特性【プレイヤー】に覚醒した俺は、前世の記憶を思い出し異世界を楽しむ

霜月雹花

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第一章

第54話 【工事・2】

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 翌日、俺は朝早くに家を出てまずは材料を買いに商業区へとやって来た。
 そこで沢山の資材を購入した俺は、家に戻って来てまずは今の浴室を壊す事にした。

「水回りを一気に変えるから、何とかして一日で終わらせないとな」

 浴室だけ壊す予定だったが、トイレとの距離も近くて取り合えずそこも壊して変更する事にした。
 そもそもトイレ自体、少し狭い造りをしていたのでアリシアさんがよく愚痴を言っていた。
 なのでこの際、トイレも変更して快適な水回りへと変える事にした。
 その為、トイレも新しいのに変える為、もう一度買い出しへと出掛けて直ぐに帰って来た。

「さてと、まずは設計図から描いていくとして……アリシアさんから庭の使い道がないから、多少は家にしても良いとは言われてるけど、増築した場合殆ど庭が残らないからな」

 現時点でも狭い庭は、そこに増築してしまうとほぼ使い道が無くなりそうだ。
 今は物干し竿を置いて、そこに洗濯物とかを干したりしてるがそれ以外での使い道がないのが現状。

「取り合えず、設計図を描いて庭が残りそうなら残すか」

 その後、改築部分をどんな風に作るのか考えながら設計図を描いていった。
 そして出来た設計図を見て、これで進めようと作業に取り掛かった。

「一人だから時間が掛かると思ってたけど、魔法が便利過ぎて特に難しい所がないな……」

 本来、一人であれば荷物の搬入が難しかったり、重い板等を支えるのが難しい。
 前世の世界であれば、一人で作業しようものなら注意しないと板や道具を落とし、折角作った部分に傷をつけたり道具を破損したりする。
 しかし、魔法で作業の効率化をしている俺はそれらが全く無く、本当に設計図通りに順調に進められている。

「こんなに簡単に進められるなら、台所も作り直せばよかったな。そしたら水回り一式、全部変えられたのに……流石に今からは無理か?」

 既に時間は昼を過ぎており、今から台所の改築をしようものなら今日の晩飯は作れなくなりそうだ。

「……止めておこう。自分の家だったらしてたかもだけど、ここはアリシアさんの家でもあるから勝手に改築したら駄目だ」

 と自分に言い聞かせたが、既にトイレは無断で改築しているからその言い訳は当てはまらない事は自分でも分かっている。
 その後、台所の事は忘れて黙々の作業を続けた俺は、陽が沈む前には全ての改築を終えた。

「まさか一日で終わらせたの?」

「集中してやったら、なんとかできましたね。正直、完成するとは俺も思ってなかったんですが……」

「クリス君は前から色んな才能がある子だと思ってたけど、大工の才能もあるなんて予想もしてなかったわ」

 帰宅したアリシアさんに改築が終わった事を告げると、驚いた顔をしてそう言った。
 それから夕食の前に改築した部分の説明をしに、アリシアさんを連れて水回りの説明をする事にした。

「えっ、改築したの浴室だけじゃないの!?」

「はい。その、浴室を改築しようとしたらトイレが邪魔でして勝手に改築しました。すみません!」

「いや、謝る事じゃないわよ。その、前のより全然綺麗だし、広くなって使いやすくなってから怒る訳ないでしょ」

 まず最初に紹介したのは、無断で新しく作り直したトイレ。
 前回までは人が入ると、ギリギリの狭さで臭いも小さな窓しか無くて換気されるまで時間が掛かる感じだった。
 そんなトイレから、まずは少し広げて換気用の窓を付け、トイレ自体も新しい物に交換した。
 この世界のトイレは、魔道具として売られており、前世の物と比べたら若干性能は落ちるがそれでも十分トイレとして機能している。

「トイレ自体新しいのに変わってるし、かなりお金掛けたんじゃないの?」

「自分も使う物ですし、少しだけ奮発しましたね」

「だとしても高価な物よ?」

 と、アリシアさんから言われたが水回りは俺も使うのでお金を払うと言われたが断り、次は洗面所へと向かった。
 これまで洗面所も狭く、朝の支度ではアリシアさんと被ってしまうとどちらかが待つ形となっていた。
 しかし、今回はそんな洗面所も広くして鏡も大きな窓を用意したので人が二人いても十分な作業が出来るようになった。
 そして広くなった事で収納も増え、せっけんの在庫や掃除道具を入れておくスペースも出来た。

「……浴室以外の所が進化しすぎて、この後に見る浴室が怖くなって来たわ」

 そんな風に言ったアリシアさんは、次に浴室を見せると言うと深呼吸を
してから俺の後に続いて浴室に入って来た。 
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