外れスキルと馬鹿にされた【経験値固定】は実はチートスキルだった件

霜月雹花

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第一章

第22話 【商会長の怒り・2】

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 広場へと移動して来た俺達一行に対し、先に広場を使っていた商会の人達は驚いていた。
 まあ、自分達の商会長とその商会でも一目置かれてる師匠が同時に来たら、驚くのは分かる。

「さてと、アルフ。フェルガを呼び出せるか?」

「はい。大丈夫です。フェルガ。出て来て」

 師匠の言葉に俺は返事をして、フェルガに出て来るように念じると。
 俺達の目の前にフェルガは姿を現した。

「……フェンリルか?」

「はい。フェンリルのフェルガです。色々とありまして、俺の従魔になったんです」

「……フェンリルを従魔にした!?」

 俺の言葉を聞いたエルドさんは数秒間固まり、硬直が解けると出会って初めて聞くレベルの大きな声で叫んだ。
 そんなエルドさんの叫びに、周りで見ていた商会の人達もフェルガの姿をみて固まっていたのが解け、広場は騒がしくなった。

「周りの人達を退いてもらって見せればよかったですね」

「そうだな、いずれ知られると思って気にしなかったが初めて見たらああなるか……」

 俺と師匠は、周りの反応を見てそう反省をした。
 あの後、落ち着きを取り戻したエルドさんがその場を落ち着かせ。
 あのままあの場に居たら、話しが出来ないからとエルドさんの仕事部屋に戻って来た。

「まさか、フェンリルを従魔化させて帰ってくるとは予想もしてなかったぞ……」

「偶々、従魔にしちゃったんですよね」

 そう俺は言って、エルドさんにフェルガを従魔にした経緯を伝えた。

「成程、名付けをして従魔にしてしまったのか……普通、そんな事はありえないと思うが。実際、従魔にしておるみたいだしな」

 エルドさんは俺の話を聞くと、納得した様子でそう言った。
 それからエルドさんから、従魔を使役しているのなら冒険者ギルドで登録しないといけないと言われた。

「冒険者ギルドですか……」

「そう言えば、アルフは冒険者ギルドから追い出されたと言っておったな。あの時は、そこまで詳しい事は聞いておらんかったが何故追い出されたのか聞いても良いか?」

 初めて会った時、愚痴程度でしかエルドさんに話してなかった俺は、冒険者ギルドでされた事をエルドさんと師匠に話をした。
 登録をしようとしたら、スキル一つである事を大きな声で馬鹿にされ、その場に居た冒険者達からも馬鹿にされた事を話した。

「「……」」

 エルドさんと師匠は、俺の話を聞くと二人から怒りのオーラの様なものを感じ取った。
 そんな二人は視線を合わせると頷いた。

「アルフ。話し合いは今日はここまでにしよう。修行で疲れてるだろうし、今日は早めに休むんだぞ」

「は、はい? わ、分かりました」

 真顔で言ってくる師匠に、断れない雰囲気で圧された俺は返事をした。
 そして俺だけ仕事部屋から出て行くと。

「緊急会議を行う。至急、幹部達は儂の会議室に集まるように」

 と、放送が流れた。
 その放送を聞いた商会の人達は、何事だ? となり、急いで会議室に向かっていた。

「もしかして大事に発展しちゃうのか?」

 仕事部屋でのエルドさん達の表情は、明らかに怒っていた。
 俺は不安だなと考えながら寮の方へと移動して、部屋に戻る前にお風呂に入ろうと風呂場へと向かった。

「アルフ君。さっき幹部の人達が会議室に呼び出しされてたけど何か知ってる?」

 風呂から上がり、食堂に来ると食堂のおばちゃん達からそんな事を聞かれた。

「多分、俺が冒険者ギルドでされた事を聞いてから会議の招集の放送が鳴ったので、多分俺が原因かも知れません」

「冒険者ギルドでされた事? それって、私達も聞いても大丈夫な事かしら?」

「大丈夫ですよ。特に隠す様な事ではないので」

 そう言って俺は、食堂のおばちゃん達にエルドさん達に話した事と同じことを伝えた。
 すると俺の話を聞いたおばちゃん達は、「冒険者ギルドも落ちたわね」と冷めた表情でそう言った。

「昔はもっと良い所だったけど、最近の王都の冒険者ギルドは駄目ね~」

「王都にある冒険者ギルドだから、頭に乗ってるのよ。自分達が偉いとでも思ってるんでしょうね」

「最近、冒険者の質も落ちたと思ってたけどギルド自体の質が落ちてたのね。本当に呆れたわ」

 おばちゃん達は次々と冒険者ギルドの悪口を言うと「何かあったら力になるからね」と言ってくれた。
 その後、おばちゃん達から大盛りの食事を用意してもらった。

「ひ、久しぶりの食堂の料理だからって食べ過ぎたな……」

 最初の時点で大盛りを用意してもらった俺は、それと同じ量をもう一度食べた。
 その結果、食べ過ぎて苦しくなり部屋に戻ってきた俺は直ぐにベッドに横になった。

「フェルガも美味しそうに食べてたし、やっぱりおばちゃん達の料理は凄いな……」

 既に俺に従魔が居る事は商会の人達には伝わっていて、おばちゃん達もフェルガの存在を知っていた。
 なのでフェルガの分の料理も用意してもらい、フェルガも一緒に食事をした。

「あの者達の飯は本当に美味かったぞ!」

 食事を終えたフェルガは満足気にそう言って、沢山食べてお腹いっぱいになったのか今は異空間の中で寝ている。
 そんな俺も、少し休んだおかげで苦しさが治まって来たので寝る事にした。
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