外れスキルと馬鹿にされた【経験値固定】は実はチートスキルだった件

霜月雹花

文字の大きさ
46 / 140
第一章

第46話 【おかしな弟子・2(side:アレン)】

しおりを挟む
 俺の修行場に連れて来たアルフは、寮の広場で訓練していた時よりも集中して訓練を出来ていた。

「お主がそこまで楽し気に言うとは、お主の弟子はそこまで強いのか?」

 そう口にしたのは、この訓練場のある森で王として君臨しているフェンリル。
 昔からの知り合いであり、この訓練場に来たらいつも俺の訓練相手になってくれる気の良い奴だ。

「今はまだそこまで強くはない。だが、潜在能力が高くていずれ俺を超える存在になる事は確実だな」

「ほ~、お主以上にか? それは興味が湧くな……」

 フェンリルの奴は俺の言葉を聞くと、いつもはぐーたらしてる癖に起き上がり俺に付いて来た。
 訓練場に居るアルフと会い、アルフの凄さを近くで見て驚いていた。
 その後、フェンリルはアルフから〝フェルガ〟という名を貰い、アルフの修行を一緒に見守る事になった。

「フェルガ、お前から見てアルフはどう思う?」

 訓練が終わりアルフが飯を作ってる間、少し離れた所にフェルガを呼び出してそんな事を聞いた。

「我から見たアルフか……そうだな、努力する者というのは分かる。お主も努力をする者だが、アルフはお主以上に今の自分を変える為に頑張っていると我は感じたな」

「まあ、俺もアルフ以上の頑張り屋は見た事が無いな。【経験値固定】って凄いスキルを持ってる癖に、それに驕らず毎日努力しているのは素直に凄いと感じるよ」

「多分、ああいう所が神々に気に入られてるのではないか? 生まれた時からあの性格なのであれば、一部の神が好きそうな性格をしておるからな」

 フェルガはそう言うと、ニヤッと笑みを浮かべた表情で俺の方を見て来た。

「アルフの師匠という事で、お主も神に見られているかも知れんの」

 こいつは俺が神の加護を持ってない事を知っているから、それを馬鹿にするためにそう言ったのだろうと察した。
 だが、俺はそんなフェルガに加護の部分を見せつけた。

「ふっ、俺がいつまでも加護無しだと思うなよ?」

「なっ、あのアレンが加護を持って居るだと!?」

 フェルガは俺が加護を持っている事に驚くと、何処でどうやって手に入れたのか聞いて来た。

「……実を言うと、フェルガの予想通りこの加護はアルフを弟子にして教えるようになってから手に入れた。正直、こんな事が起こるとは弟子に取ると考えた時は予想もしてなかったよ」
 
「それにしても、お主に合う加護だな……」

 俺が授かった加護は〝魔導の神〟の加護。
 神の加護には力があり、授かるだけで力の一部を行使できる。
 この加護の力は〝魔法の威力を上げ、魔法のに対する成長促進〟という能力。
 停滞していた実力が既に上がり始めた事に、俺は嬉しさと共にアルフに対して感謝した。
 その後、訓練は順調に行われていき、俺の予想を遥かに超える速度でアルフは成長した。

「まさか、この目でフェンリルを見る日が来るとはな……以前からお主が偶に居なくなることがあったが、あのフェンリルとは居なくなった先で会っていたのか?」

 帰還後、突然行われた緊急会議が終わり、エルドさんの部屋に残された俺はアルフの話をする事になった。

「会いに行っていたわけじゃないですよ。あいつとは昔から実力が均衡していたので、良き訓練相手になってもらっていたんですよ。それで今回、アルフに紹介したら神が介入したのか従魔にしてしまったんです」

「ふむ……まあ、今はフェンリルの事は一先ず置いておくとして、冒険者ギルドについてだな。会議でも話した通り、王都の冒険者ギルドとは今後関係を断ち切るつもりでいる。お主もその考えで良いな?」

「はい。俺は元々、王都の冒険者ギルドに世話になっていませんからね。昔から、ウィストの街で依頼を受けたりしていたので」

 昔、王都の冒険者ギルドで問題が起きた際、ギルドが何もしなかったのを見た俺は既に見限っている。
 それ以来、余程の事が無い限りはウィストの街で冒険者として活動をしている。

「会議の前に冒険者ギルドについての情報収集を頼めるか?」

「分かりました。時間もあまりないので、今から行ってきますね」

 それから俺は頼まれた依頼の為、既に夜遅い時間帯だが商会を出て情報収集へと向かった。
しおりを挟む
感想 32

あなたにおすすめの小説

なんだって? 俺を追放したSS級パーティーが落ちぶれたと思ったら、拾ってくれたパーティーが超有名になったって?

名無し
ファンタジー
「ラウル、追放だ。今すぐ出ていけ!」 「えっ? ちょっと待ってくれ。理由を教えてくれないか?」 「それは貴様が無能だからだ!」 「そ、そんな。俺が無能だなんて。こんなに頑張ってるのに」 「黙れ、とっととここから消えるがいい!」  それは突然の出来事だった。  SSパーティーから総スカンに遭い、追放されてしまった治癒使いのラウル。  そんな彼だったが、とあるパーティーに拾われ、そこで認められることになる。 「治癒魔法でモンスターの群れを殲滅だと!?」 「え、嘘!? こんなものまで回復できるの!?」 「この男を追放したパーティー、いくらなんでも見る目がなさすぎだろう!」  ラウルの神がかった治癒力に驚愕するパーティーの面々。  その凄さに気が付かないのは本人のみなのであった。 「えっ? 俺の治癒魔法が凄いって? おいおい、冗談だろ。こんなの普段から当たり前にやってることなのに……」

【収納∞】スキルがゴミだと追放された俺、実は次元収納に加えて“経験値貯蓄”も可能でした~追放先で出会ったもふもふスライムと伝説の竜を育成〜

あーる
ファンタジー
「役立たずの荷物持ちはもういらない」 貢献してきた勇者パーティーから、スキル【収納∞】を「大した量も入らないゴミスキル」だと誤解されたまま追放されたレント。 しかし、彼のスキルは文字通り『無限』の容量を持つ次元収納に加え、得た経験値を貯蓄し、仲間へ『分配』できる超チート能力だった! 失意の中、追放先の森で出会ったのは、もふもふで可愛いスライムの「プル」と、古代の祭壇で孵化した伝説の竜の幼体「リンド」。レントは隠していたスキルを解放し、唯一無二の仲間たちを最強へと育成することを決意する! 辺境の村を拠点に、薬草採取から魔物討伐まで、スキルを駆使して依頼をこなし、着実に経験値と信頼を稼いでいくレントたち。プルは多彩なスキルを覚え、リンドは驚異的な速度で成長を遂げる。 これは、ゴミスキルだと蔑まれた少年が、最強の仲間たちと共にどん底から成り上がり、やがて自分を捨てたパーティーや国に「もう遅い」と告げることになる、追放から始まる育成&ざまぁファンタジー!

弟に裏切られ、王女に婚約破棄され、父に追放され、親友に殺されかけたけど、大賢者スキルと幼馴染のお陰で幸せ。

克全
ファンタジー
「アルファポリス」「カクヨム」「ノベルバ」に同時投稿しています。

パーティーを追放されるどころか殺されかけたので、俺はあらゆる物をスキルに変える能力でやり返す

名無し
ファンタジー
 パーティー内で逆境に立たされていたセクトは、固有能力取得による逆転劇を信じていたが、信頼していた仲間に裏切られた上に崖から突き落とされてしまう。近隣で活動していたパーティーのおかげで奇跡的に一命をとりとめたセクトは、かつての仲間たちへの復讐とともに、助けてくれた者たちへの恩返しを誓うのだった。

お前には才能が無いと言われて公爵家から追放された俺は、前世が最強職【奪盗術師】だったことを思い出す ~今さら謝られても、もう遅い~

志鷹 志紀
ファンタジー
「お前には才能がない」 この俺アルカは、父にそう言われて、公爵家から追放された。 父からは無能と蔑まれ、兄からは酷いいじめを受ける日々。 ようやくそんな日々と別れられ、少しばかり嬉しいが……これからどうしようか。 今後の不安に悩んでいると、突如として俺の脳内に記憶が流れた。 その時、前世が最強の【奪盗術師】だったことを思い出したのだ。

解呪の魔法しか使えないからとSランクパーティーから追放された俺は、呪いをかけられていた美少女ドラゴンを拾って最強へと至る

早見羽流
ファンタジー
「ロイ・クノール。お前はもう用無しだ」 解呪の魔法しか使えない初心者冒険者の俺は、呪いの宝箱を解呪した途端にSランクパーティーから追放され、ダンジョンの最深部へと蹴り落とされてしまう。 そこで出会ったのは封印された邪龍。解呪の能力を使って邪龍の封印を解くと、なんとそいつは美少女の姿になり、契約を結んで欲しいと頼んできた。 彼女は元は世界を守護する守護龍で、英雄や女神の陰謀によって邪龍に堕とされ封印されていたという。契約を結んだ俺は彼女を救うため、守護龍を封印し世界を牛耳っている女神や英雄の血を引く王家に立ち向かうことを誓ったのだった。 (1話2500字程度、1章まで完結保証です)

【死に役転生】悪役貴族の冤罪処刑エンドは嫌なので、ストーリーが始まる前に鍛えまくったら、やりすぎたようです。

いな@
ファンタジー
【第一章完結】映画の撮影中に死んだのか、開始五分で処刑されるキャラに転生してしまったけど死にたくなんてないし、原作主人公のメインヒロインになる幼馴染みも可愛いから渡したくないと冤罪を着せられる前に死亡フラグをへし折ることにします。 そこで転生特典スキルの『超越者』のお陰で色んなトラブルと悪名の原因となっていた問題を解決していくことになります。 【第二章】 原作の開始である学園への入学式当日、原作主人公との出会いから始まります。 原作とは違う流れに戸惑いながらも、大切な仲間たち(増えます)と共に沢山の困難に立ち向かい、解決していきます。

異世界に召喚されて2日目です。クズは要らないと追放され、激レアユニークスキルで危機回避したはずが、トラブル続きで泣きそうです。

もにゃむ
ファンタジー
父親に教師になる人生を強要され、父親が死ぬまで自分の望む人生を歩むことはできないと、人生を諦め淡々とした日々を送る清泉だったが、夏休みの補習中、突然4人の生徒と共に光に包まれ異世界に召喚されてしまう。 異世界召喚という非現実的な状況に、教師1年目の清泉が状況把握に努めていると、ステータスを確認したい召喚者と1人の生徒の間にトラブル発生。 ステータスではなく職業だけを鑑定することで落ち着くも、清泉と女子生徒の1人は職業がクズだから要らないと、王都追放を言い渡されてしまう。 残留組の2人の生徒にはクズな職業だと蔑みの目を向けられ、 同時に追放を言い渡された女子生徒は問題行動が多すぎて退学させるための監視対象で、 追加で追放を言い渡された男子生徒は言動に違和感ありまくりで、 清泉は1人で自由に生きるために、問題児たちからさっさと離れたいと思うのだが……

処理中です...