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第二章
第129話 【学生大会・2】
しおりを挟む「二人共、お疲れ様~」
「お疲れ様、アルフ君、アリスちゃん」
第一試合が終わり、待合室に戻って来るとレインとリサからそう言われて出迎えられた。
「私はただ立ってただけだけどね。アルフ君が一瞬で終わらせちゃったから」
「いや~、本当はあそこまでやるつもりは無かったんだけど、試合始まる前に商人科がかなり舐められてると思う出来事があってね。我慢出来ずにやっちゃった」
「アルフの敵じゃなくて、本当に良かった」
笑いながら言った俺の言葉に対して、レインから真顔でそう言われた。
「そう言えば、第二試合にはレオルド王子とデイル君が出場してるみたいだよ」
「へ~……本当だ。あそこで目立ってる二人組は、レオルドとデイルだね」
待合室からは勿論、会場を見る事が出来る為、レインから言われた俺は会場の方を見ると中央で暴れてるレオルド達を見つけた。
レベル30を超えてる上に、俺との訓練でスキルも強化されてる二人は他の生徒を圧倒していた。
あの二人に関しては長い年月、一緒に過ごしていて主人と従者という立場もあり、かなり連携が取れている。
魔法を使えるレオルドをデイルが守り、攻めて来た生徒達に対してレオルドは魔法を巧みに使って倒していた。
「あの二人は本当に小さい頃から一緒だから、掛け声無しであそこまで連携できるのが凄いよ。あれに関しては、俺が教えた所で身につけられる能力じゃないからね」
そう俺は二人の戦いを感心しながら見ていると、待合室にいる生徒の視線が俺に集まってるのを感じた。
まあ、あれだけの事をしたんだから多少はこうなるだろうな。
「アルフ君、人の視線を感じるなら移動する?」
「こうなる事は、学園長の依頼を受けた時から分かってたから大丈夫だよ」
心配してくれたアリスに俺はそう言って、皆と一緒に試合の観戦を続けた。
その後、レオルド達は特に苦戦する事も無く無事に勝ち上がり、レインとリサは試合の為、会場に向かった。
そしてレイン達と入れ替わるようにして、俺達の所にレオルド達がやって来た。
「レオルド、デイル。お疲れ様」
「お疲れ様です」
俺とアリスがそう言って出迎えると、レオルドは笑みを浮かべて「アルフ達もお疲れ様」と言って一緒の席に座った。
「アルフがあそこまでやるとは思わなかったけど、もしかしてあの何か伝えていた魔法科の生徒と何かあったの?」
「うん。ちょっと、科目で差別してたからちょっとだけ注意したんだよ」
「ハハッ、多分その生徒がなにかやったんだろうけど、相当怖かっただろうね」
「そうだろうな、アルフの魔法の威力は学生のレベルじゃないからな……」
レオルドの言葉に対して、頷きながらデイルはそう言った。
「それを言うなら二人も凄かったと思うけどね。ねえ、アリス?」
「うん。王子様達の連携力も学生とは思えないレベルでしたよ?」
「そう言って貰えると嬉しいね。まあ、僕は殆ど何もしてないけどね。デイルが僕の事を理解してくれてるから、あんな風に連携が出来るんだ」
「従者ですからね。そりゃ、王子様の動きを見て動けるように常日頃から訓練してますから」
デイルはそう言うと、レオルドは「デイルが従者で本当に良かった」と笑みを浮かべながら言った。
それから少し会場の整備が行われて、第三試合が始まった。
第三試合にはレイン達が出場しているので、観戦に集中していると試合開始早々にレインとリサは暴れていた。
前衛のレインが敵を引き受け、魔法使いのリサが一気に敵を場外に押し出していた。
「あの二人も中々の連携力だね」
「幼馴染で家も近いから、レオルド達の様に小さい頃からの付き合いらしいからね。それに少し前、俺が冒険者活動をしてる間とかは二人で訓練してたって聞いたよ」
「それはあの連携力が生まれる訳だ……」
レオルド達程では無いが、レインとリサもかなりの連携が取れており、力の差もあって他の生徒達を圧倒していた。
そうして圧倒していたレイン達を生徒達は避けはじめて、取り合えず上位入賞を狙って他で潰し合いを始めた。
こうしてみると、第一試合では俺とアリス、第三試合でレインとリサが勝ちあがりが決まると。
それだけでも商人科の地位は、かなり上がるんじゃないか? と考えた。
「レオルドはどう思う? 商人科から4人が個人戦に上がった場合、今の商人科を下に見てる風潮は無くなると思う?」
「う~ん……多分、少しは改善されると思う。でも払拭しきるには難しいかな?」
「まあ、そう簡単にはいかないよね……」
その後、レイン達は何事も無く勝ち上がりが決まった。
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