外れスキルと馬鹿にされた【経験値固定】は実はチートスキルだった件

第一章

第58話 【スキルについて・２】✤

　フェルガは持ってきた大剣を咥えると、さっきまでの剣と比べて体格に合った感じがする。

「ふむ、これなら持ちやすくて良いな」

「それは良かった。それじゃ、取り合えず続きをやってみようか」

　その後、俺は師匠達に【剣術】を教え気付いたら陽が落ちていた。
　訓練が終わりステータスを確認したが、スキルは発現はしなかった。

「アルフ。今日は沢山運動したんだから、相応の飯を用意してくれないと困るぞ？」

「大丈夫だよ。大剣を取りにいく序に食堂のおばちゃん達に、フェルガの分の料理も頼んでおいたから安心して」

　そう俺は言って、食堂にフェルガの分の料理を取りに行った。
　そうして料理を持って広場に戻ってきた俺は、フェルガが食事を終えるのを待つ間、師匠と少し話をする事にした。

「師匠。一日、【剣術】の訓練をしてましたけど、どうでしたか？」

「まあ、正直な気持ちで言うと違和感あるな。今まで魔法一筋で来てたから、今更そんな俺が剣に手を出すのかって」

　師匠はこれまでの人生全て、魔法に費やしてきたと言っても過言ではない人だ。
　そんな人が新しく剣を使うとなると、そう直ぐに慣れはしないだろう。

「でも師匠が剣を使えるようになれば、魔法使いの苦手な近接も得意になって益々強くなるんじゃないですか？」

「……そうだな、元々近接系の攻撃手段を持とうかずっと悩んでいたから、今回の【剣術】訓練はいい機会なんだよ。だから自分に言い聞かせながら訓練を続けてたが、どうにも集中できなくてな」

「それは仕方ないですよ。俺みたいになんでもしないといけない立場でも無いですし、今はただ俺のスキルの検証に付き合ってるだけですしね」

「まあ、でも無駄な時間は過ごしたくはないから、何とか気持ちを切り替えられるように努力はするよ」

　それからフェルガは食事を終え満足気に横になったので、異空間の中に入れて、俺と師匠は食堂へと向かった。
　夕食を食べ、師匠と一緒に風呂に入った俺は、また明日も同じ時間に訓練をする約束をして師匠と別れた。

「そう言えば、師匠達のステータスは変化が無かったみたいだけど、俺自身のステータスは何か変化あったかな？」

　自分では特に何か変化があったとは思って無いが、念のために確認をしておこうと思ってステータスを確認した。

✤
名　前：アルフレッド
年　齢：１６
種　族：ヒューマン
身　分：平民
性　別：男

レベル：１５
筋　力：２０１
魔　力：３８４
敏　捷：９４
　運　：９１

スキル：【経験値固定：／】【剣術：５】　【属性魔法（４）：／】
　　　　【魔力制御：８】　【従魔：１０】【調理：４】
　　　　【指導：１】
加　護：Error
✤

「……なんか増えてる」

　自分では気づいていなかったが、俺のスキル欄には【指導】という新たなスキルが追加されていた。
　いや、全く気付かなかった……いつの間に、こんなスキルを手に入れていたんだ？

「アリスのステータスを見た時に一緒に自分のステータスを見た時は無かったから、今日手に入れたスキルなのか？」

　アリスの訓練を見てる際、俺は自分のステータスも確認していてスキルが無い事を記憶している。
　だとすると、今日一日師匠達と訓練をしていたおかげでスキルが現れ、レベル１まで成長したんだろう。

「師匠が【剣術】を獲得できるかできないかを検証しようとしていたのに、何で俺に新たなスキルが出てるんだよ」

　新たにスキルに追加された【指導】というスキルを見て、そう言ってこのスキルの能力について考えた。

「それにしても、このスキルは名前からして人に教えるスキルだろうけど、これがあるからって何か変わるのか？」

　正直、こんなスキルが無くても人に教える事は出来るだろう。
　なのに態々こんなスキルがあるって、おかしいなと俺は疑問に感じた。

「でも、それは調理とかにも言える事か……取り合えず、このスキルを獲得した事は喜んだ方が良いな」

　そう俺は思いながら、ベッドに横になって眠りについた。
　翌日、朝食を食べて師匠よりも先に広場で準備運動をしていると、師匠が時間通りやって来た。

「もう来てたのか、アルフは早いな」

「今日はちょっと少し早めに目が覚めたので、あと師匠に聞きたい事が出来たので早く会おうと思って待ってたんです」

「聞きたい事が出来た？　もしかして、何かあったのか？」

　師匠は俺が〝聞きたい事ができた〟と聞くと、そう真剣な顔をして尋ねて来た。
　俺はそんな師匠に対して、自分のステータスを見せながら新たに獲得した【指導】についての話をした。