33 / 80
第一章
第33話 【王女・1】
しおりを挟む
翌日、昨日とは違って朝早くに装備に着替えた俺は、冒険者ギルドへとやって来た。
「今日は討伐依頼を受けるのね」
「はい。気分転換に昨日から行きたいと思っていたので」
俺は受付をしてくれたリンさんにそう言い、討伐依頼を受けて街の外へと出た。
今日の討伐依頼、これは先日ランクアップした事で討伐依頼を受けれる対象となった〝ウルフ〟の討伐へとやって来た。
「まあ、でも討伐依頼は受けたことが無いけど倒した事はあるんだよな」
これまで森に何度も来て、出会った事もあり普通に戦った事がある相手だ。
基本的に複数個体で生息をしており、獲物を見つけたウルフは連携して獲物を狩る習性をしている。
そんな魔物をどう狩るのか? 単純に一体ずつ倒しても良いが、それだと逃がしてしまう可能性もある。
なので俺は自分の囮に使って、魔法で一網打尽にする作戦を使っている。
「魔法のせいで若干、素材を駄目にしちゃうけどまだ近接で倒せる程の技量ではないからな」
戦闘訓練は行って、ある程度の技術は学んだ。
既に初心者の域は脱していると、アリシアさんとレインさんから言われているが無駄に冒険して怪我をしたくない俺は安全策を取っている。
「でもこういう時に挑戦する勇気がある人が、上に行くんだろうけどまだ俺は体も出来上がってないからな……」
【天賦の才】の効果の一つ、身体の成長はこの期間でかなり感じた。
二ヵ月間で背が伸び今は約150㎝となっており、筋肉も大分ついて来た。
「最初の装備もそろそろ変えないといけないけど、店が繁盛してくれたおかげて装備の値段気にせずに済むな」
店の売上が無ければ、少し不安に思っていただろうけどそんな心配はしなくても、装備の値段はたんまりとある。
なんなら少し背を伸ばして、良い素材の物を使って作ってみても良いよな?
「防具に金を使うと、直ぐに体格が変わって勿体無く感じるだろうけど、武器の方だったら多少背が伸びても使えるだろうからゴルドフさんに先に頼んでも良いかも」
そんな事を考えながら、実験に使う用の素材も採り俺は王都へと戻って来た。
そして受付で報酬を受け取ると、リンさんからレインさんが呼んでいると言われてギルドマスター室へと向かった。
「レインさん、リンさんから聞いて来ましたけど何か俺に用事ですか?」
部屋に到着した俺は、そう言いながら部屋に入った。
すると、部屋の中にはレインさんと、もう一人フードを被ってはいるがオーラのある人が居た。
「お、王様ですか?」
「昨日ぶりだな、クリス君」
部屋の中に居たもう一人の人物は、昨日会ったばかりのこの国の王様だった。
「す、すみません。呼ばれて来たので、部屋に人が居るとは思いませんでした」
「いや、クリス君はそのまま部屋に入ってくれて構わないよ。クリス君を呼んだのは、アルバート王が関係してる事なんだよ」
部屋から出て行こうする俺に対し、レインさんはそう言って引き留めた。
その後、俺は部屋の中に入ってソファーに座って話を聞く事になった。
「あの、それで王様が関係していて俺が呼び出されたって、もしかして鑑定系の依頼ですか?」
「クリス君は、相変わらず察しが良いね。実は、アルバート王が手に入れた〝才能の球〟が鑑定が出来ないらしくてね。良い物だったら王女に送りたいが、確認が出来なくて困っていると言われてクリス君なら鑑定が出来るんじゃないかと呼んだんだ」
「せっけん作りの他に、鑑定の能力もあるとはレインさんから聞いて驚いたよ。クリス君、頼めるかな?」
王様からそう言われた俺は、断る事は出来ずその頼みを聞く事にした。
その後、王様は懐に閉まっていた袋から木箱を取り出し、その中にある〝才能の球〟を見せてくれた。
「この球なんだが、王城の鑑定使いでも鑑定出来なくてね。レインさんにこの話をしたら、クリス君ならもしかしたら確認出来るかもと教えられたんだ」
「そ、そうなんですね。その、それじゃ早速鑑定してみますね」
俺はそう王様に言って、〝才能の球〟を受け取って鑑定を使用した。
すると、その中身を確認する事が出来て、俺はその球を王様に渡した。
「今日は討伐依頼を受けるのね」
「はい。気分転換に昨日から行きたいと思っていたので」
俺は受付をしてくれたリンさんにそう言い、討伐依頼を受けて街の外へと出た。
今日の討伐依頼、これは先日ランクアップした事で討伐依頼を受けれる対象となった〝ウルフ〟の討伐へとやって来た。
「まあ、でも討伐依頼は受けたことが無いけど倒した事はあるんだよな」
これまで森に何度も来て、出会った事もあり普通に戦った事がある相手だ。
基本的に複数個体で生息をしており、獲物を見つけたウルフは連携して獲物を狩る習性をしている。
そんな魔物をどう狩るのか? 単純に一体ずつ倒しても良いが、それだと逃がしてしまう可能性もある。
なので俺は自分の囮に使って、魔法で一網打尽にする作戦を使っている。
「魔法のせいで若干、素材を駄目にしちゃうけどまだ近接で倒せる程の技量ではないからな」
戦闘訓練は行って、ある程度の技術は学んだ。
既に初心者の域は脱していると、アリシアさんとレインさんから言われているが無駄に冒険して怪我をしたくない俺は安全策を取っている。
「でもこういう時に挑戦する勇気がある人が、上に行くんだろうけどまだ俺は体も出来上がってないからな……」
【天賦の才】の効果の一つ、身体の成長はこの期間でかなり感じた。
二ヵ月間で背が伸び今は約150㎝となっており、筋肉も大分ついて来た。
「最初の装備もそろそろ変えないといけないけど、店が繁盛してくれたおかげて装備の値段気にせずに済むな」
店の売上が無ければ、少し不安に思っていただろうけどそんな心配はしなくても、装備の値段はたんまりとある。
なんなら少し背を伸ばして、良い素材の物を使って作ってみても良いよな?
「防具に金を使うと、直ぐに体格が変わって勿体無く感じるだろうけど、武器の方だったら多少背が伸びても使えるだろうからゴルドフさんに先に頼んでも良いかも」
そんな事を考えながら、実験に使う用の素材も採り俺は王都へと戻って来た。
そして受付で報酬を受け取ると、リンさんからレインさんが呼んでいると言われてギルドマスター室へと向かった。
「レインさん、リンさんから聞いて来ましたけど何か俺に用事ですか?」
部屋に到着した俺は、そう言いながら部屋に入った。
すると、部屋の中にはレインさんと、もう一人フードを被ってはいるがオーラのある人が居た。
「お、王様ですか?」
「昨日ぶりだな、クリス君」
部屋の中に居たもう一人の人物は、昨日会ったばかりのこの国の王様だった。
「す、すみません。呼ばれて来たので、部屋に人が居るとは思いませんでした」
「いや、クリス君はそのまま部屋に入ってくれて構わないよ。クリス君を呼んだのは、アルバート王が関係してる事なんだよ」
部屋から出て行こうする俺に対し、レインさんはそう言って引き留めた。
その後、俺は部屋の中に入ってソファーに座って話を聞く事になった。
「あの、それで王様が関係していて俺が呼び出されたって、もしかして鑑定系の依頼ですか?」
「クリス君は、相変わらず察しが良いね。実は、アルバート王が手に入れた〝才能の球〟が鑑定が出来ないらしくてね。良い物だったら王女に送りたいが、確認が出来なくて困っていると言われてクリス君なら鑑定が出来るんじゃないかと呼んだんだ」
「せっけん作りの他に、鑑定の能力もあるとはレインさんから聞いて驚いたよ。クリス君、頼めるかな?」
王様からそう言われた俺は、断る事は出来ずその頼みを聞く事にした。
その後、王様は懐に閉まっていた袋から木箱を取り出し、その中にある〝才能の球〟を見せてくれた。
「この球なんだが、王城の鑑定使いでも鑑定出来なくてね。レインさんにこの話をしたら、クリス君ならもしかしたら確認出来るかもと教えられたんだ」
「そ、そうなんですね。その、それじゃ早速鑑定してみますね」
俺はそう王様に言って、〝才能の球〟を受け取って鑑定を使用した。
すると、その中身を確認する事が出来て、俺はその球を王様に渡した。
56
あなたにおすすめの小説
『異世界ごはん、はじめました!』 ~料理研究家は転生先でも胃袋から世界を救う~
チャチャ
ファンタジー
味のない異世界に転生したのは、料理研究家の 私!?
魔法効果つきの“ごはん”で人を癒やし、王子を 虜に、ついには王宮キッチンまで!
心と身体を温める“スキル付き料理が、世界を 変えていく--
美味しい笑顔があふれる、異世界グルメファン タジー!
祝・定年退職!? 10歳からの異世界生活
空の雲
ファンタジー
中田 祐一郎(なかたゆういちろう)60歳。長年勤めた会社を退職。
最後の勤めを終え、通い慣れた電車で帰宅途中、突然の衝撃をうける。
――気付けば、幼い子供の姿で見覚えのない森の中に……
どうすればいいのか困惑する中、冒険者バルトジャンと出会う。
顔はいかついが気のいいバルトジャンは、行き場のない子供――中田祐一郎(ユーチ)の保護を申し出る。
魔法や魔物の存在する、この世界の知識がないユーチは、迷いながらもその言葉に甘えることにした。
こうして始まったユーチの異世界生活は、愛用の腕時計から、なぜか地球の道具が取り出せたり、彼の使う魔法が他人とちょっと違っていたりと、出会った人たちを驚かせつつ、ゆっくり動き出す――
※2月25日、書籍部分がレンタルになりました。
才がないと伯爵家を追放された僕は、神様からのお詫びチートで、異世界のんびりスローライフ!!
にのまえ
ファンタジー
剣や魔法に才能がないカストール伯爵家の次男、ノエール・カストールは家族から追放され、辺境の別荘へ送られることになる。しかしノエールは追放を喜ぶ、それは彼に異世界の神様から、お詫びにとして貰ったチートスキルがあるから。
そう、ノエールは転生者だったのだ。
そのスキルを駆使して、彼の異世界のんびりスローライフが始まる。
底辺から始まった俺の異世界冒険物語!
ちかっぱ雪比呂
ファンタジー
40歳の真島光流(ましまみつる)は、ある日突然、他数人とともに異世界に召喚された。
しかし、彼自身は勇者召喚に巻き込まれた一般人にすぎず、ステータスも低かったため、利用価値がないと判断され、追放されてしまう。
おまけに、道を歩いているとチンピラに身ぐるみを剥がされる始末。いきなり異世界で路頭に迷う彼だったが、路上生活をしているらしき男、シオンと出会ったことで、少しだけ道が開けた。
漁れる残飯、眠れる舗道、そして裏ギルドで受けられる雑用仕事など――生きていく方法を、教えてくれたのだ。
この世界では『ミーツ』と名乗ることにし、安い賃金ながらも洗濯などの雑用をこなしていくうちに、金が貯まり余裕も生まれてきた。その頃、ミーツは気付く。自分の使っている魔法が、非常識なほどチートなことに――
悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる
竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。
評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。
身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。
『異世界ガチャでユニークスキル全部乗せ!? ポンコツ神と俺の無自覚最強スローライフ』
チャチャ
ファンタジー
> 仕事帰りにファンタジー小説を買った帰り道、不運にも事故死した38歳の男。
気がつくと、目の前には“ポンコツ”と噂される神様がいた——。
「君、うっかり死んじゃったから、異世界に転生させてあげるよ♪」
「スキル? ステータス? もちろんガチャで決めるから!」
最初はブチギレ寸前だったが、引いたスキルはなんと全部ユニーク!
本人は気づいていないが、【超幸運】の持ち主だった!
「冒険? 魔王? いや、俺は村でのんびり暮らしたいんだけど……」
そんな願いとは裏腹に、次々とトラブルに巻き込まれ、無自覚に“最強伝説”を打ち立てていく!
神様のミスで始まった異世界生活。目指すはスローライフ、されど周囲は大騒ぎ!
◆ガチャ転生×最強×スローライフ!
無自覚チートな元おっさんが、今日も異世界でのんびり無双中!
猫好きのぼっちおじさん、招かれた異世界で気ままに【亜空間倉庫】で移動販売を始める
遥風 かずら
ファンタジー
【HOTランキング1位作品(9月2週目)】
猫好きを公言する独身おじさん麦山湯治(49)は商売で使っているキッチンカーを車検に出し、常連カードの更新も兼ねていつもの猫カフェに来ていた。猫カフェの一番人気かつ美人トラ猫のコムギに特に好かれており、湯治が声をかけなくても、自発的に膝に乗ってきては抱っこを要求されるほどの猫好き上級者でもあった。
そんないつものもふもふタイム中、スタッフに信頼されている湯治は他の客がいないこともあって、数分ほど猫たちの見守りを頼まれる。二つ返事で猫たちに温かい眼差しを向ける湯治。そんな時、コムギに手招きをされた湯治は細長い廊下をついて歩く。おかしいと感じながら延々と続く長い廊下を進んだ湯治だったが、コムギが突然湯治の顔をめがけて引き返してくる。怒ることのない湯治がコムギを顔から離して目を開けると、そこは猫カフェではなくのどかな厩舎の中。
まるで招かれるように異世界に降り立った湯治は、好きな猫と一緒に生きることを目指して外に向かうのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる