外れスキルと馬鹿にされた【経験値固定】は実はチートスキルだった件

霜月雹花

文字の大きさ
123 / 140
第二章

第123話 【学園からの頼み・4】

しおりを挟む
 翌日、学園に登校した俺はレインとリサに大会の件について聞いてみた。

「えっ、僕達に訓練付けてくれるの?」

「アルフ君は自分の訓練はしなくても大丈夫なの?」

「学園長からも今でも十分戦えるって言われたから、レイン達の力になりたいなって思ってさ。別に強制じゃないから、二人が嫌なら参加はしなくても良いけど……」

 そう二人に言うと、レイン達は「絶対に参加するよ!」と言った。
 そうしてレイン達も訓練に参加する事が決まり、大会までは三人の育成に力を入れようと俺は考えた。

「そう言えば、俺は今回がはじめての大会だけど、毎年どれくらいの参加者が居るの?」

「学生の8割は参加すると思うよ。特に平民は、この大会で自分の価値を証明すれば名を売る事が出来て、卒業後の進路も困らなくなるからね。僕の場合は、単純に今の自分がどこまでやれるのか知りたいから参加するけどね」

「私もアルフ君から教わった魔法がどこまで通用するのか試しておきたいと思って、参加を決めたの」

 学生の8割も参加って、かなり人気の高い大会なんだな。
 それから俺は大会について詳しくない為、お昼休みは二人から大会についての情報を色々と聞いた。

「参加者が多いって聞いた時点で一対一形式じゃなくて、集団戦なのは分かってたけど、その集団戦も何個か分かれるんだね」

「うん。最初に集団戦で数を削って、個人戦の人数を出すのが大会のやり方だね」

「集団戦は協力とかはどうなの?」

「しても大丈夫だよ。でも、何処に割り振られるかは当日まで分からないから上手く協力する事は難しいんだよね」

 そう俺は大会のルールを聞いていると、教室の外がザワザワと騒がしくなり教室の出入口の方を見ると、レオルドが教室に入って来た。

「久しぶり、皆。元気にしてた?」

 ニコニコと笑顔を浮かべてレオルドは入ってくると、俺達の所へと寄って来た。

「久しぶりって、学園が始まって直ぐに会ったと思うけど?」

「でもここ数日は会えてなかったでしょ? 皆は、同じクラスだから良いと思うけど、僕は一人違うから寂しいんだよ?」

「そりゃ、レオルドは貴族なんだから仕方ないでしょ……」

 俺の言葉にレオルドは「今日のアルフ、なんだか冷たいな~」と言いつつ、近くの席に座った。

「聞いたよ。アルフ達大会に出るんだよね?」

「何で俺も参加するって知ってるの?」

「ふふっ、王族だから情報が届くのは早いんだよ」

 レオルドがそう言い、俺は「レオルドは出場するの?」と聞いた。

「うん。一応、出場するつもりだよ……それでさ、アルフの事だからレイン達と一緒に訓練するつもりでしょ? 良かったら、その訓練に僕も参加したいんだけど」

「エルドさんと陛下が許可してくれてるなら、参加しても大丈夫だよ」

「勿論、先に許可は取って来てるよ。ありがとうアルフ!」

 用意周到なレオルドは、俺に聞く前に既にエルドさんと陛下に許可取りを終えていたみたいだ。
 まあ、アリス達もレオルドとは面識があるから参加しても大丈夫だろう。

「それで訓練に参加するのは、レオルドだけなの? デイルは誘わないの?」

「う~ん。デイルは王城で訓練するつもりみたいだけど、後で聞いてみるよ。それで参加したいって言ったら、参加させても良いかな?」

「勿論、良いよ。デイルだけ仲間外れは可哀想だからね」

 それから、レオルドも一緒にお昼は大会の事を話をして過ごした。
 その後、デイルは勿論参加させてほしいと言ったらしく、一緒に訓練する事になった。

「という訳で、レイン達とレオルド達も一緒に訓練にする事になりました」

 一日の授業を終え、商会に帰宅した俺はアリス達を先に広場に行かせて、俺はエルドさんの所へと来て報告をした。

「ふむ、許可は出しておるから大丈夫だぞ」

「ありがとうございます」

 先に許可が降りていたとは言え、レオルド達と一緒に訓練すると決めたのは俺だから、そうエルドさんに感謝の言葉を伝えた。
 そうしてエルドさんへの報告を終えた俺は、広場へと向かい先に集まっていたアリス達と大会に向けての訓練を始めた。
しおりを挟む
感想 32

あなたにおすすめの小説

なんだって? 俺を追放したSS級パーティーが落ちぶれたと思ったら、拾ってくれたパーティーが超有名になったって?

名無し
ファンタジー
「ラウル、追放だ。今すぐ出ていけ!」 「えっ? ちょっと待ってくれ。理由を教えてくれないか?」 「それは貴様が無能だからだ!」 「そ、そんな。俺が無能だなんて。こんなに頑張ってるのに」 「黙れ、とっととここから消えるがいい!」  それは突然の出来事だった。  SSパーティーから総スカンに遭い、追放されてしまった治癒使いのラウル。  そんな彼だったが、とあるパーティーに拾われ、そこで認められることになる。 「治癒魔法でモンスターの群れを殲滅だと!?」 「え、嘘!? こんなものまで回復できるの!?」 「この男を追放したパーティー、いくらなんでも見る目がなさすぎだろう!」  ラウルの神がかった治癒力に驚愕するパーティーの面々。  その凄さに気が付かないのは本人のみなのであった。 「えっ? 俺の治癒魔法が凄いって? おいおい、冗談だろ。こんなの普段から当たり前にやってることなのに……」

【収納∞】スキルがゴミだと追放された俺、実は次元収納に加えて“経験値貯蓄”も可能でした~追放先で出会ったもふもふスライムと伝説の竜を育成〜

あーる
ファンタジー
「役立たずの荷物持ちはもういらない」 貢献してきた勇者パーティーから、スキル【収納∞】を「大した量も入らないゴミスキル」だと誤解されたまま追放されたレント。 しかし、彼のスキルは文字通り『無限』の容量を持つ次元収納に加え、得た経験値を貯蓄し、仲間へ『分配』できる超チート能力だった! 失意の中、追放先の森で出会ったのは、もふもふで可愛いスライムの「プル」と、古代の祭壇で孵化した伝説の竜の幼体「リンド」。レントは隠していたスキルを解放し、唯一無二の仲間たちを最強へと育成することを決意する! 辺境の村を拠点に、薬草採取から魔物討伐まで、スキルを駆使して依頼をこなし、着実に経験値と信頼を稼いでいくレントたち。プルは多彩なスキルを覚え、リンドは驚異的な速度で成長を遂げる。 これは、ゴミスキルだと蔑まれた少年が、最強の仲間たちと共にどん底から成り上がり、やがて自分を捨てたパーティーや国に「もう遅い」と告げることになる、追放から始まる育成&ざまぁファンタジー!

弟に裏切られ、王女に婚約破棄され、父に追放され、親友に殺されかけたけど、大賢者スキルと幼馴染のお陰で幸せ。

克全
ファンタジー
「アルファポリス」「カクヨム」「ノベルバ」に同時投稿しています。

パーティーを追放されるどころか殺されかけたので、俺はあらゆる物をスキルに変える能力でやり返す

名無し
ファンタジー
 パーティー内で逆境に立たされていたセクトは、固有能力取得による逆転劇を信じていたが、信頼していた仲間に裏切られた上に崖から突き落とされてしまう。近隣で活動していたパーティーのおかげで奇跡的に一命をとりとめたセクトは、かつての仲間たちへの復讐とともに、助けてくれた者たちへの恩返しを誓うのだった。

お前には才能が無いと言われて公爵家から追放された俺は、前世が最強職【奪盗術師】だったことを思い出す ~今さら謝られても、もう遅い~

志鷹 志紀
ファンタジー
「お前には才能がない」 この俺アルカは、父にそう言われて、公爵家から追放された。 父からは無能と蔑まれ、兄からは酷いいじめを受ける日々。 ようやくそんな日々と別れられ、少しばかり嬉しいが……これからどうしようか。 今後の不安に悩んでいると、突如として俺の脳内に記憶が流れた。 その時、前世が最強の【奪盗術師】だったことを思い出したのだ。

解呪の魔法しか使えないからとSランクパーティーから追放された俺は、呪いをかけられていた美少女ドラゴンを拾って最強へと至る

早見羽流
ファンタジー
「ロイ・クノール。お前はもう用無しだ」 解呪の魔法しか使えない初心者冒険者の俺は、呪いの宝箱を解呪した途端にSランクパーティーから追放され、ダンジョンの最深部へと蹴り落とされてしまう。 そこで出会ったのは封印された邪龍。解呪の能力を使って邪龍の封印を解くと、なんとそいつは美少女の姿になり、契約を結んで欲しいと頼んできた。 彼女は元は世界を守護する守護龍で、英雄や女神の陰謀によって邪龍に堕とされ封印されていたという。契約を結んだ俺は彼女を救うため、守護龍を封印し世界を牛耳っている女神や英雄の血を引く王家に立ち向かうことを誓ったのだった。 (1話2500字程度、1章まで完結保証です)

【死に役転生】悪役貴族の冤罪処刑エンドは嫌なので、ストーリーが始まる前に鍛えまくったら、やりすぎたようです。

いな@
ファンタジー
【第一章完結】映画の撮影中に死んだのか、開始五分で処刑されるキャラに転生してしまったけど死にたくなんてないし、原作主人公のメインヒロインになる幼馴染みも可愛いから渡したくないと冤罪を着せられる前に死亡フラグをへし折ることにします。 そこで転生特典スキルの『超越者』のお陰で色んなトラブルと悪名の原因となっていた問題を解決していくことになります。 【第二章】 原作の開始である学園への入学式当日、原作主人公との出会いから始まります。 原作とは違う流れに戸惑いながらも、大切な仲間たち(増えます)と共に沢山の困難に立ち向かい、解決していきます。

異世界に召喚されて2日目です。クズは要らないと追放され、激レアユニークスキルで危機回避したはずが、トラブル続きで泣きそうです。

もにゃむ
ファンタジー
父親に教師になる人生を強要され、父親が死ぬまで自分の望む人生を歩むことはできないと、人生を諦め淡々とした日々を送る清泉だったが、夏休みの補習中、突然4人の生徒と共に光に包まれ異世界に召喚されてしまう。 異世界召喚という非現実的な状況に、教師1年目の清泉が状況把握に努めていると、ステータスを確認したい召喚者と1人の生徒の間にトラブル発生。 ステータスではなく職業だけを鑑定することで落ち着くも、清泉と女子生徒の1人は職業がクズだから要らないと、王都追放を言い渡されてしまう。 残留組の2人の生徒にはクズな職業だと蔑みの目を向けられ、 同時に追放を言い渡された女子生徒は問題行動が多すぎて退学させるための監視対象で、 追加で追放を言い渡された男子生徒は言動に違和感ありまくりで、 清泉は1人で自由に生きるために、問題児たちからさっさと離れたいと思うのだが……

処理中です...