外れスキルと馬鹿にされた【経験値固定】は実はチートスキルだった件

霜月雹花

文字の大きさ
32 / 140
第一章

第32話 【ルクリア商会の動き・4】

しおりを挟む

「それじゃ、アルフ君。またね」

 あの後、仲直りしたエリックさんとアリスは家に帰る為、商会の入口まで見送りに来て、二人が去っていくのを見守った。

「アルフ。凄いな、アリスと短時間であんなに仲良くなるなんて」

「そうですか?」

「アリスの人見知りは、かなり酷いで有名なんだ。商会の人間はある程度慣れてるから、そこまで人見知りを発揮しないけど知らない相手だとアリスは喋れなくなるんだ」

 師匠からそう言われた俺は、そこまで酷い人見知りとは知らず、じゃあ何で俺とは直ぐに打ち解けられたのか分からない。

「う~ん……まあ、アルフが喋りやすかったのか、もしくは自宅でアルフの話をよく聞いていたから話せたのかも知れないな」

「えっ、俺の話ですか?」

「みたいだぞ。この間、エルドさんが言ってたからな。家での話題は、アルフの成長速度が速くてどんな人物になるかで議論してるらしいぞ」

 そんな議論しないでくれ! と俺は心の中で叫んだ。
 その後、商会の建物に戻るとマルクスさんが二階から降りて来た。
 会議後、マルクスさんは急用が入り、スキルについて聞けなかったがマルクスさんは俺を発見すると。

「明日には仕事に戻らないといけなかったから、ここで会えてよかった~」

 そう言って、落ち着いて話し為に広場の方へと移動した。

「アルフ君のスキルなんだけど。これは間違いなく、【固有能力】の一つだと僕は思うね」

 【固有能力】とは、スキルの中でも特殊なスキル。
 15歳の神からスキルを授かる時にしか現れないと言われている。
 ただし見分け方は難しく、レベル表記が無いものが全て【固有能力】という訳でもない。

「やっぱり、アルフのスキルは【固有能力】だったか……こんなスキル見た事も聞いた事も無かったから、もしかしてとは思ってたが」

「聞いた感じだと、能力が強すぎるから間違いなく【固有能力】だと思うよ」

 師匠の言葉にマルクスさんはそう言うと、【経験値固定】のスキルの使い方についてもっといい方法があると言った。

「今、アルフ君の【経験値固定】はスキル習得とスキルレベル上げに主に使ってるんだよね?」

「はい。集中できる訓練だったら、一日でスキルを習得したりスキルレベルも上げられるので」

「多分だけど、アルフ君の【経験値固定】は魔物との戦闘でも効果が発揮されると思うんだよ。それだったら魔物狩りを早くはじめた方がいいと僕は思うよ」

 経験値が固定化されてる俺は、低レベル帯だとしてもレベルは上がりにくく、レベルを上げるのに時間が掛る。
 その為、スキルを強化して魔物狩りをしようとしていた俺と師匠の考えていた。

「確かに今考えたら、魔物狩りをすればスキルレベルを上げつつレベル上げも出来るのか……」

 マルクスさんの話を聞いた師匠は、考えを改め魔物狩りをしようと予定を変更する事にした。

「マルクスさん、貴重な助言ありがとうございます」

「僕も新しいスキルを知れて楽しかったよ。そうだ! アルフ君、もしスキルで困ったら僕の所に来なよ。色んなスキルの訓練方法も知ってるから、必要なスキルがあれば教えられると思うよ」

「えっ、いいんですか!?」

「うん。その代わり、アルフ君がスキルの訓練をする時は見学させてね。どれだけ早い時間でスキルを習得するのか、ちゃんと見てみたいから」

「いつでも見に来てください!」

 それからマルクスさんは、仕事に戻るからと言って去っていった。

「アルフ、良かったな。マルクスさんがあんなに協力的なんて珍しいぞ」

「えっ、そうなんですか?」

「マルクスさんは研究者気質で研究と仕事以外は興味が無くてな、唯一エルドさんの指示は聞くが態度から嫌々というのが分かるらしい」

 それでもマルクスさんの能力は高く、ルクリア商会としては失ってはいけない人物なので好きにさせていると師匠は教えてくれた。
 俺はそんな凄い人に気に入られて、スキルを教えてくれるなんて言われた事に対して今更ながら驚いた。

「アルフって本当に不思議だな。俺もそうだけど、人に気に入られる体質なのか?」

「でも親には捨てられてる身なので、誰でも気に入られるわけでは無いと思いますよ?」

「そういや、そうだったな。だとしたら、あれだな自分で言うのもあれだが変わった人間から好かれる体質なのかもな」

 そう師匠は笑いながら言うと、明日も訓練があるから早めに寝るんだぞと言って師匠は広場を出て行った。
 その後、今日は体を動かしてない事に気付いた俺は、少しの時間だが訓練をする事にした。
しおりを挟む
感想 32

あなたにおすすめの小説

なんだって? 俺を追放したSS級パーティーが落ちぶれたと思ったら、拾ってくれたパーティーが超有名になったって?

名無し
ファンタジー
「ラウル、追放だ。今すぐ出ていけ!」 「えっ? ちょっと待ってくれ。理由を教えてくれないか?」 「それは貴様が無能だからだ!」 「そ、そんな。俺が無能だなんて。こんなに頑張ってるのに」 「黙れ、とっととここから消えるがいい!」  それは突然の出来事だった。  SSパーティーから総スカンに遭い、追放されてしまった治癒使いのラウル。  そんな彼だったが、とあるパーティーに拾われ、そこで認められることになる。 「治癒魔法でモンスターの群れを殲滅だと!?」 「え、嘘!? こんなものまで回復できるの!?」 「この男を追放したパーティー、いくらなんでも見る目がなさすぎだろう!」  ラウルの神がかった治癒力に驚愕するパーティーの面々。  その凄さに気が付かないのは本人のみなのであった。 「えっ? 俺の治癒魔法が凄いって? おいおい、冗談だろ。こんなの普段から当たり前にやってることなのに……」

【収納∞】スキルがゴミだと追放された俺、実は次元収納に加えて“経験値貯蓄”も可能でした~追放先で出会ったもふもふスライムと伝説の竜を育成〜

あーる
ファンタジー
「役立たずの荷物持ちはもういらない」 貢献してきた勇者パーティーから、スキル【収納∞】を「大した量も入らないゴミスキル」だと誤解されたまま追放されたレント。 しかし、彼のスキルは文字通り『無限』の容量を持つ次元収納に加え、得た経験値を貯蓄し、仲間へ『分配』できる超チート能力だった! 失意の中、追放先の森で出会ったのは、もふもふで可愛いスライムの「プル」と、古代の祭壇で孵化した伝説の竜の幼体「リンド」。レントは隠していたスキルを解放し、唯一無二の仲間たちを最強へと育成することを決意する! 辺境の村を拠点に、薬草採取から魔物討伐まで、スキルを駆使して依頼をこなし、着実に経験値と信頼を稼いでいくレントたち。プルは多彩なスキルを覚え、リンドは驚異的な速度で成長を遂げる。 これは、ゴミスキルだと蔑まれた少年が、最強の仲間たちと共にどん底から成り上がり、やがて自分を捨てたパーティーや国に「もう遅い」と告げることになる、追放から始まる育成&ざまぁファンタジー!

弟に裏切られ、王女に婚約破棄され、父に追放され、親友に殺されかけたけど、大賢者スキルと幼馴染のお陰で幸せ。

克全
ファンタジー
「アルファポリス」「カクヨム」「ノベルバ」に同時投稿しています。

パーティーを追放されるどころか殺されかけたので、俺はあらゆる物をスキルに変える能力でやり返す

名無し
ファンタジー
 パーティー内で逆境に立たされていたセクトは、固有能力取得による逆転劇を信じていたが、信頼していた仲間に裏切られた上に崖から突き落とされてしまう。近隣で活動していたパーティーのおかげで奇跡的に一命をとりとめたセクトは、かつての仲間たちへの復讐とともに、助けてくれた者たちへの恩返しを誓うのだった。

お前には才能が無いと言われて公爵家から追放された俺は、前世が最強職【奪盗術師】だったことを思い出す ~今さら謝られても、もう遅い~

志鷹 志紀
ファンタジー
「お前には才能がない」 この俺アルカは、父にそう言われて、公爵家から追放された。 父からは無能と蔑まれ、兄からは酷いいじめを受ける日々。 ようやくそんな日々と別れられ、少しばかり嬉しいが……これからどうしようか。 今後の不安に悩んでいると、突如として俺の脳内に記憶が流れた。 その時、前世が最強の【奪盗術師】だったことを思い出したのだ。

解呪の魔法しか使えないからとSランクパーティーから追放された俺は、呪いをかけられていた美少女ドラゴンを拾って最強へと至る

早見羽流
ファンタジー
「ロイ・クノール。お前はもう用無しだ」 解呪の魔法しか使えない初心者冒険者の俺は、呪いの宝箱を解呪した途端にSランクパーティーから追放され、ダンジョンの最深部へと蹴り落とされてしまう。 そこで出会ったのは封印された邪龍。解呪の能力を使って邪龍の封印を解くと、なんとそいつは美少女の姿になり、契約を結んで欲しいと頼んできた。 彼女は元は世界を守護する守護龍で、英雄や女神の陰謀によって邪龍に堕とされ封印されていたという。契約を結んだ俺は彼女を救うため、守護龍を封印し世界を牛耳っている女神や英雄の血を引く王家に立ち向かうことを誓ったのだった。 (1話2500字程度、1章まで完結保証です)

【死に役転生】悪役貴族の冤罪処刑エンドは嫌なので、ストーリーが始まる前に鍛えまくったら、やりすぎたようです。

いな@
ファンタジー
【第一章完結】映画の撮影中に死んだのか、開始五分で処刑されるキャラに転生してしまったけど死にたくなんてないし、原作主人公のメインヒロインになる幼馴染みも可愛いから渡したくないと冤罪を着せられる前に死亡フラグをへし折ることにします。 そこで転生特典スキルの『超越者』のお陰で色んなトラブルと悪名の原因となっていた問題を解決していくことになります。 【第二章】 原作の開始である学園への入学式当日、原作主人公との出会いから始まります。 原作とは違う流れに戸惑いながらも、大切な仲間たち(増えます)と共に沢山の困難に立ち向かい、解決していきます。

異世界に召喚されて2日目です。クズは要らないと追放され、激レアユニークスキルで危機回避したはずが、トラブル続きで泣きそうです。

もにゃむ
ファンタジー
父親に教師になる人生を強要され、父親が死ぬまで自分の望む人生を歩むことはできないと、人生を諦め淡々とした日々を送る清泉だったが、夏休みの補習中、突然4人の生徒と共に光に包まれ異世界に召喚されてしまう。 異世界召喚という非現実的な状況に、教師1年目の清泉が状況把握に努めていると、ステータスを確認したい召喚者と1人の生徒の間にトラブル発生。 ステータスではなく職業だけを鑑定することで落ち着くも、清泉と女子生徒の1人は職業がクズだから要らないと、王都追放を言い渡されてしまう。 残留組の2人の生徒にはクズな職業だと蔑みの目を向けられ、 同時に追放を言い渡された女子生徒は問題行動が多すぎて退学させるための監視対象で、 追加で追放を言い渡された男子生徒は言動に違和感ありまくりで、 清泉は1人で自由に生きるために、問題児たちからさっさと離れたいと思うのだが……

処理中です...