特性【プレイヤー】に覚醒した俺は、前世の記憶を思い出し異世界を楽しむ

霜月雹花

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第一章

第41話 【ラントリス領に向けて・1】

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 翌朝、俺は朝早くに家を出てラントリス家へとやって来た。
 敷地内には大量の荷物が置かれており、その近くにはアイザックさんが従者や兵士に指示をしていた。

「アイザックさん、おはようございます」

「クリス君、おはよう。あの荷物を運んで欲しいんだが、全部入りそうか?」

「はい。あの量でしたら、問題なく入りますよ」

 アイザックさんは心配そうな表情を向けながら俺にそう聞いて来て、俺は荷物の方を一度見てそう答えた。

「でもあれくらいでしたら、馬車でどうにか出来ますよね? 他に荷物は無いんですか?」

「一応、他の荷物を別に置いてあるが……」

「その荷物も見せてください」

 俺はそう言って、片っ端からラントリス家の荷物を【異空間ボックス】の中に入れた。
 レベルを上げ、訓練でも魔力の数値が上がっていた俺はラントリス家が用意した荷物を全て収納した。

「クリス君の収納スキルが大きい事は把握していたつもりだったけど、まさかこれ程だとは思わなかったよ」

「お役に立てた様で良かったです」

 全て収納した事によって、元々は持って行くつもりじゃなかった荷物も持って行けそうでアイザックさんは嬉しそうに表情を浮かべた。

「それじゃ、エレナ。王都は頼んだ」

「ええ、アイザックも気を付けてね。クリス君も、初めての長旅だろうから気を付けてね」

「はい! 大切な荷物をきちんと領地に届けてきます!」

 エレナさん、そして王都に残るラントリス家の使用人達に見守られながら俺はアイザックさんと共に馬車に乗って王都を出た。
 本来、冒険者は歩くか他の馬車に乗って移動するのが基本。
 しかし、今回の場合だと俺が全ての荷物を持っている為、一番安全なアイザックさんと共に乗る事になった。

「こうしてクリス君と一緒に馬車に乗る事になるとはな、君がまだ孤児院に居た頃はこんな事になるとは想像もしなかったよ」

「俺も同じです。冒険者にはなりたいと思っていたので、いつか貴族の依頼を受けたりするんだろうとぼんやりと浮かべてましたが、そんな貴族の依頼を受けてその家の当主である方と共に馬車に乗るなんて……人生って不思議ですね」

「ハハッ、確かにそうだな」

 俺の言葉を聞いたアイザックさんは楽しそうに笑い、アイザックさんがまだ若い頃の話をしてくれた。
 その後、時間は経ち昼食の時間となった。

「クリス君、昼食も作ってくれるのか?」

「はい。特に何もしてないのに、あんな大金は受け取れませんから、食事位は用意させてください」

 俺がそう言って、直ぐに調理を始めた。
 外での料理は何気に初めてだが、今日の為に準備していたので俺はテキパキと手を動かして昼食を作った。
 流石に昼食だから時間は掛けられないので、簡単にスープと野菜炒めと白米を用意した。

「……前よりまた上手くなってないか?」

「毎日、料理を作ってますし、何よりラントリス家から紹介してもらった商会の調味料のおかげで料理の幅が広がってもっと研究が進んだんです」

 それから用意した食事は、アイザックさんと従者さんや兵士さん達に配ると全員美味しそうに食べてくれた。
 特に兵士さん達は、こんな美味しい野外飯は食べた事が無い! と驚いていた。
 そしてそんな変資産の中から数名、どんな風に料理をしたのか聞いてくる人も居た。

「アイザックさん、兵士さんって料理をする人とか居るんですか?」

「勿論。兵士は時には数日、街から離れて暮らしたりするから自分達で用意できるように訓練してる。まあ、クリス君程の料理の腕前の兵士は居ないけどね」

 成程、だからさっきの兵士さん達は俺から料理を学ぼうと色々と聞いて来たのか。
 アイザックさんの話を聞いて納得した俺は、それから再び馬車に揺られて特に問題も無く一日目の移動を終えた。
 本来、アイザックさんが同行してる際は野営はせずに街に寄りながら進むみたいだが。
 今回は時間を少しでも短縮する為、野営をして領地へと真っ直ぐ進むルートとなっている。

「クリス君には悪いね。初めての旅なのに」

「いえ、思い出には残る旅だと思うので大丈夫ですよ」

 そう俺は言って、野営準備の為に【異空間ボックス】に入れていた野営用の荷物を出して兵士さん達と一緒に準備をした。
 設営が終わった後は、昼間と同じく食事の準備に取り掛かったが、今回は料理をよくする兵士さん達と一緒に準備する事にした。
 本当は一人でするつもりだったが、少しでも技術を学びたいと言われたのと、アイザックさんからも頼まれたので承諾した。
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