特性【プレイヤー】に覚醒した俺は、前世の記憶を思い出し異世界を楽しむ

霜月雹花

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第一章

第17話 【成果・1】

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 エドガーさん達から支援を受けると決めてから一時間後、俺はノアさんが個人で所有している作業場へとやって来た。
 ここは以前から、ノアさんが自分で調合したりする時に使っていた作業場。
 最近は、忙しくなって使ってないからここを使わせてもらう事になった。

「材料に関してだが、本当に用意するのはスライム液だけで良いのか? 他のも集められるぞ?」

「いえ、そこまでしてもらわなくても大丈夫です。商品にする事は考える事にしましたけど、本業は冒険者なのでそのついでにする事なのでそこまでしてもらうと責任が重く感じてしまいます」

「……すまん。自分の欲が出過ぎた。クリス君の本業が冒険者だった事を失念していた」

 エドガーさんはそう俺に謝罪をすると、スライム液の手配の為に商業ギルドへと帰った。
 そして残った俺はノアさんから、作業場の使い方を教えて貰った。
 冒険者ギルドの作業場は、本当に作業する為だけの場所だったから設備も何も無かった。
 しかし、ノアさんの作業場は必要な道具が揃っており、実験は凄く進みそうな予感がしている。

「ノアさん、改めてこんな良い作業場を貸してくださりありがとうございます」

「良いのよ。クリス君の事は昔から知ってるし、何より私も早く〝せっけん〟を存分に使いたいもの完成するのを楽しみに待ってるわ」

 それからノアさんは作業場を出て行き、俺は一人作業場に残って実験を始めた。
 翌日、昨日沢山実験したおかげでスキルレベルが上がったが、材料の方が底をついて来たので久しぶりに薬草採取へとやって来た。

「なんだかんだ魔物を狩ったりしたけど、薬草採取は生えてる所も知ってるから自分の好きなタイミングで帰れるのが良いよな~」

 そんな事を考えながら、目的の薬草を採取して追加で実験に必要な物を採って行った。
 その作業を俺は、昼過ぎまで続けて冒険者ギルドへと戻って来ると、リンさんから「鑑定の仕事今からできますか?」と聞かれた。
 この後は作業場に行こうかなと思っていたが、俺はその頼みを聞いて鑑定の仕事に入る事にした。

「いや~、来てくれて助かったよ」

「丁度、戻ってきたタイミングでしたし、断る理由もありませんでしたから大丈夫ですよ」

 鑑定の仕事は、2時間程続きようやく仕事が落ち着いたので俺はロンさんと一緒に遅めの昼食をとる事にした。
 すると、飯を食べているとレインさんがやって来て一緒の席で食べる事になった。

「クリス君、聞いたよ。商業ギルドに登録したって」

「はい。色々とありまして、登録する事になりました。あっ、勿論本業は冒険者なので大丈夫ですよ」

「ふふっ、そんな心配はしてないよ。そもそも冒険者は、自由に仕事したい時にする職業だからね。自分のしたい事を優先するのが良いよ」

 その後、食事を終えた俺はロンさん達と別れて冒険者ギルドを出て商業区へと買い物に来た。
 実験に使う材料は外で採って来たから大丈夫だが、入れ物が無くなっていた。
 なので俺は雑貨屋へとやって来て、瓶や他に必要な雑貨を購入して、序に食材も見に行った。

「あれ、クリス?」

 食材を見に行くと、店の手伝いをしている一人の少女からそう声を掛けられた。
 その少女は俺と同じ孤児院出身の子で、俺と同い歳で今年儀式を受けた子だった。

「エマ。こんな所で会うなんて、前からこのお店には買い物に来てたけど最近働き始めたの?」

「うん。昨日から仕事させてもらえる事になって、働いてるんだよ。クリスは何してるの?」

「俺は冒険者だよ」

「冒険者か、いいな~。私は戦う系のスキルが無くて、その道に進めないから……」

 エマはそう寂し気に言うと、直ぐに笑みを浮かべて「じゃあ、再会記念って事で沢山買ってく?」と聞かれた。
 商魂はあるみたいだなと、そんなエマを見て笑った俺は、エマの言葉に乗っていつもより多めに食材を購入した。

「じゃ、エマ。またね」

「うん! またいつでも来てね!」

 エマは嬉しそうに言って、俺は商業区から作業場へと向かって夕食の準備時間まで実験をする事にした。
 そうして良い所まで進んだ俺は、作業場から家に戻り夕食を作ってアリシアさんが帰ってくるのを待った。

「アリシアさん、これ新作ですけど使いますか?」

「もう新しいのが出来たの!?」

「新しいのというより、以前までの改良品ですかね。良い環境で実験できるようになったおかげで、以前よりも良い物が出来たんです」

 そう俺が言うと、アリシアさんは嬉しそうに受け取ってくれた。
 食事も今朝の料理を経て、またスキルレベルが上がったおかげで美味しさが上がっており、アリシアさんは美味しそうに食べてくれた。
 食後、シャワーに入ったアリシアさんは新作の〝せっけん〟を堪能して、明日ノアさんに自慢してくると嬉しそうに報告してくれた。
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