特性【プレイヤー】に覚醒した俺は、前世の記憶を思い出し異世界を楽しむ

霜月雹花

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第一章

第26話 【料理教室・2】

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 翌日、約束の時間にノアさんは家にやって来た。

「おはようございます。ノアさん、手紙遅い時間に送ってしまってすみません」

「大丈夫よ。頼んだのは私だし、そのために人も用意していた訳だから」

 本来、あんな時間帯に手紙を送ってくれる人はいない。
 しかし、事前にノアさんはアリシアさんの許可が取れたら直ぐに確認する為、家の近くに人を用意していた。
 俺はその人に手紙を渡して、時間を指定した。

「あのノアが料理に興味を持つなんて、何かあったの?」

「強いて言えば、クリス君の料理を食べたからかしら? いくら能力があるとはいえ、あんなに美味しい料理を自分の手で作れるなんて凄いでしょ? あのレベルは無理でも、少し真似た程度の料理を自分でも用意できるなら旅の食事にも困らないと思ってね」

 そうノアさんが言った後、俺達はノアさんが乗って来た馬車に乗って移動した。
 移動した先は、作業場から近い建物。
 というか、作業場の隣の建物でそこは一階が食堂の様な造りをしており、奥は広い調理場があった。

「ここって元々は食堂とかそういうのだったんですか?」

「そうね。元々は食堂だった所を隣の作業場を買って直ぐに売りに出されたから、買っておいたのよね。いつか孤児院の子達が働きに困ったら、ここで食堂を開いて働いてもらえば多少は生きれるお金がもらえるでしょ?」

「……前から思ってたんですけど、ラントリス家の方達やノアさんはどうしてそこまで孤児院の事を考えてくれるんですか? 正直、他の貴族とかってそこまで孤児院の事は気にしてないですよね」

 今回も孤児院という言葉をノアさんから聞いた俺は、ずっと疑問に思っていた事を聞いた。

「特に理由らしいことは無いわよ。強いて言えば、孤児院の子達にも未来を見て生きて欲しいと思って支援をしてるのよ。生まれた場所で、未来が無いなんて言われたら悲しいでしょ? だから少しでもそういう気持ちになる子供を減らそうと、我が家は孤児院に支援をしてるのよ」

「普通の事の様に言ってますけど、かなり凄い事ですよね」

「実際、ラントリス家はかなり孤児院に支援してるから凄いわよ。私の実家も支援はしてるけど、ノアみたいに実際に孤児院に行ったりは数回しかないし」

「孤児院に行くのは、半分私の楽しみでもあるのよね。成長した子供を見るのって楽しいし、見送った子供達が違う場所で成長した姿を見れた時は嬉しいもの」

 ノアさんのその話を聞いた俺は、ノアさんやラントリス家は改めて良い方達なんだなと認識した。
 それから俺達は、早速調理場へと入って勉強の準備に取り掛かった。
 今日はノアさんが初めてというのもあって、包丁の扱い方から教える事にした。

「……ノア。昔から物覚えが良かったけど、直ぐに私と同じ位、包丁を扱えてズルイ」

「ズルイって、別にアリシアには何もしてないでしょ? それにちょっと、包丁が握れたからって既に料理を教わってるアリシアには言われたくないわよ」

 あの後、昼過ぎに一旦休憩をしたが続けた勉強会を行って、今は陽が完全に沈んで夕食を三人で食べている。
 折角、広い調理場だったので俺は二人に教えながら夕食の準備をして、完成して今日の勉強会は終わりにした。

「それにしても、アリシアさんが言った通りノアさん直ぐに包丁が扱えてましたね。本当に料理は初めてなんですか?」

「初めてよ。今まで料理に関わった事で言えば、スープが焦げないよように回してた事位よ」

「って事は、本当に初めてなんですね。だとしたら、もしかしたら料理の才能があるのかも知れませんね」

「あら、それは嬉しいわね。ふふっ、先に教わってたアリシアを追い抜けそうね」

 笑みを浮かべながらノアさんがそう言うと、アリシアさんは「折角、勉強会に入れてあげたの……」と睨みながら言った。
 その後、夕食を食べ終えた俺達は建物の前で別れて、ノアさんを見送った俺とアリシアさんは二人で家に戻った。
 それから俺の日常は少しだけ変わり、午前中は作業場でせっけんの生産をしたり、採取依頼を受けて街の外で採取を行い。
 アリシアさん達と予定が合えば料理の勉強会を行い、それ以外はせっけんの生産か店に顔を出して働く日々を送った。
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