特性【プレイヤー】に覚醒した俺は、前世の記憶を思い出し異世界を楽しむ

霜月雹花

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第一章

第40話 【冒険者活動・4】

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 ラントリス家からの指名依頼の内容は、簡単に言えば護衛任務みたいな依頼だった。
 違うとすれば、俺の持つ収納スキルで大量の荷物を運搬して欲しいと書いてあった。

「ラントリス家には、収納スキルは見せていたんだね」

「はい。せっけんを渡す際に見せましたね。でも、こういった依頼って他の方とかもあるんですか?」

「偶にね。クリス君みたいに収納スキル持ちは、そんなにいないから持ってる人が依頼受けられる状態ならこうして依頼をする人はいるよ。収納スキルがあれば、大量の荷物を一度に運べるからね」

 特に貴族は、時期によっては領地と王都を行き来する為、その際に大量の荷物を運ぶことになる。
 そうレインさんから教えられた俺は、ラントリス家には世話になったからこの依頼を受けると伝えた。

「ちなみに、その依頼っていつからなんでしょうか? その、ロンさんが激務で一人にするのが……」

「確か二日後が良いと言ってたから、その日かな? 一応、それまでに鑑定使いを用意しようとは思ってるから、クリス君は安心して依頼を受けて大丈夫だよ」

 その後、俺は部屋を出て作業部屋へと戻って来た。
 俺が居ない間もロンさんは作業していたおかげで、素材の量が減っていた。

「ロンさん、さっきレインさんから聞いたんですけど、近い内に鑑定使いが来るそうですよ」

「それは本当か!? ようやく、この激務が終わるのか……」

 ロンさんは俺の話を聞いて、嬉し涙を流して一緒に作業を続けた。
 そうして数日後、臨時の鑑定使いとしての仕事を終えた俺は装備の受け取りも済ませ、ラントリス家へとやって来た。

「クリス君、まずは今回の依頼を受けてくれてありがとう」

「いえ、ラントリス家には色々とお世話になりましたし、今もノアさんにはお世話になってるので恩を返せる時が来て良かったと思ってます」

 それから依頼内容について、詳しく聞く事になった。
 依頼内容は聞いていた通り、荷物の運搬なのだが全部同時に運べるなら金貨5枚と破格の報酬だった。

「あの、どうしてこんな報酬が高いんですか?」

「……実は、領地の方で少し問題が起きてね。こっちから支援物資を送る事になって、その物資の量が多いんだ」

「問題? あっ、もしかして少し前の大雨が原因ですか?」

「領地全域って訳では無く一部の街の被害が酷くてね。何とか近くの街の物資で今は耐えてくれているんだ」

 アイザックさんの言葉を聞いた俺は、「いつ行きますか?」と出発日を聞いた。

「出来れば今日にも行きたい気持ちではあるが……明日の早朝はどうかな?」

「俺としては今日でも大丈夫ですよ?」

「いや、こっちの準備がまだでね。物資が集まるのが、今日の夕方頃で早く行けても明日の朝なんだ」

「そうなんですね。分かりました」

 それから、アイザックさんと出発時間についても話し合いをして俺はラントリス家を出た。
 そうして依頼を受ける為、数日家を開けるなら家の掃除を念入りに今日はしておこうと、夕食の時間まで俺は家の掃除をする事にした。

「と言う訳で、明日から暫く帰って来れなくなりました」

「クリス君の料理が食べられないのは残念だけど、冒険者なら当たり前だからそんな心配そうな顔しなくても大丈夫よ? 確かに住む条件に食事と掃除って言ったけど、活動の邪魔はしたくないもの」

 その日の夜、俺はアリシアさんに依頼の件を伝えて数日、料理と掃除が出来ない事を謝罪した。
 するとアリシアさんは、特に気にしてない様子でそう言ってくれた。

「それにラントリス家の領地問題は、私もノアから聞いて心配してたからクリス君が手伝うんなら頼もしいわ」

「知ってたんですね」

「ええ、冒険者は情報も大事なのよ?」

「今後は俺も情報を気にしながら活動します」

 そうしてアリシアさんに報告を終えた俺は、明日は早い時間に出発なのでいつもより早い時間に眠りについた。
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