特性【プレイヤー】に覚醒した俺は、前世の記憶を思い出し異世界を楽しむ

霜月雹花

文字の大きさ
8 / 80
第一章

第8話 【固有能力の力・4】

しおりを挟む

 あの後、アリシアさんはレインさんと依頼の件で話す事があると言ってギルドに残り。
 俺は一人でいつもの様に王都の外へ、薬草の採取にやって来た。

「念の為、一つの場所で取り過ぎないようにしてたけど、案外薬草って生えるのが早いんだな」

 この数日間、俺は薬草を一ヵ所ではなく複数の場所で採取していた。
 そして今日は、初日に採っていた場所に来たのだが、既に新しい薬草がちらほらと現れている。
 薬草は空気中の魔力と太陽の熱で成長しており、この王都の近くは魔力濃度が比較的安定してるから薬草も生えやすいんだろう。

「魔物も王都は冒険者が多いおかげで、この辺は滅多に魔物も現れないしな」

 薬草採取しかしてないが、今の所まだ魔物は一度も見たことが無い。
 理由として大きいのは、やはり王都の冒険者の数が多い事だろう。
 都市部には冒険者が多く滞在しており、王都はその中でも多い方で魔物による被害が出る前に魔物が駆除される。

「まあ、もう少し奥に行ったら嫌でも魔物とは会うだろうけど、まだ俺はその時じゃないからな。まずは、最低限の装備を揃えないと」

 今の俺の装備は、普段着にギルドからボアの革装備と短剣を借りてる状態。
 装備に関して、無料で貸してもらってるが壊れたら弁償しないといけないから、護身程度で着用している状態だ。
 それから俺は薬草の採取を終え、冒険者ギルドで換金を済ませた。
 既にアリシアさんはギルドを出て行ったらしく、帰りに商業区で食材を購入して家へと戻って来た。

「クリス君、君って本当にどんな能力を持ってるの? 正直、このレベルの料理作れるなら冒険者じゃなくて料理人でも十分食べていけるレベルよ?」

 夕食を作り終える少し前、アリシアさんは帰宅して来て俺が作った料理を見てそう口にした。

「料理はここ数日で好きになりましたけど、冒険者の方が良いんですよね。楽しそうですし」

「まあ、その気持ちは私も分かるから強くは言えないわね……」

「それに今のこの料理の勉強もアリシアさんに美味しい料理を食べて貰いたいって理由もありますけど、旅に出た際に自分で作れた方が美味しい料理をどこでも食べられると思って頑張ってるんです」

 この間のアリシアさんの様に、冒険者は数日続けて依頼をするケースは多い。
 その際、食べる物といえば保存食になるのだが、正直その保存食はそこまで美味しいとは言えない。

「保存食に慣れるのも強い冒険者になる秘訣なんていう人は居るけど、何処でも美味しい料理が食べられるならその方が良い物ね」

「正直、試しに食べたんですけどあれに慣れるくらいなら、食材を持っていた方が断然良いですからね」

「そう言えば、クリス君は収納スキルも持ってるんだよね?」

「はい。まだそんなに入りませんけど、今もいつ遭難してもいいように食材を入れてます」

 とは言ってるが、〝才能の球〟を使って【天賦の才】を手に入れた際に魔力が100になったおかげでそこそこの容量はある。
 なのでその10枠を使って、俺は色んな食材を中に入れている。
 異空間ボックスの中は、時が止まっており生きてる生物は入れる事が出来ない。
 しかし、出来立ての料理をいつでも食べられるので今後の冒険には沢山お世話になるだろう。
 それから夕食を食べた後、時間的に寝るには早かったのでアリシアさんの部屋を一緒に片付ける事にした。

「他の部屋よりかは、まだ生活出来ますけど……」

「冒険者って、ほら忙しいでしょ? 疲れたまま横になる時もあって、その時にね……」

 アリシアさんは言い訳の様にそう言い、俺とアリシアさんは一緒に部屋の掃除を始めた。
 床に落ちてる服を集めては洗濯して干し、下着に関しては流石に俺は触れないのでアリシアさんに任せた。
 ある程度、床が見えて来た所でベッドも大分汚れていたので念の為、用意していた新しいシーツに変えて古いのも服と一緒に選択した。

「大分綺麗になりましたけど、流石に今日はもう遅いので続きはまた後日にしましょうか」

「そうね。正直、ここまで綺麗な私の部屋を見たの家に来た以来だわ……クリス君と出会って本当に良かった」

「俺もアリシアさんには感謝してますよ」

 その後、シャワーを浴びて自室に入った俺は掃除で疲れたのか、横になると直ぐに眠りについた。
 そして翌日、昨日の続きとしてアリシアさんと一緒に部屋の掃除をして、更に他の部屋の整理等をして家を更に綺麗にした。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

『異世界ごはん、はじめました!』 ~料理研究家は転生先でも胃袋から世界を救う~

チャチャ
ファンタジー
味のない異世界に転生したのは、料理研究家の 私!? 魔法効果つきの“ごはん”で人を癒やし、王子を 虜に、ついには王宮キッチンまで! 心と身体を温める“スキル付き料理が、世界を 変えていく-- 美味しい笑顔があふれる、異世界グルメファン タジー!

八百万の神から祝福をもらいました!この力で異世界を生きていきます!

トリガー
ファンタジー
神様のミスで死んでしまったリオ。 女神から代償に八百万の神の祝福をもらった。 転生した異世界で無双する。

祝・定年退職!? 10歳からの異世界生活

空の雲
ファンタジー
中田 祐一郎(なかたゆういちろう)60歳。長年勤めた会社を退職。 最後の勤めを終え、通い慣れた電車で帰宅途中、突然の衝撃をうける。 ――気付けば、幼い子供の姿で見覚えのない森の中に…… どうすればいいのか困惑する中、冒険者バルトジャンと出会う。 顔はいかついが気のいいバルトジャンは、行き場のない子供――中田祐一郎(ユーチ)の保護を申し出る。 魔法や魔物の存在する、この世界の知識がないユーチは、迷いながらもその言葉に甘えることにした。 こうして始まったユーチの異世界生活は、愛用の腕時計から、なぜか地球の道具が取り出せたり、彼の使う魔法が他人とちょっと違っていたりと、出会った人たちを驚かせつつ、ゆっくり動き出す―― ※2月25日、書籍部分がレンタルになりました。

才がないと伯爵家を追放された僕は、神様からのお詫びチートで、異世界のんびりスローライフ!!

にのまえ
ファンタジー
剣や魔法に才能がないカストール伯爵家の次男、ノエール・カストールは家族から追放され、辺境の別荘へ送られることになる。しかしノエールは追放を喜ぶ、それは彼に異世界の神様から、お詫びにとして貰ったチートスキルがあるから。 そう、ノエールは転生者だったのだ。 そのスキルを駆使して、彼の異世界のんびりスローライフが始まる。

底辺から始まった俺の異世界冒険物語!

ちかっぱ雪比呂
ファンタジー
 40歳の真島光流(ましまみつる)は、ある日突然、他数人とともに異世界に召喚された。  しかし、彼自身は勇者召喚に巻き込まれた一般人にすぎず、ステータスも低かったため、利用価値がないと判断され、追放されてしまう。  おまけに、道を歩いているとチンピラに身ぐるみを剥がされる始末。いきなり異世界で路頭に迷う彼だったが、路上生活をしているらしき男、シオンと出会ったことで、少しだけ道が開けた。  漁れる残飯、眠れる舗道、そして裏ギルドで受けられる雑用仕事など――生きていく方法を、教えてくれたのだ。  この世界では『ミーツ』と名乗ることにし、安い賃金ながらも洗濯などの雑用をこなしていくうちに、金が貯まり余裕も生まれてきた。その頃、ミーツは気付く。自分の使っている魔法が、非常識なほどチートなことに――

悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる

竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。 評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。 身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。

『異世界ガチャでユニークスキル全部乗せ!? ポンコツ神と俺の無自覚最強スローライフ』

チャチャ
ファンタジー
> 仕事帰りにファンタジー小説を買った帰り道、不運にも事故死した38歳の男。 気がつくと、目の前には“ポンコツ”と噂される神様がいた——。 「君、うっかり死んじゃったから、異世界に転生させてあげるよ♪」 「スキル? ステータス? もちろんガチャで決めるから!」 最初はブチギレ寸前だったが、引いたスキルはなんと全部ユニーク! 本人は気づいていないが、【超幸運】の持ち主だった! 「冒険? 魔王? いや、俺は村でのんびり暮らしたいんだけど……」 そんな願いとは裏腹に、次々とトラブルに巻き込まれ、無自覚に“最強伝説”を打ち立てていく! 神様のミスで始まった異世界生活。目指すはスローライフ、されど周囲は大騒ぎ! ◆ガチャ転生×最強×スローライフ! 無自覚チートな元おっさんが、今日も異世界でのんびり無双中!

猫好きのぼっちおじさん、招かれた異世界で気ままに【亜空間倉庫】で移動販売を始める

遥風 かずら
ファンタジー
【HOTランキング1位作品(9月2週目)】 猫好きを公言する独身おじさん麦山湯治(49)は商売で使っているキッチンカーを車検に出し、常連カードの更新も兼ねていつもの猫カフェに来ていた。猫カフェの一番人気かつ美人トラ猫のコムギに特に好かれており、湯治が声をかけなくても、自発的に膝に乗ってきては抱っこを要求されるほどの猫好き上級者でもあった。 そんないつものもふもふタイム中、スタッフに信頼されている湯治は他の客がいないこともあって、数分ほど猫たちの見守りを頼まれる。二つ返事で猫たちに温かい眼差しを向ける湯治。そんな時、コムギに手招きをされた湯治は細長い廊下をついて歩く。おかしいと感じながら延々と続く長い廊下を進んだ湯治だったが、コムギが突然湯治の顔をめがけて引き返してくる。怒ることのない湯治がコムギを顔から離して目を開けると、そこは猫カフェではなくのどかな厩舎の中。 まるで招かれるように異世界に降り立った湯治は、好きな猫と一緒に生きることを目指して外に向かうのだった。

処理中です...