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第一章
第22話 【店の準備・2】
しおりを挟む「だとしたら、店員の接客態度もちゃんとしないといけないな……」
「貴族相手には取り合えず、最初は俺が相手しようと思います。その為に作法も覚えたので」
「そう言えば、スキル手に入れていたな……だとしたら、大丈夫か」
その後、午後はエドガーさんが連れて来た人達の面接を行った。
正直、孤児院の人達とは比べ物にもならない程、優秀な人が多くこっちはこっちで選ぶのに悩みそうだった。
そうして面接を続けた俺は、一先ず全員の一次面接を終え選考に移った。
「取り合えず、ノアさんの件もありますけど今後を見据えて孤児院の三人については全員入れようと思います。年齢も同年代ですし、なんだかんだ生産系のスキル持ちなので別の仕事で輝くとも思いますので」
「まあ、クリスがそう考えたんならそれでいいと思うぞ。クリスの店は〝せっけん〟だけを売り続ける訳では無いんだしな」
「はい。ただそれでも、即戦力も欲しいので最初に考えてた人員よりも少し多めに取ろうと思います」
そう言って、俺はエドガーさんが連れて来た人達の半分である10人を雇う事にした。
残り半分の10人に関して、良い人達ではあったが選ぶとなると落としてしまうレベル感だった。
俺は落ちた人達にもちゃんと挨拶を済ませ、残った13人を部屋に呼んで最終面接を行った。
最終面接と言っても、最後の確認程度でここまで残ったメンバーは全員が一緒に働いてくれる事になった。
「取り合えず、孤児院組に関しては店舗に出すと言うよりも裏方を主にしてもらおうと思います。裏方の仕事をしつつ、他の仕事を覚えて貰ってその成果次第で別の仕事についてもらいます」
面接を終えた俺は、雇う事にしたメンバーに向けて今後について話をした。
孤児院組の三人に関しては、育成枠として裏方をしつつ勉強をさせる。
大人組に関しては、技能にあった場所で仕事をしてもらう。
「ルナさん、ルネさん。お二人には、一番重要な貴族相手への接客もしてもらう事になると思います。作法に関しては、俺はスキルも持ってるので仕事をしながら覚えて行ってもらいます」
「「はい。よろしくお願いします」」
大人組の中でも一番最初に決めたのは、双子の女性。
ルナさんが姉で若干瞳の色が濃く、その他はほぼ一緒で見た目に関してはそこしか区別するしかない。
ちなみにスキルに関して、得意としてる事は二人共違うのでそこでも区別は出来る。
その後、契約書を交わして今日は解散した。
「最初から13人のメンバーとは大所帯になったな」
「そうですね。まあ、人員が足りなくて悩むのが面倒だなと思ったので、後は単純に王妃様も気に入ってくれてるなら金に困る事は当分ないのかなと」
「確かにな、あの方と姉さんが居れば当分の金は困らないだろうな」
面接を終え解散した俺は、エドガーさんから食事に誘われて近くの飯屋に来ている。
「後は店の準備で言うと、貴族用と平民用の種類分けだがそれは出来てるのか?」
「はい。既に用意してますよ。梱包に関しても、試作を用意したので今日雇った人達に真似て作ってもらって用意したら、いつでも店は開けられます」
そう俺が言うと、エドガーさんは「遂に発売か、王都が騒がしくなるな」と笑みを浮かべながら言った。
「商品の登録も既に済んでいますし、今から本当に楽しみです」
「登録は神様にしてもらうから、別に他の幹部なんて居なくても良かったが俺がこれだけ一緒に居るからか他の街に居た奴等も来たからな」
商品の登録、それは前世でいうと特許の申請みたいな感じだ。
商業神である神に自分の売る物を登録し、商品の盗作を防止したり出来る。
その際、商品の価値を神が見定めてくれる。
5段階の評価で〝白、黒、銅、銀、金〟と順番で、一番いい評価は〝金色〟の光が現れる。
今まで金色は二桁も出た事が無いらしいが、俺はこの評価で〝金色〟の評価を受けた。
「それも建物の外に漏れる程の光で、他の仕事で来れなかったギルドマスターも慌てて来たからな……」
「あの時は俺も驚きましたよ。あんな光に包まれるなんて、あそこまでの光の強さって普通じゃないですよね?」
「俺は一度だけ、金評価を受けた商品を見た事があるがあの時とは光の強さが違ったな。多分、金色の中でも光の強さで評価が変わってると俺は思う。じゃなきゃ、あんな光は出ないからな」
「そうなんですね。だとしたら、商業ギルドも注目してるでしょうから最初の肝心ですね」
それから俺は、エドガーさんと話をしながら食事をして、エドガーさんと店前で別れた俺は作業場へと向かった。
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