特性【プレイヤー】に覚醒した俺は、前世の記憶を思い出し異世界を楽しむ

霜月雹花

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第一章

第16話 【商業ギルドに登録・4】

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 個室へと通され、少しその部屋で待っていると中年の男性が部屋に入って来た。

「全く、叔父の扱いが酷いのは親譲りだなエレノアちゃんや」

「ふふっ、逆にこういう時に頼らないと折角の商業ギルドの幹部なのに会う事も無いわ」

「ハハッ、酷い言われようだな……それで、その子がエレノアちゃんが連れて来た子かい?」

「はじめまして、クリスと申します。今日はお時間を取って頂きありがとうございます」

 エレノアさんが叔父と言った瞬間、目の前の人が貴族と同等の力を持つ相手だと認識した俺はそう丁寧に挨拶をした。

「そう畏まらなくてもいいよ。叔父と言っても、爵位は子爵だからそこまで高い位の者じゃないからね」

「クリス君からしたらあんまり変わらないわよ。貴族は貴族なんだから」

「そうかな? こんなに貴族らしい感じじゃないけど」

 そう言った彼の言葉通り、姿はその辺にいる中年男性とそう変わらない。

「おっと、君に名乗らせておいて自分の事を忘れていたよ。私は、エドガー・フォン・ドルテア。商業ギルドでは、主に雑用担当だから表に出る事は少ないが、これからよろしく」

「はい。よろしくお願いします」

 本来であれば、目上の人だし握手なんてする相手でもないのだが、相手から手を差し出されたので俺は握手を交わした。
 その後、ノアさんはエドガーさんに俺の商業ギルドの登録と事業の登録に来た事を伝えた。

「てっきり、彼を商業ギルドに働かせる為に叔父を呼んだと思ったけど、普通の登録? ……もしかして、彼の事業は変わってるものなのかい?」

「変わってはいるわね。だけど、まだ商品にするにはクリス君自身が納得してなくて、それでも早めに行動しておいて損がないと思って連れて来たの」

「ふむ……取り合えず、商業ギルドの登録から済ませようか」

 それから商業ギルドについて詳しい説明を受けて、俺は商業ギルドに登録をした。
 ちなみに登録する際、自身の商会名を決めるらしく、俺は少し考えて〝ヤマト〟という名前にした。
 色々と案は出たが、覚えやすさを重視したのと、後は単純に前世の名前から取って来た。

「商業ギルドの登録はこれで終わりだな、それで事業の登録だけど……どんな凄い物を商品にするんだ?」

「その、新しい〝せっけん〟です」

 エドガーさんの言葉に対し、俺は【異空間ボックス】から〝せっけん〟を取り出した。
 俺の言葉に驚きつつも、エドガーさんはその商品を驚いた表情をしてみた。

「ふふっ、叔父さん凄く驚いてるようね」

「当たり前だろ、新しい〝せっけん〟なんてここ十数年世に出てきてないんだぞ? それにこの見た目、もしかして材料にスライム液を使ってるのか?」

「よくわかりましたね。材料として、スライム液を使ってますよ」

「……マジかよ。こりゃ、エレノアちゃんが俺を呼ぶ訳が分かったよ」

 エドガーは驚いた立っていたが、椅子に座り直して息を整えながらそう言った。

「まさかこんな所で全く新しい〝せっけん〟が登場するとはな、考えても無かった。クリス君、この〝せっけん〟実際に使ってみても良いか?」

「はい。試す様に小瓶に詰めた物があるので、そちらをお渡ししますね」

 そういって俺は【異空間ボックス】から、小瓶に詰めた三種類の〝せっけん〟を取り出した。
 アリシアさん達にもした様に、エドガーさんにも注意事項を伝え、取り合えず手で試してくると言って部屋から出て行った。

「どうだった? 叔父さんも凄く驚いていたでしょ、それだけクリス君の〝せっけん〟は凄い商品なのよ」

「はい。実際、これだけの人達が驚いてくれたら自分でもわかります。ですけど、大丈夫なんですかね。既存の〝せっけん〟を売ってる商会にバレたら何かしてきそうですけど」

「そのために叔父さん経由で登録に来たのよ。叔父さん、ああみえて商業ギルドでは上の役職だから、クリス君に危害を加えようものならその相手は生涯商業ギルドと関われなくなるわ」

「そ、そんな凄い人なんですか!?」

 ノアさんに詳しくエドガーの事を聞こうとしたら、タイミングよく手を洗ってエドガーさんが部屋に戻って来た。
 そしてその表情は驚いた表情をしており、ノアさん同様に「実験の手伝いをしたい」と申し出られた。

「じ、実験は一人で出来るので大丈夫ですよ。素材もそんな凄い物は使わないので」

「だとしても、より良い設備があれば良い物が出来るだろ? それに冒険者ギルドの作業場だと、誰かに盗まれる可能性もあるから危険だぞ」

「作業場は人が居ない時に使ってるので大丈夫ですけど、確かに盗難とかの事を考えるとちゃんとした作業場の方が良いですよね……」

「そうだろ? それにな、俺はもう前の〝せっけん〟に戻れそうにない。早く完成品を買いたくて今もウズウズしてるんだ」

 エドガーさんからそう言われた俺は、エドガーさんとノアさんから支援を受ける事にした。
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