特性【プレイヤー】に覚醒した俺は、前世の記憶を思い出し異世界を楽しむ

霜月雹花

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第一章

第50話 【王都帰還・2】

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 翌日、俺は王妃様に対しての手紙を出し、今日は在庫補充の為に一日作業室にこもる事にした。
 念の為、材料を余分に持っていたおかげで材料の手配を待つ事無く、在庫の補充をする事が出来た。

「王家のせっけん、どうしようかな……」

 王妃様からの依頼に近い手紙。
 王女様に渡した物は特別な物として捉えてくれてるのは有難いが、それと類似した製品を売ってほしいと書かれていた。
 こうなると予想して、ある程度の準備は進めていたが金額の設定等、細かい所をどうするか悩んでいる。

「王族だからといって、無駄に高い物だとそれはそれで失礼に値するだろうから、材料費を見ながら値段はエドガーさんに相談しようかな」

 そうして俺は、王都帰還した翌日は一日掛けてせっけんの在庫補充をして過ごした。
 翌日、俺は朝早くから商業ギルドへとやって来てエドガーさんの所へと相談に来た。

「王妃様から頼まれたのか」

「はい。類似品なので、そこまで実験に時間は必要はないんですけど値段をどうするかで迷ってまして……そもそも、今回の物に関しては王家専用もしくは王家と並ぶ高位貴族専用にしようとおもってまして、量産はそこまでしないと思うんですよね」

「特別感もあってその方が王妃様も喜ぶだろうから、売る相手の限定は良いとは思う。それこそ、クリスと一定の関係値のある相手とかにしたらどうだ? そしたら、もしも今後他の事業をするってなった時も貴族との繋がりがあってやりやすいかも知れないぞ」

「関係値で売る相手を……だとしたら、会員カードみたいなものがあれば分かりやすいですね」

 そう俺が言うと、エドガーさんは「会員カード?」と首を傾げて聞いて来た。

「俺の商会である〝ヤマト〟の会員カードを作って、年間か月額で一定のお金を払うと限定のサービスを使えるみたいな感じですね。今回で言うと、会員者限定のせっけんの販売とかですかね」

「……面白いアイディアだな。会員の人数とか決めたら、それこそ価値も高くなるだろうからな」

「それに会員数が分かれば、商品の在庫管理も分かりやすいと思いますし、何より会員になってくれるだけでこちらとしても利益があるのでありかなと」

 その後、俺は会員カードについてエドガーさんと細かい所まで決めた。
 それから数日後、俺は会員カードの話をラントリス家と王家へと教えると、両家から入会希望と連絡が届き。
 最初に俺は王城へと、俺は入会の手続きへとやって来た。

「クリス君、前回よりかは慣れた様子ね」

「いえ、内心ではまだ緊張してます。ただ今日は商談で来てるので、何とか頑張って隠してます」

 入会者は王妃様で、会員についての説明をするといくつか質問をされて手続きを行った。
 結局、会員は月額制にして金貨一枚を毎月払うという内容に落ち着いた。
 これには色々と理由があり、まず初めに今回のこれは平民に関して完全に度外視している。
 売る商品自体、高価な物で平民向けでない事もあるのだが、より自分達が上に居ると思わせる為に少し高い値段設定とした。
 俺の考えではもっと低い値段でやろうとしたのだが、エドガーさんからそれだと意味がないと言われてこの値段となった。

「それでこれがあの商品と似たせっけんかしら?」

「王女様に渡した物が一点物なので良い物となっていますが、殆ど一緒です。使用してみて、もし何か違和感がありましたら直ぐに教えて頂けると直ぐに改善します」

「全く一緒だと、折角の贈り物なのに特別感が無くなるからそこは仕方ないわね……クリス君、早速使って来てもいいかしら?」

 ワクワクとした表情をしている王妃様に断る事が出来ない俺は、王妃様を見送って部屋に一人で残された。
 すると、少しして部屋に王様が入って来た。

「クリス君、すまないな。新しいせっけんが来ると、昨日から楽しみにしていたから」

「い、いえ! 俺としても、王妃様があんなに自分の商品を気に入って頂き嬉しい限りです」

 王妃様が直ぐに試しに行った事に謝罪をした王様に対し、俺はそう言葉を返すと王様は笑みを浮かべた。

「その会員カードって仕組みはクリス君が考えたのかい?」

「アイディアは俺ですけど、中身の細かい所は商業ギルドのエドガーさんと一緒に考えました」

「そうなのか、クリス君はせっけんの様な製品を作る才能だけでは無く、商人としての商才もちゃんと持っていて素晴らしいな」

 王様はそう俺を褒めると、会員がどんな事が出来るのか気になった様なので王妃様にした説明を王様にもした。
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