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第二章
第78話 【試験・4】
しおりを挟むそうして数日間、学園が終わった後も勉強会で勉強をしたアリス達は、日に日にそれぞれの教科の理解度が上がっていった。
「そう言えば、明日からの事は考えてなかったけどどうする?」
「休みの日も勉強会が出来るなら、して欲しいかな? もう少し詰め込んでおきたい感はあるから」
「私も~、算術は大分よくなったけど、商売術と魔法学はまだちょっと心配……」
レインとリサがそう言うと、アリスも「私も」と全員が休日も勉強会をしたいと言った。
「取り合えず、今からエルドさんに明日と明後日の事聞いてくるよ。皆は待ってて」
俺はそう言って皆を部屋に残して、商会の建物へと行きエルドさんの所に向かった。
「ふむ、休みの日も勉強会をしたいと……アリスもやりたいと言ったのか?」
「はい。アリスもやりたいと言ってました」
「そうか、なら儂としては構わんよ」
「本当ですか? ありがとうございます!」
エルドさんに許可が下りた俺は、そう感謝の言葉を言って部屋を出ようとした。
しかし、俺が出る前にエルドさんから「ちょっと待つんだ」と呼び止められた。
「学友の子達さえ良かったら、休みの間は寮に泊らせても良いぞ。客が泊まる時用の部屋があるから、そこに泊めたら良い」
「えっ、良いんですか?」
「うむ、その方が勉強にも集中出来るだろ? アリスも休日は寮で過ごす様にすれば、より学友との仲を深められると思うからな」
「ありがとうございます! 早速、リサ達に伝えてきます」
俺はエルドさんに頭を下げてお礼を言い、今度こそ部屋から出た。
それからアリス達が居る部屋に戻ってきた俺は、休日も勉強が出来る事とリサ達さえ良かったら寮に泊れるという事も伝えた。
「えっ、私達が寮に泊っていいの?」
リサは話を聞くと驚いた顔をしてそう言い、レインも驚いた顔をして固まっていた。
「学園がある日だったら、来る時は俺達と一緒に来れるけど、休みだと家から商会まで来ないといけないだろ? 多分、そこらへんをエルドさんが考えて二日間泊っても良いと言ったんだと思う」
「そこまで考え貰ってるなんて……いつか、ルクリア商会にはきちんとしたお礼をしないと」
「そうだね。こんなに好待遇を無料で受けさせてもらえるなんて、本当に感謝しないと……」
リサとレインはそう言うと、今日は少し早めに勉強会を切り上げて一旦家に帰り、両親に許可を貰ってくると言った。
「多分、大丈夫だとは思うけどね。何せルクリア商会だから」
「僕も多分、大丈夫だとは思うよ。お父さんがルクリア商会の冒険者の人と仲が良いから、迷惑だけはかけるなって言われるだけだと思う」
そうリサ達は言いながら、一旦家に帰宅した。
リサ達が居なくなった後、俺とアリスはそのまま勉強会の続きをする事にした。
それから一時間後、リサ達は戻ってくると親の許可が無事におりたと言った。
そうして戻ってきたリサ達に、エリスさんにリサ達が居ない間に教えて貰った客室にリサ達を案内した。
「ここがレインで隣がリサの部屋になるよ」
「凄く広いし、ベッドも豪華なんだけど……」
「これが客室って、ルクリア商会って本当に凄いね……」
リサ達は客室に豪華さに驚きそう言って、俺はそれからリサ達を寮の施設を案内する事にした。
そして一通り案内を終え、夕食に丁度いい時間になったので俺達は食堂へと向かった。
「あら、貴方達がこの時間も居るって事は今日は泊るのかしら?」
「はい。明日から学園が休日でして、エルドさんから宿泊の許可を貰ったのでお世話になります」
「お世話になります」
そう二人が言うと、食堂のおばちゃん達は「よろしくね~」と笑顔で二人を迎え入れてくれた。
その後、夕食を食堂で食べ、お風呂に入る事にした。
「話ではアルフ君が剣も使うとは聞いてたけど、こんなに鍛えられてるとは思わなかったよ。服の上からだと分からないね」
「まあ、服を着たら分からないね。でも、レインもかなり鍛えてるよね」
「そりゃ、本職だしね」
レインも俺と同じく服で筋肉が隠れていたが、かなり鍛えられていた。
「明日から一日勉強会だけど、休憩時間に体動かそうと思ってるから、その時に剣で模擬試合でもする?」
「良いの!」
俺の提案にレインは乗り、約束だよ! と言い、レインと模擬試合をする事が決まった。
その後、今日は一日勉強会で疲れていた為、レインを部屋まで見送り、俺も自分の部屋に戻りベッドに横になると直ぐに眠りについた。
「はぁ、はぁ……アルフ君、剣も凄い腕だね……」
翌日、朝食を食べて三時間程勉強をした俺達は、一旦休憩時間を取る事にした。
そして、俺とレインは昨日の風呂場で約束した模擬試合を行った。
既に10分程戦っていて、レインは俺に剣術で押されているが悔しそうな顔はせず、楽しそうな顔をしていた。
「レイン、楽しそうだね」
「アルフ君とは戦ってみたいと、前から思ってたんだよね。噂でしか、アルフ君の強さって聞いた事が無かったから、実際はどうなんだろうって、それで実際に戦ってみると凄く強くてなんだか楽しいんだ」
そうレインは言い、俺も自分の同年代相手とこうして剣を交えるのは初めてで楽しさを感じていた。
それから俺達は楽しい雰囲気に飲まれ、いつの間にか休憩時間が終わっていた。
アリス達も観戦していて、すっかり時間を気にしておらず少しだけ時間を無駄にした俺達だった。
そうして俺達は二日間の休日を4人で過ごし、試験日を迎えた。
「アリス、緊張せずに一つ一つ確認して解くんだよ」
「頑張る。これで成果だして、お父さん達を驚かせるつもりだから」
「応援してるよ」
アリスは気合が入ってるようで、これ以上は邪魔をしないでおこうと思い声を掛けるのを止めた。
それから少しして先生が教室にやって来て、試験が始まった。
「そこまで難しくないな……」
これまで試験は商会で事前に受けた試験と、学園に入学する時の試験の二つだけの俺はそのどちらよりもこの試験は簡単に感じた。
まあ、確か入学試験は難しくされてると言ってたし、こっちの試験が簡単なのは当たり前なのかな?
そう思いながら俺は問題を解き、開始して20分程して全部の解答を終えた。
「アリスは、どんな感じだろうか?」
アリスの事が心配に思った俺は、チラッとアリスの表情を見ると楽しそうに試験を解いていた。
あの様子だと、勉強の成果が出てるみたいだ。
アリスは何問に直面すると、唸る癖があるが今日の試験では一度も聞くことは無かった。
「試験お疲れさまでした」
算数、歴史、魔法学、商売術、4つの科目の試験を終えると先生はそう言った。
その言葉を聞いたクラスの人達は、様々な表情をしていた。
絶望した表情をしている人や、結果が楽しみなのか笑みを浮かべてる者、後は悟りを開いたような表情の人も居た。
「アリス、お疲れ様。試験はどうだった?」
「アルフ君もお疲れ様。うん、少しだけ躓いた箇所はあるけど、今までで一番解けたよ」
「お~、それは良かった。試験の結果が楽しみだね」
「うん!」
それからリサとレインも報告に来ると、やはり苦手科目でいくつか書けない所はあったみたいだが大体は解けたと言った。
「アルフ君、本当にありがとう」
「アルフ君が居なかったら、私達もあの子達と同じように絶望した顔をしてたと思う」
「俺は手伝っただけだよ。頑張ったのは、皆だからね」
その後、一週間の勉強会を乗り越えた俺達はお疲れ様会をしようという事になり、商会でちょっとしたパーティーみたいな事をした。
勿論、エルドさんには許可を取っていたが、食堂のおばちゃん達から豪勢な料理の差し入れをしてもらった。
リサ達はその豪勢な料理に驚きつつ、俺達はお疲れ様会を楽しんだ。
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