外れスキルと馬鹿にされた【経験値固定】は実はチートスキルだった件

霜月雹花

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第二章

第86話 【規格外の兄妹・1】

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 クラリスが商会で暮らす様になった翌日、学園に登校して学生生活を送り、アリスと共に商会へと戻って来た。

「そう言えば、アリスは妹ともう会ったっけ?」

「アルフ君の妹さんって確か、お爺ちゃんが商会に誘ったんだよね? まだ私は会った事が無いけど、会うの少しだけ楽しみにしてたんだ」

 ワクワクと楽しそうな表情をしてるアリスに、俺は珍しいという風な感情でアリスを見た。

「あれ、アリスの人見知りはもう治ったの?」

「ううん。まだ治ってないけど、ほら前からアルフ君やお爺ちゃん達から妹さんの話を聞いてて、どんな人なんだろうってずっと気になってたんだ。聞いた感じだと大人しい子みたいだし、それにアルフ君の妹ならアルフ君みたいになんか仲良くなれそうな気もするんだ」

「クラリスもどちらかと言うと、友達は多い方じゃないし、アリスと友達になってれくたら俺としても嬉しいかな。まあ、直ぐには無理でもゆっくりと仲良くなればいいと思うから、無理はしないで大丈夫だよ」

 それから商会へと帰宅した俺は、クラリスの部屋に呼びに行った。

「初めまして、妹のクラリスです」

「は、はじめましてアリスです……その、よろしくね」

 初めて会ったクラリスに対し、アリスは不安そうな顔はしているがちゃんと挨拶を交わす事が出来た。

「アリスさん、無理しなくても大丈夫ですよ? エルドさんから、アリスさんの人見知りについては聞いているので」

「いや、クラリス。今のアリスはそこまで無理はしてないと思うぞ、普通であれば挨拶を交わす事も出来ないからな。だからほら、アリスもさっきまでは不安そうだったけど、今は少し笑顔になってるだろ?」

「あ、アルフ君。表情の解説はしないで……」

 アリスは自分の気持ちを解説されて恥ずかしかったのか、顔を隠しながらそう言った。
 しかし、俺に続いてクラリスもアリスとは初対面から話せる関係とは、本当に凄い偶然だな。

「……もしかしてだけどさ、俺もクラリスも元々友達が少なくてアリスにとって同類だからこう話せるのかな?」

「確かに、私も兄さんも友達以前に知り合いも少ないですからね……」

 俺の仮設を聞いたクラリスは、悲し気にそう言った。
 俺もクラリスも家の教育上、人と関わる機会が本当に少なかった。
 その後、時間もそこまで無いので訓練を始める事にした。

「兄さんって、こんなに人に教えるのが上手かったんだね。家で雇われていた教師より、断然兄さんの教え方いいと思うな」

「師匠から教わったやり方とか簡易的にした方法とか、そもそも師匠から教わった内容をそのまま伝えたりしてるから、俺が凄いんじゃなくて師匠が凄いんだよ」

 教え方を褒められた俺は、参考にしている相手が師匠だから上手く見えるとそう伝えた。

「そうだとしても、兄さんの教え方が上手なのには変わりないと思うけど……まあ、兄さんって自分が納得してない事はとことん否定するタイプだから、言っても意味が無いと思うけど」

「流石、クラリスちゃんだね。長年一緒に暮らしてるから、アルフ君の癖とか性格も完璧に把握してるんだ」

「ここ一年は兄さんと離れ離れでしたけど、それまでは一緒に居たので大体の事は分かりますよ。今も自分を見透かされて、ちょっと困惑してるのを分かります」

 いや、それは仕方ないだろ……まさか、クラリスにそこまで見破られてるとは思ってもいなかった。
 という事は、今までもクラリスは俺の考えを読んでいた事もあるのか?

「心配してると思うけど、私のは単に予測なだけで見通すわけではないよ? 兄さんが今、どんな事を考えているのかな~って考えは出来るけど、その考えを完璧に言い当てるってのは流石の私でも無理だよ」

「まあ、そこまで凄い力だったらスキルにそれ系統の力を持ってる筈だけど、そういうのは持ってないからな」

 その後、話は終わりにして訓練に集中するように二人に言って、夕食までの時間たっぷりといつも通りの訓練を行った。
 そうして夕食の時間となり、俺達は一緒に食堂で食べる事にした。

「それじゃ、アルフ君達また明日! おやすみ~」

 夕食後、アリスはそう言ってエリックさんと馬車に乗って、商会から去って行った。
 その光景を見ていたのか、アリスが帰って直ぐにエルドさんから部屋に来るようにと指示が届いた。

「アルフ。単刀直入に聞くが、アリスとクラリスの関係はどうだ?」

「凄く良いと思いますよ。俺の時と同じで、クラリスには直ぐに心を開いた感じがします」

「そうか、ここからアリスが帰っていくのを見ていたが、親し気にクラリスと話していたからもしやと思って確認をしたが……どうしてそうなったのか、アルフは何か心当たりはあるか?」

「そうですね。俺の仮説ですけど、もしかしたらアリスは自分に似た人に対しては人見知りのレベルが下がるのではないでしょうか」

 俺は今日のクラリスとアリスが直ぐに仲良くなったのを見て、もしやと思っていた仮説をエルドさんに伝えた。

「自分と似た人とは? アルフ達とアリスはどこかにているか?」

「そうですね。俺とクラリス、そしてアリスの共通してる点として交友関係が少ないという所があるんです」

「ふむ、確かにアルフ達の話も聞いて二人共交友関係が少ないのは知っているが、アリスはそもそも人見知りで同年代の友人はアルフが初だから似ていると言っていいのか?」

「人とのコミュニケーションが幼い頃から少ないと言う意味合いで言えば、俺とクラリスはアリスと同じになるとは思います。アリスは人見知りで人と関係値が出来ず、俺とクラリスは家のせいで関係値が取り辛かったので」

 エルドさんはそれから俺の話を聞いて悩んでいたが、今日は遅いから今日は休むようにと言われて、俺はエルドさんの部屋を出た。
 それから入浴を済ませ、部屋に戻って来た俺は寝る準備をしていると部屋の扉をノックする音が聞こえて見に行くと。
 部屋の扉の前には、クラリスが居た。

「クラリス。どうしたんだ?」

「兄さんが良ければで良いんだけど、ちょっと受付の練習に付き合って欲しいの……」

「こんな時間まで勉強してたのか? あまり無理しちゃ駄目だぞ。エルドさんも、無理はしなくていいって言ってたんだから」

「少しでも早く役に立ちたいって気持ちが強くて、兄さんも私と同じ立場なら早く役に立てるように頑張るでしょ?」

 クラリスの言葉に俺は言い返せず、勉強に付き合う事にした。
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