特性【プレイヤー】に覚醒した俺は、前世の記憶を思い出し異世界を楽しむ

霜月雹花

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第一章

第21話 【店の準備・1】

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 店舗を受け取った日の夜、俺はアリシアさんから「家から出て行っちゃうの!?」と泣きながら聞かれた。

「えっ、出て行きはしませんよ? 何があったんですか?」

「だ、だって今日のお昼にクリス君が建物の鍵を受け取ってその中を入って行く姿見たから、もしかして自分の家を買って出て行くんじゃって……」

「あ~、あそこは俺の店ですよ。今後売り出すと〝せっけん〟の為、店舗を用意する事になってあの場所を買ったんです」

 店舗について急な話だったので、アリシアさんに伝え忘れていた俺はそう説明をした。
 するとアリシアさんは俺の話を聞いて安心したのか、椅子に座って「良かった~」と口にした。

「それにもし出て行くとしても、その前にちゃんとアリシアさんには話しますよ。これだけ世話になってるんですから」

「世話って言う面で言えば、私の方こそクリス君にはお世話してもらってると思うわね。掃除もそうだけど、正直これからクリス君が家を出て行った後に食事を前のに戻すの苦労しそうだわ……」

 アリシアさんはその時の事を考えたのか、ブルッと体を震わせて「今のうちに料理習っておこうかしら?」と考えていた。

「それで言うと、料理ですけどもしかしたら王都に俺の料理の店を出すかも知れませんよ」

「えっ、そうなの!?」

「はい。この間、商業ギルドの方と話す際に昼食用の弁当を持って行ったら、俺の作った料理を見て店出さないか? という話になりました」

 エドガーさんと話し合う時、昼食用で弁当を持って行くと俺の料理を見て売れるレベルだとエドガーさんは言った。
 しかし、今は〝せっけん〟の事があるので飯屋の話は流れたが、今日もその話をエドガーさんにされた。
 聞いた所、国王に料理を出してる料理人でも【調理】のレベルは6か7らしく、俺は既に同等のスキルレベルとなっている。

「ただまあ、いつになるかは分かりませんけどね。他にやりたい事が出来たら、後回しになる可能性が高いですから」

「だったら、やっぱり今から覚えておいた方が良いわね。クリス君が暇な時でいいから、教えてくれる?」

「勿論、良いですよ。ただ暫くは店の事で忙しいので、落ち着いたらでも良いですか?」

「ええ、大丈夫よ」

 そうして店の事が落ち着いたら、アリシアさんに料理を教える約束をした。
 それから数日間、俺は作業場で実験をしたり、店舗となる店の掃除をして過ごし、面接の日となった。
 面接は一日通してやるつもりで、午前中は孤児院から来る人達を見る事にした。
 当然、同年代が多く簡単に自己紹介と持ってる能力について教えて貰った。
 戦闘系スキルが無く、孤児院に残ってる者達なので生産系のスキルを持ってる人も中には居た。

「ノアさんからの頼みだったし、なるべく取りかったけど使えると思えるのは三人位だったな」

 面接には一年という期限ギリギリの者から、俺とほぼ同じタイミングで儀式を受けた者もいた。
 全員で大体30人近くいて、これだけ残っていたら孤児院もそりゃ大変だろうなと感じた。
 だから俺はある合格ラインを下げて面接を合格させようとも考えたが、エドガーさんが集めてくれた人達の事も考えた。

「孤児院の事も考えたいけど、今の俺にはまだ慈善事業をする程の力は無いからな……」

 俺は一先ず、三人以外の面接者には不合格と伝えて残った三人には、二次試験として午後の人達を見た後に決めると伝えた。
 残った三人は「よろしくお願いします」と頭を下げ、面接室から出て行き俺は水を飲んで休憩する事にした。

「ぶっ通しで面接をしたみたいだな」

「はい。今日中に終わらせたいと思ったのと、午後からの人達を待たせたくなかったので、ちなみに午後からは何人程集まりましたか?」

「そうだな、20人位だな」

「かなり集まりましたね。子供の店だから、そんなに多くの人が来るとは思いませんでした」

 孤児院に関しては、稼ぐ先をどうしても探したい者達だったからあれくらい来るだろうとは予想していた。
 だが午後からの面接は、トップが子供の店と知っていて来てくれる人達だ。
 そんな人達が20人も居るとは、予想にもしてなかった。

「まあ、俺が集めたのもあるが既に実績としてラントリス家との繋がりがある店だから、それで信用もあっての事だと思うぞ」

「成程、確かにラントリス家が付いてるなら少しは安心しますか……」

 ラントリス家はあの日から、俺の店の色んな場所で名前を出してくれた。
 そのおかけでラントリス家も信用している店として、貴族やそれ以外の人達からもそう認識された。

「正直な話、俺もここまで姉さんがするとは思わなかった。それだけクリスの〝せっけん〟を気に入ったんだろう」

「そうですね。ノアさんから聞いたんですけど、王妃様も絶賛していたみたいです」

 俺がラントリス家に売った〝せっけん〟は王妃様の手にも渡った。
 その結果、王妃様も俺の〝せっけん〟を気に入ったらしく、早く店が出来て欲しいと言っていたとノアさん経由で知った。
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