特性【プレイヤー】に覚醒した俺は、前世の記憶を思い出し異世界を楽しむ

霜月雹花

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第一章

第10話 【初めての狩り・2】

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「いた。丁度三匹だな……」

 森に入って10分程が経ち、俺は獲物であるボアを発見した。
 ボアは丁度探していた個体数おり、むしゃむしゃとキノコみたいな物を食べていた。
 食事中は基本的に他の事に気を取られないから、まずは一匹を処理した後の事を考えよう。
 幸い、近くには他の魔物も居ないし、ここは少し開けてあるから戦いもしやすい。

「あの木を使えば楽に倒せそうだな」

 近く大きな木を見つけ、そこにボアを突進させて気絶させられそうだなと考えた俺は戦闘を開始した。
 まずは一番最初に俺に気が付いてないボアに近づき、一匹の頭部を剣で切り飛ばした。
 ゴルドフさんが作ったくれた剣の性能もあるが、この一週間の成果をちゃんと確認出来た場面でもある。

「ブルルッ!」

「おっと、仲間がやられて怒ってるな。好都合だ」

 仲間がやられて怒り鳴くボアを見て、俺は作戦通り木へと近づいて追いかけていたボアを避け。
 大きな木にボアはそのまま止まれず、大きな音を立ててぶつかった。

「よしっ、作戦通りっ」

 気絶して倒れてるボアの頭部に剣を刺して、息をしなくなったのを確認してから【異空間ボックス】の中に死体を入れた。
 本来であれば、解体していらない部分は捨てたりするのだが、この場ですると他の魔物も寄って来て大変な事になる。
 だから俺は三匹の死体を回収して、直ぐにその場から離れて森から出て来た。

「ボアの処理だけど、ギルドで作業場借りてやった方が安全だよな?」

 草原でやろうかと思ったが、ここで処理をしていて魔物に襲われでもしたら、折角のボアの素材を無駄にするかも知れない。
 それなら安全策として、このままギルドの作業場でやった方が良いだろうと、俺はそのまま街に戻って来て冒険者ギルドへと向かった。

「もう狩って来たの? 流石、クリス君だね」

「丁度、三匹一緒にしたので探す手間が省けました。それでその、ボアの死体をそのまま持って帰って来ていて、討伐部位は既に取ってるので良いんですけど解体をしたいので作業場を借りても良いですか?」

「今なら人も少ないから大丈夫だよ。解体の仕方は大丈夫?」

「はい! 勉強したので多分大丈夫です」

 この日の為、俺は解体についても勉強をしてきた。
 実際にやるのは初めてだが、本で見た限りだと知識と力があればなんとかなりそうだった。
 俺はそんな考えでボアの討伐部位である〝左耳〟をリンさんに渡し、作業場へと向かった。

「よしっ、まずは練習も兼ねて一番体が小さい個体で始めるか」

 そうして俺は初めての解体を慣れない手つきながらも、勉強した知識の通りに進めていった。
 想定よりも難しく、かなり時間は掛かったが何とか一匹目の解体を済ませて、大量の肉と骨をゲットした。
 また革も綺麗に取れたので、これはこれで売れそうだなと二匹目の解体を始めた。

「やっぱりスキルがあるのと無いのとじゃ、全然違うな……スキルが発現してから、一気に時間が短縮されたよ」

 二匹目を解体終えると、俺のスキルの欄に新しく【解体】が追加されていた。
 そのスキルの効果は凄まじく、作業時間が一気に半分以下となった。

「凄く綺麗に解体出来たね。こっちの分はギルドに売る分?」

「はい。革は今の俺には手が付けられないので」

 ギルドでは解体した素材を売れ、肉や革を売れるが今回の討伐したボアの肉は全て引き取る事にした。
 正直、これだけでも食材の購入費は抑えられるし、何より料理の訓練にも使える。
 そうして要らない革も売って、報酬を受け取った俺はギルドを出て商業区によって食材を購入してから帰宅した。
 アリシアさんはまだ出掛けているのか、家の中に居なかったので俺は料理を始めた。

「折角なら、今日はボア肉を沢山使って色んな料理を作ってみるか」

 それから俺は、ボア肉と商業区で購入して来た食材を使って複数の料理を作っていき。
 最後の品が完成する少し前に、アリシアさんが帰って来た。

「外まで美味しそうな匂いがしてたけど、今日は何を作ったのかしら?」

「今日は初めて討伐したボアを自分で解体して来たので、そのお肉を沢山使って料理してみました。もう出来上がるので待っててください」

 それから少しして、最後の料理が完成したので待っていたアリシアさんの所へと出来た料理を持って行った。
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