特性【プレイヤー】に覚醒した俺は、前世の記憶を思い出し異世界を楽しむ

霜月雹花

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第一章

第44話 【ラントリス領に向けて・4】✤

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 翌日、俺は朝早くから豪雨によって被害が出てる場所へとやって来た。
 この街の約三分の二が被害に遭って、残りも無事なのは領主の建物と一部の建物だけだ。
 特に被害が大きい所は、そこに建物があったのか? と疑う程に酷い惨状だった。

「クリス君、今回の依頼は物資の移動だけだからここの手伝いはしなくても良いんだぞ?」

「いえ、流石にこんな状況なのに何も手伝わないのは心苦しいので出来る事だけでもさせてください」

 アイザックさんの言葉に俺はそう返して、手伝える事をしようと動く事にした。

「……【土属性魔法】取っておいてた良かったな」

 バタバタと店の事で忙しなく動いてた際、俺は3つのスキルを新しく習得した。
 その内二つが属性系の魔法で、訓練して習得したが特に使い道が無くそこまでスキルレベルは高くない。
 その代わり【魔法合成】というスキルは、かなり使用しており火と水を組み合わせて〝お湯〟を作りだし、料理の時短に使っている。
 そして今回の災害で活躍してるのが、その時に習得していた【土属性魔法】だ。
 自分の魔力で土を作り出す事も出来るが、地面の土や砂を操る事も出来るので俺はそのスキルを使って片付けを手伝った。

「う~ん……土は移動で来ても、建物で使われてた建材とかは移動できないからそこまで劇的に変わったって感じではないな」

 朝から初めて昼休憩に入った俺は、片付けていた場所を眺めてそう呟いた。
 土や砂、石等はスキルで移動させて再利用できる物は資材置き場において、要らない物は【異空間ボックス】に入れて片付けを行った。
 しかし、建物の建材や家具等は今のスキルではどうしようもない為、手作業での片付けを兵士さん達が行っている。

「なんかこう、魔力で動かしたり出来ないのかな?」

 昼休憩の際、俺は魔力を流しつつ視界の中にあるコップを持つようなイメージをした。
 するとコップは数㎝浮いて、俺の目の前にそのまま浮いて移動して来た。

「ッ!?」

 俺は驚いて立ち上がると、コップはそのまま机に落ち倒れ無かったおかげで被害は無かった。
 俺は今の現象を見て、慌ててステータスを確認した。


名 前:クリス
年 齢:10
性 別:男
特 性:プレイヤー

レベル:17
筋 力:2110
体 力:2340
魔 力:2750
敏 捷:1840
・固有能力
【天賦の才】
・スキル
【剣術:9】【調理:10】【身体強化:10】
【魔力操作:10】【魔力感知:10】【火属性魔法:9】
【水属性魔法:8】【調合:10】【調薬:10】
【算術:10】【話術:10】【交渉術:10】
【作法:10】【接客:10】【魔法合成:7】
【土属性魔法:4】【風属性魔法:3】【念動力:1】
・加護
豊穣神の加護


「……【天賦の才】の強さを改めて実感したな、まさかこんなスキルが手に入るとは思わなかった」

 それから俺は、新しく習得した【念動力】を少しでも扱えるようになろうと、休憩を早めに終えて作業を再開した。
 それから俺は、片付けをしつつ【念動力】のスキルの訓練を行った。
 午前中よりも片付けるスピードは落ちたが、逆に建物の材料だったり家具を移動できるようになったおかげで景色がかなり変わっていった。

「クリス君、午前中と午後では違うスキルを使っていたみたいだが、どんなスキルを使っていたのか聞いても良いか?」

「いいですよ。午前中は、元々持ってたスキルの【土属性魔法】を使っていたんですけど、そっちだと建物の材料とか家具が移動できなくて困ってたんです。それで違うスキルの【念動力】を使ってみたら、意外と掃除に活用出来たのでそっちで作業をしてました」

「【念動力】か、それはまた珍しいスキルを持ってるな……いや、それにしても本当に助かったよ。クリス君が居なかったら、一ヵ月は掛かっていた作業が数日以内に終わりそうだ」

 そうアイザックさんは言うと、真剣な表情となり「依頼として作業を手伝って欲しい」と頼まれた。

「依頼としてって、別に俺が好きでやり始めた事なので気にしなくても……」

「そこはこの地の領主として、ちゃんと払うべき対価は払いたいんだ」

 そう言われた後、何度も交渉したが結局俺が折れて依頼として作業を手伝う事が決まった。
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