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第一章
第26話 【冒険者登録・2】
しおりを挟む「そんなスキル……。冒険者ギルドの受付係として、これまで様々なスキルを見てきましたが、そんなスキルは初めて聞きます」
アンナさんは師匠からスキルについて話を聞くと、不思議な人を見るような視線で俺を見た。
それから記入を終えた用紙をアンナさんに渡し、アンナさんは部屋の外に出て行った。
「アルフ。お前から見て、アンナはどうだった? 王都の冒険者ギルドとかなり違かっただろ?」
「はい。王都の冒険者ギルドの受付での対応と全く違いました」
「あれが普通なんだ。王都の冒険者ギルドがおかしいんだ」
師匠はそう言いきると、俺に「冒険者ギルドはまだ怖いか?」と続けて聞いて来た。
「いえ、もう怖くありません。ありがとうございました」
「トラウマが解消されたなら良かったよ。エルドさんから、もしこのままアルフがギルドを怖がるのであれば、王都の冒険者ギルドは酷い目に合わせるって言ってたからな」
「……エルドさんはそれが出来る力を持ってるから、怖いですね」
国から認められた商人であるエルドさんであれば、いくら王都の冒険者ギルドであろうと制裁は免れないだろう。
その後、10分程経ちアンナさんは戻って来た。
「遅かったな、何かあったのか?」
「少し別件で呼ばれていました。アレン様達の対応をしていると言ったのですが、無理矢理そちらを手伝わされ遅れてしまいました。申し訳ございません」
師匠の言葉に対して、アンナさんは直ぐに謝罪をした。
それから冒険者となる俺の実力を測る為、訓練場の方へと移動をする様に言われた。
アンナさんの指示に従い、俺と師匠は一緒にギルドの訓練場へと移動して来た。
「この時間は、大体人が居るはずだろ? 何で誰も居ないんだ?」
「仕事を押し付けられた代わりに、訓練場を貸し切りにしてもらったんです。その方がアルフレッド君も全力を出せると思いまして」
アンナさんがそう言うと、師匠は周りを見て「本当に仕事が出来るな」と言った。
それから俺はアンナさんに、測定の方法について教えてもらった。
登録の用紙に得意分野について書く欄があり、俺はそこに〝魔法〟と記入した。
「剣も使えるのにどうして魔法にしたんだ?」
剣も使える俺が魔法と記入した事に対し、師匠は疑問に思ったのかそんな質問をした。
「そこはやっぱり、師匠の弟子ですから俺も魔法使いとして冒険者になろうかなと」
そう俺が言うと、師匠は笑みを浮かべ「本当に師匠想いの奴だな」と嬉しそうに言った。
そうして魔法使いとして試験を受ける事になった俺は、当然の事だが試験では魔法の実力を測る試験となっていると言われた。
試験方法はアンナさんが放つ魔法に、俺が魔法を当てるというやり方。
この試験では魔法の威力、速度、精度を測ると説明された。
「剣が得意な人であれば剣術の試験をするんですか?」
「はい。その人が得意だと思った事に合わせ、試験を変えています。その方が登録に訪れた方の実力を見れますからね」
そうアンナさんから教えて貰った俺は、試験を受ける為に位置に移動した。
「それでは試験を始めます。アルフ君、準備は大丈夫ですか?」
「はい!」
アンナさんの言葉にそう返事をした俺は、気合を入れて試験に臨んだ。
そんな俺を見たアンナさんは、複数の魔法を放った。
俺はそのアンナさんの魔法に対し、得意な【水属性魔法】で全ての魔法を一瞬で撃ち落とした。
「えっ?」
アンナさんはその光景を見て驚き言葉を失い。
師匠は逆に、笑みを浮かべて「流石、アルフだ。よくやった」と褒めてくれた。
師匠に褒められた俺は、合格基準はクリアできたのかドキドキしたまま、驚き固まっているアンナさんに試験結果を聞いた。
「アンナさん、今の魔法は合格基準に達してますか?」
そう聞くと、数秒間固まっていたアンナさん「へ?」と意識が戻り。
「あっ、はい。ご、合格です」
「師匠! 合格しましたよ!」
「お疲れ様」
俺は〝合格〟と言われて嬉しくなり、師匠に報告をすると。
師匠は笑みを浮かべながら、そう俺に労いの言葉を掛けた。
「あ、アレン様。アルフ君の実力って、相当高いんですね……」
「アンナ。一応言っておくが、アルフは手加減していたぞ」
「えっ、それは本当ですか!?」
師匠の言葉に驚くアンナさんに、俺は「はい」と頷きながら言った。
「その最初は本気を出そうと思ったんですけど、自分でも試験に挑むって事で少し緊張してて本気を出せなかったんです……」
「まあ、アルフはギルドにトラウマがあるからな」
「という事は、先程の魔法は失敗してあれですか?」
「そうなります。自分がここまで緊張に弱いなんて、初めて知りました」
俺は反省しつつそう言って、今後は精神面も鍛えないといけないなとそう考えた。
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