特性【プレイヤー】に覚醒した俺は、前世の記憶を思い出し異世界を楽しむ

霜月雹花

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第一章

第55話 【工事・3】

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「……クリス君、やり過ぎよ」

「そうですか? 貴族の家のお風呂は見たことも無いのでわかりませんけど、貴族の家よりかは豪華じゃないと思いますけど」

「広さは確かに実家の浴室の方が広いけど、それはお金を掛けて何十人もの大工が工事して造った物。でも、これはクリス君が一人で作ったんでしょ? こんな浴室を個人で作るなんて、クリス君の技術はどこまで高いの?」

 新しく作った浴室は、これまでの悩みだった広さ問題をまずは解決する事にした。
 広さを確保する為、狭い庭を半分程潰し、浴室として使う事にした事で十分な広さを確保した。
 その次に浴槽に関して、こちらはトイレと同じく売られている物を使うか、造作するかで迷った。
 その迷ってる際、お湯や水に関して、専用の魔道具が別で売られていると知った俺は浴槽を造作する事に決めた。

「浴槽の下と壁は石で作ってるみたいだけど、これも全部クリス君が加工したの?」

「そうですよ。ラントリス領で家を建てた際、一緒に工事してくれた大工さんに石の加工が得意な人が居て、その人に習ったんです」

「……習ったからって、こんな綺麗に加工出来る物なの?」

 その後、浴室の感想としては早くお風呂に入りたいと言う感じで終わり、最後に狭くなってしまった庭も見せる事にした。

「元々、庭は殆ど使ってなかったし別に良いけど、この狭さだと生ごみをゴミ出しまで置いておく事位にしか使えなさそうね」

「今までもそんな感じでしか使ってませんが、いい活用方があればいいんですけどね」

「まあ、それは今後また考えましょう。驚きすぎて、お腹が空いたから早くご飯が食べたいわ」

「分かりました。それじゃ、直ぐに準備しますね」

 それから家の中に戻り、アリシアさんと一緒に夕食を準備していると、家の呼び鈴が鳴り見に行くと。
 外にはノアさんが居て、アリシアさんが今日俺が改築する事を言ったらしく、気になって見に来たと言った。

「一日で完成はしてないだろうけど、どんな風に変わってるのか気になっちゃって……って、アリシアどうしのたその顔?」

「ふふっ、ノアの驚く顔が想像できたのよ」

 ノアさんの言葉にアリシアさんは、ニンマリとした笑みを浮かべるとノアさんは怪訝そうにアリシアさんを見つめた。
 それからアリシアさんは、そんなノアさんを改築した水回りを案内すると、遠くから驚いてる声が聞こえて来た。

「嘘でしょ、たった一日であんな綺麗な水回りに改築したの?」

「クリス君の凄さを改めて実感したわ。私も帰って来て案内されてる時、ノアと同じような反応だったわ」

「最初を知ってる身からすると、凄い変わり様ね」

 ノアさんは夕食がまだだっのたで、そのまま一緒に夕食を食べる事になった。

「ちなみに浴槽は大きい造りをしてるので、アリシアさん達二人で入っても十分寛げると思いますよ」

「確かに大きかったわね。どうするアリシア? 久しぶりに一緒にお風呂に入る?」

「私は良いけど、ノアは帰らなくていいの? 泊る時は連絡しないと、親が煩いって言ってなかったかしら?」

「大丈夫よ。さっき待ってくれてた従者に、今日はアリシアの家に泊るって伝えておいたから」

 ノアさんは元々泊る気満々だったらしく、既に家には連絡済みだった。
 そんな用意周到なノアさんに対し、アリシアさんは「本当に準備が良いわね」と言って後で一緒に風呂に入る約束をしていた。
 それから夕食を食べ終えた俺は浴槽のお湯を魔法で入れ、アリシアさん達に入ってもらった。

「お湯の温度とか、どうですか?」

「凄く丁度いいわ! ありがとう。クリス君!」

「分かりました。それでは、ごゆっくりどうぞ」

 念の為、洗面所の外からお湯の温度について確認すると丁度いいと返答を貰った。
 それから俺は洗面所から離れ、リビングで建築についての本をキリさんから貰っていたのでそれで勉強する事にした。
 その後、一時間程してアリシアさん達は出て来ると、物凄く満足そうな表情をしていた。

「ずっとシャワーで我慢してたけど、やっぱり湯舟は良いわね。全身が温まって最高だったわ」

「私はいつも湯船に浸かってるけど、クリス君が作ったお風呂はなんだかいつも以上に疲れが取れた気がするわね。何か他と違う所があったのかしら?」

 アリシアさんは久しぶりの湯船に満足しているだけだったが、ノアさんは俺が何か用意したであろうと感付いておりそう俺に聞いて来た。

「ノアさんは本当に鋭いですね。まだ商品化はしないつもりですけど、新しく商品を開発してるんです」

「それって、湯船に入れる物なの?」

「はい。入浴剤といって、湯に溶かして体の疲労を取ったりできる物を作ろうとしてます」

 この入浴剤に関しても下水に流れた際、水に問題が起こらない様に細心の注意を払いつつ作った。
 そんな入浴剤を体験した二人は満足しており、ノアさんから家でも使いたいと言われた。

「せっけんと違って入浴剤はまだ数が無いですし、浴槽の大きさでも入れる分量が変わって来るのでラントリス家の風呂で使えるようになるにはまだ時間が掛かりそうなんですよね……」

「嘘、でしょ……こんないい物を一度しか使えないなんて、アリシアがズルいわ!」

「ズルイって何よ。クリス君と一緒に生活してるだけでしょ? それにノアがそんなに入りたいなら、暫く家で暮らせばいいじゃない。部屋は余ってるから、暮らしたいなら別に来てもいいわよ」

 アリシアさんはズルイと叫んだノアさんに対し、そんな提案をしてあげた。
 その言葉を聞いたノアさんは、目を見開いて「いいの?」と聞き返した。

「別にいいわよ。ノアには私も色々と世話になってるし、それにクリス君とも仲がいいでしょ? 勿論、クリス君が嫌って言うなら住めないけど、どうかしらクリス君?」

「俺も構いませんよ。ノアさんには俺もお世話になってますし、でもお家の方が許可してくれますかね? 一応、俺は子供ですけど男ですし」

「そこは何とかしてみるわ。私の快適なお風呂の為にッ!」

 ノアさんはそう力強く宣言すると、明日直ぐにでも言いに行くと言ってアリシアさんと作戦会議を行い。
 俺はそんな二人を置いて、この世界で初めての湯舟を堪能する為に浴室へと向かった。
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