特性【プレイヤー】に覚醒した俺は、前世の記憶を思い出し異世界を楽しむ

霜月雹花

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第一章

第56話 【工事・4】

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 自分で作っただけあり、拘って作った浴槽は凄い快適空間となっている。
 俺がどこまで成長するか分からないが、色々と考慮して背の高い大人でも足が伸ばせる作りにしている。

「半身浴とかする為に段差も付けたけど、良い感じだな……」

 それから俺は30分程、湯船に浸かって風呂から上がるとリビングには既にアリシアさん達が居なくなっていた。
 もう遅い時間だし、二人共寝たんだろうと思い俺も自室に入って眠りについた。

「それじゃ、昨日はお家を自分で改築してたの?」

「そうだね。やれると思ってやってみたら、意外と出来てね。アリシアさんの許可が下りたら、いつか招待するよ」

 翌日、俺は作業場へとエマと一緒にやって来て、エマに対して指導をしつつ、昨日の事を話していた。

「クリスって本当になんでも出来るよね。成長系でもかなり、いい能力貰ったんだね」

「まあ、そこは本当に神様に感謝してるな」

 実際、俺を転生してくれた神様には寝る時に祈りを捧げたりしている。
 俺を転生してくれた神様は、この世界では〝豊穣神〟として下界を見ていると言っていたので、いつかちゃんと感謝を伝えたいとは思っている。

「やっぱり、難しいな~……」

「慣れるまでは時間が掛かるけど、慣れたらこの作業も直ぐに出来るようになるさ、そこまで行けば実験も自分のしたいように出来るようになってきて楽しくなってくる」

 昼過ぎまでエマの指導をした俺は、昼食を一緒に食べて午後は在庫補充の為にせっけん作りに専念した。

「冒険者が副業みたいになってるね」

「本当はそんなつもりは無いんですけど、やりたい事を優先していたらそっちが本業になってましたね」

 その翌日、冒険者ギルドに来た俺は久しぶりにレインさんに訓練をつけてもらっていた。
 久しぶりの訓練で忘れてる事も少しあり、復習しながら体を動かし、休憩時間に最近の事をレインさんに話した。

「そう言えば、アリシアちゃん達が昨日からいつも以上に元気だけど何か知ってる?」

「あ~、実は俺がアリシアさんの家に浴槽を作ってそこで新商品を試したりしてるので、それで多分いつもより元気なんだと思います」

 ノアさんはあの日の翌日、アリシアさんも連れて家に戻って両親の説得を行った。
 俺の新商品については詳しく言わず、自分の成長の為に家を頼り過ぎないように生活してみたい。
 そんな風な事を言ってアイザックさん達を説得し、一週間の外泊権を手に入れた。
 本当はもっと長い期間で欲しかったらしいが、それ以上だと貴族のパーティー関係で問題が生じるらしく無理だったと言っていた。

「新商品って、また新しいの作ってるの? 今度はどんな物を作ってるのか、聞いてもいいかな?」

「次に出す商品は、これまでは平民向けの商品もあったんですけど、今度のは完全に貴族向けの商品となっていまして、浴槽に入れる入浴剤と言う物を作ってます」

「浴槽が必要って事は、本当に貴族向けな商品だね」

 レインさんはそう言い、俺は入浴剤がどいう物か簡単に説明した。

「成程。浴槽に入った体を薬で治すみたいな感覚なのか」

「そんな感じですね。後は、匂いとかも考えて作って浴槽に入る事で日々の疲れを取り、癒される空間を作ろうと頑張って作ってます」

「完成したらすぐにでも使ってみたいな、今のうちに僕の家も改築しておこうかな」

 その後、レインさんとの訓練が終わると、レインさんは大工さんに連絡に行ってくると言って笑みを浮かべながら去って行った。
 そうして訓練を終えた俺は、まだ時間は昼前なので軽く依頼を受けに行こうかなと掲示板を見に行く事にした。

「んっ? クリスじゃないか、お前も冒険者になってたのか?」

 掲示板に行く途中、俺にそう話しかけて来たのは俺と同じ孤児院出身であり、俺の記憶が戻る前に虐めてきていたダントという男だった。

「まあ、戦闘系スキルがあるから冒険者になったよ。ダントもそうだろ?」

「戦闘系を貰ったからって、弱虫のお前が冒険者なんて冒険者の箔が落ちるだろ? どうせ、ランクも下っ端なんだから辞めちまえよ」

 ダントはそう俺の事を睨みながら言うと、俺の肩をバンッと叩き「良かったな、今日は俺が忙しくて」と言って去って行った。
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