特性【プレイヤー】に覚醒した俺は、前世の記憶を思い出し異世界を楽しむ

霜月雹花

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第一章

第27話 【料理教室・3】

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「えっ、ラントリス家に招待ですか!?」

 アリシアさん達に料理を教え始め、一週間が経った日。
 家に朝早く、ノアさんがやって来て〝ラントリス家への招待状〟を貰った。

「実は、どこから話が漏れたのか私が料理を勉強してる事をお父様達が知ったのよね。それで誰が私に教えたのか突き止めて、クリスの料理を知りたいって二人して私に言って来て……ごめんなさい。こんな事に巻き込んで!」

「そ、そんな頭を下げないでくださいよ。そこまでの事じゃないですから!」

 自分の家族が暴走した事にノアさんは恥じを感じつつ、俺に謝罪をしてきた。
 俺はそんなノアさんに頭を下げるのを止めてと叫び、招待状の事について詳しく聞く事にした。

「そう言えば、エレナさんって食事が好きで異国の料理も料理人を見つけて食べていたわよね」

「ええ、だから私やアリシアに料理を教えてるクリス君の料理の腕を確かめたいと思ったみたいなのよ……本当にごめんなさい」

 家に来てからずっと申し訳なさそうなノアさん、俺はそんなノアさんに「大丈夫ですよ」と声を掛けた。

「これまでずっとお世話になってますから、お礼を返せる機会があって良かったです。最近、店も落ち着いてますから俺はいつでも行けますのでラントリス家の方で調整してもらえたら今日の夜でも行けます」

 そう俺がノアさんに言うと、ノアさんは「ありがとう」と言って予定を確認してくると家を出て行った。

「アリシアさん、もし今日の夜から行く事になった時の為に夕食も準備しておきますね」

「一回の食事分くらい、自分でどうにか出来るからクリス君は気にしなくても大丈夫よ。クリス君が来るまでは、自分で何とか用意してたんだから」

「ですけど、俺の料理のせいでご飯屋さんに行く回数減ってますから、口に合いますか?」

「……大丈夫よ。そこまで私の舌は贅沢じゃないわ。ええ、そう思いたいわ」

 アリシアさんは若干不安そうにそう言い、取り合えずスープは用意しておくことにした。
 それから俺は、家に使いの人が来るだろうからとアリシアさんを見送った後、久しぶりに家の掃除をする事にした。
 俺と一緒に暮らす様になって、部屋が汚くなるという事は無くなってるが、やはり使ってない部分とかは埃も溜まっていた。
 俺は午前中を使って、リビングと台所、そして水回りの掃除を行った。

「かなり楽しみにされてるみたいだな……」

 そして昼食を食べていると、家の呼び鈴が鳴りラントリス家の使いの方がやって来た。
 そして手紙を受け取った俺は、そこに今日の夜に来て欲しいと書かれていた。

「ってか、貴族の方が喜ぶようなご飯ってなんだ? 庶民的料理しか造った事が無いんだけど……」

 使ってる肉は未だにボア肉だし、店の事で手が回らず調味料探しは全くしてない。
 酒はあるから、探せば何処かにはあるとは思うけどその探す時間は無い。

「……うん。急な予定だし、いつも通り振舞うしかないな。後は、ラントリス家に新しい調味料があればそれを使おう」

 俺は少し考えて、自分に対して言い聞かせた。
 それから取り合えず、食材は買っておいた方が良いと思って商業区で買い物に向かった。

「今日も元気よく働いてるなエマ」

「あっ、クリス! うん。ちゃんと働いてるよ。今日も何か買っていくの?」

「ああ、ちょっと色々とあって沢山買いたいんだけど良いかな?」

「大丈夫だよ。店長も売れ残るより売りきってくれた方が助かるっていつも言ってるから」

 エマからそう言われた俺は、いつも使ってる野菜を大量に購入した。

「そう言えば、クリス。お店出したんだって?」

「そうだね。せっけんを新しく作れたから、それを売ってるよ。エマも気になるのか?」

「そりゃ、これでも女の子だし? 気にはなるけど、せっけんって高いよね?」

「貴族向けは確かに高いけど、平民向けのは少し頑張れば手に届く金額だぞ」

 エマに俺はそう言って、平民向けのせっけんの値段を教えた。

「そ、そんなに安かったんだ。買いたかったけど、人が多くて諦めてたけど今度買いに行こうかな……」

 その後、エマは凄く悩んでいたが買う事を決めたので、また今度使った感想を聞きに来ると言って店を出た。
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