9 / 80
第一章
第9話 【初めての狩り・1】✤
しおりを挟む前世の記憶を思い出し、一週間が経った。
アリシアさんと出会ったおかげで〝食、住〟の心配がなくなり、ひょうな事から【天賦の才】を手に入れて更に力を得た。
「ふぅ~、疲れた。アリシアさん、今日もありがとうございました」
「いいわよ。私も良い運動になったし、クリス君もこの数日で大分腕を上げたわね」
当初、リンさんに俺の講師になる冒険者を探してもらっていた。
しかし、よくよく考えてこれば一緒に暮らしているアリシアさんは冒険者の中でも上級の冒険者。
そんな人が近くにいるなら、アリシアさんに教えて貰おうと言う事になり、正式にギルドを通して依頼を出した。
アリシアさんからは依頼じゃなくても教えたのにと言われたが、そこはちゃんと筋を通したかったと伝えた。
「この数日でそこまで剣術の腕が上達した人は、クリス君が初めてだね。魔法の方も順調かい?」
「はい! レインさんから教わった訓練方法を続けて、スキルも無事に習得出来ました」
✤
名 前:クリス
年 齢:10
性 別:男
特 性:プレイヤー
レベル:1
筋 力:150
体 力:190
魔 力:130
敏 捷:140
・固有能力
【天賦の才】
・スキル
【剣術:4】【調理:4】【身体強化:3】
【魔力操作:2】【魔力感知:2】【火属性魔法:2】
【水属性魔法:3】
・加護
豊穣神の加護
✤
この一週間、俺は魔物を倒してないのでレベルは上がってない。
その代わり、訓練を沢山した事でスキルも沢山手に入り、能力値もかなり伸びた。
「そう言えば、そろそろだったよね。クリス君の装備が完成するの」
「はい! ようやく自分の装備が手に入るので、魔物とも戦えます」
普通の初心者冒険者は、店頭に並んでる装備から自分に合う物を選んで使う。
しかし、俺はレインさんから鍛冶師を紹介してもらって、安価で装備を作ってもらった。
ただ全身だと安くても買えず、装備は上下セットと片手剣だけを注文した。
「クリス君も遂にレベル上げに入るのか、レベルを上げなくてもこの状態だからどうなるか今から楽しみだね」
「私もそう思います。今でも十分の強さを持ってますけど、これがレベル1の状態なんて信じろって言われる方が無理ですよね」
そんなやり取りをした翌日、装備が出来たと連絡が来て俺は装備の受け取りへと向かった。
レインさんに紹介してもらった鍛冶師は、ゴルドフという鍛冶師で王都では有名な鍛冶師。
王家にも武器を卸してるような凄い方で、本来であれば俺の様に新米の冒険者の装備を作るような人ではない。
しかし、そこはレインさんの紹介と後はアリシアさんとも関係があると知ると、俺の装備作成をしてもらえる事になった。
「ゴルドフさん、これが俺の装備ですか?」
「ああ、金はほぼ素材代で消えたからそれが限界だったよ。ったく、俺が装備を作ったんだから直ぐに死ぬんじゃないぞ?」
「はい! 強くなって、その時に合う装備を頼みにきますね!」
そうして俺は、早速その新しい装備を着用した。
上下セットの装備のおかげで、服装的にも合っており片手剣を腰に差す場所もあって持ち運びもしやすい。
「それと、これは選別だ。剣を作ってた時の余ったもんで作ったから、いいもんじゃないがないよりマシだろ」
「良いんですか!? ありがとうございます。大切に使わせていただきます」
ゴルドフさんがそう言って渡してくれたのは、解体用のナイフだった。
俺はそのナイフを【異空間ボックス】の中に入れ、また来ますと言って店を出た。
装備が出来た俺は、早速魔物と戦う為に討伐依頼が無いか冒険者ギルドへとやって来て依頼が貼ってある掲示板へと向かった。
「良い感じの依頼があってよかった」
初心者向けの依頼は、基本的に報酬が少なく慣れて来た冒険者から嫌がられる。
その為、俺みたいに冒険者成り立てにも仕事が残っている。
そして俺が今回受けた依頼は、よく俺がスープにしているボアを三匹討伐するという依頼。
ボアは猪の様な魔物で、群れという程の団体では無いが複数個体で暮らしている。
種類にもよるが、今回俺が相手にする普通のボアは突進しか攻撃手段はない。
「突進しかしてこないけど、それが複数個体だと逃げ場を失ってきつい状態になるだろうから、戦う場所はちゃんと考えないとな……」
今の俺がどれだけ強いのかは知らない。
レインさんやアリシアさんから言われてる言葉も、年齢にしてみれば強いと言う感じだろうから油断は駄目だ。
それから俺は王都から一番近い森へとやって来て、獲物と戦いに最適な場所を探しながら探索を始めた。
76
あなたにおすすめの小説
『異世界ごはん、はじめました!』 ~料理研究家は転生先でも胃袋から世界を救う~
チャチャ
ファンタジー
味のない異世界に転生したのは、料理研究家の 私!?
魔法効果つきの“ごはん”で人を癒やし、王子を 虜に、ついには王宮キッチンまで!
心と身体を温める“スキル付き料理が、世界を 変えていく--
美味しい笑顔があふれる、異世界グルメファン タジー!
祝・定年退職!? 10歳からの異世界生活
空の雲
ファンタジー
中田 祐一郎(なかたゆういちろう)60歳。長年勤めた会社を退職。
最後の勤めを終え、通い慣れた電車で帰宅途中、突然の衝撃をうける。
――気付けば、幼い子供の姿で見覚えのない森の中に……
どうすればいいのか困惑する中、冒険者バルトジャンと出会う。
顔はいかついが気のいいバルトジャンは、行き場のない子供――中田祐一郎(ユーチ)の保護を申し出る。
魔法や魔物の存在する、この世界の知識がないユーチは、迷いながらもその言葉に甘えることにした。
こうして始まったユーチの異世界生活は、愛用の腕時計から、なぜか地球の道具が取り出せたり、彼の使う魔法が他人とちょっと違っていたりと、出会った人たちを驚かせつつ、ゆっくり動き出す――
※2月25日、書籍部分がレンタルになりました。
才がないと伯爵家を追放された僕は、神様からのお詫びチートで、異世界のんびりスローライフ!!
にのまえ
ファンタジー
剣や魔法に才能がないカストール伯爵家の次男、ノエール・カストールは家族から追放され、辺境の別荘へ送られることになる。しかしノエールは追放を喜ぶ、それは彼に異世界の神様から、お詫びにとして貰ったチートスキルがあるから。
そう、ノエールは転生者だったのだ。
そのスキルを駆使して、彼の異世界のんびりスローライフが始まる。
底辺から始まった俺の異世界冒険物語!
ちかっぱ雪比呂
ファンタジー
40歳の真島光流(ましまみつる)は、ある日突然、他数人とともに異世界に召喚された。
しかし、彼自身は勇者召喚に巻き込まれた一般人にすぎず、ステータスも低かったため、利用価値がないと判断され、追放されてしまう。
おまけに、道を歩いているとチンピラに身ぐるみを剥がされる始末。いきなり異世界で路頭に迷う彼だったが、路上生活をしているらしき男、シオンと出会ったことで、少しだけ道が開けた。
漁れる残飯、眠れる舗道、そして裏ギルドで受けられる雑用仕事など――生きていく方法を、教えてくれたのだ。
この世界では『ミーツ』と名乗ることにし、安い賃金ながらも洗濯などの雑用をこなしていくうちに、金が貯まり余裕も生まれてきた。その頃、ミーツは気付く。自分の使っている魔法が、非常識なほどチートなことに――
悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる
竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。
評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。
身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。
『異世界ガチャでユニークスキル全部乗せ!? ポンコツ神と俺の無自覚最強スローライフ』
チャチャ
ファンタジー
> 仕事帰りにファンタジー小説を買った帰り道、不運にも事故死した38歳の男。
気がつくと、目の前には“ポンコツ”と噂される神様がいた——。
「君、うっかり死んじゃったから、異世界に転生させてあげるよ♪」
「スキル? ステータス? もちろんガチャで決めるから!」
最初はブチギレ寸前だったが、引いたスキルはなんと全部ユニーク!
本人は気づいていないが、【超幸運】の持ち主だった!
「冒険? 魔王? いや、俺は村でのんびり暮らしたいんだけど……」
そんな願いとは裏腹に、次々とトラブルに巻き込まれ、無自覚に“最強伝説”を打ち立てていく!
神様のミスで始まった異世界生活。目指すはスローライフ、されど周囲は大騒ぎ!
◆ガチャ転生×最強×スローライフ!
無自覚チートな元おっさんが、今日も異世界でのんびり無双中!
猫好きのぼっちおじさん、招かれた異世界で気ままに【亜空間倉庫】で移動販売を始める
遥風 かずら
ファンタジー
【HOTランキング1位作品(9月2週目)】
猫好きを公言する独身おじさん麦山湯治(49)は商売で使っているキッチンカーを車検に出し、常連カードの更新も兼ねていつもの猫カフェに来ていた。猫カフェの一番人気かつ美人トラ猫のコムギに特に好かれており、湯治が声をかけなくても、自発的に膝に乗ってきては抱っこを要求されるほどの猫好き上級者でもあった。
そんないつものもふもふタイム中、スタッフに信頼されている湯治は他の客がいないこともあって、数分ほど猫たちの見守りを頼まれる。二つ返事で猫たちに温かい眼差しを向ける湯治。そんな時、コムギに手招きをされた湯治は細長い廊下をついて歩く。おかしいと感じながら延々と続く長い廊下を進んだ湯治だったが、コムギが突然湯治の顔をめがけて引き返してくる。怒ることのない湯治がコムギを顔から離して目を開けると、そこは猫カフェではなくのどかな厩舎の中。
まるで招かれるように異世界に降り立った湯治は、好きな猫と一緒に生きることを目指して外に向かうのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる