立てた。
すると、指の先端に光が集まって来た。
「妾の魔法属性は氷じゃが、他の属性が使えないってわけじゃない。もちろん氷属性に比べれば劣ってしまうが、そこは妾のスキル【属性極化】で補うことができる」
「流石だな」
結局、
エルゼム対策には光源が必要不可欠ということか。
#
――マナクルス魔法学園・表門にて――
しくじったな。
時間を無駄にしたくない。
その一心で肝心なことを忘れていた。
「どうしたんじゃ? レイン。そんな顔して」
「今が授業中だってこと、すっかり忘れてたよ」
今頃は二限目か?
終わるまであと三十分以上はあるし、
魔法を教えてもらおうにも、休憩時間の十分では何も身に付かない。
つまり、とんだ無駄足だったというわけだ。
とはいえ、せっかくここまで来たんだ。
今日くらいは俺のほうからノエルに顔を出してやろう。
たまには会おうね。
そう約束を交わしたが、
俺はその約束をなかなか果たせずにいるからな。
というわけで、
またまた予定変更だ。
「レイン、これからどうするんじゃ? 一度引き返すのか?」
「いや、そんな無駄なことはしないさ。授業が終わるまでは三十分もある。この時間を有効活用しない手はない」
「しかし、こんなところで精神統一していては、まるで不審者だぞ?」
「安心しろ。別にここで特訓するつもりはない。――そんなことより、ここに来る途中、丁度良い感じのコーヒーショップがあったじゃないか。そこで時間を潰そう」
「おお、それは名案じゃなっ!」
#
かくして、
俺とサタナは、シックな雰囲気のカフェにやってきた。
そして相も変わらず、
サタナは大量の角砂糖を投入していた。
「お前のそれを見ていると、ガラスを引っ掻かれているような気分になるよ。身の毛が弥立つというか何というか……」
「それはお主がまだまだお子ちゃまだからじゃ。あと十年も経てば、茶と砂糖の相性の良さも分かろうて。なんなら妾が角砂糖をダイレクトにあ~んしてやろうか?」
サタナはスプーンに角砂糖を乗せ、
身を乗り出してきた。
「ほらほら、あ~ん」
開けた胸元が異常なまでに強調されているが、
一度通用しなかった手を性懲りもなく使ってくるあたりがサタナらしい。
そりゃ確かに魅力的だが、
その程度で俺のリミッターを破壊できるわがない。
「ところでサタナ。角砂糖は食べ物ではないぞ?」
「えっ? こんなに甘くて美味しいのに、人間は食さぬと申すのかっ!?」
「あたりまえだろ」
とは言いつつも。
サタナに当たり前が通用しないことなんてのは分かりきっていることで。今更それを突っ込むのも野暮な気がしないでもない。
「まぁ良いわ。所詮、人間にこの甘味の真価は理解できぬのだ。あぁ、可哀想に。んっ、くっ、く……。プハー! レイン、お代わり!」
「一気に行ったな」
サタナのカップの中には、
紛うことなく、
史上最悪の液体が入っている。
それをこうも美味しそうに飲み干すとは。
「店員さん、お代わりください」
お代わりが来ると、
サタナは再び史上最悪の液体を作り始めた。
俺はそんなサタナをよそに、
精神統一を開始した。
あと十分も経てば店を出る予定だが、
その十分ですら無駄にはしたくない。
ついでに、
エルゼムへの対策も考えておこう。
こうやって考え続けていれば、
火や光以外にも、
何か良さげな対抗策が思い浮かんでくるかもしれないしな。
「ヤツは【極限闇色】というスキルを扱う魔王じゃ。闇と同化し闇そのものとなり、闇を自由自在に操るスキル。戦場を暗所に限定すれば、エルゼムに勝てる奴はおらん。逆に、光さえあればヤツを倒すのも楽になるがな」
「闇そのもの、か」
条件ありきとはいえ、
あのサタナに「勝てる奴はおらん」と言わしめるとは。
こうなってくると、
俺の魔法属性はかなり大事になって来る。
炎、雷、光。
この三つであれば光源を確保することは容易い。
とはいえ、時間は限られている。
熟練度を考慮するなら、ランプか何かを持っていくべきだが。
俺がエルゼムだったら、
そういった類のアイテムは最も警戒する。
何を差し置いても真っ先に破壊するだろうな。
「なぁサタナ。お前とエルゼムはどっちが強い?」
「う~ん、どっちじゃろうなぁ。過去に何度も戦ってきたが、なんだかんだで決着がついたことはないような気がするぞ」
なるほど。
つまりは互角ってことか。
「エルゼムのスキルはどうやって対策してたんだ? 氷魔法じゃ太刀打ちできないと思うんだが?」
「なに、簡単なことよ」
そう言って、
サタナは人差し指を立てた。
すると、指の先端に光が集まって来た。
「妾の魔法属性は氷じゃが、他の属性が使えないってわけじゃない。もちろん氷属性に比べれば劣ってしまうが、そこは妾のスキル【属性極化】で補うことができる」
「流石だな」
結局、
エルゼム対策には光源が必要不可欠ということか。
#
――マナクルス魔法学園・表門にて――
しくじったな。
時間を無駄にしたくない。
その一心で肝心なことを忘れていた。
「どうしたんじゃ? レイン。そんな顔して」
「今が授業中だってこと、すっかり忘れてたよ」
今頃は二限目か?
終わるまであと三十分以上はあるし、
魔法を教えてもらおうにも、休憩時間の十分では何も身に付かない。
つまり、とんだ無駄足だったというわけだ。
とはいえ、せっかくここまで来たんだ。
今日くらいは俺のほうからノエルに顔を出してやろう。
たまには会おうね。
そう約束を交わしたが、
俺はその約束をなかなか果たせずにいるからな。
というわけで、
またまた予定変更だ。
「レイン、これからどうするんじゃ? 一度引き返すのか?」
「いや、そんな無駄なことはしないさ。授業が終わるまでは三十分もある。この時間を有効活用しない手はない」
「しかし、こんなところで精神統一していては、まるで不審者だぞ?」
「安心しろ。別にここで特訓するつもりはない。――そんなことより、ここに来る途中、丁度良い感じのコーヒーショップがあったじゃないか。そこで時間を潰そう」
「おお、それは名案じゃなっ!」
#
かくして、
俺とサタナは、シックな雰囲気のカフェにやってきた。
そして相も変わらず、
サタナは大量の角砂糖を投入していた。
「お前のそれを見ていると、ガラスを引っ掻かれているような気分になるよ。身の毛が弥立つというか何というか……」
「それはお主がまだまだお子ちゃまだからじゃ。あと十年も経てば、茶と砂糖の相性の良さも分かろうて。なんなら妾が角砂糖をダイレクトにあ~んしてやろうか?」
サタナはスプーンに角砂糖を乗せ、
身を乗り出してきた。
「ほらほら、あ~ん」
開けた胸元が異常なまでに強調されているが、
一度通用しなかった手を性懲りもなく使ってくるあたりがサタナらしい。
そりゃ確かに魅力的だが、
その程度で俺のリミッターを破壊できるわがない。
「ところでサタナ。角砂糖は食べ物ではないぞ?」
「えっ? こんなに甘くて美味しいのに、人間は食さぬと申すのかっ!?」
「あたりまえだろ」
とは言いつつも。
サタナに当たり前が通用しないことなんてのは分かりきっていることで。今更それを突っ込むのも野暮な気がしないでもない。
「まぁ良いわ。所詮、人間にこの甘味の真価は理解できぬのだ。あぁ、可哀想に。んっ、くっ、く……。プハー! レイン、お代わり!」
「一気に行ったな」
サタナのカップの中には、
紛うことなく、
史上最悪の液体が入っている。
それをこうも美味しそうに飲み干すとは。
「店員さん、お代わりください」
お代わりが来ると、
サタナは再び史上最悪の液体を作り始めた。
俺はそんなサタナをよそに、
精神統一を開始した。
あと十分も経てば店を出る予定だが、
その十分ですら無駄にはしたくない。
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